俺が転生した世界はどうやら男女比がおかしいらしい

めんたま

姉の想い

私、前原茄林は今日もいつも通り朝ごはんを食べている。
しかし、何やら弟の様子がおかしい。昨日私が気になる人ができた事を伝えた時からだ。昨日は落ち込んでた感じだったのに、今日の朝はやけにしつこく中川君の事を聞いてくる。どんな人なのか、家はどこなのか、とにかく色々だ、家は知らないけどね。仁はしきりにそわそわしている。私はそんな仁に違和感を感じていた。さらに、仁は今日いつもより早い時間に家を出るという。
.....これは怪しい。何か企んでいるに違いない。幸い、今日の授業は昼からだ。私は、こっそり仁の後を付けてみることにした。

仁は「いってきます!」と元気に言い、家を出た。私はこっそり仁のすぐ後に家を出て尾行した。そのまま学校に行くのかと思えば、方向が違う。私はますます疑いを強めた。

しばらく歩き、仁はある家の前の電柱の陰に隠れて、その家のドアの方を注視し始めた。何をしてるんだろう?待つこと数分、ドアが開き、出てきたのは....中川くん!?ここ中川くんの家だったの!?
仁はそのまま中川くんの後をつけるみたいだ。...まさか、中川くんの話をしきりに聞いてきたのはこのため?でも一体どうして?私が気になるって言ったから?確かに昨日は少し嫉妬している感じだったけど、まさかここまでなんて.....。でも何が目的で?

そんなことをつらつら考えていると、仁がこちらをチラッと見た気がした。
ギクッとなってしまったが、仁はそのまま中川君の尾行を再開した。どうやら気づかれてなかったみたいだ。よかった。

その後も尾行は続き、何故か途中で中川君に同じ学科の細山くんも合流し、シャッター通りに来た。こんなところになんの用事だろうか?どこかへの近道?

そうしてジッと中川君と仁の動向を観察していると、中川君たちが細い路地に入っていった。そして、仁もその後を追い少し曲がり角で顔だけ路地に出し、中を伺っていたみたいだが、次の瞬間勢いよく飛び出して行った。

....なんだろう?

私は恐る恐る路地の曲がり角まで行き、そっと顔だけ出す。すると、どうやら仁と中川君が会話しているようだ。


「ぼ、僕の名前は、前原仁。前原茄林の弟だ!」

「前原だあ?...あぁ、いつだったかイラついてたから怒鳴り散らしたかった時に、女共に囲まれてた奴がいたから、気まぐれに怒鳴って助けてやった女の名前が確かそんな感じだったな。最近妙に懐いてきたな」

「そ、そうだ。姉さんはお前のことを気に入ってた。だから、そんなカツアゲみたいなことはやめろ!姉さんが悲しむだろ!」


....えっ?....なんて?
前半の私の話をしているのは分かった、だけどカツアゲって?中川君が?よく見れば細山君はいなくなってるし、いや、でもまさか。そんなこと....

私が混乱している間にも会話は続く。


「く、くははっ!いいねぇ、その正義感。だが、残念。俺は近々あの女を犯すつもりだ。さんざん苛め抜いた後に、あっさりと捨ててやるよ。俺は男だからなぁ、女に不自由はしないんだよ。お前の姉貴を捨てた後はまた違う女で遊ぶだけだ」

「ね、姉さんにお前の本性をばらす!そしたら、もう悪さできないぞ!」

「どうせ、俺に嫉妬した弟の下らないでまかせだと一蹴されて終わりだよ」

「...くっ!お、お前なんかに!姉さんはあげない!うあああ!」


中川君は何を言っているんだろう?そんな人だったの?なんで?これが本性ってことなの?私が呆然としていると、仁が中川君に向かって走って行った。

だ、だめ仁!

私が声を出す間もなく、仁は中川君に胸ぐらを掴まれて宙にぶら下げられた。

じ、仁!!

私が飛び出そうとすると、


「泣かせるねぇ」

「は、離せ!」

「あぁ....離してやるよ。おら、よぉ!!」

バキッ!!

そんな音を出しながら、中川君が仁を殴り飛ばした。

....えっ?
私はその光景を、どこか世界の遠い場所で行われていることをリアルタイムの映像で見せられているような不思議な感覚で見ていた。

「うぅ...」

「二度と口ごたえできねぇようにしてやるよ。今からお前をボコるけどよぉ、周りの奴らに何があったか聞かれても、絶対俺の名前出すんじゃねぇぞ?もし言ったら、殺すぞ?」

「おらぁ!まだまだいくぞ!」

ドゴッ!バキッ!

仁が何回も、何回も殴られる。その度に仁は「うっ!」「ぐっ!」と耐えるような声を出す。


.....私はどうしてあんな人のことが気になっていたのだろう。気持ち悪い。嫌悪感しか今は抱けない。あの人の顔を見るだけで、鳥肌が立つ。存在に、苛立つ。なんで仁は殴られている?健気な仁が、私のためにあいつの前に立ち塞がったからだ。なんで、私は動けない?仁が、あの忌まわしい存在に、今も殴られ続けているのに。...えっ?....仁が、殴られている?

.......


「じ、仁っ!!!!」

なんで私は仁が殴られている様をずっと見ていたんだ。いや、自己嫌悪に陥ってる場合じゃない。

私は倒れている仁の元へ駆けつけ、抱き起こす。

「仁!仁!大丈夫!?なんで、こんなこと...」

「ね、姉さん....」

涙が溢れてくる。仁が私のためにこんなボロボロになったかと考えただけで、胸が締め付けられて苦しい。

「...はっ。前原じゃねえか、どうしたよこんなところで。それより聞いてくれよお前の弟が俺に急に殴りかかってきてよ。仕方なく返り討ちにしてたんだよ」

仁をこんな姿にした奴は、そんなことを言う。

「っ!!いけしゃあしゃあと!!全部見てたから!本当最低!なんで!なんで、私はこんな人のことを....」

自分で自分を殴りたい。
私は、勘違いしていたのだ。仁が優しいから、仁が笑ってくれるから。実は、今まで高慢であまり良いイメージを持ってなかった男という生き物は皆 仁みたいな暖かい生き物なのかもしれない。そう勘違いしていたのだ。でも違った。仁が特別なんだ。仁が優しいだけなんだ。今も私と仁を見下ろしながら、ニヤニヤとした笑みを浮かべている男を見ていると、イヤでも理解させられる。私は、バカだ。

「そっかあ、見られてたか。じゃあしょうがねぇな。お前もそこのボロ雑巾みたいになってもらうか」

そんなことを告げながら、こちらに歩み寄ってくる男。
....普段通りなら怖がり、体が硬直し、何も抵抗できないが、今は仁がいる。私のために頑張ってくれた、仁が。

私は素早くスマホを取り出し、110番をする。

「も、もしもし警察ですか!?今四丁目のシャッター通りにいるのですが....」

私がそこまで警察に伝えると、

「チッ、うぜぇ。不愉快な女だ」

そう漏らしながら、男はその場を去っていった。

....もう、あんな男のことなんてどうでもいい。考えたくもない。それより、今は仁だ。

「ごめん、ごめんね....私のせいで...」

私はギュウっと力いっぱい仁を抱きしめる。

「ううん、違うよ。俺がそうしたかったから、俺の判断で行動したんだ。姉さんは関係ないよ」

そう言って笑いかけてくれる。

「仁.....」

私は警察がその場に駆けつけてくれるまで涙を止めることができなかった。

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コメント

  • 瑞樹の相棒ヤゾラっち

    もっちりさん そうなんですかね?何も考えずすいません あとシュビィ可愛い

    3
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