妖刀使いがチートスキルをもって異世界放浪 ~生まれ持ったチートは最強!!~

創伽夢勾

101:時空ノ瞳

「さて、そろそろ戻るか」

 俺は立ち上がり、フィリアの手をとり引っ張り上げる。

「うん」

 フィリアも起き上がり、覚悟を決めた。

 それじゃあ、帰りはどうするかな。

(エル。ここどこら辺?)
《あの洞窟からは結構離れてますね。私は時空ノ瞳の使用を推奨します》

 あぁ、そういえば一度訪れた場所への転移が出来るんだっけ。
 たしか、同行者も連れて行くことが出来るらしいし、とりあえず使ってみるか。

「フィリア、手を握ってくれるか?」
「えっ!?」

 さっとフィリアが一歩後ろに下がる。
 だが、その顔は赤い。

「別に、やましいことがあるわけでは決してない。ただ、こっちの方が手っ取り早いんだ!」

 俺はそう強めに言う。ほんとにやましい気持ちはない。
 するフィリアは何か、ぶつぶつ言いながらも俺の手を握ってくる。

(なにも、やましい気持ちがないとか、断言しなくていいじゃない)

 俺もフィリアの手を握り返し、眼に意識を集中させる。

時空ノ瞳クロノス

 すると俺の左目にいつものように魔法陣が浮かび上がる。

「あ、主様の瞳に歯車が……」

 どうやら俺の左眼の魔法陣は歯車みたいだ。
 そして俺は、さっきまでいた洞窟の場所を頭に思い浮かべる。

時空移動クロノスレーション

 俺がそう口にすると俺とフィリアを白い光が包み込み、次に俺たちが目にしたのは洞窟の入り口だった。



「あっユウ様!」

 急に出てきた俺たちに驚きながらも、ティナが声をかけてくる。
 頭の中ではムラクモとヒサメが時空移動について何か言い合っている。きっと何か思うところがあったのだろう。
 それを、ヨリヒメが宥めるように二人を止めたりと、なんだかんだでおねーちゃんらしいことをヨリヒメがやっていた。

「フィリア……」

 ネルがフィリアの名前を呼び近づいていく。
 フィリアはさっきのように逃げずに、ネルの言葉を待ってる。
 そして、俺のことをチラチラと横目で見てくる。
 その目線は俺に対して信じてるからねとでも言いたげな目線だった。だから俺は静かに頷ておいた。

 ネルは、フィリアの目の前まで歩いていく。そして……

「フィリア、あの時は本当にすまなかった!」

 ネルは大きく腰を折りフィリアに対して頭を下げる。

「えっ?」
「お前を、奴隷狩りから救えなかった。ハーフエルフなのに精霊術が私よりうまく使えるから嫉妬してしまった。意地悪をしてしまった。それらすべてに対する謝罪をしたい。私に出来ることなら、何でもしよう。だから私、許してくれ……」

 それは、ネルの心の中から出た言葉だ。ずっと後悔していたのだろう。自分のせいでと自分を責めていたのだろう。
 俺は神判ノ瞳テミスを使用していた。だから、ネルが嘘をついていないことは分かっている。

「まぁ、私も苦労はしたわ。でもおかげとは言えないけど私の大切な人と出会うことが出来たし、謝ってくれたのなら私は気にしない」

 フィリアはネルにそう言うと頭を上げさせた。

「ありがとう」

 ネルはフィリアにそう言い。蟠りは解けたのかな?



「まず、俺たちの目的を話しておこうか」

 俺の横にはティナ、フロン、フィリアが横に並んでいる。
 対して反対側にはネルとクシャーナが座っている。

「俺たちの目的は魔王の討伐。つまり殺すことだ」

 俺が断言すると、ネルとクシャーナは驚きの表情を見せる。

「詳しい事情は聞かないでくれるとありがたい。で、今の目標場所はさっきも言ったがエルフの国だ。そこで準備を整えて魔国に乗りこむつもりだ。滞在時間は未定」
「あ、あぁ」
「特に何をするわけでもないが助けたんだ。対価は求めてもいいだろ?」

 俺がそう言うと、ネルが自分の体を抱きしめて少し下がる。
 クシャーナは首を横に倒すだけだ。

「そ、それは「別にやましいことじゃないぞ」えっ……なんだ」

 俺はネルの言葉抑えぎった。
 なんだその顔は、反応に困るだろ。

「ただ、滞在場所とかが決まってないんでな。見たところいいところの人だろ? どうにかならないかなって」
「それは……」

 ネルは何か言いにくそうな顔をしている。

「実は、クシャーナ様は子爵家の「それは嘘だな」……なぜそう言える」

 俺の目には今さっき使ったまま維持している神判ノ瞳テミスが宿っている。

「もう一度聞くぞ? それは嘘だな?」

 俺はネルに質問神判をする。
 ネルはちらっとクシャーナの方を見る。そして、クシャーナはそんなネルに対してコクリと頷いた。

「クシャーナ様は公爵家のご令嬢だ」

 公爵家っていうと?

「こ、公爵家って王族じゃないの」

 とフィリアが情報を追加してくれる。
 それが、護衛を一人しか連れていないのは不思議だが、まぁいい。

 俺は立ち上がり、クシャーナに近づいていく。
 そして、クシャーナの頭に手を置いた。

「い、いったい何を……」

 そんな様子をネルを含め全員が見守る。

「クシャーナだったな、もし声が戻るとしたらどうする?」
「そ、そんなことが?」

 真っ先に反応したのはネルだ。

「俺はお前に聞いていない。クシャーナに聞いている。どうだ戻したいか? 戻したいなら頷け」

 すると、クシャーナはゆっくり頷いた。

「わかった。じゃあネルとクシャーナに守ってもらうことが一つ。これから見ること起こったことを絶対に口外しないこと。それが守れるならその喉を直してやる」

 俺が再度問うとネルもクシャーナも問題なく頷いた。

「わかった」

 俺はクシャーナの喉に触れる。するとクシャーナはびくっとするが俺の手を受け入れる。
 そのまま俺は範囲を決めるというより、クシャーナの喉を対象にして瞳の力を発動させる。

 『時空ノ瞳クロノス』『時空逆行リワインド

 俺はクシャーナの喉を巻き戻す。それは声を使えていたその時まで。
 幼少期までのそれを戻すのに対象の魔力を消費した。

「ほら、声を出してみろ。大丈夫だ」

 するとクシャーナは息を吐いて呼吸を整える。

「あーーーー、あっ声が、本当に声が、出る」

 クシャーナの目はウルウルしていて、いまにも涙を流しそうだ。

「お兄様!」

 すると、突然クシャーナが俺に向かって飛び込んでくる。

「ど、どうしたんだ? クシャーナ。ってなんでお兄様!?」
「クシャーナと呼ばず、どうぞ気軽にクーシャと呼んでください! お兄様」

 そんな状況を見てネルを含め全員が俺のことをジト目で睨んでくる。
 頭の中からも4人から無言の威圧ともいえるべきものが飛んできている。
 俺はそんな状況にため息を吐きながら、この状況の打開策を考え始めた。


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