存在定義という神スキルが最強すぎて、異世界がイージー過ぎる。

つうばく

第8話 「クリスって言ってることとやってることが違うよね」

「ここが、冒険者ギルドが所有している森なのでしょうか?」

「そうだな。ヒナさんの書いた地図だとここだ」

まあ、あの見た目とは違い過ぎる人物、ヒナさんなので、地図は予想通りの荒さだった。
あの人、喋ってなければ超が付くほど可愛いのに。

見た目は清楚系だし。

「じゃあ、入りましょうか」

「おう」

俺達は冒険者ギルドが所有するという森に入っていった。

……中は太陽の光しかなく、薄暗いという感じだったのだが、それがどこか神秘的だった。

「魔物がいないのなら良い場所ですねー」

「だな。見てみろ、ウサギが飛んでるぞ」

俺が指さした方向には、ピョンピョンと跳ねながら近付いてくるウサギが。
モフモフしていて可愛いなぁ。

なんという種類だろうか。


【鑑定】


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名前:ホビンラビット
種族魔物
ランク:D
特徴:素早さが高い
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「……って、魔物かよ!?」     

「魔物なんですか!?」

こんな可愛いウサギが魔物とは。
この世界終わってるだろ。

「可愛いが魔物なら仕方がない」

「殺すのですか?」

「ああ。やってみるか?」

無意識にそんなことを聞いてしまった。

「すまん。今のは失言だった。ここはおれがやるわ」

「すみません」

「大丈夫だ。任せとけ」

俺は向かってくるウサギのほうを向いた。
そして、冷静に冷血に言葉を放った。


「死ね」


その言葉が銃の弾丸のようにウサギに刺さった。

そして、ウサギはバタリと草むらに倒れた。
いや、倒れたのではなく、死んだのだ。

「本当にどういう仕組みをしているのですか」

「さぁ。俺にもわからないからな」

「とりあえず、死体を回収しましょ」

そういってクリスはウサギが倒れた場所まで歩いていった。
俺もそれを追いかけるように、あのウサギが死んだ場所まで歩いていった。

「シン様。この死体はどうしますか?」

「ああ。それなら考えがあるんだよ」

そう。

異世界と言ったら定番といっても言いべき物。

アイテムボックス。
これは、クリスに前聞いたのだが、アイテムボックスという物は、国宝級にもなるらしく、本当に高いらしい。

クリスの家に、ガルバさんが買ったのがあるらしいのだが、それでも縦1メートル横1メートル高さ1メートルの要領しかなく、あまり物は入らないらしいのだが、結構高かったらしい。

まぁ、俺にはそういうことは殆ど関係ない。


だって────

「創造【アイテムボックス】」

一応、鑑定で確認しておこう。

……大丈夫。
しっかりと、ステータスにはアイテムボックスが追加されていた。

「収納っと」

そういうと、下にあったウサギの死体が消えた。
いや、アイテムボックスに入った。

「…………!? どういうことをしたのですか!?」

「アイテムボックスに入れてみたんだ。さっき俺用の無限アイテムボックスを創ったから試してみたくて」

「……本当になんでもありですね」

「そうか?」

別にラノベ主人公のような、チートはしていないつもりなんだけどなぁ。

いや、しているか。
どんなことでも出来る力を持つ俺、……十分チートなんだなぁ。

「ちょっと今ので分かった」

「何がですか?」

「どんな魔物が出てくるかが、分からないから辛いということだ」

「そんなの。どうすることもできなくないですか!」

「いや、あるよ」

つまりは、何が来るか。

気配を察知したいというわけなのだ。
なら、【気配察知】というスキルがあるじゃないか。

「【気配察知】」

うぉぉぉおお!

何がどこにいるのかということが俺の頭のなかに入ってきた。
一番近くにいるのは、Dランクの魔物だけ。

クリスの課題はCランクの魔物を倒すということ。
なら、俺が今探すのは一番近くにいる、Cランクの魔物だけだ。

いた!

「あのデカイ木の下だ。そこにいる」

「わかりました。行きましょう」












「狼ですか?」

「だな。少し待っとけ」


【鑑定】


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名前:レッドウルフ
種族:魔物
ランク:C
特徴:火属性魔法を使える
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あいつは、火属性の魔法を使うようだ」

「なら、属性は水が良いですね」

「水属性か……なら、少し待て」

「はい。シン様」

水属性というならば、ここの森を壊してしまうかもしれない。
だから、俺はそういうことが無くなるように、外壁を作ることにした。

「フィールド」

その言葉と共に、大きな木を囲むようにコンクリートのような外壁が出来た。

「いくぞ」

「はい!」

俺達は隠れていた茂みから飛び出した。
狼は俺達に気づいた。


────ウォォォォオオオンゥ!!


そう、耳が痛くなるほどの叫び。

「クリス! 俺がいったいだけ残す。そのいったいをお前が止めをさせ!」

「はい!!」

「いくぞ!」

狼達は何か危険を察したのか、こっちに吼えて走り出してきた。

俺はその狼達に向かって手を伸ばす。


【鑑定】


………………あの後ろの一体が一番弱いか。


────条件

後ろの一体残し
それ以外は一瞬で

「死ね」

バタバタッッ! と狼達が倒れていった。

後ろの狼は何があったのか分からず、困惑している。
今こそがチャンスだ!

「クリス! 今だ!」

「はい!」

俺の後ろから大剣を持っておもいっきり走り出す少女。
その姿は戦場に舞いいる戦姫の様だった。

「はぁああ!」

その凜とした叫びと共にあの大剣は狼目掛けて振り下ろされた。







狼はそのまま動かなくなった。

......剣で倒すなら始めから言っといてくれよ。

俺が囲んだのが馬鹿みたいじゃないか。

けど結構役立った 
今外には大量の魔物がいる。

ここを囲んでいなければ襲われていたところだろう。

もしかすると、この囲いが何なのか気になって集まったかもしれないが......。
十分にありえるだろう。

一応、全部倒しておくか。

ふっ!

これで良し。全部、アイテムボックスに入れてと。
あっ、クリスに悪影響を与えてはいけないからな。

「【洗浄】」

これで、辺り一帯綺麗にしてと。
で、外壁を取り除く。

「じゃあ、帰るか」

「そうですね」




この時の俺は知らなかった。
外壁の外にいた魔物の数、それに種類を。

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