リワールド・フロンティア-最弱にして最強の支援術式使い〈エンハンサー〉-

国広 仙戯

●19 NO PLACE LIKE A STAGE 1



 怒鳴った次の瞬間には術式を発動させていた。

 支援術式〈ミラージュシェイド〉×10。

 光の屈折による僕の幻影が十体、突如としてシグロスを取り囲むように出現する。

「――!?」

 奴が軽く驚く気配。いきなり増えた僕の姿に虚を突かれたのだ。そこへさらに、

「〈ズィースラッシュ〉!」

 剣術式で追い打ちをかけた。

 総勢十一人の僕は鏡に映したように全く同じ動きで、純白の刃を振るい『Z』の軌跡を描く。勿論、本体の僕以外は全て幻で、何も切り裂けやしない。だが、正体を知らない側からすれば、それは警戒して当たり前の斬撃なのだ。

 チッ、と微かに舌打ちのような音が聞こえ、シグロスが素早く飛び退いた。バネのようなダイナミックな跳躍。高い位置でとんぼ返りをして、奴は幻と実体の〈ズィースラッシュ〉が入り交じる圏内を脱する。

 着地したシグロスとの間合いが、五メルトル以上開いた。

 すかさず僕は次の術式を〝SEAL〟のスロットへ装填する。

 先日インストールしたばかりの支援術式〈ハイドスモークスクリーン〉――膨大な量の煙幕を張って敵から身を隠す術式だ。

 奴から見えないよう、背中にアイコンを灯して発動させる。

 途端、足元から間欠泉にも似た勢いで白煙が噴き広がり、一瞬にして僕とシグロス、そしてロゼさんを呑み込んだ。

「――チッ!」

 今度こそはっきり、シグロスが苛立たしげに舌打ちした。僕は全ての〈ミラージュシェイド〉をキャンセル。代わりに支援術式〈リキッドパペット〉×10を発動。温水で出来た分身を、前方のランダムな位置に出現させる。

 隠蔽の術式である〈ハイドスモークスクリーン〉の煙は、術者と、スイッチやルーターで繋がっている仲間ノードには透過度が高い状態で見え、視界を遮ることは無い。

 ここで支援術式〈アコースティックキャンセラ〉を追加発動。僕とロゼさんが立てる音は、他には一切伝わらない状態になる。

 僕はシグロスに背中を向け、ロゼさんの方へと振り返った。

 大丈夫、僕は冷静だ。昂ぶってはいるが、逆上してはいない。エンハンサーが正面から突っ込むのは愚策の極みなのだ。まずは戦意を喪失したロゼさんを安全な場所へ。それが最優先事項だった。

「――ロゼさん!」

 琥珀色の目を見開いて呆然としているロゼさんに、白虎を鞘へ納めながら左手を差し伸べる。勿論、支援術式の解除コマンドなら既にキックしてある。彼女の手を握り潰すことはない。

「……ラグ、さん……どうして……!?」

 珍しく驚きを露にしているロゼさんだけど、今は説明している時間が惜しい。僕はとにかくロゼさんの手を引っ掴んだ。

「こっちです!」

 術式で出した煙の中を早足で歩き出す。あまり速く動くと、それはそれで〈アコースティックキャンセラ〉の効果が切れてしまうので注意しなければならない。

 シグロスにとってだけ濃厚なこの白煙は、僕達のいる通りの一区画を丸ごとを埋め尽くしている。〈ハイドスモークスクリーン〉の効果時間は約十五セカド。その間に、どこか路地へ入って――

 ぶわ、と大気が大きく動く気配。ヴヴヴ……と羽虫が翅を動かすような音に振り向くと、漆黒の全身鎧が空に向かって上昇していた。そうか、視界の悪い煙幕から抜け出して、上空で煙が晴れるのを待つつもりか。事実、この白煙は本物の煙ではなく、術式で作った幻覚に近いので、風で吹き飛ばすなんてことは出来ないのだ。

 僕はロゼさんの手を引いて、一番近くにあった路地へと身を潜めた。煙が晴れる前に支援術式〈カメレオンカモフラージュ〉と、念のため〈タイムズフレグランス〉も使用して、光学的にも匂い的にも隠蔽状態に入る。

 そこでちょうど〈ハイドスモークスクリーン〉の効果が消え、再び通りに太陽の光が差した。

 と思った瞬間、出し抜けに轟音が鳴り響いた。一瞬で連続した音の発生源は、さっきまで僕達がいた場所――十体の〈リキッドパペット〉を囮として置いてあった座標だった。上空のシグロスが、いきなりフォトン・ブラッドの矢を何十本と撃ち込んだのだ。

 強烈な破壊力に地面が抉れ、〈リキッドパペット〉達は粉々に吹き飛んでいた。けど、あれらは元々温水の塊だ。時間が巻き戻るように、またすぐに寄り集まって僕の姿を形成していく。

 その様子から、僕らの姿を見失ったことに気付いたのだろう。シグロスが空中でキョロキョロと視線を彷徨わせる。

デコイ……? ははぁ、なるほどなぁ。今の奴はエンハンサーか。というか――おいおいおいおい、いい年してかくれんぼかぁロルトリンゼェ? あとさっきのお坊ちゃん? はははははは、いいぞ、付き合ってやろうじゃないか。ただし――」

 結構な距離が離れているはずなのに、不思議とシグロスの声はよく透って聞こえた。あの姿のせいなのだろうか。

「――付き合ってやるのはかくれんぼじゃなく、我慢比べだ。これから俺達があちこち壊して回るから、我慢できなくなったらさっさと出てくるんだぞ?」

 くは、と本当にこれから遊ぶ子供みたいな笑みをこぼして、シグロスは無造作に腕を振った。クロムグリーンに輝く極太の矢が、手近な建物へと撃ち込まれる。ズドン、と着弾した箇所が爆発して、大気をビリビリと震わせた。

 しかも、

『ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!』

 野太い咆吼。

 ロゼさんが再生したハーキュリーズが、どうしたことか、シグロスと揃って暴れだしたのだ。

「な……!?」

 瞠目する僕の視線の先で、ハーキュリーズの持っていた黄金の大弓が消え、再び六つの武器が具現化する。人型ゲートキーパーはそれらを闇雲に振り回して、周囲の建造物を破壊し始めた。

「どうして……」

 そう言葉にしてから、はっと気付く。どうしても何もない。今のハーキュリーズはロゼさんのコントロールを離れているのだ。初めて出会った時、〈カーネルジャック〉したペリュトンでも同様のことがあったではないか。

 もはや敵はシグロス一人だけではない。あの破格のゲートキーパーも今や――いや、またしても?――倒さなければならない相手になってしまったのだ。

 衝撃の事実が僕の頭を大いに揺るがす。

 ――どうする!? どうする!? このまま逃げるか? いや、あいつらを放置してはおけない。最悪の場合、さらに大勢の人が死んでしまう。けれど、僕とロゼさんだけであいつらを止められるのか? いいや、ロゼさんは戦意を喪失しているからもう戦えないかもしれない……じゃあ、僕一人でどうにかするしかないのか……!?

 思考が空回りして滅茶苦茶に混乱する中――突然、空に異変が起こった。

「――!?」

 弾かれたように顔を上げて、頭上を見上げる。

 目に飛び込んできたのは、見慣れたスミレ色の光。この浮遊都市の中枢、都庁を中心として大空に広がる巨大すぎるアイコンの輝きだ。

 何事かなんて問うまでもなかった。

 ハヌの極大術式〈天龍現臨・天穿龍牙〉。あれが発動したのだ。そうと気付いてみれば、いつの間にか視界の端に、ハイマルチキャストの通知メッセージが表示されている。目の前のことに必死になりすぎていて、全然気付かなかった。

 だけど、これは好機だ。

 ハーキュリーズはともかく、本日二度目の空の異変に、宙に浮くシグロスが注目している。上空に視線を向けて、動きを止めている今がチャンスだった。

「――ロゼさん、大丈夫ですか? 怪我は……」

 ようやくロゼさんの安否を確認する余裕を得た僕は、未だ手を繋いだままだった彼女の方へと振り返った。

 すると――そこには、臆病な兎みたいに震えて泣いている女の子がいた。

「え――」

「……もうしわけ、ありません……」

 下を向いているせいで顔に長い髪が覆いかぶさって、表情は見て取れなかった。それでも、ロゼさんが泣いていることだけはすぐにわかった。どうにか見える顎のライン、そこを伝って透明な雫がいくつもいくつも、足元に滴り落ちていたからだ。僕の左手が握る彼女の右手からも、寒さを堪えるかのような、微かな震えが伝わってくる。

 喉を詰まらせながら、彼女は言った。

「……ハーキュリーズの、使役権を……シグロスに、奪われて、しまいました……」

 やっぱり、とまず思った。正直『ロゼさんの制御下から外れている』という予想よりも悪い状況だったけれど、ベクトルとしては間違っていなかったからだ。

 それから、その事実を告げねばならなかったロゼさんの心情を思う。悔しくて、悲しくて――辛いに決まっていた。

「……私は……せっかく……せっかく、ゆずっていただいたハーキュリーズを、十全に使いこなすことが、出来ませんでした……あんなにも、わがままを、いったと、いうのに……っ」

 涙に濡れた声で、時折鼻を啜る音を交えながら、ロゼさんは吐露する。そこで抑え込んでいた感情が堰を切ったのだろう。一気に声のトーンが崩れた。

「……ほんとうに、ごめん、な、さい……っ……」

 ほとんど泣き声のような言葉を絞り出し、後はしゃっくりのような嗚咽が続いた。

「――――」

 僕は、何も言えなかった。

 だって、【あの】ロゼさんが――

 仮面をつけているかのように無表情で、声も恬淡で、感情なんてないかのように振る舞っていた、【あの】ロゼさんが。

 まるで小さな子供みたいに、声と肩を震わせて、嗚咽混じりに泣きじゃくりながら、謝罪したのだ。

 どうしてだろう。背格好も何もかも違うはずなのに――その姿がどこか、ヘラクレスと戦う直前に見たハヌと、妙に重なって見えた。

 そのせいだろう。何だか頭の奥で、すうっ、とあっさり、ある種の『覚悟』が決まってしまったのは。

「――大丈夫です」

 言葉は自然と口を衝いて出た。

 僕はロゼさんと繋いでいる手に、ぎゅっ、と力を込めた。

 安心してもらえるように。

 信じてもらえるように。

 これから僕は、途方も無い嘘をつくから。

「安心してください、ロゼさん。僕が何とかします。だから大丈夫です」

「……?」

 僕の馬鹿げた台詞に、ロゼさんが泣き顔に構わず面を上げた。本当に意味がわからなかったみたいで、涙を流しながら、きょとん、としている。これまた珍しいことに、その表情がやたらと幼く見えた。

 おかげで、口元が自然と綻んだ。

「ここは僕が何とかします。ロゼさんは逃げてください」

 ゆるやかに、琥珀色の瞳が見開かれていく。スポンジが水を吸い込むように、ゆっくりと僕の言葉を飲み込んだロゼさんは、理解を拒むかのごとく微かに首を横に振った。

「ラグさん……? なにを、言って……?」

「中央区の都庁にハヌがいます。カレルレン・オルステッドという人に連絡を入れておきますから、その人を訪ねてください。ハヌと引き合わせてくれるはずです」

 言いながら、僕は〝SEAL〟でダイレクトメッセージを作成する。カレルさんにハヌとロゼさんの保護をお願いして、可能であればこちらへ援軍を送ってもらえるように――と。

「あ、大丈夫ですよ? 援軍のお願いもしておきましたから。きっとすぐ、誰か強い人が助けに来てくれます。僕はそれまで、あいつとハーキュリーズをここに足止めしておきます。だから――」

「――ま、待ってください、待ってください……!? 本当に何を言っているんですか、ラグさん……!? しょ、正気ですか……!?」

 いつもと違って、なりふり構わない感じでロゼさんが声を荒げた。ああ、何だかこれまでと立場が逆だなぁ――なんて思って、僕はまたおかしくて笑ってしまう。

 ついさっきまで僕を苛んでいた恐怖は、もう綺麗さっぱり消え去っていた。僕はロゼさんの手を握る力を、もうちょっとだけ強める。

「正気です。大丈夫ですよ、安心してください」

 僕は言う。いつかハヌにも言った、自分自身すら騙すための大嘘を。



「僕は三ミニトの間だけなら、世界最強の剣士ですから」



 僕の放言に、唖然とするロゼさん。

 無意識にだろう。花の蕾のような唇が、ぽつり、とこう呟いた。

「……どう……して……?」

 多分、どうして自分のためにそこまでしてくれるのか、という問いだと思った。だから僕はこう答える。

「何があろうと、絶対に仲間を見捨てない。それが僕らのクラスタの――」

 と、ここまで言いかけて、ふと何か違うなと思い直した。一度言葉を切って、改めて言い直す。

「――いえ、【僕の流儀】ですから」

 そう言った瞬間、我ながら実にしっくりときた。

 そうだ、ルールとか、決まりとか、そんなんじゃなくて。

 これが僕のやり方――僕の流儀なのだ。

 仲間を、友達を、絶対に見捨てたりしない。勿論、迷うことも怖気づくこともあるけど――きっと【そこ】が僕の根本なのだ。

「ロゼさん。すぐ逃げるのが無理なら、ここに隠れていてください。少し経つと隠蔽術式の効果は切れてしまいますけど、それまでに僕が何とかあいつらを遠ざけますから。少し落ち着いて動けるようになったら、さっき言ったように都庁へ向かってください」

「……だめ……です……そんな……」

 上手く言葉を見つけられないでいるロゼさんの声を、僕は聞こえない振りをした。

「あ、でも、ハヌと合流したら助けに来てもらえると嬉しいです。出来れば、なんですけど。僕ら三人が力を合わせれば、きっと何とかなりますから」

 あは、と笑って、僕は少し申し訳ないなと思いながら、ロゼさんの手を離した。掌に残った体温が、何だか名残惜しく感じられる。

 その時ちょうど、空の高い位置に広がっていたスミレ色のアイコンが消失した。ハヌが作り出した風の巨龍が飛行型SB達を駆逐し、一掃したのだ。残念ながらシグロスは巻き込まれなかったらしく、今も空中で空を見上げている。

 今なら浮いているシグロスに強襲をかけて、ここから引き離すことが出来るかもしれない。

「じゃあ、【また後で】」

 ロゼさんにそう言い残して、僕は路地から飛び出した。

「あ……!」

 切なげなロゼさんの吐息を背中で受け流して、支援術式〈ストレングス〉〈プロテクション〉〈ラピッド〉〈フォースブースト〉のフルエンハンスを七つずつ発動。強化係数を一気に一二八倍へ。さらに〈シリーウォーク〉を発動させ、薄紫色の力場を踏んで一気に宙を駆け上がる。

 この瞬間、僕にかかっていた隠蔽術式の効果が完膚なきまでに消滅した。

「――!」

 音速を超えて不可視の階段を駆け上ってくる僕の接近に、しかしシグロスは驚くべき速度で反応した。こちらにほとんど背中を見せていたというのに、素早く振り返り、迎撃体勢をとる。

 構わずそのまま突っ込んだ。

「〈エアリッパー〉――!」

 その一言で〈エアリッパー〉五つ分のセキュリティを丸ごと解除した。その事実に気付かないまま僕は〝SEAL〟の出力スロットに攻撃術式を装填し、さらに剣術式を発動させた。

「――〈ドリルブレイク〉ッ!」

 大気を貫いて上昇していた身体が、背中から噴出するフォトン・ブラッドによってさらに加速。全身の至る所から真っ白なヴェイパートレイルをたなびかせながら、高速回転するドリルを纏った白虎を前方へ。

 どこか昆虫を彷彿とさせる姿のシグロスが、四肢にクロムグリーンの輝きを集め、ロゼさんの〈烈迅爪〉にも似た三本爪の武装を形成した。奴はざっと見積もっても一メルトル以上はあるそれを振りかぶり――

 激突した。

「「――ッ!!」」

 僕の〈ドリルブレイク〉と奴の光爪が真っ向からぶつかり合い、火花を散らす。

 互いの武器が鬩ぎ合う中、漆黒のフルフェイスヘルムを被ったような顔をこちらへ近付け、くは、とシグロスが笑った。

「意外と早いお出ましじゃないか、お坊ちゃん? お前、もしかしなくても巷で有名な〝勇者ベオウルフ〟ってエンハンサーかな? だとしたら――」

「うるさい黙れ」

 腹の底から沸き立つ怒りが、僕に凶暴な言葉を吐かせた。

 見えない手に口を塞がれたように、シグロスが舌を止める。どこをどう見ているのかわからない、溶鉱炉のごとく真っ赤な複眼が、虚を突かれたように動きを止めた。

 呆気にとられたその顔に、僕は感情の赴くまま、遠慮の無い言葉を浴びかける。

「僕が誰かなんてどうでもいい。お前が誰かなんかも関係ない」

 吐き捨てるように言って、僕は宣言した。

「許さないぞ……!」

 飛び散る火花のカーテン越しに、異形と化したシグロスの顔を睨み付ける。

 見れば見るほど腹が立った。

 こいつは大勢の人を死に追いやり、他人の心を蹂躙し、それを喜ぶ悪魔のような男だ。

 いや、それだけじゃない。何よりも直接的に僕の腸を煮え滾らせているのは、ただ一つ。単純にして明快な理由。

 こいつはロゼさんを、僕の仲間を――泣かせた。悲しませた。

 戦う理由なんて、それだけで十分だ。

 絶対に許さない。



「お前なんか、三ミニト以内に片付けてやる――!」



「――へぇ」

 にやり、と醜悪に口元を歪め、シグロスは底意地の悪い笑みを浮かべてみせた。やはりというか何というか、この姿もまた〝融合〟の神器によるものなのだろう。人間の顔をしていないというのに、ひどく生々しい表情の変化だった。

「おもしろいことを言うじゃないか。だったら――せいぜい俺を楽しませてみろよヘボ勇者ぁ!」

 大きな声で笑って馬鹿にしてくるシグロスに、間髪入れず怒鳴り返した。

「黙れと――言ったはずだぁッ!」

 無我夢中で叫び、〝SEAL〟に装填済みだった〈エアリッパー〉を発動させた。僕の両肩、腹、両膝のそれぞれに一メルトル前後のアイコンが現れ、〈フォースブースト〉で強化された風の刃が五つ同時に発射される。

「――!?」

 シグロスが驚愕する手応え。〈ドリルブレイク〉と拮抗していた光爪がわずかに引かれるが、もう遅い。

 全弾直撃。奴の胸元へ一極集中させた風の剣が一挙に爆ぜた。

「LUO――!?」

 シグロスの喉から人外めいた奇妙な音が漏れた。

 分厚い装甲は貫けなかったけど、その巨躯を大きく吹き飛ばすことが出来た。

 僕にとっては前方、奴にとっては後方へ勢いよく飛んでいく漆黒の体を〈シリーウォーク〉で追いかける。今の僕なら奴が吹き飛ぶ速度より速く動くことが出来る。

「づぁああああああああああッ!」

 もうすぐ時間切れになる〈ドリルブレイク〉に、

「〈ボルトステーク〉!」

 またも五つまとめてセキュリティを解除し、上乗せした。

 高速回転するドリルから激しく紫電が迸る。『サンダーブレイク』とでも呼ぶべき雷光弾ける回転突きを、両手両脚を広げて吹き飛んでいるシグロスの腹へと――

「――LLLUUUUUOOOOOO!!」

 奇怪なハム音のごとき声と共に、黒い昆虫男の背中から半透明の翅が広がり、空気を打った。

「!?」

 サンダーブレイクの先端が奴の腹部を抉る直前、その身が大きく翻った。

 回避される。瞬時に黒い姿が視界から消え去った。速い。

「な――!?」

 今まさに突き立てられんとしていた切っ先が空を貫き、僕は空中で体勢を崩す。そこに、

「遅いなぁ」

「ッ!?」

 真横。右、すぐ近くから声。

「こんなものなのかな? つまらないぞヘボウルフ?」

 ついに〈ドリルブレイク〉の効果が切れた。それでも刀身からフォトン・ブラッドの残滓をばらまく白虎を右へ振ろうと、

「俺を片付けるんじゃなかったのか?」

「がッ――!?」

 突然、大きな手に顔を鷲掴みにされた。視界が暗く染まり、荒々しい手付きで頭を振り回される。ごつい籠手のような手が僕の頭蓋を締め付け、骨がミシリと軋む音を聞いた。

「――ッ!」

 ブン投げられた。

 そう認識できた時にはとっくに天地は逆さまになり、僕は頭を下にして宙をかっ飛んでいた。風の音が耳の奥で囂々と吹き荒ぶ。

「――ッハァッ!」

 シグロスの声が迫る。視線を振りまいて姿を求める。いた。背中の翅で加速してこちらへ追い縋ってくる。ちょうどさっきと立場を逆転させた形だ。今度は奴が右腕を引き絞り、クロムグリーンの光爪を僕へ突き刺そうとしている。

 させるか。

 僕は咄嗟に〈スキュータム〉×10を発動。身体の前面に薄紫の術式シールドが十枚重ねで展開する。

 逆さまの世界、僕にとっては足元から光り輝く爪が【振り上げ】られる。

 一〇枚中、九枚の〈スキュータム〉が貫かれ、打ち砕かれた。

「――こんッ、のぉっ!」

 ギリギリ一枚残ったシールドに肝を冷やしながら、空中で姿勢制御。両脚をでたらめに動かして〈シリーウォーク〉で何も無い空間を蹴りつける。踏んで、蹴って、飛んで、跳ねて、無理矢理に身体の上下を入れ替えた。

 彼我の距離は約二メルトル。気付けば僕らは周囲のどの建物よりも高い位置にいた。遠く、都市の真ん中に建つ都庁が見える。そうだ、ロゼさんにはあちらへ逃げてもらわなければならない。先程の戦場からも、都庁からも離れる方向へシグロスを誘導しなければ。

 だけど、今のままでは力が足りない。何もかもが完全に凌駕されている。

 だから僕はさらに支援術式を発動。フルエンハンス。ギアを一つ上げ、強化係数を二五六倍に。まだだ、まだ大丈夫。これぐらいならABSに引っかからず戦える。

「っぁああああああああああああッ!」

 一枚だけ残った〈スキュータム〉をキャンセル。白虎を右手に握り締め、〈シリーウォーク〉の足場を蹴っ飛ばす。突き出された光の三本爪の脇をすり抜け、シグロスへ肉薄。僕の急激な加速を予想出来なかったシグロスは、まだこちらの接近に気付いていない。

「――らぁあああッッ!!」

 懐へ飛び込み、連撃ラッシュを仕掛ける。ほんの一息で、僕は自分でも把握できないほどの数の斬撃を見舞った。

 白虎の切っ先が輝線で文目を描く。純白の刀身と漆黒の甲殻が幾度も衝突し、水飛沫のごとく火花が飛び散った。

 しかし。

「ぐっ……!?」

 ――硬い!

 斬りつけた手が痺れる。白虎の刃がまるで入らない。これじゃ分厚い金属の表面を引っ掻いているようなものだ。激しい擦過音が生まれても、シグロスには何のダメージも与えられていない。

 ハーキュリーズと戦った時のことを思い出す。あの時も奴の硬すぎる装甲に手も足も出なかった。――冗談じゃない。一体どんな理屈でこの男はこれだけの硬さを手に入れたんだ? 神器で何かしらのSBと融合しているはずだけど、ゲートキーパー並に堅固な奴なんて聞いたことがない。

「――へぇ? いきなり変化したな?」

 何の痛痒も感じていないシグロスの声が、真上から降りてきた。嘲弄と好奇心とが半々に混じり合ったような響き。

 顔を上げると、こちらを見定めるような複眼と目が合った気がした。

「さっきから何してるんだお前? 術式の多重――いや、同時発動か? さっきの龍といいお前といい、ここは珍しいものが多いなぁ。ロルトリンゼを追いかけてきただけなのに、俺は運が良いよな。本当に――」

 その時、昆虫のそれに近い形をした口元から、じゅるり、と涎をすするような音が生まれた。

「――【そそる】なぁ……【食べる】のが楽しみだ」

「――ッ!?」

 得も言われぬ悪寒が背筋を貫いて、僕は本能的な恐怖からその場を飛び退いた。音速を超えた速度でシグロスとの相対距離を離し

「待てよ逃げるなよ」

「なっ!?」

 目を剥く。僕が後退するのとほぼ同じ速度で、シグロスが翅を動かして追いかけてきていた。間合いはほとんど変わっていない。目と鼻の先に、漆黒の昆虫人間がいる。

 ニィ、と顔を歪めた、凶悪な笑みがそこにはあった。

「もっとだ、もっと見せろ! 俺を楽しませろって言ってんだろぉがぁああああああAAAAAAAAHHHHH――!」

 シグロスの四肢についた光爪が唸りを上げた。

 視界の中を閃光が幾条も走る。襲いかかる脅威に僕は我知らず声を上げた。

「ぉぉおおおおおあああああああああああッッ!!」

 考える暇なんて無い。目に入った奴の攻撃に対して反射的に右手の白虎を振りまくった。奴もロゼさんのように格闘技を修めているのか、両手両足で以て嵐のような連撃を繰り出してくる。

 互いの武器が数多の火花を狂い咲かせた。

 連続して重なり合う金属音。残光を曳く奴の光爪と僕の白虎が高速で打ち合う。まるで先刻のハーキュリーズとシグロスの対決を再現するかのように。

「――~ッ!」

 そうして、わかった。こいつはこうすることで相手の力量を測っているのだ。あのハーキュリーズと互角に打ち合っていたぐらいだ。今の僕より速く動けるくせに、敢えて【合わせて】きている。さっき僕をブン投げたのもそうだ。あの時点で致命的な一撃を入れられたにも関わらず、こいつは【やられたことをやり返そう】としてきた。

 つまり、遊んでいるのだ。

 こちらを完全に下に見て、馬鹿にしているのだ。

「――ッ! ぬぁああああああああああッッ!!」

 さらに湧き上がってきた怒りの力を借りて、剣閃の速度を上げる。全身を駆使して剣戟の回転数を上げ、縦横無尽に襲いかかってくる光爪を続けざまに弾き飛ばした。

 刹那、シグロスの攻撃に僅かな隙か生まれる。そこに付け込んで再び懐に潜り込み、今度こそ攻撃術式と剣術式の合体技を叩き込もうと画策する。しかし、

「LLLUUUUUOOOOOOOOO――!」

「――くっ……!」

 そうする前に再びシグロスの猛攻が始まった。またしても奴の攻撃をいなすことに専念しなければならなくなる。

 駄目だ。どうしても間合いが詰められない。そも、僕と奴とではリーチが違いすぎるのだ。

 奴の四肢にある光爪の長さは約一メルトル。一方、僕の握る白虎の全長は、柄を入れても五〇セントル前後だ。しかもシグロスの武器は四つ。こちらは一本。リーチも手数もあちらが圧倒的に有利なのだ。

 ――それならっ!

 元より力押しでどうにかなるとは考えていない。僕は生粋の剣士ではなく、エンハンサーなのだ。

 僕は一度剣を引き、その場から大きく飛び退って、後方五メルトルの位置に薄紫の力場を作成して着地。そこでピタリと動きを止めた。同時に支援術式〈ミラージュシェイド〉×10と〈カメレオンカモフラージュ〉を発動。

 これで何が起こるかというと――

「――!? チッ……またか」

 シグロスの周辺に僕の幻影が十体出現し、時を同じくして本体である僕自身の姿が奴の視界から消え失せる。だが、シグロスはこう思うはずだ。『十人のうちどれかが本物だろう』――と。

「――小細工もほどほどにしておかないと勇者の名が泣くぞぉヘボウルフゥっ!」

 気炎を吐いたシグロスの両手から、次々とクロムグリーンの矢が撃ち出された。十条のそれらは過たず僕の幻影全てを貫通し、〈ミラージュシェイド〉を強制終了させた。

 が、本体の僕には何の意味も無い。光学的にシグロスの視野から隠れている僕は左手を前へ突き出し、五指の先端に攻撃術式のアイコンを灯す。

「〈フレイボム〉!」

 一言で五つのセキュリティを解除。この瞬間、攻撃態勢に入ったことで〈カメレオンカモフラージュ〉の効果が切れる。

「――ッ!?」

 いきなり先程と変わらぬ空間に現れた僕の姿に、ギクリ、とシグロスが硬直するのがわかった。左手周辺に重なり合いながら出現した〈フレイボム〉のアイコンから、それぞれ攻撃照準の光線が瞬時に伸びる。僕は五本全てを奴の胸元へ集中させ――起爆。

 光線が当たっていた箇所を起点として、耳を劈く轟音とそれに見合った爆裂とが生まれた。

「――――――――ッッ!?」

 爆音が空に鳴り響き、大気を震わせる。まるで花火が弾けたかのようだった。

〈フォースブースト〉で二五六倍に強化した術力で、なおかつ〈フレイボム〉の五つ同時爆撃。連鎖効果で通常より三二倍の威力。元々が貧弱な僕の術力であっても、普通なら粉々に吹き飛ぶはず――!

 強力な爆轟によって生まれた猛火と噴煙によってシグロスの姿は見えなくなっていた。しかし、高空に吹く風がすぐにそれらを払い散らす。

 果たして、身体を丸めてクルクルと回転しながら吹き飛んでいく漆黒の姿が目に入った。

「……くっ……!」

 駄目だ、外したか。

 ただ全身の甲殻のあちこちに、薄く緑色に光る罅が細かく走っているのが見える。おそらくは咄嗟に背中の翅で後方へ移動し、直撃を避け、なおかつ身を丸めることによって防御に徹したのだろう。だけど、爆発の余波だけでもかなりの威力だったはずだ。体中に入っている罅はその結果だった。

 回転しながら遠ざかっていたシグロスが、ばっと身体と翅を拡げて空中に停止した。そして、見る見るうちに罅を示す緑色の線が消えていく。ハーキュリーズほどではないが、奴も修復能力を持っているのだ。

 けれど、これで僕の攻撃が奴に通じることがわかった。そういう意味ではルナティック・バベル第二〇〇層での戦いに比べれば、まだマシかもしれない。〈フレイボム〉の重複爆撃。これさえ直撃させられれば、シグロスの全身を吹き飛ばすことが出来るのだ。粉微塵になれば、流石にハーキュリーズのように再生することも出来るまい。

 ただ問題は、あれだけすばしっこい奴にどうやって〈フレイボム〉を直撃させるか、なのだけど――

「…………」

 僕は、ちらり、と足元に広がる街並みへと目を向けた。地上では相変わらずハーキュリーズが六本腕を振り回して、周囲の建造物を破壊している。奴が歩いた後は粉々になった瓦礫しか残っていない有様だ。

 幸い、ロゼさんがいる場所とは全然違う方向を向いている。隠蔽術式の効果時間もまだ半分以上は残っているから、彼女は安全なはずだ。

 さっきハヌが飛行型SBを一掃してくれていて、なおかつハーキュリーズに空を飛ぶ能力が無かったのが良かった。おかげでシグロスとの一騎打ちに集中できる。

 この際、地上のゲートキーパーは捨て置くしかない。シグロスさえ倒せば、奴も止まるはずだ。

 都庁のカレルさんに打診した援軍は、実はほとんど期待していない。多分、どこの誰も目の前の戦場に手一杯のはずだ。ロゼさんには足止めをするだなんて言ったけれど、実際には僕がここでシグロスを倒さなければ、その後の事態がどう転がっていくのかなんて想像もつかない。ただわかるのは――間違いなく、碌な事にならないだろうってことだけ。

 ともかく、今はシグロスとの距離が開いた。

 チャンスだ。

 僕は戦闘ジャケットの裾を翻し、腰のベルトのハードポイントに取り付けてあった白虎の鞘を掴んだ。普通の鞘よりもかなり太いそれを取り外し、前へと突き出す。

 白虎の柄を逆手に握り直し、上に。左手に持った鞘を下に。

 上下から挟むように、白虎の刀身を鞘へと納める。

 チィン、と澄んだ音が鳴った。

 そして、左手を鞘から離し、シグロスと僕のリーチ差――それを覆すためのキーワードを放つ。

「――白帝銀虎、モードチェンジ! モード〈如意伸刀〉!」

 僕の声を受け取った白虎が、ズグン、と心臓のように大きく脈打った。

 今は刀身部分が粉々になっている黒帝鋼玄と同じく、白帝銀虎にも通常の脇差しからそれ以外の形態へと変化する機能が備わっている。モード〈如意伸刀〉はモード〈大断刀〉よりさらにピーキーで、間違っても遺跡内じゃ使えない代物だった。

 鞘に収まった状態の白帝銀虎が、内蔵されているギンヌンガガップ・プロトコルを併用して変形を始める。

 まず、太い鞘の【外装】が左右に割れた。竹が割れるようにパックリと。中から現れたのは――新たな〝柄〟である。ちょうど白虎の柄と同じ太さのそれが、分厚い鞘の中に隠されていたのだ。これが白虎の鞘が普通のものよりやたら太かった理由である。

 パージされた鞘の外装はそのまま護拳パーツに変形して、鍔に覆い被さる。また、そこにデータ化されていたパーツも追加され、三日月型の〝トリガー〟が現れた。

 最後に、さっきまで僕が握っていた柄の頭部分――槍で言えば石突きにあたるところ――の金具が、可動橋のように真ん中で割れ、開いた。鍬形になった中央には、小さな穴が空いている。

 こうして出来上がったのは、全長五〇セントルの〝大柄〟だった。

 そう、刃はない。脇差しと鞘が一体化した、中央よりちょっと上に護拳とトリガーがついただけの、長い柄である。

 だけど、これで完成なのだ。白帝銀虎のモード〈如意伸刀〉は。

 僕は〈如意伸刀〉を持ち替え、変形前は鞘だった部位を両手で握った。護拳の上部から下へ突き出た三日月型のトリガーに、右手の人差し指と中指とを引っかける。

「――へぇ。今のが、あのゲートキーパーを倒す決め手になったっていう〈フレイボム〉かな? こいつもアレだな。俺の調査不足ってやつか。もっとよく調べておくべきだったなぁ、アイツのことも、お前のことも」

 甲殻の再生を終えたシグロスが、地上のハーキュリーズと僕とを交互に見ながら低い声で言う。察するに『勇者ベオウルフと呼ばれるエンハンサーが、ルナティック・バベル第二〇〇層のゲートキーパーを倒した』という噂を耳にはしていたが、その詳細は調べていなかった、ということだろう。

「まぁいいんだけどな。これはこれでおもしろいから。とはいえ――『遊びすぎて負けました』じゃあ、流石に格好がつかないよなぁ?」

 気のせいでも何でも無く、先程まであった嘲笑の波動がシグロスの声から消えている。さっきの〈フレイボム〉によほど危機感を憶えたのだろう。

 ヴンッ、と音を立てて、シグロスの四肢についた光爪がその長さを伸ばした。ハーキュリーズと戦っていたときと同じぐらいの長さ――約二メルトル前後まで。

「――喰ってやるよ。お前を殺して。身体も心も。それからロルトリンゼと、あの龍の奴もな」

 くひ、と異形の口元から下卑た笑みがこぼれる。

 しかし同時に、奴の全身から油断の気配が消えるのを、肌で感じた。

 ここからはシグロスも、本気で僕を殺しにかかってくるだろう。

 つまり、ここからが【本番】だった。

「させるもんか、そんなこと――!」

 シグロスに合わせるように、僕も支援術式を発動。フルエンハンス。さらに一段階ギアを上げ、強化係数を五一二倍へ。今の僕が、どうにかABSが発動しないギリギリで制御できる状態。

 いつかの轍を踏まないよう、僕の視界の端にはカウントダウンタイマーがAR表示されていた。最初の支援術式〈ストレングス〉を発動させてから、今で四〇セカドが経過している。

 つまり、残り一四〇セカド。

 それまでに決着をつけなければならない。

「言ったはずだ。お前はここで、僕が三ミニト以内に片付ける。ロゼさんの所にも、ハヌの所にも――」

 両手で握った〈如意伸刀〉を腰だめに構え、右後方へ引き絞る。

 トリガーを引いた。

 途端、〈如意伸刀〉の先端――白虎の柄頭に空いた穴――から、銀色の細い光が勢いよく噴き出した。

 放たれた矢のごとく飛び出した銀色の輝きは、ひたすら一直線に伸び上がっていく。

 これが〈如意伸刀〉の刃。ギンヌンガガップ・プロトコルによってデータ化され、白虎に内蔵されている流体金属。トリガーを引いている間は伸び続け、離すと縮む。機構としてはただそれだけなのだけど、噴出の速度が一セカドにつき一〇〇メルトルともなると、速すぎて狭い空間ではまともに扱えない。

 瞬く間に二〇〇メルトル以上まで伸び上がった〈如意伸刀〉の刃が、直下の街並みに細長い影を落とす。

「――絶対に行かせないッ!」

 断固たる声で叫び、僕は全力で〈如意伸刀〉を横薙ぎに振るった。

 銀の閃光が奔る。煌めく光が星屑のごとく飛び散る。

「づぁああああああああああああああッッ!!」

 巨大な銀弧がフロートライズの空を切り裂く。



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