俺が転生した世界はどうやら男女比がおかしいらしい

めんたま

2日目の終わり

俺は入部初日はとりあえず他の新入部員と同じ練習メニューをこなした。ストレッチ、外周、筋トレなど、基礎的なメニューだな。ここでも思うのはやはりこの体はリアルチートであるということ。筋力、柔軟性、持久力全てにおいて桁が違いすぎる。俺は前世では部活であれだけ筋トレを頑張ったというのに。助走をつけてフルスイングで前原仁くんを殴りたい。

  ストレッチは二人一組でやるメニューが多かった。先輩が二人一組を作るように言った瞬間のみんなの行動の素早さには目を見張るものがあった。特に、先輩がメニューを言う前からクラウチングスタートの姿勢で準備していて、先輩が「じゃあ、ふたり...」と言った瞬間に俺の方にロケットのように飛び出してきた女の子がすごかった。それにはさすがに周りの数人の子達もビクッとしていたが。俺はクラウチングスタートの子の頑張りの姿勢に感動して、その子とペアを組んでストレッチをした。

俺が開脚して背中から押してもらい体を前に倒すストレッチでは、その子はこれでもかと体全体で密着して俺の背中を押してくれた。

「はぁはあ...前原きゅん、もっと?もっといけるの?す、すごいよ前原きゅん....」

と言いながらしてくれたっけな。息を荒くしながらそんなことを言うので俺も少しえっちな気分になってしまい、俺が背中を押す番の時はその子の真似をして体全体を密着させてあげた。

「はぁはあ!前原ぎゅん!ばだし、ごの素敵な日のこと、一生忘れないがらぁああああ!」

その子は泣き叫びながら柔軟をしていた。



とまあ、そんな愉快な一幕をあったが俺は部活を終え、今は片岡先輩と2人で帰っている。

「いやあ、まさか前原きゅんが弓道部に入ってくれるとは思わなかったよ!私すごく嬉しい!」

俺より少し前を歩いている片岡先輩は振り返り手を後ろで組みながら笑顔でそう言う。
正直言ってむっちゃくちゃ可愛い。今夜一緒に寝ません?

「前から興味があったんですよ。それより、その前原きゅんって言うのやめません?恥ずかしいです!」

ずっと気になっていたのだ。きゅんってなんだよ。俺はあなたにずっとキュンキュンしてるよ!

「可愛いと思うんだけどなあ」

「それでもダメです!仁って呼び捨てでいいですよ」

「じーちゃんは?」

「勘弁してくださいよ!」

「あははっ冗談だよ、じゃあ、仁ね」

そんなことを話しながら、駅で電車に乗り込む。

「じゃあ、仁も私のこと下の名前で呼んでよ!」

「すみれ先輩、でいいですか?」

「うん、いいよ〜ばっちり!」

すみれ先輩は元気がいっぱいだな。いっぱいすぎてこぼれてるぞ。
しかし、それにしても...

「すみれ先輩は、僕みたいな男と話してても全然緊張してなさそうですね?」

そうなのだ。今まで喋ってきた女子達は皆俺と喋る時はどこか緊張している風だったのに、すみれ先輩はそんな雰囲気がない。

「そんなことないよ!すごく緊張してるけど、なんとか顔に出さずにしてるだけ。昔から人と喋るのが大好きだったから、コミュニケーション能力は高いんだ私!」

薄い胸を張りながらすみれ先輩は言う。

「なるほど、そういうことでしたか。田島先輩とは真反対のようですね」

「奈々ちゃん?」

「はい、今日の朝中川先輩と田島先輩と一緒に登校したんですよ。その時田島先輩がすごく恥ずかしそうに僕と話すもので。多分人と話すのがあまり得意じゃなかったんでしょう。悪いことをしてしまいました」

俺は頭をかきつつ苦笑いしながら朝のことを話した。

「奈々ちゃんが恥ずかしそう?人と話すのがあまり得意じゃない?うーん?んん?」

しかし、すみれ先輩はあまりピンと来ていないようだ。その後もウンウン唸っていたすみれ先輩だったが、突然「わかった!」と手をポンと叩いた。

「なにがわかったんです?」

「うん、あのね、奈々ちゃんはね〜人と話すのは別に苦手じゃないんだよ?」

「そうなんですか?」

朝のどもり具合が凄かったからてっきり苦手なのかと。

「奈々ちゃんはね、むっつりなの!」

「.....はい?」

この話の流れにそぐわない単語の唐突な参入によって俺の頭は少しフリーズしてしまった。
一瞬俺たちの会話が止まる。
ガタンゴトンガタンゴトン...
電車の音だけが耳に届く。
今はすみれ先輩はなんと言った?むっつり?

「それは、むっつりスケベという意味ですか?」

なんとか会話を再開させることができた。

「そっ!多分朝から仁に会って興奮しちゃって、その場で色々妄想しちゃったんだと思う。それで、恥ずかしがってたんじゃないかなあ」

なん...だと?

「そうなんですか?」

「間違いないよ。奈々ちゃんなら最初は緊張してても話してるうちに自然な感じになっていくもん」

衝撃の事実が発覚してしまった。あの金髪ショートカットの勝ち気な顔立ちをしてる美人の田島先輩が、会話をしながら本人を前に妄想を繰り広げていただと?そんなの、そんなの....


最高やないかいっ!



俺たちはその後も話で盛り上がり駅で別れた。

いやあ、すみれ先輩と話すのは楽しいな。仲良くなれそうだ。

歩きながら、なんとなしにスマホを見る。すると、

ライン:新着メッセージがあります。142件。

....142!?多っ!

メッセージの内容を見る。

母さん:ジンちゃん今どこにいるの?
母さん:帰ってくるの遅くない?
母さん:返事をしてジンちゃん
母さん:ジンちゃん?
母さん:お願い、返事して
母さん:やだ、やだやだやだやだ
母さん:
母さん
母さ
.......

母さんの「母」の字がゲシュタルト崩壊しそうだよ。
姉さんからも心愛からも似たような感じだった。

しまったな....。部活で帰るのが遅くなることを言うの忘れてた....。俺は急いで母さんに電話をかける。
プルル....『もしもしジンちゃん!?無事!?無事なの!?』
1コールにも満たない時間で母さんが出た。

「う、うん。ごめんね母さん。今日帰りが遅くなるの言うの忘れたよ」

『そ、そっか...。はわぁああ...とにかく無事でよかった....』

ううむ。かなり心配をかけてしまったようだ。

「本当にごめんね。急いで帰るから」

『うん、待ってる。気をつけてね?』

母さんとの電話を切った俺は小走りで家まで帰り、3人に泣かれながら抱きつかれた。事情を問いただされ、部活に入ったことを言うとまた色々言われたが最終的には3人とも納得してくれたようだ。

学校2日目も濃い1日だった。

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コメント

  • エンリ将軍閣下が配下

    俺もこの世界で美男子(ここ重要)として産まれたい

    2
  • アマスさん

    主人公、最高すぎかよ!

    4
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