魔術がない世界で魔術を使って世界最強

海月13

ステータスと職業 後編

職業《魔術師》その効果は

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職業:魔術師
説明
・魔術構築の際、大幅な補正
・発動速度の上昇
・魔力循環効率の上昇

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というものであった。

「〔構築速度の上昇〕、これがあれば魔術の発動が早くなるし、〔魔力循環効率の上昇〕もこれを使えばより少ない魔力でより大きな魔術が使えるようになる!!それにしかも・・・!!」

職業《魔術師》は魔術師である弥一にとってはこの上ないほどありがたい効果をもたらすものだった。しかし弥一が驚いたのはその二つでない。

「〔魔術構築の大幅な補正〕。これがあれば俺は・・・昔の俺の魔術を取り戻せるかもしれない!!」

そう弥一がもっとも驚いたのは〔魔術構築の大幅な補正〕である。

今の右目がない状態の弥一では魔術構築の際、受け取る情報量が少ないためどうしても限界があり使用できない魔術は多く存在していた。初級魔術くらいの簡単な魔術式なら問題なく発動できるが、中級魔術だとほとんどが魔術補助器がないと発動できずしかも構築、発動速度が遅くなってしまい実戦ではほとんど使い物にならず、上級魔術に関しては一部例外を除いて魔術補助器を使っても発動できなかったのである。

だがこの〔魔術構築の大幅な補正〕があれば、補正自体にどこまで効果があるかは分からないが職業はレベルが上がるごとに効果が強くなるつまりレベルをあげて成長させていけば昔の頃を、いや昔以上の魔術師になれるかも知れないのである。

この事実に弥一は涙を流した。

「やったぞ・・。やったぞ父さん。俺はようやく”本物の魔術師”に戻れる。・・・いいや、それ以上の、”最高の魔術師”になれる・・・!」

それからしばらくは、弥一は”最高の魔術師”に至れるかも知れない喜びと感動の余韻に浸っていた。

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弥一はその後すぐに魔術を試そうと思ったが、ステータスを確認したせいか倦怠感におそわれた。なにもすぐ急ぐような事でもないので今日は体調回復を優先し明日思う存分魔術を使うことにした。
そうして弥一は嬉しさの余韻で火照った体を冷まし、心を落ち着けるため部屋のバルコニーで夜風に当たっていた。

コン コン

「失礼します弥一様。お体はどうでしょうか?ってあれ?弥一様?」

ステータスによる体調不良の看病に来たアーシアが部屋に入りベットに弥一がいない事に困惑しているようだった。

「おーい。アーシア、こっちこっち。」

「弥一様!?お体は大丈夫なのですか!?」

「ん?うん。すこし倦怠感はあるけど問題ないよ?なんで?」

「ステータスによる体調不良のため看病にきたのですが・・・」

「え?別に看病なんて必要ないけど」

「普通、ステータスによる体調不良というのは個人によって症状は異なりますが、どんな人でも最低、一晩は動けないくらいになるんですよ。」

「へぇ~。そうなのか。」

弥一がこうして無事でいるのは【身体強化】の魔術によって身体能力の変化に体が慣れており、今回のステータスによる変化もそれに近いため弥一はこうして倦怠感ですんでいるのである。

「しかし体調不良が無いなら安心です。そういえば弥一様のステータスはどうだったのですか?」

「ん?はい。」

そういって弥一はポケットからステータスプレートを取り出し、アーシアに渡す。

「え?え、え、えぇええええええええええーーーーーーーー!!」

とアーシアの驚愕の声が響く。

「な!ど、どうしたの?」

「どうしたもありませんよ!なんですかこの数値!!」

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《日伊月 弥一》
レベル:13
職業:魔術師

筋力:2600
体力:3010
俊敏:3490
耐性:2500
魔力:56000

〔契約精霊〕


スキル
言語・剣術・射撃・思考強化・縮地・魔力回復速度上昇

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これが今の弥一のステータスである。ちなみに+表示が消えているのは「+の表示なんて流石におかしいよな」、と考え何とかならないかとステータスプレートをいじっていたら消えてくれた。

「なにと言われても・・・なんか変?」

「全部がですよ!!」

そうしてアーシアからこの世界のステータスのことをお知えてもらった。
この世界のレベル10代の平均は300代であり魔力も700代が平均らしい。

そしてこの国でもっとも強いといわれているロジャー騎士団長でもレベル70で1000代らしく、弥一のステータスはレベル13の時点ですでに騎士団長の軽く2倍以上あることになる。またこの世界にはさまざまな種族が存在しそのどの種族でも高いもので平均が500だそうだ。

+表示がどうのこうのの問題ではなかった。

「そうだったのか。ありがとうアーシア教えてくれて。」

弥一はアーシアの頭を優しく撫でながらお礼を言う。そんな弥一の行動にアーシアは頬を赤らめる。

「い、いえ。とんでもありません。」

「それでさ、アーシアに少しお願いがあるんだけど」

「は、はい!何でしょう!」

「このステータスなんだけど誰にも言わず秘密にしておいてくれないかな?二人だけの秘密ってことで」

「ふ、二人だけの秘密・・・は、はい!!わかりました!!」

「うん。ありがと」

そう感謝を述べや弥一はよりいっそう頭を優しく頭を撫で、アーシアはよりいっそう顔を赤くした。

(妹がいたらこんなかんじなんだろうなぁ~。)

とそんな呑気なことを考えていた。

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アーシアが帰った後、弥一はテーブルにステータスプレートを置いてその前で悩んでいた。

「アーシアの話からこの数値が非常識な事がわかったからにはこのまま明日、ステータスの開示をするのはまずいよなぁ・・・」

そうそこが今や弥一が悩んでいる理由なのである。このまま開示すれば騒ぎになることは確定的、そんなことになれば国の陰謀だとかよからぬ連中が群がり、ようするに面倒ごとが起こる。さきほどアーシアに秘密にしてもらったのもこのためである。

今後の事も考えるとそんな事はごめんだ。

「とりあえずこれを【解析器】にかけるか」

そうして弥一はハンガーに掛けておいたブレザーの内ポケットから一つの小型のタブレットを取り出し。そのタブレットでステータスプレートの写真を撮った。

もちろんこれはただのタブレットでは無く、【解析魔術】と科学技術の一つであるコンピュータ回路をあわせた魔道器No.4【解析器】である。
この【解析器】は写真で撮った魔術式を【解析魔術】ではできないような詳しい解析が可能な魔道器である。

写真を撮って解析を始めてから15分。【解析器】による解析が終了した。

「おっ。意外と早かったな。ええっとなになに・・・」

そこに解析された魔術式は弥一の知っている魔術とはまったく違うものだった。

人間をステータスとしてレベル、パラメーターと数値で表し、使用者の潜在意識から潜在能力を強制的に引き出しその数値どうりに使用者の人体を作り変える。これほど高度な魔術式は弥一は見たことが無かった。

しかもこの魔術の最もすごいところは、使用者のたった一滴から取れる魔力から魔術式を展開・起動を行っており魔力が循環する際に発生する『魔力ロス』がゼロなのである。

このステータスプレートは弥一が開発する魔道器とは全く異なる発展をとげた別種類の”魔道器”といえる。

そんな魔術式に戦慄しつつ

「解析が済んだし、これに【隠蔽魔術】を組み込めばステータスの隠蔽ができる」

【隠蔽魔術】とは、体温や人間が発する微量な電磁波、あるいは魔力などを隠蔽する魔術である。この【隠蔽魔術】をステータスプレートに組み込みステータスの隠蔽をしようと考えたのである。

本来はこの魔術は人体にかける魔術なのだが弥一は【隠蔽魔術】の基礎の部分だけをステータスプレートに組み込み、その【隠蔽魔術】を【解析器】を使いステータスプレートの魔術式に馴染ませる様に【隠蔽魔術】を改変していった。

-----一時間後

「できた!」

そういって弥一は改変に成功したステータスプレートを眺めていた。

倦怠感のせいで魔術がうまく使えないため【解析器】の中に保存してあるこれまで解析してきた様々な魔術を、ばらして、組み上げを繰り返し、ようやく魔術式が完成した。完成しただけでその魔術を実際に実行してみたわけではないが、明日の午前は何も無いので実行して駄目だったら修正すればいい。

こうしてステータスプレートの魔術式の改変が終わったわけだが、改変していく内にステータスプレートの魔術式に新しい可能性が見えてきた。

「この魔術式を応用すればあるいは・・・」

そう呟いた弥一はその後、【解析器】を使って徹夜でとある魔術式の設計を行った。








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