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第㊙︎の3の中編 七五三一イベント

「あぁ!アズたん!アズたんじゃなべふ!?」

玉座の間に到着早々、奇声を上げてきた変態の腹をマークが殴って沈黙させる

『ふぐぅ!?おい?貴様国王に対して・・・』
『だまってくだサーイ、これ以上自体を悪化させるわけにはいかないのデース』

何やらコソコソと話しだす二人を尻目に
もう帰りたくなってきた

『しかし我が愛しのスイートハニーがせっか「オーウ!これ以上何かおかしな事を言ったら陛下が先日お漏らしを」ええい!わかった!それ以上口を開くな!というかまた覗き見をしていたのか!?』

何やらこちらをチラチラ見ながら狼狽出す国王
なんだ?通報しても良いか?お漏らしキング

『心外デース!六大として陛下の身辺警護に力を入れているだけデース』

マークが何やら大げさに両手を広げる
国王は苦虫を潰したような顔をすると俺の前に向き直る

『それにその事は既にメイド達によって拡散されているので無駄デース』
「おい?貴様今なんとふぐぅ!?」

再び国王に腹パンをいれるマーク

「なあ、もう帰っても良いかな?」
「オーウ!ソーリー!ほら陛下!」

腹を抱えながら立ち上がった国王が再び俺に向き直る

「実はアズた・・・アズ卿を呼び出したのには深い事情がある」

おい?今なんか変な・・・まぁ良い、こいつらの調子に合わせていたら話が進まない

「七五三一についてですよね?それと外の惨状が何か繋がりが?」

俺はここに来るまでの道中を思い出す

突如空から飛来した数百万を超える矢の雨
一体どれだけの力で放たれたのか
一本一本が軽く石畳を粉砕していた

「うむ、まずはこれが去年のグラフの新生児と7つになった子供の数だ」

マークが国王から書簡を受け取り俺に持ってくる
俺は国王が触れていた部位を軽くハンカチで拭い書簡を受け取る

新生児、7歳含め数千ちょっとか?
グラフの国土にしては少ない方なのではないだろうか
しかし・・・

「これだと空から降ってきた矢の数が合わないんじゃないか?」

俺の訝しげな表情に国王が破顔する

「ああ!そんな頭の回らないアズた・・・よせマーク、わかった!わかったから!」

マークが肩に担いでいた火縄銃のようなものを国王のこめかみに当てると
国王が慌てて土下座をしだす

国王とは一体何だったのか
俺の侮蔑の視線に国王は咳払いを一つ

「実は昨年よりどこからともなく現れた冒険者達なのだが・・・何故か月占種がそやつらを新生児と同一視したらしくてな」

冒険者を?そういえばマークが最初に言ってたな・・・
BGOは年齢制限があるので少なくとも7歳以下は絶対にプレイ出来ない筈だ

「だとすると・・・冒険者の年齢はバラバラだし・・・」

俺の頭の中で一年前と冒険者というワードから
ある可能性が絞り出される

「新規でIDを作ったから・・・?」

俺は口にしてその可能性に血の気が引いていくのを覚える
確かBGOのユーザー数は数千万を超えている
そしてその言葉肯定するかのようにマークが頷く

「イェース!流石はアズ卿!その通りデース」

デースじゃねぇよこの野郎!
だとすると外の惨状はあれか!?今年生まれた事になった冒険者のせいか!?

「そ・・・それが事実なら一刻も早く皆んなに伝えないと・・・」

俺は慌てて全フレンド(2桁いかない)に一斉送信する

「これなら俺以外のやつも呼び出した方が良かったんじゃないかな!?」

大体どうやってそんな情報を掴んでんだよ!
しかし俺の悲鳴にマークが首を横に降る

「私が知る限り、月占種に新生児と認定されてないのはアズ卿、剣豪殿、ゴミの三人だけでしたノデ・・・」

つまりその三人ならば狙撃される心配はないと・・・
身の安全の為か!
まぁこの国の人間は冒険者と違って死んだらお終いなので仕方ないか・・・?

「というかグレイはさっき狙撃されてたぞ?」
「グレイボーイは今年生誕より7つと認定されてマース」
「なんで俺とルピーとグレイだけそんな変なカテゴライズされてんの!?」

俺の驚愕の表情に、マークが人差し指で唇を覆い笑顔を浮かべる

「禁則事項デース」

殴りたい!この笑顔!

「それより返事をしなくて大丈夫なのデスカ?」

マークの質問に俺はメールボックスを開く

[なんやて!?どういう事なん!?]
[おいおいおいおい!俺はログアウトさせてもらう]
[私の見立てでは・・・去年の新規ユーザーの数は5300万です]
[お腹が空きました]

フレンド達が一斉にメールを送ってきたせいで
俺のメールボックスがかつてないほど充実している

なんだろう・・・なんかリア充っぽい・・・
俺は軽く優越感に浸りながらもフレンド達に一斉に返信を送る

[これより、第666回目の円卓会議を実施する!]

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