俺が転生した世界はどうやら男女比がおかしいらしい

めんたま

生徒会長

  たとえ世界が変わっても、朝は辛い。その不変の事実に辟易しながら、俺は家族に見送られてトボトボ駅に向かって歩く。

   しかし、昨日は濃い1日だった。前世とはえらい違いだ。やはりこの世界には前の世界とは違い魅力がある。思う存分楽しみ尽くしてやる、自重はしない。

俺は黒い笑みを顔に貼り付けながら、駅に着き、視線を浴びながらまた性懲りも無く一般車両に乗り込む。そこでふと顔を向けると見知った顔が2つ。確かあの人たちは....、近づいて挨拶しよう。

「おはようございます。昨日はお世話になりました。中川先輩、田島先輩」

昨日職員室の場所を教えてくれた2年生3人組のうちの2人、中川楓なかがわかえで先輩と、田島奈々たじまなな先輩だ。

「あれー?誰かと思えば昨日の綺麗な男の子じゃないですかぁ。おはようございます」

「き、き昨日の!お、おは、おはよう!」

中川先輩はおっとりした顔と同じくおっとりした口調だ。それとは逆に、田島先輩は勝ち気な顔立ちをしていることとは裏腹にあまり会話が得意ではないようだ。視線もかなりおよいでいる。

「今日は片岡先輩はどうしたんですか?」

「すみれちゃんは今日朝練があるんですよー。弓道部です」

「...へぇ弓道ですか」

まさか片岡先輩が弓道部だとは。実は前世で俺は弓道をしていたのだ。自慢ではあるが、高校の時はインターハイで個人3位入賞を果たした。入る部活を決めかねていたが、見学をしてみて良い感じだったら入部してもいいかもしれない。

   そんな話をしながら、3人で一緒に登校した。田島先輩が終始そわそわしていた。悪いことをしたかもしれない。

    学校につき、玄関で靴を履き替える。

「では、僕はここで」

「はい〜。また〜」

「ま、また!また今度!」

1年生は1階、2年生は2階のため、1階で俺たちは別れた。

教室のドアを開けて中に入る。ザワザワしていたのが、突然静かになる。.....気まずいな。

「おはよう」

とりあえず笑顔だ。笑顔でいれば間違いはない、っておじいちゃんが言ってた。

「お、おおはよう!」「は!?なにあんた挨拶返してんのよ!挨拶されたのは私よ!おはよう前原くん!」「後光が見えるほどの美しさ....神よ...」

   朝から賑やかだなあ。

  ニコニコしながら女子達の会話を聞いていると、莉央ちゃんと目があった。

「莉央ちゃんもおはよう!」

笑顔で手を振っておいた。
莉央ちゃんは嬉しそうにハニカミながら手を振り返してくれた。

「「えっ?」」

クラスのみんなが一斉に莉央ちゃんの方を向いた。莉央ちゃんがビクッと肩を震わせる。

そして次々と女子達が莉央ちゃんに群がる群がる。磁石か君達は。

「お、おい莉央!?説明してもらおうか!」「なんでこんな変態が...神と仲良く...」「一発殴らせろ」「私を紹介しなさいよ!」

さっきから俺のこと神って呼んでるやつ誰だよ。

「お、おはよう仁」

そんな騒ぎを尻目に聖也が話しかけてきた。

「おはよう聖也」

「おい仁。なんでよりにもよって神崎と仲良くなってんだよ。あいつ変態で悪名高いんだぞ」

なんだと、莉央ちゃんはいい子だ。

「莉央ちゃんはとても優しくて可愛い、良い子だよ。昨日も一緒に帰ったからね」

少しムッとしてしまったので、莉央ちゃんがいい子であると明言しておく。

「い、一緒に!?まじかよ....」

チラッと女子の方を見てみると、未だワイワイと騒いでいる。どうやら、一緒に帰ったという話は幸いにも聞かれてなかったみたいだ。聞かれてしまうと今より騒がしくなるのが明らかだからな。

こうして今日も騒がしい朝を過ごした俺は、午前中の授業を終え、昼休みに聖也とご飯を食べていた。

「どこ?噂の天使は」「ほらあれ!窓側1番後ろ!」「ちょっ!?本当に天使じゃん!」「なんでも昨日いきなり女子達の前で服を脱いだらしい」「な...んだと!?....1組の女子達の脳みそを食らったらその記憶が手に入ったりしないだろうか?」「「......」」

「「それある!!」」

いや、ないから!物騒な発想やめーや!

どうやら俺の噂が広まっているようだ。休み時間に1組に来て廊下から俺を見に来る子が出てきた。

なんか、アイドルにでもなった気分だ。うむ、悪くない。調子に乗った俺は、廊下からこちらを遠巻きに見る女子達に手を振った。

「「はぐっ」」

人間のものとは思えない、なんとも言えない奇妙な声をもらしながら女子達は胸をギュっと押さえつけた。

   聖也は俺を呆れた目で見ていた。

と、その時。

「失礼する!このクラスに凄まじい美貌を持つ男がいると聞いた!その者はいるか!?」

そんなことを言いながら、男が教室に入ってきた。
....なに?こいつ、イケメンだ。短髪で揃えたツヤツヤの黒髪。前の世界でもイケメンで通用するだろう、ということはこっちの世界ではまさに俳優並みの顔面偏差値ではなかろうか。

「キャア!桐生隼人きりゅうはやと先輩!」「わぁ、やっぱかっこいい...」「桐生先輩が来たってことはやっぱり...」「うん、やっぱりそうだよね」

やはり女子達にかなり人気があるようだ。しかし、桐生先輩が来たらなんだというのだ。気になるな。いや、すぐに分かることか。

....しかし、凄まじい美貌を持つ男はいるか、などと言われても、手を挙げづらいじゃないか。いや、十中八九俺のことだとは思うんだが、自分から行くのはなんていうか、恥ずかしい。

  じーっと桐生先輩を見ていると、目が合った。

「ッ!...確かにこれは凄まじい。そうか、君のことだな」

一瞬目を見開いた桐生先輩は、そう言いながらこちらに近づいて来た。

「初めまして、俺はここ春蘭高校の生徒会会長を務めている、3年の桐生隼人だ。君の名前を聞かせてもらえないだろうか?」

おお...すげえ堂々としていて無茶苦茶かっこいいじゃないか。しかし、生徒会長だったか。

「ご丁寧にありがとうございます。初めまして、1年の前原仁と申します。して、生徒会長が僕に何の御用でしょうか?」

俺は立ち上がり、頭を下げながら自己紹介をする。
桐生先輩は少し驚いたような表情をしている。恐らく男の割に対応が丁寧なことを驚いているのだろう。

「....なるほど、これはますます手放せないな」

「はい?」

「いや、なんでもない。では単刀直入に言おう。前原仁くん、我々生徒会に入るつもりはないだろうか?」


....なんですと?

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