魔術がない世界で魔術を使って世界最強

海月13

その日の夜

それぞれの部屋に案内され生徒達が思い思いの時間を過ごしていた。そして生徒一人一人に専属のメイドが付く事になり、しかもそのメイドは地球のようにおばちゃんメイドなどではなく全員が美少女・美女である!思春期真っ盛りな男子生徒はとてもテンションが上がっていたがそれに比例して女子の男子を見る目が冷え切ってゆき会議室(この世界の説明を受けた部屋)にブリザードが吹き荒れたが、その後ほとんどのメイドが相川に注目し、男子生徒は血涙を流しながら床に四つん這いで沈み「ここでもかよぉ!」「理不尽だぁ!!」と阿鼻叫喚の地獄絵図となった。

ちなみに先生の専属としてついたおとなしい雰囲気のメイドさんが先生を見て呆けて頬を赤らめ、「よ、よろしくお願いいたします西原様・・・」と挨拶し、「こ、こちらこそ・・・」先生も同じように右手を後頭部に当てて赤くなるという衝撃の出来事が発生し周りの生徒が、「先生にも春が来たぞぉ!」「うそだろ!?」「あの軍曹にか!?」と次の瞬間、言った生徒が仲良く頭から床に沈んでいった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<弥一の部屋>

「おぉ~。贅沢・・・!」

部屋に入るとそこには3人寝ても余裕がありそうな天井付きのベットに4人用ソファー、金や宝石で綺麗に装飾された大きな鏡、余裕で二人は入れるような浴槽など現実世界のロイヤルスイートホテルのような豪華さだった、これが41人全員にあるのだから贅沢の極みである。
そして弥一はベットに倒れこみ、考え始める。

(もう一度【探査魔術】を使ったがやっぱり反応なし・・・。となるとここは最低でも地球がある太陽系の中の惑星ではない、か。そうしてここには魔王と呼ばれる強大な存在が存在し戦争に参加すると・・・くそ、・・・相手の強さがわからない今は万全の状態で挑みたいが・・・俺の場合、魔術は使いにくいしなぁ。)

魔術師にとって目は重要な役割を果たす。魔術と言うのは世界を、現実を”見て”その”見ている世界”を己の魔力を持って世界に干渉し”見ている世界”を自分の考える”考えた世界”に作り変え、作り変えた世界を見ることで”事象”として世界に確立するものである。そのため魔術師は正確に多くの情報を見て、知ることが大切なのであるが、弥一の場合”世界を見る”ことが片目でしかできないため受け取る”見ている世界”の情報量が普通にくらべ二分の一しかなく、そして作り変えた世界を”見る”情報量も同じく二分の一しかないため”事象”と世界に確立させるのが難しいのである。

昔、魔術で右目を作れないかと考えたが結果は失敗。魔術式自体はできたが右目の代わりとなる触媒が存在しなかったのである。

「それに何よりも魔道器がねぇしな・・・」

そうそしてこれが一番の問題でもある。弥一は右目を失う前は魔術を使って戦っていたが右目を失ってからは魔道器を使って戦っている。
しかし、今は肝心の魔道器がない状況である。そして作ろうにも魔術触媒や兵器作成用の材料もないのである。

「一応魔術だけでも戦えないことはないしな、幸いにも魔術補助器もある程度の種類があるしな」

魔術補助器とは魔術を展開する際の補助を行う魔術器である。弥一が攻撃された際に使用した呪符もそのひとつだ。また呪符の場合、呪符の触媒は魔術加工を施した紙に魔術処理した水銀を混ぜ込んだ墨で補助用の魔術式を書き込むという物なので簡単に準備できる。そのため弥一が好んで使う魔術補助器のひとつでもある。

「魔道器も少ないがないよりかはましだな。一度整理すっか。えぇっと・・・」

・魔術補助器『呪符×49 など』
・水銀
・戦闘服(黒のロングコート+黒のズボン+魔道補助器用レッグホルスター)
・戦闘用ナイフ
・魔道器NO.2【日本刀】
・魔道器NO.3【拳銃】
・【拳銃用魔術弾丸】『弾速強化弾×100、硬化弾×50、鉱石魔術弾×10』
・魔道器NO.4【解析器】

「なるほどな。まぁこれだけあれば当分はなんとかなるか?」

と一通りの武装整理が終わり弥一が呟いた。ちなみにこれだけの物をどこに持っていたかといえば、それは弥一の学生服であるブレザーに秘密がある。
魔道補助器はいつでも使えるようにブレザーの下のホルスターに、それ以外の水銀や魔道器はブレザーの内ポケットに【空間魔術】と【転移魔術】、【固定魔術】の複合魔術で作ったいわゆる四次元ポ○ケットに収納していたのである。しかもこのポケットに入れた瞬間、【固定魔術】によって入れた瞬間の状態で固定され【転移魔術】で【空間魔術】で作った別次元の空間に転移するため、暖かい弁当を入れるといつ取り出しても冷めず暖かい弁当が食べれたり!、水銀など蒸発するような液体を入れても蒸発しない、となんだかんだで便利なポケットである。また、戦闘服の場合、【転移魔術】のおかげで現在の服と入れ替え転移が可能である。つまり男なら誰でも憧れた仮面ラ○ダーのような「変身」ができるのである!!。

「魔術に関しても〔生産系魔術〕はものにもよるが補助器なくても使えるが、さすがに〔攻撃系魔術〕は補助器ないと難しいなぁ。初級魔術程度なら問題ないんだが・・・さすがに初級魔術で切り抜けれるほどじゃないだろうし。こりゃあ早めに魔道器の素材や触媒を集めないと」

そうしてすべての整理と点検、今後の課題を整理して片付け終わると9時になっていた(ちなみに時間は地球と同じだった)、そうしてすることもなくなり寝るにしては早いのでベットで横になっていたところ。ドアをノックする音が響いた。

コン コン コン

「や、夜分遅くに失礼します!このたび日伊月弥一様の専属メイドとなりました。アーシア・アルジェとも、申します!」

ノックの後に聞こえたのはやや子供っぽさが残る緊張したこえだった。どうやら専属のメイドが決まり、こうして挨拶に来たようだ。

「ん?はーい、開いてます。」
「し、失礼いたします!」

そういって入ってきたのは小さな女の子だった。見た目的に13歳くらだろうか?背も150センチくらいで肩辺りで切りそろえたれたピンク色の髪に大きな愛らしい紅い目が特徴的な美少女だった。
弥一はベットから起き上がると近くの椅子に腰掛けた。アーシアはそんな弥一の近くに行きお辞儀をし、自己紹介を始めた。

「で、では改めて。わ、私はこのたび日伊月弥一様の専属メイドとなりました。あ、アーシア・アルジェと申します!年齢は14ですっ!」
「お、落ち着いて。大丈夫そんなにあせらなくてもいいから、ゆっくり話すといいよ。」

そういいながら弥一はアーシアの頭に手を置きやさしく撫でていく。アーシアも次第に落ち着いきそうして自分が頭をなでられている現状を認識し恥ずかしさと嬉しさのせいで顔をボンッ!というような音が聞こえてきそうなくらいに一気に耳まで真っ赤にした。その後も弥一が頭をなでていたその時----

ガチャ
「やいく~ん。まだお、き、て、、る、、、?」

そういって入ってきたのは暇になって弥一に会いに来た凛緒だった。

さて、今の状況を整理してみよう。
・さっきまでベットに横になっていたので明りが消え月明かりしかない部屋。
・装備確認のせいで上着を脱いで上はカッターシャツの弥一
・そんな格好でベットの近くで小さい美少女の頭を撫でている弥一
・恥ずかしさと嬉しさのせいで俯き、少し涙目で顔全体を真っ赤にするアーシア

完全に犯罪一歩手前のそれである

「どういうことかなぁ~?やいくん???(ニコッ)」

「ちっ、違う!違うんだ凛緒!!」

「ちゃんと説明してねぇ~??(ニコッニコッ)」

「うっ、うううわぁぁぁああああああああああああ!!!!」

夜の王城に弥一の無情な叫びが響き渡った・・・

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

その後、なんとか無事(?)凛緒の誤解が解け弥一と少し話した後アーシアは仕事のため退出した。その際アーシアは凛緒のことを訝しそうな目で見ており、凛緒との間でちょっとした火花が散っていたがの原因の弥一は「なにやってるんだ?」と不思議そうな表情で二人を見ていた。

「で、どうしたんだ?凛緒?何か用事か?」
「う、うんん。別にそうゆんじゃないんだけどただ・・・その、今日いろんなことがあり過ぎたじゃない?だから・・・」
「だから、気持ちに整理が付かずおちつかない、か?」
「うん。流石やいくん分かってる!」
「そりゃぁなんてったって幼馴染だからな」
「ふふ。そうだね。」

そうして二人は美しい月明かりが差し込む静かな部屋で、小学校の事、中学校の事、お泊りのこと、昔からかわらない事など昔の話やたわいもない事など、時間を忘れるまで語り合った。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

そうして気が付けば11時前頃

「ん?もうこんな時間か。そろそろ寝ようぜ。ほら前の部屋まで送るからさ。」

そういって盛り上がっていた話に区切りをつけて部屋に送るからと、立ち上がりドアに向かって歩き出した弥一の背中にトンッと凛緒が頭をつけてきた。

「え?凛緒?どうし・・・」
「いや、だよ。いやくんいなくならないよね?」
「・・・!」

凛緒は昔交通事故で両親を失いかけた。今は凛緒の両親は普通に生活をしているがその当時はとても危険な状態でいついなくなってもおかしくない状態だった。その当時から凛緒の両親とも仲良くしていた弥一も一緒に泣いて悲しんだ。そうしてなんとか無事命の危機を脱したが今度は弥一の父親が本当に亡くなり、弥一は右目を失った。その時から凛緒は、弥一にもう危ない目や死んでほしくないと強く思った。もう二度と悲しい思いをしたくない、大切なものを失いたくない、そう願った。

そうして今日の異世界召喚である。戦争への参加と聞いて凛緒はとてつもない不安にさらされた、今度は弥一がいなくなるのでは?と。

「心配すんな。俺は父さん見たいにいなくなったりしないし、第一戦争なんて案外俺たちが出るまもなく終わるかもしれないだろ?」
「で、でも・・・」

すると弥一は凛緒に向き直りそっと抱きしめた。

「・・・!?や、やいくん!?」
「大丈夫だ。大丈夫俺はいなくならないから。何が何でも生き残るから。」

そういって弥一はより強く、「失うものか」という思いを込め、強く抱きしめた。

「・・・うん。」

そうして凛緒も弥一の背中にそっと腕を回した。
それからお互いに存在を確かめるように抱きしめあった。

「ね、ねぇ、やいくん。今日は久しぶりにい、一緒に寝ない?」

と顔を真っ赤にし凛緒は上目遣いで弥一に提案する

「えっ!?い、いやそれは流石に・・・」

そう弥一が言うと凛緒は寂しそうな表情になる。

「・・・わ、わかったよ」

「やった♪」

今まで様々なピンチを乗り越えてきた弥一だがこのピンチは乗り越えれるイメージが沸かなかった。

その後、凛緒はこの時の場の雰囲気と失う寂しさ、不安さのせいで普段は絶対にできないような大胆な行動を思い出し、「うわぁああああ!!」と悶えるのことになるのだがそれはまた別の話。

そうしてふたりはベットの中に二人で入り凛緒は弥一の腕に抱きついてきた。右腕全体から薄い生地越しに伝わる柔らかさと温もり、また女子特有の甘い香りが伝わってき、弥一はひどく動揺した。しかし凛緒はそんな事知ってか知らずか

「やいくん。大きくなったね。」

そう一言いってしばらくすると規則正しい呼吸が聞こえてきた。
そんな凛緒に弥一は微笑み心から幸せそうな顔で眠りに付く凛緒の頭を撫で、

「おやすみ、凛緒。」

そうして弥一も意識をまどろみの中に手放した。






コメント

  • マッキーマン

    アーシア・アルジェ?…どっかで聞いた覚えがあるじぇんと

    0
コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品