クラウンクレイド

さたけまさたけ/茶竹抹茶竹

『あとがき withアリナン』

あとがき  アリナン
あとがきとして、設定協力の「アリナン」くんと表紙絵を描いてくれた「ツチメイロウ」さんと作品についてお喋りをしました。クラウンクレイドの続編についても喋っているので是非最後までお付き合いください。


―――【対談 茶竹抹茶竹&アリナン】―――


茶竹(以下、茶)「というわけで最終回を終えたという事でね、設定担当のアリナン先生に来ていただいたので、ぼちぼち設定の話とかしていこうかと思います」
アリナン(以下、有)『どうもこんにちは』
茶「アリナンくんにはネット公開より先に最終話を見せているので、全部読み終わっている状態です。どうでした?」
有『最後まで読んで一番言いたいのは、「救いがねぇな」って』
茶「ですよねー」
有『香苗さんそうなるんや、みたいなね? え? うぇ?って変な声でたもん』
茶「香苗さんに関しては、まぁちょっとやりすぎちゃったかなとは思ってますけど……。まぁ、メタな話をすると弘人編の方があんまりインパクトが無かったので」
有『なかっ……いや、充分あったと思うよ。ホームセンターの話とか、まさか助けた梨絵ちゃんがゾンビ化してるわ、鷹橋さんゾンビ化するわとか。そうだ、ホームセンターのとこなんだけど、弘人くんと香苗さんがヘリに連れ去られた意味はなんだったん?』
茶「あれは、弘人くんが香苗さんに抱えられてホームセンターを離脱したんです。ちらっとそんな感じの事が書いてあるんですけど。そこをたまたまヘリに発見されて、回収された様な感じです(回収された理由は推測してみてください)。だから、誰かがホームセンターに助けに来た感じではなくて、香苗さんが火事場の馬鹿力で脱出した」
有『あー、香苗さんすごくない?』
茶「まぁ、愛の力ってことでお願いします」
有『あと香苗さんといえば、香苗さんのおじいちゃん……おじいちゃんで良いの?』
茶「樹村さん?」
有『そう、樹村おじいちゃんのあの一件投げっぱなしじゃない? 息子(謎)みたいな』
茶「それはねー、大丈夫。次回作で回収します」
有『大丈夫? 樹村息子(謎)というか香苗パパ(謎)が「あれ? おかしくね」みたいな謎を残して「お前は誰だ」で話が変わって、ここでじらすのか? って思ってたら』
茶「最後まで読み終えて何処に行った? みたいな感じになるよね。わざとなので大丈夫です、打ち切りエンドじゃないから」
有『(笑)』
茶「結局、あれは誰なんだって話になるんですけどね。そこは次回作で回収します」
有『鷹橋さんのやつも?』
茶「桜ママの台詞のやつですよね?なんかこう、イマイチ特徴が一致しない人達の件は」
有『投げっぱなしじゃない?(笑)』
茶「違います(笑) 次回作の話は後でするのでとりあえずは此処ではこれくらいで。作品の設定の話とかしていきましょう」


―――【消火器を信頼して振り回してれば生存ルート入ってたのに】―――


有『最初の方で気になったのが、学校で葉山くんが「噛まれてから何分以内に発症して云々」みたいな観察してたじゃん』
茶「性格として、なんかこう、ヤバい感じの人っぽさを出したかったんですけど」
有『ヤバい感じは充分伝わってる、こいつやべぇなって』
茶「実はそれ、とある伏線になってるんですよ」
有『なってるんか』
茶「妹関連の話とかね、まぁ色々あるんですよ」
有『あと学校といえば小野間くん好きよ』
茶「一部読者から評判悪いんですよ、小野間くん」
有『ほんと? 個人的には消火器を使ってるのが評価高い』
茶「消火器強いですよね」
有『重量あるし、噴出しても強いし。なんかねぇ、小野間くんが消火器使った時に、小野間くんは生存ルートだな。って思ったのよ』
茶「ダメでした」
有『駄目だった。(笑)』
茶「消火器手放しちゃったからですかね(笑)」
有『最初から最後まで消火器を信頼して振り回してれば生存ルート入ってたのに』
茶「消火器はちょっと祷ちゃんと相性悪いですから……」
有『あと武器といえば、祷ちゃんが最初の晩にさ、竹刀なげちゃったじゃん。それ小野間くんが装備した方が強かったんじゃないの? ダメ? 他の物投げればよかったじゃん?』
茶「たまたま他に手元に無かったんですよね(笑) 竹刀はですねー、これ出番ないから捨てて良いなって思って。一応剣道やってる設定だから持っていったんですけどど、竹刀いらねぇなって思いまして。アリナンくん、変なとこ気にするね(笑)」
有『(笑) 学校の非常食の備蓄倉庫の話は良かったね。行きたいけど、遠くて行けないみたいな』
茶「そう、学校の備蓄倉庫って大抵変なとこにあるんですよね」
有『行こうと思えば行けたんじゃん?』
茶「うーん、パンデミック発生から一日目、心情的に行けるかなあ……って思いますね」
有『結局、あの学校での生き残りは二人だけなの?』
茶「本当は校庭の隅にいたとか、あったかもしれないけど特に描写してないです」
有『たぶん駄目だったんだろうなぁって』
茶「まぁ他に書くべきこと多かったので」
有『ありがちな食糧問題とかも、上手くカバー出来てるし矛盾ていうか無理は無かったよね』
茶「食糧はね、ある程度考えながら書きました。みんな死んでるし、今の防災意識が高い時代なら食料は何とかなるでしょって思ってます。学校脱出後の話で食料の話は結構してましたけど、二ヶ月くらいの間ならなんとかなったっていう描写をしてます」
有『学校からホームセンターの間ね。あそこで急に二ヶ月飛んだのはなんで?』
茶「あれは単に飛ばしたかっただけですね。結局家の中で生活できるよね、って感じで話を考えてて。二ヶ月経って食糧とかが切羽詰まってきたから移動しよう、って祷ちゃんが考える方が整合性取れるかなと」


―――【明瀬ちゃんオタクなので……それ含めて可愛いヒロインってことで】―――


有『ホームセンターでさ、明瀬ちゃんが生物の本読んでたけど。生物の本なんてホームセンターにあるか?』
茶「それは、生存者が持ってたやつです」
有『こんなの持ってくる?』
茶「学生がいた」
有『ぼく絶対持ってこない』
茶「それはアリナン君が不真面目だからでしょ(笑)」
有『要らないでしょ、それ持ってくるならペットボトルの一本でも持って来いよ』
茶「あー、そういうこと。避難してくる時に生物の本を持ってきたわけではなくてですね、突如パンデミックが起きたので外出先から逃げてきた誰かの私物っていう設定か、香苗さんの私物っていう設定。どっちのつもりで当時書いてたか覚えてないけど、とりあえずホームセンターの売り物じゃないです」
有『なるほど。その後ホームセンターが崩壊しちゃうけど、その辺りである69話が良かったよね。明瀬ちゃんが初めて魔法を使うとこ。学校で佳東さんが噛まれてた、っていう話を思い出して「あ、もしかして抗体って……」ってなる』
茶「流石、察しが良いですね。聡明な読者だ」
有『流石に分かるでしょ(笑)』
茶「ここがやっぱり散々引っ張て来た伏線ですね。佳東さんの怪しげなセリフとか」
有『ここが最高潮に面白い。やっとエンジンかかってきたなって』
茶「やっと……(笑)」
有『正直ね、最初の方が読むの辛かった。なんかねー、なんだろう』
茶「ダラダラしてました? 話的にどの辺ですかね?」
有『学校脱出する前後らへん?』
茶「あー」
有『職員室の中に入ったらゾンビがいっぱいいて、パニックになって、「うわぁ!」ってなる辺りからすごい良かった。あそこから面白くなるけど、あそこまでがちょっとね長い』
茶「なるほど。作者的には、最初にゾンビが現れた後にまさかの魔法が! っていうので一回パンチは入れたかな?って感じだったんですけど。ちょっと長かったかもしれない」
有『かなぁ。そっから69話まで読み進めて、明瀬ちゃんの魔法の下りで最高潮に盛り上がってる気がした。今まで何人か目の前で噛まれてるけど、感染したりしなかったりで謎がずっと残っているところだったから』
茶「何故か噛まれたけど大丈夫だった明瀬ちゃんと佳東さん。噛まれてアウトだった他のみんな。っていうその理由ですね」
有『佳東さんは水を操れるようになった、明瀬ちゃんは風を操れるようになって……なんかおかしいぞ?って』
茶「噛まれてるのにセーフだった明瀬ちゃんがイレギュラーなのかと思っていたら佳東さんも出てきて、共通点が魔女の才能だったという」
有『イレギュラーといえば、葉山君が謎ワードを口走ってたけど』
茶「あー、シンギュラリティですか?」
有『そうそう』
茶「シンギュラリティって、「転換期」とかそういう意味で、これは意味深ワードで次回に繋がるんですけど。この単語を言ってる人が他にもいるんですよね。葉山君が意味深に祷ちゃんに聞いてきたのとは別に、二人ほどサラっと喋ってるんですけど」
有『二人いた?』
茶「はい。葉山君が急に謎ワード喋り出したよって思ってたら、他の人もシンギュラリティって言ってたっていうのが重要です。じゃあ、そいつらの共通項なによ? っていうのは次回作でやります」
有『二人の内片方しか覚えてない。終盤の人の方』
茶「あーそっちか。ホームセンターのあたりでも言ってる人がいるんですよ」
有『アダプターになっちゃった人か。 そういえば何でアダプターってネーミングなの? ウォーカー、スプリンター、スプリンクラーはしっくりくるんだけど。アドバンスとかじゃだめなの?』
茶「ナントカー、ナンタラー、で統一したかったんです」
有『ゴリラーとか』
茶「ゴリラっぽくなってはいますけど(笑)」
有『アダプターに一瞬違和感があった。アダプターって聞くとと接続とか中間に噛ませるみたいな印象があるから、例えばゾンビがもう一段階進化する際に経由するものなのかな。って印象が』
茶「なるほどー。アダプターって何かを適応、適合させるって意味なので、ウィルスに適応したって意味で付けました。ちなみに作中だと、明瀬ちゃんがアダプターって名前を付けたんですけど、他の誰かもアダプターって呼んでるんですよ。明瀬ちゃんと関係ない筈の人が」
有『……呼んでたね』
茶「それミスじゃないの?ってほかの人に言われたけど。ちゃんと意味があります」
有『そう、ぼくも読んでて思った。この二人って直接会話してことあったけかな?って。明瀬ちゃんがアダプターって呼んだけど、その前にアダプターって呼んでた人が居て。その二人会話してないのに、同時にアダプターって言い始めたから』
茶「それは作者の都合とかじゃなくて設定なんですよ。何故二人は、というか、何故アダプターと呼んだのか。っていうとこがね」
有『うーん……? アダプターといえば、コンビニを狩場にしてたアダプターが印象深い。人が集まってくるから待ち伏せをして、店の出入口の屋根のところで待ち伏せしてたってやつ。知能が高いって感じで』
茶「アダプター知能高くね? って話になってくるんですよ。投擲の所とかね。最終的にゾンビが別個の種として進化してるって話にしたくて。進化の考え方なんかは明瀬ちゃんが喋ってましたけど、この辺はちょくちょくアリナン君に確認取ってましたね」
有『明瀬ちゃん急に賢くなるときあるよね?』
茶「基本的には賢いんだけど、お調子者キャラではあるから」
有『専門的な事になると急に賢くなる感じが』
茶「明瀬ちゃんオタクなので……。オタク気質だから急に語り出しちゃうんです。それ含めて可愛いヒロインってことで」


―――【なんなの? チェーンソーって何だよ】―――


茶「ヒロインの話に関連して、チェーンソーの話しましょう」
有『桜ちゃんね』
茶「そう、桜ちゃんの武器がチェーンソーになったかっていう戦犯が、アリナンくんですからね」
有『僕なんですよね』
茶「なんなの? チェーンソーって何だよ。チョー扱いづらかったわ!」
有『ゾンビものって言ったら、御約束だと思うんだよ。ホームセンターとゾンビときたらチェーンソーしかない。あとガスマスクと白衣」
茶「ちょっと何を言ってるか分かんないです」
有『今回は桜ちゃんの魔法が電気だから電動式チェーンソーになったんだけど、やっぱりガソリン駆動がよかった。爆音をかき鳴らすタイプにしてほしかった』
茶「いやねぇ……。アリナンくんにどんなヒロインが良いかな、って聞いたらチェーンソー持たせろって言われて。正直チェーンソーに関してはぶっ飛び設定なわけですよ。作中で何故チェーンソーを持ってるかって説明されてないから」
有『いいタイミングでチェーンソーを手に入れるとかじゃなくて、さらっと背負ってるんだよね』
茶「アリナンくんの趣味です、としか(笑)」
有『説明できない(笑)』
茶「これでも一応頑張ったんですよ。ガスマスク外したし」
有『なんでだよ、ヒロインには白衣、ガスマスク、チェーンソーは必須でしょ』
茶「それヒロインじゃないんだよなぁ……。チェーンソー、ホント使いづらくてどうやって描写しようかなってかなり悩みましたね」
有『チェーンソーって切り抜くんじゃなくて押し付けて切るから、高速で戦闘してる時に叩き付けてもしょうがないんだよ。ゆっくり近付いてって押し当ててブーンってするのが強い』
茶「絵面が悪すぎるでしょ……。そこらへんはある程度ファンタジー入れてぶった切るってことにしました。まぁ設定のインパクト的には良かったかな。チェーンソー持たせたことによって、桜ちゃんが女の子にしては高身長っていう設定に変わったりもしてます」
有『桜ちゃんって中学生だっけ。中学生にしては大人び過ぎてない?』
茶「特に裏設定とかあるわけじゃなくて、彼女の性格として大人びてる感じですね」
有『なんかこの子、将来心配だなって感じたかな。梨絵ちゃんが死んだ時は年相応に取り乱したかなって感じがしたけど。それ以外はね、会話の節節に大人が見え隠れしてる感じ。23歳くらい?』
茶「中学生です」
有『大人に感じるのはチェーンソー持ってるせいかな』
茶「(笑) チェーンソーを武器として使ってる設定を何かに活かしたくて。返り血がすごいかかるけど、抗体があるから感染しないっていう伏線に使いました。使うの本当に大変だったので次は別の武器を考えてほしいです」
有『でも、ほかに武器になりそうな電化製品ってないよなぁ。髭剃りとか掃除機とかパワーアップさせてもね。吸い込みがすごいとか』
茶「ダイソン(笑) ラジコンとかドローンとか出してもいいかなとは、思いましたね。魔法をスーパー能力みたいには描きたくなかったから、チェーンソーを駆動させるみたいな地味な使い方しかしてないようにしてますけど」
有『でも十分じゃない? スプリンクラー発動させたりとかは良かったよね。能力理解してる感じが』
茶「桜ちゃんは優秀なので」
有『武器のセンスおかしいけどね』
茶「お前のせいだよ!」
有『閉じ込められたところから脱出するとかバリケードを粉砕するとかに効力を発揮する感じだから、ゾンビ相手には役に立たなさそうだよね』
茶「ホームセンターのバリケード作るとかですね」
有『そうそう、家具とか切ってたんだろうね』


―――【アリナン君が魔女の力とゾンビの原因の根っこが一緒だったら面白いよね、って事言ったので】―――


有『抗体の話だけど、噛まれたときに唾液によって感染するわけじゃん。でも最初の段階でスプリンクラーが血液を撒き散らしてパンデミックを起こしているから血液でも駄目なわけだよね? 話の途中でゾンビをふっ飛ばしたりしてるけど、ウォーカーとかに攻撃して血を浴びても大丈夫なのかな」
茶「駄目なんですよ。実際作中でウォーカーを攻撃して血液がかかった人って、魔女を除くといない……よね? あれか、鷹橋さんが殴ったくらいか。殴ったくらいなら大丈夫、外傷が無ければ体内に入んないので。さっきも話にでたけど桜ちゃんとかは抗体を持ってるから、割と何度か血を浴びてるけど問題ない感じです」
有『じゃあ他の人は駄目なわけ?』
茶「仮に香苗さんとか梨絵ちゃんとかが、ゾンビを殴った時に本人に傷が付いたりして血液が入っちゃったりすると感染しますね」
有『なんか唾液だけなのかな?って思って。 唾液だけだったら噛まれなきゃいいのかなって気がしちゃって』
茶「まぁ他人の血液が体に入ることってあんまりないですし……」
有『他の分泌器官はどうなのかな。汗腺とか。あ、でも。そもそも汗かかない気がする。新陳代謝の話はあったよね』
茶「体温が低いっていう設定もあったので汗はどうですかね。まぁ基本的には唾液と血液ですね。噛まれなきゃいいって感じはあります。スプリンクラーだけが特殊ですね、撒き散らすので。血の量が多いから、近くにいた人の粘膜に触れる可能性が高いわけです」
有『スプリンター?スプリンクラー?だっけ』
茶「スプリンクラーが撒き散らすやつで、スプリンターが走るやつですね」
有『スプリンターが出てきた時は、絶望感あって良かったよね』
茶「あれはロメロ監督に怒られるやつですね。ロメロ監督ネタはちょっと入れたかったので明瀬ちゃんが叫んでます」
有『桜ちゃんが血を被っても平気だっていう話に戻るけど、ウイルスの抗体を持ってる人が魔女なわけだよね
茶「そう、抗体を持ってるからウイルスが弱毒化して脳にダメージを与えないで脳を活性化させるだけに留めてる。それで脳が活性化してて従来の人間とは違う力を使えるってこと」
有『理には適ってるよね』
茶「この設定良いと思うんだよな、自画自賛ですけど。アリナン君が魔女の力とゾンビの原因の根っこが一緒だったら面白いよね、って事言ったので辻褄の合う設定を頑張って考えました。魔女はゾンビ化の抗体を血脈として受け継いでるよ、っていう設定にして。抗体を持ってない人はすぐ感染しちゃうし、抗体を持ってる人は弱毒化したウイルスに脳を刺激されて魔法が使えるようになるっていう」
有『抗体を持ってる人は、祖先のどっかに魔女が居たってこと?』
茶「体質的にたまたまって可能性もありますね。明瀬ちゃんは魔女の家系じゃないけど、たまたまその抗体を持っていたってのは在り得ます」
有『それか遠い先祖の何処かで魔女の血脈と一瞬絡んだ?』
茶「もしくは特に魔女としての技術を継承してこなかったか、先祖が魔女の才能に気付かなかったかですかね。そこらへんは、特に設定してないです。魔女になるのに抗体は必須だけど、抗体を持ってるからといって魔女になるわけじゃないってことです。例えば、人より足が長くなりやすい遺伝子をもった家系があったとしても、だけどみんながプロのモデルになるわけじゃないみたいな感じですかね」


―――【あとさ、凄い気になってたんだけど彼女達ってお風呂入ってる?】―――


有『あとさ、凄い気になってたんだけど彼女達ってお風呂入ってる?』
茶「あー、サバイバル作品お約束のトイレお風呂問題ですね」
有『まぁ、トイレはなんとかするでしょ。風呂だよ問題は』
茶「風呂は入ってないです」
有『本気で言ってる?』
茶「あー、ホームセンターでシャワーの話した気もしますが」
有『結局、風呂あんの?』
茶「基本的には水風呂……? あとタオルで拭くとかですかね」
有『洗濯とか風呂とかどうしてんのかなって読んでて気になってた』
茶「服は、駄目になったやつは捨ててる。他の人の家とかから回収したりして、まぁ二ヶ月くらいなら何とかなるでしょって感じです。風呂は水が止まってるから、なかなか……」
有『年頃の女の子だから、その辺気になるかなと』
茶「あー、それねー……、電気と炎があるから水は沸かせるし入ってたことにしましょう」
有『そうだね、毎日でなくてもね。そうしないとね、なかなかね』
茶「その辺は書かなかったので察して(笑) 書いた方が良かったです?」
有『一回位は欲しかったかなって』
茶「その辺は生々しくて、生理的に。あんまり筆が進まなかったってのはあります。あーでも、祷ちゃんと明瀬ちゃんが行為しちゃったときは事前に風呂に入ってたって事で」
有『ていうか、あの話必要だった?』
茶「必要に決まってんでしょ。まぁ僕が書きたかっただけなんですけど、あのシーンの為だけに小説を書きたかったと言っても過言ではないです。あと、あそこでブクマ増えましたから」
有『(笑)』
茶「まぁ、それ位の仲になったよ、って話ですよ」


―――【桜ちゃんの呪文カッコいいよね】―――


有『ラストらへんだとクソ研究者の散り際が良かったよね』
茶「アリナンくん、ああいうの好きそうですよね。性癖的に。ゾンビ映画の御約束展開かなぁって」
有『散り際の情けなさがね。そういえばあいつも、意味深な言葉言ってたよね。なんでこいつ、こんな事知ってんだろ? みたいなね』
茶「まぁ、何らかの陰謀めいたものが蠢いてるって感じで。裏事情知ってそうな人が何人かいたよねっていう話ですね。情報を握ってるやつがいるわけです」
有『ラストらへんといえば、エヴェレットの鍵っていつ使いこなせるようになったの? 最初不発だったよね?』
茶「あれは祷ちゃんの中の軛が取れた時にですね。作中だと君を縛る鎖だとか、それを開ける鍵だとか言われたりしてるけど、祷ちゃんがその言葉通りに従ったっていう表現です」
有『それっていつ』
茶「優子さんにやられて、謎空間に飛ばされた辺り。それ以前は呪文詠唱してるから鍵は使えてないって事です。その後に内面のロックを解除したから詠唱省略ってことですね」
有『なるほどねー。桜ちゃんのお母さんも桜ちゃんに杖をあげれば良かったのに、チェーンソーじゃない武器とか』
茶「お母さんツッコミたかったでしょうね。でも、チェーンソー振り回すような女の子でなければ鍵は桜ちゃんに渡ってたかもしれない。桜ちゃんでは使わないだろうから、ってことで祷の手に渡ったので」
有『桜ちゃんと杖って相性悪そうだもん』
茶「あと祷ちゃんと比較して呪文が短いから」
有『桜ちゃんの呪文カッコいいよね』
茶「ぼくとアリナンくんの二人で深夜に考えてましたね。祷ちゃんの方の呪文も結構時間使って考えてます。祷ちゃんの呪文は一つ30分くらいかかってる。よく読んだら意味が通るようにしたり、それぞれの呪文の雰囲気が似てたりとか、工夫してます」


―――【超超高分子化合物って単語閃かないとおもう】―――


茶「最後にエネルギー生産の話をしますか。アリナンくんに全部考えてもらった設定ですので」
有『なんでゾンビが長時間活動出来るのか、みたいなところに言及するのあんまりないよね』
茶「そうだね。そこのディティールをちゃんと書こうと思って。魔法っていうファンタジーを描く代わりに他をリアルにしたくて。アリナン君に夜中ラインした」
有『突然来たんだよなぁ。「はあ?」って思ったわ』
茶「ゾンビが食べなくても生きていける点と、動作が緩慢になることを生物的に説明できないか、って事で。ぼくが最初に、動作も緩慢だし視力も落ちてるし消費エネルギーが少ないって理由で説明できないか、ってアイディアを出しまして」
有『アウトプットが減ってるって話だよね。でも、それじゃ長時間は無理だよってことで。ちょっとずつ貯蔵したエネルギーを使っていく事にすれば良いって。それで超超高分子化合物って単語にしようって』
茶「そうですね」
有『あれ思いつくのは明瀬ちゃんだけど、結構唐突だったよね』
茶「え」
有『超超高分子化合物って単語閃かないとおもう』
茶「それはアリナンくんから来た通りの設定を書いちゃったからですよ。生物に詳しければ普通に思い付くワードなのかと思ってました」
有『思い付かないです(笑)』
茶「ちょっと! まぁでも、その設定を考えて貰った時にしっくり来て。ゾンビが走れない設定の辻褄も合わせられたし。エネルギー貯蔵と消費の設定を思い付いたのが一番大きかったかなって」
有『本当は、(身体の構造的に)そんなに上手く行くわけないんだけどね』
茶「でも、なんでそれが出来るのか、っていうのは次回作の伏線になってます。アリナンくんにも科学的には不可能でも、それらしい理屈であれば良いとお願いしましたし。優子さんがさらっと語ってますけど、ちゃんと回収します」
有『優子さんといえば、ラスボスにふさわしい思考を持ってるキャラだよね』
茶「既存の醜い社会の仕組みを壊そうっていうキャラなんですけど、個人的にはすごいお気に入りですね」
有『優子さんの言葉って、でも否定出来ないんだよな』
茶「祷ちゃんもそれを否定してるわけじゃないんですよね。認めてはいる」
有『かと言って相容れないって感じだよね。祷ちゃんの道に、優子さんの存在が邪魔だから消すってのが』
茶「正義感じゃないんですよね」
有『エゴだよね』
茶「そう、そこが書きたかったんです」
有『善悪とかじゃなくて、エゴに終始してる』
茶「作中でも書いてるけど、優子さんが黒幕でもないし倒せば全部解決するわけでもないし、あくまで生き残った人同士のエゴなんですよ」
有『祷ちゃんも世界とか人類の為に戦うとかじゃないんだよね。私と明瀬ちゃんがいれば良い、っていう思考だし。優子さんも、自分がやりたいようにやる、制約がないような世界を作りたいみたいなね。人間っぽさをむき出しにしてる。ラスボスだけどラスボスじゃない』
茶「優子さんを全ての黒幕にしたら詰まんないかなって」
有『黒幕は誰なんですかねぇ』


―――【アダプターになった人って共通点があるんですよね】―――


茶「ラストに謎の一文があったと思うんですけど」
有『あれなんやねん、っていう。そんな設定あったっけ? みたいなね』
茶「あれを読んで、じゃあゾンビってなんだったんだ。みたいなヒキにしたかったんです。次回作の話はツチメイロウさんと詳しくするので、アリナン君とは無しということで。一つだけ核心に迫る事言うと、アダプターになった人って共通点があるんですよね」
有『アダプターになった人?』
茶「みんな、共通したワードを言ってたような気がするな?って」
有『あぁー!』
茶「だから、香苗さんがアダプターになった時に、あの人があんな事を言いましたよね?って」
有『これは一度読み返さないと駄目だわ』
茶「細かい台詞とか確認してもらうとね? 気付けるかもしれないですね」
有『あー、そういう事か』
茶「これ以上喋ると全部ネタ晴らししそうだから今回はここまでで。というわけで長い間ありがとうございました」
有『お疲れ様でした』


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