異世界転移した俺は異世界ライフを満喫する事にした

森崎駿

熱い抱擁と激しい後悔

カリス国に行く為に俺はまた飛翔フライを提案したがアルカが泣いて止めてくる

「アルカ…今俺達はいわゆるお尋ね者なんだぜ?馬車も使えないし転移ワープも俺は行った事ないから使えないし」

「ぅぅ…確かにそれは解ってますが…」
アルカが口をへの字にして俯く

「リョフ様に頼んでリョフ様が所有する馬車を使わせてもらうのはどうっすか?」
ドーラが俺達に提案する

リョフか…
確かにあの男なら懸賞金如きで俺達を捕まえようとはしないな

「ドーラ、ナイスアイデアだ」
俺がドーラの頭を撫でると被ってる帽子を深く被り顔を隠す




という訳でギルドに来た訳だが……
変化魔法が使えないドーラは少しの間、外で待ってもらう事にした

「普通逆じゃないか?」

「まぁ普通に考えたらドーラを外に一人残すの危ないが…ドーラは狭いところで襲われた時の戦闘手段を持ち合わせて無いからな、広い外で待っててもらった方が安全って事だ」

ドーラの戦闘手段であるハンマーは狭い室内ではあまり振り回せないからな
広い所で一対多の方がドーラは向いてる



俺はいつものカウンターへ向かう

「ようこそ、ユースティア王国冒険者組合ギルドへ冒険者登録ですか?」
モモはマニュアル通りの対応をする

「……モモ、今すぐリョフを呼んでほしい」
俺はフードを深く被りモモにだけ顔を見せる

「!?……かしこまりました、少々お待ちください」
モモはそう言うと急いでリョフがいる奥の部屋へと駆けて行った


「サトー様、ギルドマスターへの面会が許可されましたので置くまでどうぞ、お連れの方もご一緒に」
モモがカウンターの扉を開けて俺達を誘う

「外にもう1人連れがいるから呼んできても良いか」

「大丈夫です、急いで奥までどうぞ」
なんか急かすなぁ



そしてリョフがいる部屋に入ると急に視界が暗くなった

「ユート!どうしたんだ!お前が指名手配された時はド肝を抜かされたぞ!」
えぇい!熱苦しい!
アルカ達にやられるならともかく、こんな筋肉男にやられると熱い!

「色々あってな、今回の用事はその事も少し関わっている」
時は一刻を争う事態だ

リョフに現在までの経緯を話した

「なるほどな…なぁイリーナだっけな?お前はそのままA級で良いとして……カリス国に行くのに俺の馬車を使いたいと……」
リョフが少し考え込む
やっぱり真面目モードのリョフは雰囲気がガラリと変わるな

「……良いだろう、ただし一つ条件がある」
リョフが真剣な顔でこちらを見つめる

「今すぐには、その条件の内容によっては行使は出来ないが構わないか?」

「大丈夫だ、その条件っていうのは……」
「『俺とまた決闘してくれ』だ!!!」
………はい?

「俺はあれからまた強くなった、だからお前とまた戦いたい…ちなみにNOとは言わせないがな!ガハハハ」
あー…リョフはこういう男だったな

「まぁ…その程度ならいくらでも」

「良し!それじゃあ早速出発するか!ガハハハ」
リョフがそそくさと部屋を出る


「案外上手く事が運んだな、もっと苦戦するかと思ったが」
イリーナが拍子抜けだと言わんばかりの顔をしている

「リョフはああいう男だ、言うなれば自分に正直な男って奴だ」



その後、俺達はリョフの馬車に乗る事になるのだが……
俺を含めみんなが後悔した
こんな事なら飛翔フライでの移動にすれば良かった

リョフの馬車は派手にカスタマイズされてて……
こっちの世界でいうモンスタートラックに似ていた
運転も物凄い…雑というかなんと言うか……
乗り心地は最悪なものであった

しかし、その様な運転をしていたせいか普通よりも二日以上早く着いた


「それじゃあ!帰りも乗ってくか?」
リョフがそう聞くと

「結構です!」
「辞めとくっす!」
「遠慮しておこう!」
「絶対に嫌よ!」
女性陣は満場一致で拒否であった

「まぁ帰りは転移ワープで帰れるしな」
俺はリョフにとりあえずの理由を説明しておく
……アルカ達が拒否した理由は別にあるが言わぬが仏ってものだろう

「ん?そうなのか、それじゃあ俺は先に帰ってるぞ!健闘を祈るぜ」
そう言うとリョフは帰って行った
傍から見たらあんなに揺れていたのか……

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