非リアの俺と学園アイドルが付き合った結果

井戸千尋

私のキュンキュンと俺の味とは一体

六十五話






【新転勇人】







俺は今、最高の気分で神社を練り歩いていた。

それもそのはず。
お祭りの魔法なのか食べるもの全てがとんでもなく美味しく感じるのだ。
それと魔法以外にももう一つ、美味しく感じる要素があるのだ。
それは、

「勇人くん……?あ、あ〜ん」

照れて顔を背けながらもチラチラと横目に見ながらたこ焼きを俺へと“あ〜ん”してくれているのだ。
紅しょうがより円香の頬の方が赤いんじゃないかこれ。
「は、早く食べてくださいよぉ……」
「あ、ごめんなさい……さっき食べたのが熱かったので冷ましてほしいです……」
当然俺も魔法の力で大胆になってしまう。
「む〜ぅ……」
やっぱり恥ずかしそうに上目遣いでなにかを訴えてきているが俺は気にしない。なぜならお祭りの魔法にかかっているから!
ごめんね円香!!
すべては魔法のせいだから!!
お祭りが悪いの!
「……ふぅーっ…ふぅーっ…」
円香が俺のために“ふぅふぅ”してくれている!!
「あぁ……お祭りありがとう……お祭りよ永遠に…」
「ふぅーっ……何か言いましたか?」
「いえ何も」
危ない。
ついお祭りに感謝を述べてしまった。
「…………はい!これでもう熱くないはずです!」
円香は半ばやけくそにたこ焼きを俺の口へ押し込んできた。
「おいしいですか?私が丹精込めて冷ましたんですよ?」
「はい、円香の味がして美味しいです」
「わたっ、私の味って…………」
シュポォー!って音がしそうな程急激に赤くなる円香。
魔法にかかってたのは俺だけだったのか。
まったく、つかえないなお祭りの魔法は。
「…………私も勇人くんの味を……」
いっつフェスティバルマジーックゥ!!!!
なぁんてこったぃ!!
そんな目で訴えかけられたら味をお伝えするしかないじゃありませんか!!
俺は円香の持ってるたこ焼きのパックからたこ焼きを一つ取って、円香がやったように熱を冷ます。

「あ〜ん」
「あ〜んむっ」

…………口開けでたこ焼き待ってる時の顔ってなんか……いいよね……。

「んむんむ……これが勇人くんの味……♡」
俺の姫はご満悦のご様子。
良かった良かった。
お祭りの魔法様々でっせ。
「この香ばしくてしょっぱいのが……」
あれ?
姫?
「このソースっぽい味とか」
姫ェ!?
今ソースって言いましたよね?
それは俺の味じゃなくてソースの味じゃ……。
「これが勇人くんの味ですか……♡」
「あのぉ……円香、さん…?」
「はい?」
いや、はい?じゃなくてね?
んー…………。
「な、なんでもないです。」
多分円香が箱に残ってるたこ焼き全部食べるなら、全てが俺の味なんだけど……そこはいいよね。
うん、都合よく解釈してくれるよね。後で恥ずかしがったりしないよね。








【新天円香】







さらっと関節キスッ!!
散々キスしておいて今更関節キスでって感じですけど、キスって言葉の響きだけで嬉しくなっちゃいます。
「円香?」
「ど、どうしましたか!?」
「射的しませんか?」
射的ってコルク銃でバンバンやる――
「えふぴーえす!!」
「FPSは今度やりましょうね。」
「はーい♪」
ババババババーン!ってやりたいです!

私たちは人並みをかき分けて射的屋さんの前へ行きました。
「二人分お願いします」
「あいよ!坊主と彼女ちゃんの分かい?」
「まぁね」
勇人くんは胸を張って言いました。
なんか嬉しいです。
「やるなぁ坊主!!よっしゃ!彼女ちゃんの分はまけてやるぜ!」
「おっちゃんありがとう!!」
「おうよ!」

勇人くん何気にコミュニケーション力高いです。
しかも私の分無料になってますし。
恐るべし……。
「一人六発な!」
「はい!」
勇人くんはコルク銃を受け取って、構えながら私へ顔を向けて口を開きました。

「円香なにがほしい?頑張ってみるよ」

どうしましょう。
私のために勇人くんが頑張ってくれる……キュンときました。
勇人くんゲーム上手いですし、きっと射的も上手いはすです!!

「あのゲーム機が欲しいです!!勇人くんと同じやつ!!」

私は景品の中で一番大きいものを指さして言いました。

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