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第㊙︎の3話前編 七五三イベント

ハローエブリワン
現在俺は三歳の子供を持つ知人に連れられ七五三を祝いに行き
知人の子供のついでに貰った千歳飴にかぶりつきながらヘッドギアを被っています
いくら俺でも7歳に間違えられたわけじゃない
だがグレイ辺りに言ったら絶対からかわれるから言わないでおこう

「それにしても懐かしい味だ」

俺はついでに貰った千歳飴をそのまま舐めながら呻く
なんだ?ミルキーな味わいだ・・・この感動を誰かに伝えたい
そういえばアクアは何歳くらいなんだ?
もしかしたら丁度良いのかもしれない

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「へぇそれが千歳飴かい?」

ログインした俺は、クラウスさんに七五三の説明をしていた
俺は量産した千歳飴を手に取りかじりつく

「味の再現度もバッチリなんですよ」

俺が満足そうに頷くとクラウスさんが苦笑いを浮かべている

「どうしました?」
「いや、実はグラフにも同じ日にイベントがあってね・・・七五三一っていうんだが」

なんだ、日付だけでなく名前までそっくりじゃないか
もしかしてクラウスさんが渋い顔をしてるのも内容が一緒だからか?
だとしたらこの大量の千歳飴は・・・まぁルピーにでも処理してもらおう

俺が在庫処理の方法に頭を悩ませていると横から千歳飴が一本強奪される

「あ!おま!返せ!」
「こんなにあるなら一個ぐらい良いだろ!?」

横から千歳飴を奪い取ったグレイに抗議の声をあげる

「それはそうだがお前に何かやるってのが気に食わないんだよ!」

俺は耳をほじりながら千歳飴を舐めるグレイに飛びかかろうとして・・・
突如どこからか飛来した矢にヘッドショットを決められ、胴体だけになったグレイに飛びつく形となってしまった

「ワーオ・・・いや、いくら俺でも殺そうとは思ってなかったんです、ほんとうに、だからそんな怖い顔しないでください」

俺は目の前の惨劇に呆然としながらも
より一層顔を険しくするクラウスさんに弁明をはかる
しかしクラウスさんが首を横に降る

「実はね・・・」



七五三一
グラフでは毎年鷲の月の15日に行われるイベントだそうだ
その内容は地球の七五三と大きくかけ離れており
その年に生まれた人間と、7歳を迎えた人間の数だけ、5時と3時の二回
月に住む占い種族、月占種により
その人間の一生涯の運勢を計測した矢が射出されるというものらしい

「なんか面白そうなイベントじゃないですか!」

俺が笑みを浮かべる中、隣でリスポーンしてきたグレイが体を震わせる

「とんでもねぇイベントの間違いだろ!?」

ちなみにグレイの運勢は生まれが最高で一生涯にかけて下に下がっていっている
つまりグレイはこれからの人生今まで以上の幸福を得る事は出来ないと宣告されたのだ

俺とクラウスさんが憐れみの目を向ける中、グレイが不貞腐れて千歳飴を舐めている
さっきはああ言ったがこんな運勢を見せられたらあげても良いかなと思えてきたのだ

「しかしグレイはなんで矢が飛んできたんだ?」

少なくとも生まれたてでも7歳でもないだろうに
俺の疑問にグレイも首を傾けている

「それは冒険者が今年生まれたからデース!」

唐突にドアを開けはなち中に入ってきた人物に俺達は目を見開く

赤い貴族服に白銀の髪、片目には義眼が埋め込まれている異様な風態の男
六大貴族の一人

「ベルマークだっけ」
「コンドル・マーク、デース」

そんな名前だったか

「実はアズ卿にご相談があ「お断りします」

俺が迅速かつ丁寧にお断りを述べると
何かを伝えようとしてきたマークが真顔でこちらを見ている

グラフで経済面、政治面、全てにおいて秀でている六大貴族
そんなやつがわざわざ頼みにくる?
絶対国王が出張ってくるだろ?

何をトチ狂ったか俺に愛を叫んだ変態に体を震わす
そんな俺の状態をどうとったのか
マークが両口角を人差し指であげている

「そんなにこわい顔シナイデ!」

おや?表情に出ていたか?
俺はマークを真似て口角を人差し指で上げると
顔をふにふにさせて表情を和らげる

「今回は本当に一大事なのデース!もし陛下が変な事をしようとしたら帰って大丈夫デスから!」

ほんとうに?俺が確認の意を含めてマークを睨むと
マークがこれでもかというほど首を縦に振るう

そこまで言うなら仕方ないか・・・
若干の抵抗はあるが本当に何か一大事なのかもしれない

俺がマークの背後を見ると
外にはこれでもかという程派手な馬車が停っている
どちらにせよこんなのが店の前に停まっていたら営業も何もあったもんじゃない

最近ではアレク筆頭に俺がいなくても経営出来るレベルまで社員のレベルは上がっているし・・・

「たまには冒険者するか!」

観念した俺はマークが乗ってきたであろう馬車に乗り込む

「あっ、ユーはいりまセーン、グレイボーイ」
「なんで!?」

俺に続いて馬車に乗ろうとしたグレイがマークに追い返されて喚いているが無視だ無視
俺の向かいにグレイの対処を終えたマークが座る

せっかくだし国王に会う前にある程度情報を引き出しておくとしよう
あんまりあの変態と話したくないし

「んで?なんで俺だけお呼びがかかったんだ?」

マークは俺の質問に真剣な表情を浮かべる

「ユーは月占種という種族を知っていマスかー?」
「さっきクラウスさんから聞いたばっかりだな・・・ええと」

俺は先程クラウスさんから聞いた七五三一の内容から月占種の話だけピックアップしてマークに伝える

「大方はミスタークラウスの言う通りデース」

そこまで言ったマークが馬車のカーテンから空を見上げ険しい表情を浮かべる

マークの義眼は千里を見渡す事が出来ると言われる
一体その目には何が映っているのか

「月占種は共通してあるスキルを覚えるのデース」
「あるスキル?」

名前に占いとかついてるし、七五三一の内容から多分占い系のスキルか?
そんなスキルがあったか悩む俺にマークが答えを告げる

「狙撃、未来予知、望遠鏡の三つデース」

未来予知は予想通り、あとは望遠鏡と・・・狙撃?

「彼らは七五三一の季節になると成人の儀として地上の人間を狙撃する風習があるのデース」

ん?んんー?

「あれ?占いとかは関係無いの?」
「それは飛んでくる時になんやかんやで付属するようデース」

なんやかんや!?
そこの所詳しく聞きたいがマークは言葉を続ける

「狙撃自体は問題ありまセーン、問題は未来予知・・・こっちの動きを予測して狙撃してくるので回避が困難なのデース」

マークの話を聞いて血の気が引いていくのを感じる
つまり視認不可能な位置からの未来を予測した弾道
それはすなわち絶対不可避の魔弾だ

「なのでグラフでは生まれた赤ん坊と七歳の子供はこの時期絶対に外に出さない風習があるのデスが・・・」

マークのセリフの途中で馬車が大きく揺れる
なんだなんだ!?

「現在時刻5時・・・始まってしまったようデース」

慌てて馬車の外を確認する俺にマークが静かに告げる

「・・・マークさんマークさん?一体何が起きてるんですか?」

俺はグラフの街に降り注ぐ矢の雨を見ながら冷や汗を流すのだった


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