非リアの俺と学園アイドルが付き合った結果

井戸千尋

私の水着選びと俺の誘い文句

四十二話





【新天円香】




「お待たせしましたっ」

「お、きたきた。」
「円香の事だから10分前には来てると思って早めに来たのに、珍しいこともあるもんね。」
「えへへ…服に迷っちゃって」
一緒に水着を買いに行くため待ち合わせをした私たち。
それなのに私は服で迷いに迷ってしまって二人を待たせてしまいました。
「大丈夫だよ。行こっか」
「はい!」




お店に着いた私たちは早速自分の水着を選び始めます。

「この水着とか新天に似合うんじゃない?」
金霧先輩が自分のより先に私へ、とある水着を勧めてきました。
「ほらぁ、このふりふりのスカート的なやつとか、それに露出少なめだし」
「……先輩…」
先輩は“これ”を本気で勧めてきているのだろうか。
先輩はにこやかな笑顔で“これ”を勧めてきている。
だけど先輩。

「それちっちゃくないですか?」
分かってます分かってます。
いいと思ったらキッズ用とかありますもんね。
うんうん―
「うん。だってこれ幼児用だもん」
「だもん。じゃないですよぉ!」
確信犯!?
誰が幼児体型ですか!!
「そんなに私の胸は可愛らしいですか!?身体(胸)は子供、頭脳は大人、ですか!!?」
「あははごめんごめん」
もー…笑い事じゃないんですよ私の胸は!!
「円香ーこれは?」
「真結のそれも幼児用!!それもお腹にくまのマーク!!」

ぐぬぬぅ……ふたりして私をからかってぇ……二人ともある程度胸があるからって…。

「あ、あのぉ…お客様…」
気がついたら私のところへ引きつった笑顔を浮かべた店員さんが来ています。
あっ―
「ごめんなさいごめんなさい!静かにします!はい!」
「は、はいぃ…宜しくお願いします…」
頭を下げて謝ると店員さんは軽く足を鳴らしながらスタッフルームへと帰っていきました。
「新天は優等生のはずなのになぁ…」
「円香ってお店で大きな声だすんだぁ…へぇ…」

このふたりぃ……。

「もういいです!自分のは自分で決めます!!」
「―お客様ッ!」
「はっ―ごめんなさい…」
また大きな声出しちゃった……。
スタッフルームから顔を出した店員さんにまた怒られちゃったぁ…。
もう!
私はふたりに目線を向けると、そんなふたりに背を向けて一人で水着を探し始めました。





【左道真結】





あぁ〜…きっと睨みなれてないんだろうなぁ。
ほっぺ膨らませながら上目遣いって…こりゃモテるのも分かるわ。 
それにいじりがいがあるしね♪

勇人くんは幸せ者だな。





【金霧杏佳】



なんで新天はあんなに怒ってるんだ?


それに…なんかギャルゲーみたいなことしてるなぁ…。
友達と水着買いに来るなんて。

勇っちが聞いたらどう思うだろうなぁ…。


………はぁ…何でまたあいつの事…。

「あたしも水着決めちゃわないとな。」
あたしは違うコーナーへ移動して、いろんな水着を物色する。

んー、黒もいいなぁ……赤は目立ち過ぎるし…。


あたしは2.3着の水着を持って試着室へ入った。




【新天円香】





「先輩ー?どうですか?」
さっき試着室に入る姿を見たので、私は声をかけます。

「んー、全部入りきらないねー」

何が入りきらないんですか何が!!!

「そ、そうですかぁ…わ、私隣入りますねぇ………はぁ」
私は入りきらないなんてことは無いから試着する必要ないんですけどね!

………そうですよ見栄ですよ!!
悪いですか!!

私が買う水着はほぼ決まってましたが「私も入らない可能性があります」と言わんばかりの見栄で、試着室へ入りました。










「―今日は楽しかったね」
「ですね!お出かけするの久しぶりで楽しかったです」
無事水着を買った私たちはカフェでのんびりとしながら駄弁っています。

「私は大丈夫だったんですけど、先輩は水着に入りきりました?」
「うん。ギリギリねー」
真結と先輩のトークに、少し頭が痛くなってしまう私こと新天円香。
「そういえば新天は大丈夫だった?あの後試着室入ったみたいだけど」

まさかのド直球!!
「ソ、ソウデスネー……ダイジョウブデシタヨ…」
つい声が震えて棒読み感が出てしまいました。
「よかった。新天に似合う水着が見つかって」
「……先輩。もしかして天然かましてますか?」
「ん?」

巨乳で天然って……。

「許しません♪」

「なにがっ!?」

「ふふっ♪おっしえませーん♪」


明日は待ちに待った(一日だけですけど)勇人くんとの海です!!






【新転勇人】





「あ、浅見くん?」

『おう!どうした?』

俺は明日のことを伝えるべく、浅見くんへと電話をかけていた。

「明日一緒に海行かない?」
『海?…明日かぁ……』
そう言って口ごもってしまった浅見くん。
はぁ仕方ないか。
こんな早くに切り札を切ることになるなんて。

「金霧先輩くるよ」
『―おっけい行ける!詳細を教えてくれたまえ!!』

浅見くんってちょろいのか…?

それとも金霧先輩が凄いのか……。

「分かった!明日はね―」

俺は、金霧先輩の偉大さに感動を覚えながら明日の詳細を浅見くんへと伝えた。

 

「非リアの俺と学園アイドルが付き合った結果」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く