覇王の息子 異世界を馳せる

チョーカー

VSドラゴン ⑦

 関羽とドラゴンの戦い。 
 両者の戦いの間、曹丕は何を行っているのか?
 曹丕は両者に気づかれる事なく、接近していた。

 『迷彩魔法』

 姿を消し、存在を限りなく無に近づける魔法。
 それを利用し、曹丕は巨大な魔力を練っていた。
 そして、それは既に終了している。
 いつでも『極大魔法』を発動する事が可能になっている。
 おそらく、その魔力の一撃は、相手がドラゴンにでも有効打になる。
 それほど、強力な魔法。だが、曹丕は発動させない。
 この戦い、曹丕の意志次第でドラゴンに勝てる事が出来る。
 だが、それを行わない。
 なぜかと聞かれても、曹丕は答えに窮するだろう。
 なぜだろうか?なぜだかわからないが、両者の邪魔をしたくない。
 そう思っている自分に曹丕は気がつく。



 ドラゴンの形状が変化した。それは2本の触手。
 なぜ、ドラゴンに触手が生えるのか?
 それは、ドラゴンの進化に秘密がある。
 ドラゴンは、どういう進化を辿って、最強の生物を言われるようになったのか?
 その姿形は、蛇や蜥蜴トカゲといった生物を連想させる。
 ならば、蛇や蜥蜴トカゲと同じ祖先なのだろうか?
 それにしてはサイズが違い過ぎている。
 姿形が似ていると言えば、恐竜だろうか?
 なるほど。サイズも近い。
 ドラゴンは恐竜が進化した姿と言えば、多くの人が納得するかもしれない。
 しかし、違う。
 ドラゴンの祖先は、アノマロカリスという生物だ。
 恐竜たちの時代よりも4億5000年前。
 カンブリア大爆発と言われる時代。化石などから、生物の多様化が記録さている時代だ。
 その時代に初めて最強の捕食者が生まれる。それこそがアノマロカリスだ。
 この時代、1メートルを超える最大の生物であり、食物連鎖の頂点。
 地球誕生後、初の地上最強の生物である。
 しかし、この生物。 突如として絶滅したと考えれている。
 その理由は単純にカンブリア紀後期以降に化石が発見されないのだ。
 しかし、この生物が、全く違う世界へ、全く違う環境へ移り住み、独自の進化を遂げていたらどうだろうか?
 そう、それこそが―——
 それこそがドラゴンの正体である。

 そして、2本の触手が意味するのは―———
 太古の昔、アノマロカリスが獲物を狩る時の最大の武器。
 口から生えた2本の触手が、現在のドラゴンにも、最大の武器として受け継がれていた。
 つまり、その2本の触手を出した姿こそ、ドラゴンにとって本気であり、最強の姿であるのだ。
 

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