異世界転移した俺は異世界ライフを満喫する事にした

森崎駿

ゼロの体力と炭酸抜きコーラ

「大丈夫かアルカ!…って…あれ?ケガは…」
ゲームが終わり控え室に戻ってきたアルカが扉を開けると同時にユートはベンチから腰を上げてアルカの怪我の様子を見ようとするが…服を脱がせて全身をチェックするがカスリ傷一つ付いていなかった

「え?ユートが遠隔で回復させたのではないのですか?」
アルカは全身の死に直結するほどのあのケガが、いつの間にか治っていたのはユートが遠隔で回復魔法か何かで回復させたのだと思い、その場では特に気にせず行動を開始させたのだが…ユートは違うという

「遠隔も何も…俺は今魔法が使えないんだぞ?…だからこんな風に密着する程の距離でないと回復…と言うよりも『錬成士アルケミスト』のスキルを応用させた回復は出来ないんだ」

ユートのその言葉にアルカは驚きと謎が残ったという不満が同時に襲い掛かりなんとも言えない顔となってしまい、口を引き攣らせることしか出来なかった


そんなやり取りをしていると、クロウディアがゼロを台車に乗せて帰って来た
ゼロのその顔は現在の自分の状況に対する羞恥心と、ゲーム中に見せた狂化してしまった自分への不甲斐なさの感情が溢れ出てきてユート達と目線を合わせる事が出来なかった

そんな時、パサルはニヤニヤと万篇の笑みを浮かべながらゼロをいじる

「え~?なになに~?まさかあのゼロちゃんが台車に乗って~、恥ずかしい思いをしていて私達と目を合わせられないの~?ぷークスクス…ちょ~受けるんですけど~」

ゼロは動かせない筈の手を意地で動かして懐に忍ばせておいたクナイをパサルの眉間めがけて躊躇なしに投げまくる

「わっ…ちょちょ、冗談だってば~も~」
パサルはそう言ってユートの後ろに隠れる

「ハァ…パサル、余計な体力使わせるなヨ」
ゼロはそう言ってその場に倒れ込んでしまう
どうやら、ゼロは先程地面から出てきた黒い手に体力を完全に全て吸われてしまい…もう最低限今日はまともに動けないのだろう



『ぴ~んぽ~んぱ~んぽ~ん、次の準備が整いました~…速やかにそして迅速且つ光速に出場選手は来てくださ~い』


「おっ…もう出番か…行くぞパサル」
ユートはそう言って予め購買で買っておいたコーラを洗面所で振り回しそのまま開ける、すると当然炭酸なので泡が吹き出してきてコーラ内の炭酸が全て抜けてしまった

「ユート殿、試合前にコーラなんて飲んで大丈夫でござるか?」
オウミはそんな姿のユートを見て心配する素振りを見せるが…ユートは別に何も問題は無いと答える

「某格闘漫画に書いてあったが炭酸抜きコーラは試合前に飲むとエネルギーの吸収が良いらしいからな」
「だが…飲んだ後はちゃんと動かないと太るからな…今回試しにやってみたが…まぁ期待しない程度にやってみただけだ…」
ユートはそう言って空になったペットボトルをアルカに渡す

「あ…そうだ、ゼロにも飲ませとけよ…体力も少しは回復するんじゃないか?あぁそっか…飲んでも首繋がってないからドボドボ零れちまうか…あっは…はぁ…」
ユートはそう言ってゼロに言いながら笑っていると…ユートの頬に傷をつけながらクナイが壁に突き刺さった

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