俺が転生した世界はどうやら男女比がおかしいらしい
その後の生活と学び
「ビビビッ!」
もう人生で何度目かも分からない機械音で、今日も俺は無理矢理沈んでいた意識を浮上させられる。幾度となく聞くこの音だが慣れることは一生ないだろう。この類の機械音は本当に目覚めに最適で優秀だが、同時に憎らしい。
「ビビビッ!」
......うるさい。
「ビビビッ!」
.....。
「ビビビッ!」
わかった!起きる!起きますから....!
「ビビ....」
バン!
5コール目は鳴らさせんぞ目覚まし時計よ。
僅かながらの怒りを込めて目覚まし時計を止める。
快適に起こしてくれる商品はないのか。まあ快適だとそもそも起きられないと思うのだが。
「ふぁあ.....」
意識は未だ覚醒しておらず何から手を付ければいいか分からないが、とりあえず欠伸を1つ。
俺は朝慌ただしく準備をするのが苦手でいつも早めの時間に起きているため、まだあわてる必要はない。
ぼけーっと虚空を眺めること数分。
ぼんやりとした意識の状態が、形を伴ってきた。ようやく思考の開始だ。
...顔洗いに行くか。
覚束ない足取りで一階へと向かう。毎朝思うが、寝起きの階段は足を踏み外して落ちそうで少し怖い。慎重に歩を進めるとしよう。
なんとか洗面所に辿り着き顔を洗った俺は、タオルで顔を拭きながらここ2日のことを思い出す。
結局、俺がトラックに轢かれて4日間意識を失った後目を覚ましてから、大事をとって2日入院したのだ。4日間意識不明だったくせに、早いもんだ。人騒がせな俺だぜ。ごめんなさい。
その入院している2日で色んな人がお見舞いに来てくれた。
まず来てくれたのは、美沙と俺が助けた女の子とそのお母さん。
「だ、男性の方にケガをさせてしまうなんて本当に申し訳ありませんでした。ほら、紗凪も!」
俺の顔を見て顔を赤らめつつ青い顔をして謝罪するという器用なことをしていた。
頭を深々と下げながら、紗凪ちゃんの頭を軽く抑えるお母さん。
「おにいちゃん、ごめんなさい!」
紗凪ちゃんは目に涙を溜め、うるうるとしながら懸命に謝ってくれた。
しかしこんな小さい女の子を泣かすのは、俺の望むことはではない。そう考えた俺は、
「謝らなくていいんだよ?それに俺はごめんなさいより、ありがとうを聞きたいな。紗凪ちゃんみたいに可愛い子にお礼をいってもらったら、おにいちゃんとっても嬉しいと思うんだけどな〜」
優しく、丁寧を心掛けながら紗凪ちゃんの頭を撫でつつ、微笑みかけた。
「おにいちゃん....ゔん、ありがどう...!」
紗凪ちゃんは泣きながらとびっきりの笑顔でお礼を言ってくれた。
お母さんも、「ありがとうございます...ありがとうございます...」と泣きながら繰り返しお礼を言ってくれてたっけな。
こんなに可愛い未来溢れる女の子の笑顔を、俺が守ることができたんだなとしみじみと考えてしまった。
次にお見舞いに来てくれたのは、莉央ちゃんだ。
「仁くんは優しすぎるんですよ!こんなことになるなら私も一緒に帰っておけば良かったです....!」
莉央ちゃんは不機嫌そうに言っていた。
しかし、それとは一転してその後こう続けた。
「...でも、みさみさちゃんを助けてくれてありがとうございました。それに、仁くんが無事で本当に安心しました...。事故の事を聞いた時私頭が真っ白になってしまいまして。...私には仁くんが必要なんですっ!仁くんがいない生活なんて考えられませんし、考えたくもないです!!どうか...どうか、私の前からいなくならないで下さい...」
顔を歪ませて訴えかける莉央ちゃん。
俺はそんな莉央ちゃんを見て、今にも崩れてしまいそうな印象を覚えた。
この子は俺を依代に、支えにしている。「依存」というのは一般的にあまり聞こえの良い言葉ではない。なぜならそれはとても不安定で、小さなビビが入っただけですぐに壊れてしまうからだ。
しかしこれは俺の持論であるが、何かに依存することなく生きている人などこの世に存在していないと思うのだ。家族、友人、恋人、趣味、はたまた自分。人は常に何かを頼りにしている。そんな現代で大切なことは、ただ頼りにするだけではなく時には頼られることだ。頼り、頼られる。一方向ではなく双方向に。また、頼りにする数は多ければ良い。双方向から多方向へ。依存の連鎖が複雑に絡み合いそれはいずれ強靭なものに。
莉央ちゃんは今俺しか見えていないようだがいずれは自分の好きなこと、例えば趣味とか、色々な楽しみを見つけて欲しい。前世で俺はそれが上手くいかず空虚な人生を歩んでいたわけだが。
そう考えた俺は、とりあえず今は不安定な莉央ちゃんを慰めることにした。
「ごめんね?僕も莉央ちゃんと離れるのは嫌だよ。どこにもいかないから安心して」
そう言いながら、莉央ちゃんの額に唇を落とした。
「んっ....約束ですよ?」
気持ち良さそうな顔をして莉央ちゃんはそう言った。
「うん、約束だよ」
莉央ちゃんは、嬉しそうに笑っていた。
その後は、福岡先生、部活の面々やクラスメート達もお見舞いに来てくれた。あと中川先輩田島先輩の2年生組や、愛菜ちゃんののちゃんの後輩コンビも。
色々な人に慕われてるんだなあと、とても感慨深い気持ちになった。
各々が総じて心配した声をかけてくれた。
まあ中でも森山さんは別格であったが。
「前原くん、無事?無事なの?よかったあ...私本当に心配したんだよ?トラックに轢かれたって聞いたけど、その運転手はどこにいるの?前原くんさえよければ私がしかるべき処置をしておくけど。ああ、前原くんは安静にしてて?前原くんみたいな人類の至宝がそれ以上怪我したら人類滅んじゃうよ。他の男の子もまあ人類にとっては宝なのかもしれないけど、前原くんは次元が違うよね。なんていうか、部屋の隅に溜まったホコリとあの上品に輝くお月様くらいの差があるって感じかな?あ、お月様自体が輝いているわけじゃなくて、太陽の光を反射してるんだっていうのは知ってるよ?ものの例えで使ったの!だから馬鹿な子だとか思わないで!話が逸れちゃったねごめんね?そうそう、前原くんがどうしてもっていうなら私病院につきっきりで看病しようか?その辺の看護師さんより前原くんのこと知ってると思うんだよねー私。前原くんもそう思うでしょ?あ、そういえば前原くんの意識がない時にも1度来たんだけど、寝顔もカッコよかったなあ。思わずキスしたくなっちゃった!し、してないよ?本当だよ?前原くんあと2日学校来れないのかあ。残念だなあ。学校休んじゃおっかな?」
相変わらずだったと言っておこう。
ちなみに美沙を庇って事故にあったなどの詳細は話していない。
美沙を責めるお門違いな人がでてくる可能性を考慮したのだ。
身近な人以外には、ただ事故にあっただけだと伝えている。
そんなこんなで、退屈することなく俺は病院での2日を過ごす事が出来、退院して今に至るわけだ。
顔を拭いたタオルを洗濯機に入れる。
あと、美沙とはあの事故から変な感じになってしまった。
といっても悪い意味ではなく、だ。
美沙にとっては俺は(多分)好きな人で命の恩人、俺にとって美沙は...言いづらいけど、目覚めた後美沙に抱き締めてもらってかなり救われたのは事実で、実は好きになってしまったかもしれないという自覚がある。
美沙とは、お互い想いを伝え合ったりしてはいないけれど、少しイチャイチャしてしまうことがたま〜にある、気がする。
最近は、前にも増して莉央ちゃんと美沙と過ごす時間が増えた。
楽しい日々を過ごしている。
今回の事故は自分なりに結構考えさせられる事が多かったように思う。
俺が危険な目にあうことによって悲しむ人がどれほどいるのかといったことや、俺は本当に周りの人間に恵まれていることなどだな。
廊下を歩き、リビングへ向かう。
事故で、たくさんの人に心配と迷惑をかけてしまった。本当に申し訳ないと思う。前原仁くんの体も大切にしないといけなしね。
リビングの扉を開け、中に入る。
でもこれからは、
「おはよう、ジンちゃん!」
「お兄ちゃんおはようっ」
「仁、おはよう」
この家族達や、莉央ちゃん、美沙、俺の周りにいる人たちの笑顔を守っていきたいと思う。
「おはよう、みんな」
もう人生で何度目かも分からない機械音で、今日も俺は無理矢理沈んでいた意識を浮上させられる。幾度となく聞くこの音だが慣れることは一生ないだろう。この類の機械音は本当に目覚めに最適で優秀だが、同時に憎らしい。
「ビビビッ!」
......うるさい。
「ビビビッ!」
.....。
「ビビビッ!」
わかった!起きる!起きますから....!
「ビビ....」
バン!
5コール目は鳴らさせんぞ目覚まし時計よ。
僅かながらの怒りを込めて目覚まし時計を止める。
快適に起こしてくれる商品はないのか。まあ快適だとそもそも起きられないと思うのだが。
「ふぁあ.....」
意識は未だ覚醒しておらず何から手を付ければいいか分からないが、とりあえず欠伸を1つ。
俺は朝慌ただしく準備をするのが苦手でいつも早めの時間に起きているため、まだあわてる必要はない。
ぼけーっと虚空を眺めること数分。
ぼんやりとした意識の状態が、形を伴ってきた。ようやく思考の開始だ。
...顔洗いに行くか。
覚束ない足取りで一階へと向かう。毎朝思うが、寝起きの階段は足を踏み外して落ちそうで少し怖い。慎重に歩を進めるとしよう。
なんとか洗面所に辿り着き顔を洗った俺は、タオルで顔を拭きながらここ2日のことを思い出す。
結局、俺がトラックに轢かれて4日間意識を失った後目を覚ましてから、大事をとって2日入院したのだ。4日間意識不明だったくせに、早いもんだ。人騒がせな俺だぜ。ごめんなさい。
その入院している2日で色んな人がお見舞いに来てくれた。
まず来てくれたのは、美沙と俺が助けた女の子とそのお母さん。
「だ、男性の方にケガをさせてしまうなんて本当に申し訳ありませんでした。ほら、紗凪も!」
俺の顔を見て顔を赤らめつつ青い顔をして謝罪するという器用なことをしていた。
頭を深々と下げながら、紗凪ちゃんの頭を軽く抑えるお母さん。
「おにいちゃん、ごめんなさい!」
紗凪ちゃんは目に涙を溜め、うるうるとしながら懸命に謝ってくれた。
しかしこんな小さい女の子を泣かすのは、俺の望むことはではない。そう考えた俺は、
「謝らなくていいんだよ?それに俺はごめんなさいより、ありがとうを聞きたいな。紗凪ちゃんみたいに可愛い子にお礼をいってもらったら、おにいちゃんとっても嬉しいと思うんだけどな〜」
優しく、丁寧を心掛けながら紗凪ちゃんの頭を撫でつつ、微笑みかけた。
「おにいちゃん....ゔん、ありがどう...!」
紗凪ちゃんは泣きながらとびっきりの笑顔でお礼を言ってくれた。
お母さんも、「ありがとうございます...ありがとうございます...」と泣きながら繰り返しお礼を言ってくれてたっけな。
こんなに可愛い未来溢れる女の子の笑顔を、俺が守ることができたんだなとしみじみと考えてしまった。
次にお見舞いに来てくれたのは、莉央ちゃんだ。
「仁くんは優しすぎるんですよ!こんなことになるなら私も一緒に帰っておけば良かったです....!」
莉央ちゃんは不機嫌そうに言っていた。
しかし、それとは一転してその後こう続けた。
「...でも、みさみさちゃんを助けてくれてありがとうございました。それに、仁くんが無事で本当に安心しました...。事故の事を聞いた時私頭が真っ白になってしまいまして。...私には仁くんが必要なんですっ!仁くんがいない生活なんて考えられませんし、考えたくもないです!!どうか...どうか、私の前からいなくならないで下さい...」
顔を歪ませて訴えかける莉央ちゃん。
俺はそんな莉央ちゃんを見て、今にも崩れてしまいそうな印象を覚えた。
この子は俺を依代に、支えにしている。「依存」というのは一般的にあまり聞こえの良い言葉ではない。なぜならそれはとても不安定で、小さなビビが入っただけですぐに壊れてしまうからだ。
しかしこれは俺の持論であるが、何かに依存することなく生きている人などこの世に存在していないと思うのだ。家族、友人、恋人、趣味、はたまた自分。人は常に何かを頼りにしている。そんな現代で大切なことは、ただ頼りにするだけではなく時には頼られることだ。頼り、頼られる。一方向ではなく双方向に。また、頼りにする数は多ければ良い。双方向から多方向へ。依存の連鎖が複雑に絡み合いそれはいずれ強靭なものに。
莉央ちゃんは今俺しか見えていないようだがいずれは自分の好きなこと、例えば趣味とか、色々な楽しみを見つけて欲しい。前世で俺はそれが上手くいかず空虚な人生を歩んでいたわけだが。
そう考えた俺は、とりあえず今は不安定な莉央ちゃんを慰めることにした。
「ごめんね?僕も莉央ちゃんと離れるのは嫌だよ。どこにもいかないから安心して」
そう言いながら、莉央ちゃんの額に唇を落とした。
「んっ....約束ですよ?」
気持ち良さそうな顔をして莉央ちゃんはそう言った。
「うん、約束だよ」
莉央ちゃんは、嬉しそうに笑っていた。
その後は、福岡先生、部活の面々やクラスメート達もお見舞いに来てくれた。あと中川先輩田島先輩の2年生組や、愛菜ちゃんののちゃんの後輩コンビも。
色々な人に慕われてるんだなあと、とても感慨深い気持ちになった。
各々が総じて心配した声をかけてくれた。
まあ中でも森山さんは別格であったが。
「前原くん、無事?無事なの?よかったあ...私本当に心配したんだよ?トラックに轢かれたって聞いたけど、その運転手はどこにいるの?前原くんさえよければ私がしかるべき処置をしておくけど。ああ、前原くんは安静にしてて?前原くんみたいな人類の至宝がそれ以上怪我したら人類滅んじゃうよ。他の男の子もまあ人類にとっては宝なのかもしれないけど、前原くんは次元が違うよね。なんていうか、部屋の隅に溜まったホコリとあの上品に輝くお月様くらいの差があるって感じかな?あ、お月様自体が輝いているわけじゃなくて、太陽の光を反射してるんだっていうのは知ってるよ?ものの例えで使ったの!だから馬鹿な子だとか思わないで!話が逸れちゃったねごめんね?そうそう、前原くんがどうしてもっていうなら私病院につきっきりで看病しようか?その辺の看護師さんより前原くんのこと知ってると思うんだよねー私。前原くんもそう思うでしょ?あ、そういえば前原くんの意識がない時にも1度来たんだけど、寝顔もカッコよかったなあ。思わずキスしたくなっちゃった!し、してないよ?本当だよ?前原くんあと2日学校来れないのかあ。残念だなあ。学校休んじゃおっかな?」
相変わらずだったと言っておこう。
ちなみに美沙を庇って事故にあったなどの詳細は話していない。
美沙を責めるお門違いな人がでてくる可能性を考慮したのだ。
身近な人以外には、ただ事故にあっただけだと伝えている。
そんなこんなで、退屈することなく俺は病院での2日を過ごす事が出来、退院して今に至るわけだ。
顔を拭いたタオルを洗濯機に入れる。
あと、美沙とはあの事故から変な感じになってしまった。
といっても悪い意味ではなく、だ。
美沙にとっては俺は(多分)好きな人で命の恩人、俺にとって美沙は...言いづらいけど、目覚めた後美沙に抱き締めてもらってかなり救われたのは事実で、実は好きになってしまったかもしれないという自覚がある。
美沙とは、お互い想いを伝え合ったりしてはいないけれど、少しイチャイチャしてしまうことがたま〜にある、気がする。
最近は、前にも増して莉央ちゃんと美沙と過ごす時間が増えた。
楽しい日々を過ごしている。
今回の事故は自分なりに結構考えさせられる事が多かったように思う。
俺が危険な目にあうことによって悲しむ人がどれほどいるのかといったことや、俺は本当に周りの人間に恵まれていることなどだな。
廊下を歩き、リビングへ向かう。
事故で、たくさんの人に心配と迷惑をかけてしまった。本当に申し訳ないと思う。前原仁くんの体も大切にしないといけなしね。
リビングの扉を開け、中に入る。
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「お兄ちゃんおはようっ」
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コメント
ノベルバユーザー278609
いい最終回だったな…(大嘘)
かオース⤴︎
目覚まし時計
「(; ・`д・´)ナン…ダト!?」