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新しい防具とポーション作成



 「う~、だるい。…やっぱり、赤熊を倒した時もこのスキルを使ってたのかな…」


 あの後、スキルをもう一度使うことで元の姿に戻ることができたが、赤熊を倒した後起き上がった時と同じように〚全能力値低下:50パーセント 効果時間24時間〛が付いて、倦怠感に襲われていた。
 この状態になるとまともに戦闘することができないので、私は大人しく街に戻り、宿を取ってからログアウトした。


 翌朝、インしてみると、ミーシャからフレンドメッセージが届いていた。開いてみたところ、新しい防具が完成したとのことなので早速、受け取りに行くことにした。

 LWOの各街には一度行ったことのある街へ移動することができる転送装置がある。それを使って、ファーロンへ戻ってきた私は、ミーシャのところまで向かった。

 「ミーシャ~、いるー?」
 「待ってたにゃマチ!」

 店内にいなかったため、声を出して呼んでみると、店の奥からミーシャが出てきた。

 「装備受け取りに来たんだけど、今大丈夫?」
 「大丈夫だにゃ、早速着てみてほしいのにゃ!」

 何か作業をしていて忙しいかったんじゃと思い尋ねてみると、大丈夫だと返ってきた。それを聞いて安心した私は、ミーシャから装備を受け取った。


 ・赤熊のレザーアーマー:シバの森のボスである赤熊の素材で作られた装備
  DEF+4 製作者:ミーシャ

 ・赤熊のレザーベルト:シバの森のボスである赤熊の素材で作られた装備
  DEF+3 製作者:ミーシャ

 ・赤熊のレザーアーム:シバの森のボスである赤熊の素材で作られた装備
  DEF+2 STR+1 製作者:ミーシャ

 ・赤熊のレザーブーツ:シバの森のボスである赤熊の素材で作られた装備
  DEF+2 AGI+1 製作者:ミーシャ

 装備の効果だけで約6レベル分もDEF値が上昇した。

 「どお?気に入った?」
 「すごく良いよ!ありがとうミーシャ!」
 「気に入ってもらえてよかったのにゃ」

 上級者プレイヤー専門の店なだけあって、これだけ性能の良い装備を作れるミーシャさんをすごいと思った。

 「糸があればもっとかわいい装備を作れるんだけどにゃ~。そしたら、マチを着せ替え人形にしてあんなことやこんなことを…にゃふふ」

 訂正、ただの変態だった。

 「糸?糸ってまだ見つかってないの?」

 最後の方は聞かなかったことにして、どうして糸がないのか聞いてみた。

 「そうなんだにゃ、まだ糸が見つかったという情報は聞いてないのにゃ」
 「そっか、じゃあ見つけたら持ってくるよ」
 「ありがとうだにゃ。でも無理して探す必要はないからにゃ」
 「うん」

 「そういえばマチは今回のイベントに参加するのかにゃ?」
 「出るよ。昨日登録してきたよ」
 「おおお、新防具のお披露目だにゃ」
 「ふふ、しっかり宣伝してくるよ」

 「そうだ、大会にはガルドの奴も参加するらしいから頑張ってくれだにゃ!」
 「えええええええ!あの焼き鳥屋さんが!?」
 「にゃはは!驚いたかにゃ!ガルドの奴は、ああ見えてばりばりの戦闘職だにゃ」

 噓でしょ!?あの肉を焼いてる姿しか想像できないガルドさんが!?
 どこからか「おいっ」というような声が聞こえた気がするが、気のせいだろうと無視した。

 「じゃあ、あの焼き鳥屋は…?」
 「あれはただの趣味でやってるみたいだにゃ」 
 「あれが本職だと思ってた…」
 「そういうわけだから、マチも頑張ってほしいにゃ」
 「うん、優勝目指して頑張るよ!」

 軽しショックから立ち直り、ミーシャに優勝するための秘策を用意していることを話した。

 「うちも、ここからイベントを観戦してるから頑張ってくれだにゃ」
 「次の街へ行かなくても観戦することってできるの?」
 「第二の街へ行くことができなかったプレイヤーや試合に出ない人たちへの運営からの救済処置だにゃ」

 そんなものがあったなんて知らなかった。イベントのメールが届いた後、批判が多発したため、遅れて救済処置のメールが来たという。

 「それじゃあ、イベントの日まで楽しみに待ってるにゃ」
 「うん、びっくりさせてあげるから楽しみにしててね!」







 ミーシャと別れた後、アルバさんのところを訪れていた。

 「今日からはポーションの作成に入るよ」
 「はい」

 ポーションの作り方はまず、採取してきた薬草を乾燥させる。乾燥させた薬草を粉々になるまですり潰したら、水の入った鍋に入れてじっくりと半日混ぜる。このときに、火にかける時間が長すぎると変色してしまいダメになってしまう。逆に時間を短くしたら、ちゃんとしたポーションにならない。使う薬草のグレードがあがるごとにこのタイミングがシビアになっていくのでかなり難しい。


 「…ふぅ、出来ました。アルバさんどうですか?」

 混ぜ始めてから半日ほど経ちようやく完成したポーションをアルバさんに確かめてもらった。

 ・Fランクポーション:HPを15回復させる  製作者:マチ

 「…ふん、初めてにしてはいい出来じゃないか。時間も早すぎず、遅すぎず丁度良い」
 「ありがとうございます!」
 「これなら売り物としても及第点を上げられるさね」
 「本当ですか!」

 アルバさんから学んだ知識を引き出して、なんとか及第点の行くポーションを作成することが出来た。

 「だけど、まだ売りに出すことは認めないよ」
 「え?どうしてですか?」

 売り物に出せると言われたはずなのに認めないと言われたのでどうしてかと尋ねた。

 「あんたはまだあたしの弟子だろう。一人前じゃない奴のものを売りに出すことを認める師匠がいると思うかい?」
 「いえ、いないです…」

 及第点をもらったことに浮かれて、今の自分はアルバさんの弟子だということをすっかり忘れてしまって怒られてしまった。

 「上級ポーションのDランクを作れるようになったら一人前として認めることが出来る。それまで精進するといいさね」
 「わかりました」

 一人前という目標をもらったことで、一人やる気に燃えていると、アルバさんから声を掛けられた。


 「最近、冒険者プレイヤーの態度が大分改善されてきたよ。…マチ、あんたのおかげだろう?」
 「あ、えっと、はい。でも、私一人じゃどうすることもできなかったので友人に協力してもらいました」

 いきなりシリアスな展開になり、驚いたがすぐに落ち着きを取りも戻した。
 実は、ヒロキ達と別れる際に、この街の現状を話してなんとかすることが出来ないかと相談していた。ヒロキ達も原因はわからないが最近、住民(NPC)達の態度がおかしいことには気づいていたらしい。理由を話したところ、すぐさま掲示板に、この街の現状をことを書き、どうすれば良いのかを書き込んでくれた。そのおかげもあって段々と、プレイヤーの住民(NPC)に対する態度が完全ではないが改善されていった。

 「まだ、全部が良くなったわけじゃないが、それでも良くなったことには感謝してるさね。お礼を言うよマチ」
 「いえ、こちらの方こそごめんなさい」

 私はプレイヤーを代表して誤った。

 「さぁ、この話は終わりだよ。いつまでもしめっぽいのは嫌いさね。明日も同じことをするんだから早く帰って体を休めるといいさね」
 「はい!」

 私はアルバさんの家を出て宿に戻り、ログアウトした。



 マチ
レベル12
HP:73
MP:22
STR:61(10)
DEF:60(21)
AGI:64(20)
INT:34
DEX:22

装備
頭  :
体上 :赤熊のレザーアーマー
体下 :赤熊のレザーベルト
腕  :赤熊のレザーアーム
足  :赤熊のレザーブーツ
アクセ
頭  :
顔  :
首  :
腕  :ファフニールのパンジャ
足  :
耳  :

スキル
【刀】lv9 【察知】lv1 【STR上昇 】【取得経験値上昇(微)】 《赤熊レッドウルステアーの爪》 《神獣降臨(フェンリル)(ファフニール:封印)》lv3

残りスキルポイント:16
残りアビリティポイント:8

称号
 《ファフニールの友人》
 《森の王者赤熊を討伐せし者》
 《フェンリルの友人》


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