異世界転移した俺は異世界ライフを満喫する事にした

森崎駿

バイキングと当主としての責任

先に結婚式場にやって来たレイカ達は豪華な式場に目移りしていた

「うわ~…こんな凄い所で式を挙げるなんて…ユウ君は羨ましい」
ユートにその気が無いと知っているレイカはどこか心に余裕を持っていた

「お姉ちゃん見て見て!あそこにある食べ物みんな食べても良いんだって!」
No.02はNo.01の袖を掴んで引っ張っていく

「《感心》私達に対する配慮が素晴らしいですね」
No.01も引きずられながら大量の食べ物に向けて感心をしていた

「あっ!その食べ物は式が始まるまでは食べちゃ…ってまぁ別にユウ君なら笑って許してくれるよね」
レイカはそう思い自分もバイキング形式になっている食べ物を取り皿に取り食べ始める

「《満足》このローストビーフという肉は絶品です」
No.01は口元を緩めながら味の愉悦に浸っている

「お姉ちゃん!このサラダも瑞々みずみずしくて最高だよ」
No.02も色々な物を口に放り込む満足気な表情を見せる


そんな事をしている内に結婚式の主役の一人と言える花嫁が式場の様子を見にやってきた
真っ白なウェディングドレスを身にまとい正に女の華と言えるだろう

「あそこのテーブルが曲がっているすぐに直せ」
「それに明らかにテーブルとイスの数が足りないぞ、国中の重役達が来るのだ…もっと席を増やせ…この際急増でも構わん」
一国を治めているだけあり指示だしのスキルは一人前な梨華りんか
ふと梨華の目にNo.01とNo.02の姿が飛び込んでくる

「あれは…他人の空似か…」
口に食事を一生懸命放り込むNo.01とNo.02の姿が一瞬赤ん坊の頃に亡くなったと聞いていた姉と妹を連想させたが…
流石に自らも赤ん坊であった為容姿など覚えてはいなかった

「あれは…旦那様の連れか…挨拶くらいはしておくか」
梨華は人の上に立つ者の教育等は幼少期に叩き込まれている
自分の旦那となる者の友人にはちゃんと礼儀を示す

「初めまして…私の名前は梨華、パルテノン皇国の巫女としてこの国を支えている者だ、差し支えなければお名前を教えて貰ってもよろしいでしょうか?」
姿勢を低くし相手に敬意を示す梨華
お辞儀をしているとふとペンダントが淡い光を発し始める
だが…その光に梨華はまだ気づいていない

「あっ…ご丁寧に…私の名前はレイです…よろしくね」
レイカはホットケーキを切り分けながら挨拶を返す

「もぐもぐもぐ…ゴクン…《謝罪》失礼しました」
「《了承》私はNo.01、特に覚えなくても大丈夫です」
No.01は口の中に入っているゼリーを飲み込み一息ついてから挨拶を返す

「んぐっ!?…ゴクン…私はNo.02だよ~よろしくね」
No.02は急に挨拶されたことに驚き一瞬喉に詰まらせたがすぐに解消し挨拶し返す

「……今なんて言った?」
梨華はNo.01とNo.02の挨拶に何かの引っ掛かりを感じる

「『No.』…あんたらまさか…人工的生命体ホムンクルスか?クロガネって奴は自分の人工的生命体ホムンクルスには名前を付けずに番号で呼んでいたって先代様に聞かされたんでな…」
梨華は勘違いであってほしいと内心思いながらもNo.01達に問いかける

「《Exactly》その通り、私とNo.02は確かに人工的生命体ホムンクルスだよ、だけどもう元マスターのクロガネ様は…」
No.01か途中まで言いかけたが梨華は自分の問に肯定された瞬間に、胸の奥から自分でも制御出来ない程の殺意と憎悪の感情が込み上げてきた

「近藤!土方!この二人を即刻打首にしろ!」
梨華のその指令は半分叫びと同化しており聞き取れるか不安な物であったが、近藤と土方はちゃんと受け取り刀を抜いてNo.01達に迫る

「《目測》敵対行動を確認…対処します」
No.01は手に持っていた食べかけの七面鳥の肉を律義にお皿の上に戻し七つの不適合セブンスドラッグを展開する

「七つの御業ノーツを同時に発動するのだな?ならばそれ以上の人数で対応するまでだァ!」
遺伝粒子アーツー新選組召集大・号・令!!!ー』
近藤は自らの刀を地面に突き刺すと地面の中から…いや正確には地面にそこが見えない黒い穴が無数に開きそこから浅葱色のだんだら羽織を着た男達が現れる

「さぁてこちらの人数はざっと50人程度か?室内だから仕方あるまい!我ら新選組を相手にする度胸はあるか!」


「も~…せっかく人が食欲という欲望に溺れてるのに~」
No.02は片手で手羽先を食べながらもう片方の腕を鋼鉄化ヘビメタで硬化して対処する

「本気で行かなきゃ斬れそうにないですね」
No.02を斬りに行った土方は一旦離れ刀の柄を両手で持ち急に自らの首を斬る

遺伝粒子アーツー新選組鬼の副長ー』
次の瞬間斬った傷が塞ぎ全身が赤く変色し二本の角が生え始める

「殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺ゥ!!!」
先程までの温厚な土方の姿は消え去り、そこにいるのは目の前の敵全てを斬り伏せる殺人者へと変貌していた


「はぁ…はぁ…何で…何でまた人工的生命体ホムンクルスが俺の国に…」
梨華は平常心を取り戻す為に首のペンダントを手に取る
ふとペンダントを見ると淡い光が光っているのに気がつく

「これは…まさか!」
梨華はNo.01とNo.02の首にかかっているペンダントを見てみると…やはり二人のペンダントも小さく光っていた

蘭華らんかねぇ?…それに…蓮華れんか?…いや違う…とにかく…ここで死んでもらうぜ」
巫女が持つペンダントにはある特別な仕様がある
それは近くに同じ巫女がいた場合に光るというものだ

この仕様は先代の巫女達が戯れの時に使う為の仕様であったが…それを知っていた梨華はNo.01とNo.02が自分が赤ん坊の頃に失った蘭華と蓮華だと気付くが…
認められなかった…なぜなら…二人は死んだと教えられたからだ

敵となった二人を倒すのが当主としての自覚であり責任であり…辛い現実であった

そんな時
式場の扉が開きユートと沖田が入ってきた

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