異世界転移した俺は異世界ライフを満喫する事にした

森崎駿

巫女の正体と風習

遺伝粒子アーツ
それは先祖代々その英雄の名前と最も特出した能力や異名に合ったモノがが引き継がれきた能力である

例えば…
『沖田総司』ならばその類希なる剣の腕を…
『諸葛亮孔明』ならばその異才な頭脳を…
『舩坂弘』ならばその異形とも言える生命力を…

名前と共に受け継ぐことによりその偉人達の全てを後世に遺す力
それが遺伝粒子アーツである

そして本来これは一人につき一人の遺伝粒子アーツは行使できない
だがしかし…ごく希に二つ以上の行使できる者もいる

『山崎烝』彼もまたその一人である
山崎烝は新選組の医師であり、そして情報を盗む事に秀でていたと言われている

彼はその二つの遺伝粒子アーツを所持している
一つが『超革新的医療術』
そしてもう一つはとある発動条件がある
それは情報を盗む相手の真名を知る必要があるのだ
ユートは『ユウ』という名前で知られていた為、山崎烝でもユートの情報を盗む事は出来なかったのだ

しかし…そんな強い能力が何も代償無しに使えるという虫の良い話はない
遺伝粒子アーツの代償…それは『魔法が使えなくなる』というものだ
いや…正確には実はこの代償は元々無かったのだ


今から約100年ほど前の事
パルテノン皇国に一人の神が降り立った…そして一言こう言った

『この国の人間から魔法という概念を根こそぎ貰っていくね♪』
その神がそう言った次の瞬間、パルテノン皇国は激しい光に包まれた

光が収まった頃…パルテノン皇国から魔法が一切合切消え去り使える者はいなくなった…
だけど国民は特に気にする素振りを見せなかった…
なぜならパルテノン皇国には遺伝粒子アーツがあるから…それさえあれば何があっても大事にはならない

そう過信していた頃に…魔族が住む『ヘルヘイム』から人間の大陸『ミズガルズ』に向けて戦争を仕掛けに来た
パルテノン皇国は一番ヘルヘイムに近い為真っ先に狙われた

遺伝粒子アーツを持つ人達は勇敢に魔族達に立ち向かったが…相手には強大な魔法を使う魔族が多くパルテノン皇国は滅亡の窮地に立たされた

そんな時、パルテノン皇国に一筋の光が舞い込んだ
一人の少女が魔法に目覚めたのだ

そこからパルテノン皇国はその少女を中心に巻き返し…遂に魔族達の撃退に成功した
その少女こそが『初代巫女』であった

それから当時国を治めていた『織田信長』はその初代巫女と子を作ろうとした…
魔法を使える者の一族が国を治めている者の伴侶ともなれば国は安泰だと考えたからだ

だが…その目論見は水泡に消える事となった…
初代巫女が産み落としたその子どもは魔法が使えなかったのだ

その後…初代巫女はパルテノン皇国内の辺境の地に送還され…生涯をそこで過ごす事となったのであった

初代巫女はその辺境の地にて遺伝粒子アーツを持たない一人の青年と子どもを作った
すると…魔法が使える女の子が誕生日したのであった

あの神が魔法の概念を奪っていったのは遺伝粒子アーツを持った者達だけだったのだ
そしてその生まれた子どもも成長してまた新たな子どもを産み落とした
勿論遺伝粒子アーツを持たない男とである

生まれた子どもは全員が女の子で…全員が魔法を使えるのだった
その女の子達は総じて『巫女』と呼ばれ敬われた
だがパルテノン皇国の中枢に巫女の事が伝わる事は無かった…

そしてまた魔族がミズガルズに攻め入ってきたのだ
以前から力を蓄え…魔族の中でもまさにエリートと呼ばれる魔族達が中心となり進軍してきた

そんな魔族達に中枢の人間は太刀打ち出来ず…魔族達はそのまま人間の大陸に本格的に上陸しようとした…

その時である
辺境の地から巫女の一族が現れ魔族達を蹂躙していったのだ

魔族達の抵抗もありその戦いは巫女の出現から三日三晩続き…等々完全に撃退したのだ

まさに滅亡の窮地から救うように勇敢に戦う巫女の魔法を見ていたパルテノン皇国の民はをこう呼んだ…
神の御業ゴッドノーツ』と…

そして民はパルテノン皇国を…ミズガルズを救った巫女達こそが我らを統治するのに相応しいと巫女達を仕立てあげ
巫女の一族がパルテノン皇国を治めることとなったのだ

そして先程言ったように…実は巫女の一族には男は生まれないという特性を持っているのだ

だからと言って他国から男を連れて来て子を作る事はできない…
だがしかし…パルテノン皇国の人間に遺伝粒子アーツを持たない者はいても王となる器を持つ者はいなかったのであった

そこでとある代の巫女が一つの案を考えた
パルテノン皇国の目の前にそびえ立つ火山をたまに乗り越えてくる者達がいるのだ

そんな強者の種…またはDNAを受け取ることによって巫女の力はまた強く…そして長く続かせるという案である

その案はすぐに実装され、街と火山を囲うように大きな転移結界が貼られた

その後、巫女の思惑通りに何年かに一度の頻度で火山を超えてくる猛者が現れ始めた
その後DNAを貰い受ける、貰った後はこの国に滞在するか出ていくかはその猛者の自由にしていた
この一連の流れは風習化し、鎖国するまでの間はずっと続いていた

パルテノン皇国に余裕ができ…他国との貿易なども盛んに行うようになってきた

そんなある日…また一人の…いや三人の巫女が誕生した
巫女達の共通点の一つとして名前には『花』の名前を用いる事を半分義務のように名付けられるのだ
だが、その花の名前も適当に決める訳では無い

神に祈りを捧げ神からのお告げによって現れた種の種類によって名前が付けられるのだ

姉妹ならばまず初めに名前が付けられるのは長女からである
祭壇に長女を置き、神に祈りが捧げられると同時に祭壇が光り輝く
光が収まり長女のお腹の上に一粒の種が乗っている
その種は『ラン科』の種類であった
長女は『蘭華らんか』と名付けられた

次女の種は『バラ科』の種であった…
巫女達はその種を成長促進の魔法をかけると『梨の花』であった事が判明した為
次女の名前は『梨華りんか』と名付けられた

最後に三女の種は『ハス科』であった
三女は『蓮華れんか』と名付けられた

しかし…三人を産んだ母は病気によって死亡し三人は巫女達全員で育てる事となった

そんなある日の事である
とあるパーティがまた火山を乗り越えてきた
また風習通りに種を貰おうとした時…そのパーティはパルテノン皇国内で暴れだした……

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品