覇王の息子 異世界を馳せる

チョーカー

ルーデルの条件

 「条件だぁ?」

 条件という言葉に直家は警戒心を強め、不満を隠さない口調を返した。
 たった4人の集団と同盟を組むための条件。
 ろくな話じゃあるまいと直家は判断したのだ。

 「えぇ、条件です。できれば貴方が直属の配下になってくれれば話は早いのですが……」
 「話にならん。俺の目的は元の世界に戻る事であり、曹丕殿とは一時の主従関係に過ぎぬ」
 「もちろん、わかっています。配下にならないとおっしゃるのであれば……」

 そういうとルーデルは王座の裏に手を回し、剣を取り出した。
 西洋風の長剣。いわゆるロングソードというやつだ。

 「なに?殺しでもするのか?」
 「いやいや、滅相もありません。ただ、記念にお手合わせをお願いして貰いたい。それが条件ですよ」

 直家は「またか」と嫌な表情を見せた。
 そして、舩坂弘を指しながら、 

 「さっき、隅にいる奴と戦ったばかりだが、それでも俺の実力を認めないって言うのか?」

 そう言うってみせた。

 「いえいえ、かつて私が仕えた方が日本を特別な国としていましてね。一度、お手合わせしてみたかのですよ」

 ルーデルは剣を構える。

 「むっ!」と直家は唸る。
 ルーデルの構えはにわか仕込みではないとわかったからだ。
 半身の構え、剣は頭上まで持ち上げ、剣先をこちらに向けている。
 直家は奇妙な構えと感想を持った。
 血の匂いはせず、けれども戦場の匂いはする。
 「面白い」と直家は呟いた。
 戦いを止めようとするマキビを抑え、直家は前に出る。
 この戦いが止めれるのは直家とルーデルだけ……そう思えた。

 「さて、どう攻めたものか」

 ルーデルの構えと対峙してわかるのは攻めずらさ。
 直家の知る限り、日本の剣術ではない構え。
 なぜ、このような構えができるのか?直家は疑問に思った。
 ルーデルの服装から、自分の時代より後期の人間だと推測できる。
 剣は廃れ、種子島が主要武器へ移り変わっている時代の人間のはず。

 ならば、なぜ?

 その疑問がルーデルにも伝わったのか。

 「この時代で教わったのです。我が国で剣聖と言われたヨハンネス・リヒテナウアー。ご本人と出会える機会がありましてね」

 「だれだ、そいつは?」と悪態をついたまま、じりじりと直家は間合いを詰めていく。
 それに答えるように、同じ速度でじりじりとルーデルも前に出る。

 間合いが縮まり、互いに剣を振るう。
 そのタイミングで乱入者が現れた。
 しかし、外からそれを見た人々は、それが人間だとは理解できなかった。
 最初、人々はソレを隕石だと勘違いしたのだ。

 乱入者は空からやってきた。
 隕石のように天空から落下して……

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