異世界転移した俺は異世界ライフを満喫する事にした

森崎駿

ババ抜きと愚かな王

馬車に戻ってきたユート達はクロウディアも参加する旨を伝え、クロウディアもある程度は戦えるのか尋ねる

「妾か?…護身術程度しか使えんのぅ」
「ぐっ…またかの…」
クロウディアはそう言いながらパサルからカードを一枚引く

「まぁ事情はわかったが…もし今回のゲーム内容が直接戦闘を余儀なくされるものじゃった場合は…妾は足でまといになってしまうのじゃ」
「なっ!パサル…イカサマをしておるの!?」
パサルに一枚『 の2』を引かれ、クロウディアの手元には『JOKER』が残った

「イカサマなんてしてないわよ~…」
「ババ抜きでイカサマなんて出来ないでしょ~?」
パサルはそう言いながらクスクスと笑っている
すると横から見ていたゼロがパサルの脳天にチョップを食らわせる

「いったぁ~い!何するのよゼロ」
パサルは頭を抑えながらゼロの方へ振り向くとゼロに鼻で笑わられる

「目の前で堂々とイカサマをしといて何言てるヨ」
「クロウディア様がカードを抜く瞬間にカードの右下の角に小さく切れ込みを入れてるネ」
クロウディアはそう言われてカードを確認すると…
確かに、『JOKER』の右下に切れ込みが入っている

「手元に入れる時、手の構造上右下に切れ込み入れたら左上に切れ込みが来るネ…パサル、遊びでイカサマするなヨ」
ゼロに全部見透かされていたパサルの顔に全然反省の色は見える気配がなくゼロは大きくため息をついた


「…イカサマ…か」
ユートはそんな三人を見てて何かを思いつきそうだった

「なぁパサル、お前ってトランプゲームならどれ位のゲームのイカサマが出来るんだ?出来れば種類も教えてくれ」
ユートはパサルにこう質問を投げかける
するとパサルはカジノにあるゲームなら大体全部出来ると言ったのでユートは決心が付きみんなに話し始める

「…よし、全員聞いてくれ」
「これから俺とパサルの二組に分かれて行動する」
ユートのその発言にパサル以外の全員の頭に『?』が浮かぶ

「俺と共に来るのはアルカとオウミだ」
「二手に分かれてニュクスのカジノで荒稼ぎするぞ」
ユートのその発言にアルカはカジノはそんなに甘くはないと言おうとするがさらに言葉を続ける

「どの道ゲームが始まるまで二ヶ月もこの国にいなきゃいけないんならカジノで稼ぎまくる…いや遊びまくるぞ」
ユートのその言葉にパサルの気分は舞い上がり身悶えする

「パサルとゼロとクロウディアには軍資金として金貨100枚を渡しておく」
サイフの中から軽く金貨100枚を出した事に驚きを隠せないアルカは口をぽかんと開けていた

「何倍に増やせば良いのかしら?」
パサルはそう言って金貨100枚を受け取る

「…出来る限り上限まで増やせ」
ユートのその言葉にパサルはさらに興奮する
上限まで…つまりは破滅するまでやれと言うのだ、本来なら狂気とも言えるがパサルにとってはそれこそが最高の喜びである

「それじゃあ、二週間後にまたここに集合だ」
ユートはそう言い残しアルカとオウミを連れて街へ歩いていった

「…好き放題言う男じゃのぅ」
クロウディアはユート達の後ろ姿を見送ってため息をつく

「そこが良いんじゃない…最っ高の気分よ」
パサルもそう言って馬車から降りる

「王女様、ワタシの側から離れるちゃダメネ」
ゼロはそう言ってクロウディアが馬車から降りる際にエスコートする

「それじゃあ私達も繰り出しますかぁ…」
パサルを先頭にクロウディア達もニュクスの街へ歩き出した



「ユート、具体的には先ずは何からするの?」
アルカはさっきから街中をウロウロと見て回っているユートに痺れを切らして尋ねてみるが返答がない

「アルカ様、恐らくユート殿は見極めているのでござるよ」
ひとえにカジノと言っても種類があるでござる…中には明らかに法外な賭け金を賭けなきゃいけない場所もあるのでござるよ」
オウミがそう言ってアルカに説明しているとユートは立ち止まり一つのカジノの前で止まった

「…明らかにカジノじゃねぇな」
ユートが立ち止まった場所にあったのは…カジノと言うには程遠いまるで雑居ビルの様な場所であった

「ここに入るか…煌びやかな場所に入るよりかは慣れてるしな」
ユートはそう言ってアルカに断りもなく入っていった

「もう!本当に勝手なんだから!」
アルカは文句を言いつつもユートの後に続いていった

中に入るとジャラジャラと音が聞こえてくる
「ここは…雀荘ジャンソウか…麻雀なら幾分かは稼げそうだ」

雀荘とは所謂いわゆる麻雀をやる場所である
ジャラジャラの音は洗牌シーパイと言ってトランプで言う所のシャッフルと同じ行為である


「…ロン大三元字一色ダイサンゲンツーイーソー』ドラ5…俺は親だから96000点」
「そしてお前の責任払いだ…これで諦めろ」
先程から計6時間が経っている…その為何度も終わらせて帰ろうとするが止められて結局付き合わされているのだ

アルカは後ろのソファーですやすやと寝息を立てて眠っている

「勝ち逃げは許さねぇ!金なら幾らでもあるんだ!」
目の前の男はミズガルズの最南端にある小さな島国の王様らしく…変にプライドが高い為引き際を知らないようだ

既にこの男から『金貨6500枚』も稼がせて貰っている
流石にユートの中にある良心が先程から辞めさせようとするのだが…一向に辞める気配がない

「…どうなっても知らないからな」

結局、その後にレートを上げ続けて三時間程った後にその男は本当に手持ちの金が無くなり…
一晩だけでユートは『金貨8966000枚』を稼いだ

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