異世界転移した俺は異世界ライフを満喫する事にした

森崎駿

圏外と三人の早とちり

ユートは現在ふかふかのソファーに座り甘美な果物を食べている
そして両隣には大きな鳥の羽のような団扇で扇ぐ二人の女性がいる

「江戸時代のイメージから一気にアラビア風になったな」
だが目の前の景色は美しい江戸のような街並みが広がっている
まさに時代がめちゃくちゃと言わずしてなんと表現すれば良いかわからない状態であった

「それにしても…結婚式かぁ…やっぱ言わなきゃ後々面倒事になるよなぁ…」
ユートは家で待つアルカ達のことを気にしていた

ユートにとって嫁とはアルカ、ドーラ、イリーナの3人である
また増えるにしても3人に許可を取らなくては絶対に怒ると思っていた

「電話しようにも…」
ユートは無限収納アイテムボックスからケータイを取り出すが圏外と表示され使えない

「魔法で繋いでるはずなんだがな…」
ケータイを無限収納アイテムボックスにしまいサクランボを口の中に放り込む

ユートは街を呆然と見ているとまた激しい足音が聞こえてくる
今度は一人だけでは無く…三人分の足音が聞こえてくる

「ユウ君!結婚ってどういう事よ!」
レイカが部屋に襖を斬り伏せて入室しユートの襟足をつかみ上げ鋭い眼光でユートを見つめる
そして不知火を抜きユートの首筋に突き立てる

「待て待てレイ!俺にもよく状況が飲み込めてなくてだな」
ユートは額から汗が吹き出し必死に抵抗しながら自分も良くわからないと伝える

「《笑死》男の言い訳は見苦しいですよ」
No.01はユートの顔めがけて痰を吐きかける
ユートは避けられずまともに痰をくらってしまう

「お兄さんがそんな尻軽ビ○チだっただなんて思いもしなかったよ!もっと筋を通す人間だと思ってたよ!」
No.02はユートのお尻めがけて強く蹴りを入れる
当然避けられないのでそのまま当たる

「待て待て!お前らは俺が梨華りんかの事を口説いたと思ってるのか!?」
ユートはレイカの拘束をやっと解いて顔の痰を拭いながら3人と距離をとる

ユートがそう聞くと3人はそうなんでしょ?と聞き返してくる

「違う!さっきも言ったが俺も唐突すぎて困惑していたところだ!」
ユートは必死に3人に弁明するとやっとわかってもらえたのかレイカは不知火を鞘に収める

ユートはホッとしてるとレイカは近づき額を指で弾く
その後レイカは頬を膨らませて可愛らしく怒る素振りをする

「そうだったのね…それならそうと早く言ってよね」
先程までのメンタルが脆い奴なら精神崩壊を起こしそうな眼光を飛ばしていたのと同一人物だとは誰も思えない程の可愛らしい怒り方である


「あぁここに全員集まってたんだね、そろそろ始まるからレイさん達は先に式場に行っててよ」
沖田はどうやらレイカ達のことを探していた様だ
平然な素振りを見せているがその体は汗や熱気で火照っており顔も若干赤みを帯びている

沖田は3人を連れて式場に向かおうとする
するとユートは沖田を引き留めて3人には先に行っておくように言う

「ちょっと話したら行くからな」
ユートがそう言うと3人は納得して先に式場へと向かった


「それで?僕になんの用なの?」
沖田がそう言うと同時に沖田の腰に手を回し顔を近づける
あと数cm顔を近づけば簡単に唇が合わさる位置まで近づいていた

「…ななっ!なにやってるのさ!」
沖田はユートを突き飛ばす

「その反応をすれば良かったのか…だが俺の力でやったら骨を粉砕しかねないし…」
ユートはぶつぶつと何かを呟き始める

「もしかしてそれだけ?じゃあ早く行こうよ」
沖田は少し不機嫌になりながらもユートを式場まで連れていこうとする

「あぁ…いやこれはついでみたいなもんだ…本題はこれからだ」
ユートはそう言いながら真剣な顔になる

「聞きたいのは二つ…『巫女』と『遺伝粒子アーツ』の事だ」
やんわりとは近藤から説明を受けたが…どうせならちゃんと知りたいと思いこうやって沖田に聞くことにしたのだ

「…本当に聞きたい?」
沖田はニヤリと笑った後にユートに尋ねてくる

「…あぁ…勿論聞きたいさ」
ユートがそう言うと沖田は一旦後ろを向きしばらくの間考える素振りを見せた後またユートの方へ向く

「良いよ、それじゃあまずは遺伝粒子アーツについて教えよう」
「そして…なぜ巫女の一族が生まれたかも全部教えてあげるよ」

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