俺が転生した世界はどうやら男女比がおかしいらしい
何気ない朝
「じゃあラスト1回!」
「「はいっ!!」」
右京部長の気合いのこもった掛け声に、それ以上の気合いを持って応える部員達。
この辺りはさすが強豪校といったところだろう。
俺の顔を見てはいつもニタニタしている部員のみんなも、練習の時ばかりは針のように鋭い顔つきで的を見やる。
袴の凛々しさも相俟って、正に大和撫子としか言いようがない。
ギャップっていいよね。うん。
時刻は午前8時5分。
学校の授業は午前8時半から始まるため、もう間も無く朝練を終えようという時間である。
朝一の運動はとても気持ちがいい。朝体を動かすだけでその日1日の身の入り方が変わる気がする。あくまで個人的には、だが。
「「お疲れ様でした!」」
部員達全員で整列し、一礼することにより朝練の締めとする。
ふぅ…やはり最近調子が良い。
来週大切な大会があるため、体が無意識のうちにベストコンディションへ近づけようとしているのかもな。
「前原きゅんお疲れ様」「神、もし汗をおかきになられたのなら私めが舐め取って差し上げます」「今日も調子良かったね~お疲れ」
部員達が各々そう言ってくれるので、俺は「お疲れ様でした」と一人一人丁寧に返していく。皆が俺と出会った頃は、こちらに遠慮してか中々話し掛けてくれず、俺から積極的に接触するスタイルが主体となっていた。しかし、既に3ヶ月近く接しているため流石に慣れてきたのか向こうから話し掛けてくる事が増えた。これはとても嬉しい事である。
「お疲れ様!仁っ」
「あ、お疲れ様です。すみれ先輩」
『とんっ』と右肩を軽く叩かれる感触がしたのでその方向に顔を向けると、2年生でレギュラーの片岡すみれ先輩が茶髪ポニーテールを揺らしながら立っていた。
というか俺の体に気軽に触れられるのか、凄いな。大体の女性は物怖じして俺の半径30センチ以内にすら入らないというのに。そしてそれは打ち解けた部員達も例外ではない。
この辺りがすみれ先輩のコミュ力お化けたる所以だな。
「練習も終わったことだし…今回もアレお願いっ!」
「了解です」
撃ち出された弾丸みたいな勢いで頭を近づけてくる先輩に苦笑を漏らしつつ、お願い事(頭ナデナデ)を叶えてあげる。
すみれ先輩は部活が終わると毎回こうしてお願いをしにくるのだ。日課だな。
「はふぅ…」
この世界に来てからというもの、俺は幾度と無く美少女達の頭を撫でてきた。そしてその中で無類のナデナデ好きなのが、何を隠そうすみれ先輩である。現在、俺がナデナデした回数ではぶっちぎりの1位(俺調べ)。
「あ、そういえばすみれ先輩。あれから恵令奈さんとどうなったんです?」
ここで良い機会だと思い、撫でてあげながら気になっていた事を尋ねてみた。
3人で喫茶店に入った直後は険悪、とまではいかないが決して良いとは言えない雰囲気だった。しかし、何が2人の関係に変化をもたらしたのか全く俺には分からないのだが、帰る間際にはお互い連絡先を交換するほど良好な関係を築けていたようなのだ。
女の子とは不思議な生き物である。
「恵令奈さん?すっごく良い人だよね〜!最近ずっと連絡を取り合ってるんだけど、今度2人で遊びに行く事になったんだ〜」
おいおい、マジですか。
いつの間にか下の名前で呼んでるし、遊びに行くとは。分からない。お兄さんには何が2人をそこまで引き合わせたのか分からないよ。
…まあ、
「そうですか。何にせよ2人が仲良くなってくれて僕も嬉しいです」
と思う。過程はどうあれ、良い結果に帰結したことは喜ぶ事だ。
今度時間があれば、何があったかそれとなく2人に探りを入れてみるのもいいかもしれない。
「さて、それじゃあそろそろ授業始まりますし、着替えましょう」
「は〜い!」
『仁パワー注入完了〜!』と叫びながら更衣室へと走るすみれ先輩を見送った俺は、少し小走りで男子更衣室へと向かった。
授業が始まる10分前、俺は1年1組の教室へと歩を進めていた。
「ま、前原きゅんおはよう」「おっは〜仁くん!」「お、おはっ、おはよ…」「仁様おはよう御座います」
廊下を歩いていると、同級生達や、時折先輩方が思い思いに挨拶してくれる。未だに緊張している子もいるようだけど。
「おはようございます」
と先程部員達に言ったように、一人一人丁寧に返していく。
『挨拶をされたらやり返す』というのは当たり前の事ではあるが、この世界の男においては当て嵌まらない。無視する奴もいれば、悪態をつく奴もいる。例をあげるなら、同じクラスの大垣聖也は女子に挨拶を返すものの、ひどく素っ気ないものになってしまっている。
だから、せめて俺だけは立ち居振る舞いを男女分け隔てなくしようと思っている。
男はプライドが高いから、多分俺が注意したところで何も変わらないと思うしな。
「みんなおはよう〜」
教室へ入り、いつものように笑顔を振りまく。
そういえば、昨日時間があったため初めてエゴサーチをしたのだが、俺の笑顔は『相当な中毒性があり、直視し続ける事はあまり勧められない』との文言を見つけた。喜ぶべきか其れとも悲しむべきなのか。
「莉央ちゃん、美沙おはよう」
「おはようございます、仁くん」
「おはよ、仁」
莉央ちゃんの席に集まり2人で会話していたので、そこに近付き言葉を交わす。
2人とも今日も可愛いなぁ。
頭の中で惚けながら自席へ向かう。
「おはよう、仁」
クラスメイト達の反応を楽しみながら席に着くと同時に、野太い声が横から聞こえた。
「ん、おはよう聖也」
俺より10センチほど身長が高く、少しぽっちゃり気味な体型をしているこの男の子は大垣聖也。このクラスにいる3人の男子のうちの1人である。
「相変わらず、化け物じみた顔面偏差値だな」
「あはは。聖也も変わらず大きいね」
「まあな。じゃあ、俺まだ予習が残ってるから戻るわ」
「うん、また後でね〜」
軽口を叩き合える友達がいるっていうのはいいね。
それにしても予習か。思ったより、聖也って真面目なんだな。
友達の意外な一面に少し驚きつつ、1限目の授業である数学の教科書を机に並べていく。そろそろテストだし、俺も気を引き締めないと。
「前原くん、ちょっといいかな?」
「ん?あ、森山さん。いいよ」
すると、クラスメイトの森山さんが話し掛けて来た。この人は、何ていうかとても特殊な人で、兎に角マシンガントークが凄まじい。あと、ちょっとヤンデレ気質っぽい。
「ちょっとお願い事があるんだけど…」
「お願い事か。僕に出来ることなら何でもするよ」
「わぁ!ありがとう!あのね、写真を1枚撮らせて欲しいの!ほら、前原くんってカッコよくて可愛くて、完璧じゃない?だから、そんな神様みたいな前原くんの美しさを肌身離さず感じていたいの!あ、もちろん写真程度で、美しさの全貌を現せるなんて思ってないよ?1割、いいえほんの一分でも、貴方の美しさを感じられたらいいなーって。あ、言うまでもないことだけど、嫌だって言うなら諦める。その時は、その代わりと言っては何だけど、1時間くらい顔をガン見する許可が欲しいな。所謂脳裏に焼き付けるってやつ?それもダメだって言うなら…」
よし、森山さんは正常運転、と。彼女は後々止めるとして、お願い事は…えーっと、写真を撮らせて欲しい、か。うん、そんな事なら別に構わない。何枚、何十枚でもどうぞって感じだな。
「森山さん」
「〜であるからして、だから…うん?どうしたの前原くんっ」
ふふふ。少しずつ森山さんの扱い方が分かってきたぜ。
「写真なんて僕なんかでよければ何枚撮ってもらっても大丈夫だよ」
「わぁ!本当に?ありがとう!…あ、それと不特定多数の女の子に見せたり、送ったりしても大丈夫…かな?」
不特定多数?あー、クラスメイト内で共有したり、SNSにあげたりするのかな?うん、全然いいと思う。俺の写真なんて世の中で散々拡散されているし、今更だろう。寧ろ、ここまで来たらどんどん拡散お願いしたいくらいだ。
「うん、いいよ」
「ありがとう!あ、じゃあ早速いいかな?」
俺が快諾すると、森山さんは嬉しそうにハニカミながらスマホを取り出す。
「分かった」
俺は少し椅子をズラし森山さんが取りやすいように位置を調節すると、右腕を椅子の背もたれにかけカメラの正面を向く。
左手はやる事がなかったので、困った時のピースだ。
あとは、『中毒性がある』らしい俺の笑顔だな。
「よし、いつでもいいよ」
準備万端になったため、表情はにこやかに保ちつつ合図を出す。笑顔のまま喋るっていうのは中々難しいもんだ。
「…」
「…森山さん?」
「…あ、ご、ごめん。ちょっと見惚れてた…」
「そ、そっか」
森山さんの反応が無かったので、声を掛けてみたのだが返答に少し照れてしまった。面と向かって『見惚れてた』なんて言われたら仕方ないと思う。
「じゃあ、気を取り直して撮ります。3、2、1、はい」
『カシャ』
カウントダウンが終わったと同時に、お馴染みの機械的な音が鳴る。
というか、大丈夫かな?今、照れて顔が火照っていたので、もしかしたら顔が赤くなっているまま撮られたかもしれない。
…まあ、大丈夫か。
「前原くん、ありがとう!」
「いえいえ、どういたしまして」
「は〜い、ホームルーム始めるわよ〜。席に着いてー」
丁度良いタイミングで担任の福岡先生が来た。
森山さんはもう一度ペコリとこちらに礼をすると、そそくさと席へ戻っていった。
どんな感じで写真が撮れたのか少し気になるな。また今度送ってもらおうかな。
さて、今日1日頑張りますか。
「「はいっ!!」」
右京部長の気合いのこもった掛け声に、それ以上の気合いを持って応える部員達。
この辺りはさすが強豪校といったところだろう。
俺の顔を見てはいつもニタニタしている部員のみんなも、練習の時ばかりは針のように鋭い顔つきで的を見やる。
袴の凛々しさも相俟って、正に大和撫子としか言いようがない。
ギャップっていいよね。うん。
時刻は午前8時5分。
学校の授業は午前8時半から始まるため、もう間も無く朝練を終えようという時間である。
朝一の運動はとても気持ちがいい。朝体を動かすだけでその日1日の身の入り方が変わる気がする。あくまで個人的には、だが。
「「お疲れ様でした!」」
部員達全員で整列し、一礼することにより朝練の締めとする。
ふぅ…やはり最近調子が良い。
来週大切な大会があるため、体が無意識のうちにベストコンディションへ近づけようとしているのかもな。
「前原きゅんお疲れ様」「神、もし汗をおかきになられたのなら私めが舐め取って差し上げます」「今日も調子良かったね~お疲れ」
部員達が各々そう言ってくれるので、俺は「お疲れ様でした」と一人一人丁寧に返していく。皆が俺と出会った頃は、こちらに遠慮してか中々話し掛けてくれず、俺から積極的に接触するスタイルが主体となっていた。しかし、既に3ヶ月近く接しているため流石に慣れてきたのか向こうから話し掛けてくる事が増えた。これはとても嬉しい事である。
「お疲れ様!仁っ」
「あ、お疲れ様です。すみれ先輩」
『とんっ』と右肩を軽く叩かれる感触がしたのでその方向に顔を向けると、2年生でレギュラーの片岡すみれ先輩が茶髪ポニーテールを揺らしながら立っていた。
というか俺の体に気軽に触れられるのか、凄いな。大体の女性は物怖じして俺の半径30センチ以内にすら入らないというのに。そしてそれは打ち解けた部員達も例外ではない。
この辺りがすみれ先輩のコミュ力お化けたる所以だな。
「練習も終わったことだし…今回もアレお願いっ!」
「了解です」
撃ち出された弾丸みたいな勢いで頭を近づけてくる先輩に苦笑を漏らしつつ、お願い事(頭ナデナデ)を叶えてあげる。
すみれ先輩は部活が終わると毎回こうしてお願いをしにくるのだ。日課だな。
「はふぅ…」
この世界に来てからというもの、俺は幾度と無く美少女達の頭を撫でてきた。そしてその中で無類のナデナデ好きなのが、何を隠そうすみれ先輩である。現在、俺がナデナデした回数ではぶっちぎりの1位(俺調べ)。
「あ、そういえばすみれ先輩。あれから恵令奈さんとどうなったんです?」
ここで良い機会だと思い、撫でてあげながら気になっていた事を尋ねてみた。
3人で喫茶店に入った直後は険悪、とまではいかないが決して良いとは言えない雰囲気だった。しかし、何が2人の関係に変化をもたらしたのか全く俺には分からないのだが、帰る間際にはお互い連絡先を交換するほど良好な関係を築けていたようなのだ。
女の子とは不思議な生き物である。
「恵令奈さん?すっごく良い人だよね〜!最近ずっと連絡を取り合ってるんだけど、今度2人で遊びに行く事になったんだ〜」
おいおい、マジですか。
いつの間にか下の名前で呼んでるし、遊びに行くとは。分からない。お兄さんには何が2人をそこまで引き合わせたのか分からないよ。
…まあ、
「そうですか。何にせよ2人が仲良くなってくれて僕も嬉しいです」
と思う。過程はどうあれ、良い結果に帰結したことは喜ぶ事だ。
今度時間があれば、何があったかそれとなく2人に探りを入れてみるのもいいかもしれない。
「さて、それじゃあそろそろ授業始まりますし、着替えましょう」
「は〜い!」
『仁パワー注入完了〜!』と叫びながら更衣室へと走るすみれ先輩を見送った俺は、少し小走りで男子更衣室へと向かった。
授業が始まる10分前、俺は1年1組の教室へと歩を進めていた。
「ま、前原きゅんおはよう」「おっは〜仁くん!」「お、おはっ、おはよ…」「仁様おはよう御座います」
廊下を歩いていると、同級生達や、時折先輩方が思い思いに挨拶してくれる。未だに緊張している子もいるようだけど。
「おはようございます」
と先程部員達に言ったように、一人一人丁寧に返していく。
『挨拶をされたらやり返す』というのは当たり前の事ではあるが、この世界の男においては当て嵌まらない。無視する奴もいれば、悪態をつく奴もいる。例をあげるなら、同じクラスの大垣聖也は女子に挨拶を返すものの、ひどく素っ気ないものになってしまっている。
だから、せめて俺だけは立ち居振る舞いを男女分け隔てなくしようと思っている。
男はプライドが高いから、多分俺が注意したところで何も変わらないと思うしな。
「みんなおはよう〜」
教室へ入り、いつものように笑顔を振りまく。
そういえば、昨日時間があったため初めてエゴサーチをしたのだが、俺の笑顔は『相当な中毒性があり、直視し続ける事はあまり勧められない』との文言を見つけた。喜ぶべきか其れとも悲しむべきなのか。
「莉央ちゃん、美沙おはよう」
「おはようございます、仁くん」
「おはよ、仁」
莉央ちゃんの席に集まり2人で会話していたので、そこに近付き言葉を交わす。
2人とも今日も可愛いなぁ。
頭の中で惚けながら自席へ向かう。
「おはよう、仁」
クラスメイト達の反応を楽しみながら席に着くと同時に、野太い声が横から聞こえた。
「ん、おはよう聖也」
俺より10センチほど身長が高く、少しぽっちゃり気味な体型をしているこの男の子は大垣聖也。このクラスにいる3人の男子のうちの1人である。
「相変わらず、化け物じみた顔面偏差値だな」
「あはは。聖也も変わらず大きいね」
「まあな。じゃあ、俺まだ予習が残ってるから戻るわ」
「うん、また後でね〜」
軽口を叩き合える友達がいるっていうのはいいね。
それにしても予習か。思ったより、聖也って真面目なんだな。
友達の意外な一面に少し驚きつつ、1限目の授業である数学の教科書を机に並べていく。そろそろテストだし、俺も気を引き締めないと。
「前原くん、ちょっといいかな?」
「ん?あ、森山さん。いいよ」
すると、クラスメイトの森山さんが話し掛けて来た。この人は、何ていうかとても特殊な人で、兎に角マシンガントークが凄まじい。あと、ちょっとヤンデレ気質っぽい。
「ちょっとお願い事があるんだけど…」
「お願い事か。僕に出来ることなら何でもするよ」
「わぁ!ありがとう!あのね、写真を1枚撮らせて欲しいの!ほら、前原くんってカッコよくて可愛くて、完璧じゃない?だから、そんな神様みたいな前原くんの美しさを肌身離さず感じていたいの!あ、もちろん写真程度で、美しさの全貌を現せるなんて思ってないよ?1割、いいえほんの一分でも、貴方の美しさを感じられたらいいなーって。あ、言うまでもないことだけど、嫌だって言うなら諦める。その時は、その代わりと言っては何だけど、1時間くらい顔をガン見する許可が欲しいな。所謂脳裏に焼き付けるってやつ?それもダメだって言うなら…」
よし、森山さんは正常運転、と。彼女は後々止めるとして、お願い事は…えーっと、写真を撮らせて欲しい、か。うん、そんな事なら別に構わない。何枚、何十枚でもどうぞって感じだな。
「森山さん」
「〜であるからして、だから…うん?どうしたの前原くんっ」
ふふふ。少しずつ森山さんの扱い方が分かってきたぜ。
「写真なんて僕なんかでよければ何枚撮ってもらっても大丈夫だよ」
「わぁ!本当に?ありがとう!…あ、それと不特定多数の女の子に見せたり、送ったりしても大丈夫…かな?」
不特定多数?あー、クラスメイト内で共有したり、SNSにあげたりするのかな?うん、全然いいと思う。俺の写真なんて世の中で散々拡散されているし、今更だろう。寧ろ、ここまで来たらどんどん拡散お願いしたいくらいだ。
「うん、いいよ」
「ありがとう!あ、じゃあ早速いいかな?」
俺が快諾すると、森山さんは嬉しそうにハニカミながらスマホを取り出す。
「分かった」
俺は少し椅子をズラし森山さんが取りやすいように位置を調節すると、右腕を椅子の背もたれにかけカメラの正面を向く。
左手はやる事がなかったので、困った時のピースだ。
あとは、『中毒性がある』らしい俺の笑顔だな。
「よし、いつでもいいよ」
準備万端になったため、表情はにこやかに保ちつつ合図を出す。笑顔のまま喋るっていうのは中々難しいもんだ。
「…」
「…森山さん?」
「…あ、ご、ごめん。ちょっと見惚れてた…」
「そ、そっか」
森山さんの反応が無かったので、声を掛けてみたのだが返答に少し照れてしまった。面と向かって『見惚れてた』なんて言われたら仕方ないと思う。
「じゃあ、気を取り直して撮ります。3、2、1、はい」
『カシャ』
カウントダウンが終わったと同時に、お馴染みの機械的な音が鳴る。
というか、大丈夫かな?今、照れて顔が火照っていたので、もしかしたら顔が赤くなっているまま撮られたかもしれない。
…まあ、大丈夫か。
「前原くん、ありがとう!」
「いえいえ、どういたしまして」
「は〜い、ホームルーム始めるわよ〜。席に着いてー」
丁度良いタイミングで担任の福岡先生が来た。
森山さんはもう一度ペコリとこちらに礼をすると、そそくさと席へ戻っていった。
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コメント
ノベルバユーザー312160
アベ顔ダブルピース?(錯乱)
清水 裕斗
困ったときのピースだと……、
我等人類にはそんな武器が存在……
はっ、、●●顔ダブルピースか!?
⚠︎不適切な表現がありました