非リアの俺と学園アイドルが付き合った結果

井戸千尋

私の母の魅了術と俺の天使との出会い

九十二話





【新天円香】




「行ってきます!」
「あ!待ちなさい」
玄関のドアを開けようとした時、リビングから軽やかな足音とともにお母さんが私を引き止めました。
「夢の国行くんでしょ?」
「はい。」
「そしたら――」
ふむふむ。
ふむふむ。
ふむふ…………
「お母さんは天才ですか!!」
「男を魅了するすべなら任せて!お父さんで勉強したから!」
「さすがですお母さん!!」
ガシッと腕相撲する時のように手を組みます。
「よし!じゃあいってらっしゃい!」
お母さんに背中を押され私は初の本格外デートへ向かいました。






【新転勇人】





「ドキドキ……ドキドキ……」
俺は電車に揺られ待ち合わせ場所へ向かっていた。
「ドキドキ……ドキドキ……」
服もバッチリ決めてきた。
結花もぶっきらぼうだけど「イケてる」って言ってくれたし完璧でしょう!!
「ドキドキ……ドキドキ」
さっきからドキドキが止まらん……外で堂々とデートなんて初めてだから、
「……ドキドキ……ドキド――」
「ちょっと静かにしてもらえますか?」
「あ、ごめんなさい」
つい胸のたかなりが抑えきれなかったようだ。
「確かに電車ってこのまま黄泉の世界にでも連れてかれそうな雰囲気ありますしそういう妄想とかしますけどさすがに口に出すのはやめてもらいたいです」









(°д°)


「え、あ……うん、ごめんなさい……」
「分かってもらえてありがたいわ。この私、高貴なる天使ラファエルの言葉を理解できる人は地上には少ないみたいなの」
天使?
ラファエル?

これってもしかして……
「みんな私を、チュウニビョウ?という病気だと言ってくるの、天使が病気にかかるわけないのにね」
やっぱり…………これが噂に聞く中二病っ子か!!
「あ、ラファエルと言っても仮面つけた料理元自衛隊野郎じゃないわよ?電車、大体黄泉に連れてかれる。はいどうもラファエルです、の方じゃないわよ?Y○uTubeじゃないわよ?」
すごいマシンガントークだ……。
付け入る隙がないッ!
それに、「電車、大体黄泉に連れてかれる。」って連れてかれないからね?不謹慎が過ぎるよ?
「あ、あたしここまでだから。じゃあね、静かにしてるのよ?」
そう言って無機質な音を立てて開いたドアをくぐる。
ふと窓の外の看板、つまり駅名を確認すると、

「黄泉駅!!?……あ、黄泉おうせん駅か……」
あながち間違いじゃなかったってことか……。
それにしても名前変えない?
物騒だしなんか出そうだから!


「あとで円香に話してあげよ」
次の次の駅が待ち合わせの駅だ。
でもなんで同じ電車で行かないで、次の電車で来てください、なんて言ってきたんだろ。









呼吸をするかのように嘘をいう人間でございます。
花なんて食べませんし、元から体臭はラベンダーの香りです。
つまりラベンダーに足が生えて歩いているわけです。

さて問題、この中から(上のあとがきから)嘘ではないものはどれ。

コメント

  • ノベルバユーザー296582

    バカ笑ったw

    1
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