非リアの俺と学園アイドルが付き合った結果
私の妄想と俺の告白
三十六話
【新天円香】
「は、勇人くん!」
緊張のせいが上ずった声が出てしまいました。
私の心を蝕んだ黒い雲はさっきのキスですっかり晴れました。
「ど、どうしました?」
勇人くんもさっきのキスを気にしているのか声が震えています。
「さっきのキスって…」
自分でも顔が熱くなっていくのを感じます。
「レ、レイプですか?」
「違いますよッ!」
つい本心を言うのが照れくさくて冗談を言ってしまいました。てへぺろ☆
「冗談です。」
「笑い事じゃないですよぉ」
はぁ。
幸せです。
幸せなんです。
―幸せですが、冗談で笑い合えてる今の関係は“ごっこ”なんです。
「私とお付き合いして―」
【新転勇人】
「―ちょっと待ってください」
俺は新天さんが言おうとしてた言葉を遮るようにして声を上げた。
新天さんは口をぽかんと開けていたが、
「俺から言いたいんです」
と伝えると真剣な眼差しで俺と目を合わせてくれた。
思えば最初は新天さんへ不信感しか抱いていなかった。
大勢のクラスメイトの視線の中告白され、ゲームのレアキャラのためについて行った屋上でキスされた。
もちろん初めてのキスで、女の子の唇の柔らかさに驚愕したのを覚えている。
そこから“恋人ごっこ”が始まった。
一緒に帰り、ゲームをする。お昼は手作りのお弁当を共に食した。
独りぼっちで薄い色を広げていただけだった俺の日常が、新天さんによって鮮やかなものになった。
左道さんや金霧先輩とも出会えた。
一度鮮やかになったキャンバスは元に戻すに時間がかかる。
だが俺は新天さんと出会えて“独りじゃない”ことを楽しんでいたのだ。
―だから元のキャンバスに戻す必要は無い。
俺が“断った告白”は過去のものだ。まだ色が塗られる前の独りだったころの。
たくさんの人と関われる楽しみ、喜びを知り、新天さんという女性と向き合った時、そんな過去は“捨てる”と確信した。
だから俺が、独りじゃなくなった俺が出す答えは―
「俺とお付き合いしてください」
これに決まっている。
【新天円香】
「はぁ…♡勇人くんと恋人同士に♡」
帰宅した私はベッドでごろごろしながら感慨に浸ります。
「lime送ってもいいですかね?limeばっかで重い女だと思われないですかね?」
勇人くんとのトーク画面を見ながら頬が緩んでいくのを感じています。
「初デートはどこにしましょう」
やっぱりネズミーランドですかね?
でも最初から遊園地的なところはダメってテレビでやってましたね。
…そしたら、映画?
暗いところで隣に座ってる勇人くんに……♡
どうしましょう!
妄想しているだけで幸せです!
気絶しそうなくらい幸せですよ!!
………でも…。
あの時また勇人くんに助けられてしまいました。
私一人では何も出来ず、集まってくれた方の言う事へ何も言い返すことが出来ませんでした。
勇人くんへ「オタク」だの「あんなヤツ」呼ばわりした奴らへ腹が立っていたのにも関わらず、一歩を踏み出せなかったのです。
でも勇人くんはその一歩を踏み出して私を助けてくれました。
それは彼が“ずっと独りだったから”なんて理由じゃない。人の痛みを自分でも感じることが出来る優しい人だからです。人の気持ちを考えられる人だから。
私は彼の痛みで動くことが出来なかったのに、彼は私の痛みで動いてくれた。
私はそんな彼にこれから何を返せるだろう。
お母さんだったら「身体!」とかバカみたいなこと言うかもしれません。
ですが私には、そんなバカなことすら思い浮かんでませんでした。
【新転勇人】
「ただい―」
「はーやーとーぉっ!」
な―ひでぶっ!!
顔と乳を押し付けるようにして抱きついてきたこの人。
声から推測すると、この人はきっと―
「姉ちゃんだぞー!」
「従姉妹のなっ!」
俺の従姉妹の新転真奈だ。
綺麗な金髪を靡かせている彼女は昔から何かあると俺に引っ付いてくる厄介な“従姉”だった。
でかい乳を押し付けられてるくせに何故“厄介”なんて言うかって?
それはな―
「うりうり〜姉ちゃんの乳だぞーぉ?久しぶりだなぁ」
無意識に乳が当たっちゃってるんじゃなくて、“わざと”乳を当ててるような女だからだ。
わかりやすく言うと天然ビッチならぬ、養殖ビッチ。というものだ。
いつもはここでキレて、「なに?意識しちゃってんの?勇人もオトコノコだねぇ」って笑われるのがオチだが、今の俺には余裕がある。
「はいはい。毎度ありがとうございまーす」
新天さんという超絶可愛い彼女ができたからな!
「やっぱりあの黒髪女が…」
「やっぱり来てたのか」
真奈姉がそう呟いたことであの時見た二人のうち、“一人”は知れた。
だけど……。
「もう一人は誰?どっかで見たことあるんだよなぁ…」
忘れるわけがない人だった気がする。
だけど嫌な記憶すぎて記憶から消去してしまった気もする。
「あーあの子ね。」
―いや待て?
あの後ろ姿って……。
「あの子はね―」
思い出した……。
逆になんで忘れてたんだ。
アイツの顔を―
「勇人に酷いことした女だよ♪」
中学の頃のトラウマ、花咲莉子の顔を。
【新天円香】
「は、勇人くん!」
緊張のせいが上ずった声が出てしまいました。
私の心を蝕んだ黒い雲はさっきのキスですっかり晴れました。
「ど、どうしました?」
勇人くんもさっきのキスを気にしているのか声が震えています。
「さっきのキスって…」
自分でも顔が熱くなっていくのを感じます。
「レ、レイプですか?」
「違いますよッ!」
つい本心を言うのが照れくさくて冗談を言ってしまいました。てへぺろ☆
「冗談です。」
「笑い事じゃないですよぉ」
はぁ。
幸せです。
幸せなんです。
―幸せですが、冗談で笑い合えてる今の関係は“ごっこ”なんです。
「私とお付き合いして―」
【新転勇人】
「―ちょっと待ってください」
俺は新天さんが言おうとしてた言葉を遮るようにして声を上げた。
新天さんは口をぽかんと開けていたが、
「俺から言いたいんです」
と伝えると真剣な眼差しで俺と目を合わせてくれた。
思えば最初は新天さんへ不信感しか抱いていなかった。
大勢のクラスメイトの視線の中告白され、ゲームのレアキャラのためについて行った屋上でキスされた。
もちろん初めてのキスで、女の子の唇の柔らかさに驚愕したのを覚えている。
そこから“恋人ごっこ”が始まった。
一緒に帰り、ゲームをする。お昼は手作りのお弁当を共に食した。
独りぼっちで薄い色を広げていただけだった俺の日常が、新天さんによって鮮やかなものになった。
左道さんや金霧先輩とも出会えた。
一度鮮やかになったキャンバスは元に戻すに時間がかかる。
だが俺は新天さんと出会えて“独りじゃない”ことを楽しんでいたのだ。
―だから元のキャンバスに戻す必要は無い。
俺が“断った告白”は過去のものだ。まだ色が塗られる前の独りだったころの。
たくさんの人と関われる楽しみ、喜びを知り、新天さんという女性と向き合った時、そんな過去は“捨てる”と確信した。
だから俺が、独りじゃなくなった俺が出す答えは―
「俺とお付き合いしてください」
これに決まっている。
【新天円香】
「はぁ…♡勇人くんと恋人同士に♡」
帰宅した私はベッドでごろごろしながら感慨に浸ります。
「lime送ってもいいですかね?limeばっかで重い女だと思われないですかね?」
勇人くんとのトーク画面を見ながら頬が緩んでいくのを感じています。
「初デートはどこにしましょう」
やっぱりネズミーランドですかね?
でも最初から遊園地的なところはダメってテレビでやってましたね。
…そしたら、映画?
暗いところで隣に座ってる勇人くんに……♡
どうしましょう!
妄想しているだけで幸せです!
気絶しそうなくらい幸せですよ!!
………でも…。
あの時また勇人くんに助けられてしまいました。
私一人では何も出来ず、集まってくれた方の言う事へ何も言い返すことが出来ませんでした。
勇人くんへ「オタク」だの「あんなヤツ」呼ばわりした奴らへ腹が立っていたのにも関わらず、一歩を踏み出せなかったのです。
でも勇人くんはその一歩を踏み出して私を助けてくれました。
それは彼が“ずっと独りだったから”なんて理由じゃない。人の痛みを自分でも感じることが出来る優しい人だからです。人の気持ちを考えられる人だから。
私は彼の痛みで動くことが出来なかったのに、彼は私の痛みで動いてくれた。
私はそんな彼にこれから何を返せるだろう。
お母さんだったら「身体!」とかバカみたいなこと言うかもしれません。
ですが私には、そんなバカなことすら思い浮かんでませんでした。
【新転勇人】
「ただい―」
「はーやーとーぉっ!」
な―ひでぶっ!!
顔と乳を押し付けるようにして抱きついてきたこの人。
声から推測すると、この人はきっと―
「姉ちゃんだぞー!」
「従姉妹のなっ!」
俺の従姉妹の新転真奈だ。
綺麗な金髪を靡かせている彼女は昔から何かあると俺に引っ付いてくる厄介な“従姉”だった。
でかい乳を押し付けられてるくせに何故“厄介”なんて言うかって?
それはな―
「うりうり〜姉ちゃんの乳だぞーぉ?久しぶりだなぁ」
無意識に乳が当たっちゃってるんじゃなくて、“わざと”乳を当ててるような女だからだ。
わかりやすく言うと天然ビッチならぬ、養殖ビッチ。というものだ。
いつもはここでキレて、「なに?意識しちゃってんの?勇人もオトコノコだねぇ」って笑われるのがオチだが、今の俺には余裕がある。
「はいはい。毎度ありがとうございまーす」
新天さんという超絶可愛い彼女ができたからな!
「やっぱりあの黒髪女が…」
「やっぱり来てたのか」
真奈姉がそう呟いたことであの時見た二人のうち、“一人”は知れた。
だけど……。
「もう一人は誰?どっかで見たことあるんだよなぁ…」
忘れるわけがない人だった気がする。
だけど嫌な記憶すぎて記憶から消去してしまった気もする。
「あーあの子ね。」
―いや待て?
あの後ろ姿って……。
「あの子はね―」
思い出した……。
逆になんで忘れてたんだ。
アイツの顔を―
「勇人に酷いことした女だよ♪」
中学の頃のトラウマ、花咲莉子の顔を。
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コメント
ノベルバユーザー41791
最高です