ああ、赤ずきんちゃん。
第1話「赤ずきんちゃんとオオカミさん」
昔々のある森に、『赤ずきん』というそれはそれは可愛らしい少女が住んでたそうな。
赤ずきんは病気のお婆ちゃんへお見舞いに行くために、リンゴがいっぱい入ったカゴを持って、お婆ちゃんの家に向かっているのでした。
赤ずきん「あー眠い。子供に労働強要するとかマジ児童虐待だろマジで」
……ところが、赤ずきんは家を出てすぐに近場にあった丸太に腰掛け、お婆ちゃんのお見舞いの品であるリンゴをもりもりと食べてしまうのでした。お婆ちゃんの家はここから少し離れたきのこ山の麓にあり、お婆ちゃんはそこできのこを探して暮らしていました。
お婆ちゃんはよく孫の赤ずきんにきのこ料理を振る舞ってくれましたが、赤ずきんはきのこよりリンゴの方が好きでした。
赤ずきん「きのこシチューはもう飽きた、ママが作ったアップルパイが食べたい。でも、このお使いを無事済ませたら、ママが私にアップルパイを作ってくれるかもしれないわ」
そう考えると、赤ずきんは重い腰を上げて森の中を歩いて行きます。
しばらく赤ずきんが森を歩いて行くと、狩りをしている友達のオオカミと出会いました。
オオカミ「やあ、赤ずきんちゃんじゃないか。こんな時間に外に出るなんて珍しいね、いつも昼過ぎまで寝ているのに」
赤ずきん「お婆ちゃんが風邪を拗らせたそうだからお見舞いに行くところ。リンゴが詰まったカゴを持ってね」
オオカミ「おお、それは立派なことじゃないか! ……何だかリンゴの数がすごく少ないような気がするけど」
赤ずきん「大丈夫大丈夫、お婆ちゃん日頃からきのこしか目がないから。このリンゴは気を利かせてくれたママがお見舞いの品という建前で用意してくれた私のリンゴだよ」
赤ずきんは適当なことを言って、自分がリンゴを食べてしまったことを正当化しようとします。確かに赤ずきんはリンゴが大好きだったので、お婆ちゃんに贈るリンゴ達の中に赤ずきんの分のリンゴが入っていた可能性もあります。なので、あながち間違いを言ってる訳ではないのかもしれませんが……。
オオカミ「そ、そうかい。しかし子供が1人で森の中を遠出するなんて心配だね」
赤ずきん「心配? 我が家が先祖代々から継いでいる『餓狼拳法』の正統継承者であるこの私が、森の遠出ごときで何が心配だと言うの?」
オオカミ「なんか急に世界観変わったな!? そんな拳法継いでないでしょ赤ずきんちゃん!」
赤ずきん「冗談はさておき、ちょっと離れた山の麓に行くだけだから平気よ。居たとしてもせいぜいオオカミがうろついてるだけだと思うから」
オオカミ「……まあ、今更赤ずきんちゃんを狙うオオカミが居るとは思えないけど。でもここ最近この付近で不審者が目撃されてるって情報もあるし、やっぱり心配だ。ぼくが赤ずきんちゃんをお婆ちゃんの家まで送って行ってあげるよ」
赤ずきん「何だこのオオカミ、ロリコンかな?(うわぁ優しいー。オオカミさんありがとー!)」
と言うわけで、赤ずきんとオオカミは共になってお婆ちゃんの家へ向かうのでした。
赤ずきん「ところでオオカミさん。貴方森で狩りをしていたんじゃないの?」
オオカミ「うん。でもいまはそんなにお腹が空いてるわけじゃないからね」
赤ずきん「カゴで良ければあげるけど?」
オオカミ「そこはリンゴじゃないんだね!?」
赤ずきん「だってオオカミさん肉食だから。リンゴよりもカゴの方が好きかなーと思って」
オオカミ「カゴも食べないからね!?」
オオカミ「……それはそうと赤ずきんちゃん。森の生活はどうだい?」
赤ずきん「どうしたの藪から棒に」
オオカミ「いや、赤ずきんちゃんって今が遊び盛りでしょう? 同い年の居ない森の中でずっと暮らしていて、退屈はしていないかなーと思ったんだ」
赤ずきん「そうね……。昨日は小鳥さんたちと仲良くお話ししたわ」
オオカミ「お、そうなのかい」
赤ずきん「一昨日はテーブルの木目と話したわね」
オオカミ「……えっ?」
赤ずきん「その前は庭の石ころたちと、その前は川のせせらぎと、その前は夜中にさまよう魔女さんと仲良くお話ししたわ」
オオカミ「最後の人は話したら駄目だ!」
赤ずきん「だって暇なんだもの。森の大人たちは毎日仕事で忙しくてかまってくれないし」
オオカミ「あー、そうだよね。……うん。やっぱり赤ずきんちゃんは、仲良くお喋りが出来る友達が欲しいんだね」
赤ずきん「妹」
オオカミ「……はい?」
赤ずきん「妹が欲しい。友達はいらないから妹が欲しいの」
オオカミ「そ、そうかい」
赤ずきん「ママとパパに頼んでもなかなか作ってくれないの。何でかな?」
オオカミ「あー。まあ、ご両親にもそれぞれの都合があると言うか……」
赤ずきん「せっかく気を利かせて家にいない時間を増やしたのになぁ」
オオカミ「意味分かって言ってる赤ずきんちゃん!?」
……さて、赤ずきんとオオカミが一緒になって森の中を歩いて行くと。
2人の正面に、突然何者かが現れました!
??「ゲッヘッヘ。探したぜ〜赤ずきんちゃん!」
赤ずきん「あ、お前はっ!!」
突如赤ずきんたちの前に現れた人物。果たしてそれは、何者なのでしょうか!?
次回、第2話「赤ずきんちゃんの逃避劇」。ご期待ください。
赤ずきんは病気のお婆ちゃんへお見舞いに行くために、リンゴがいっぱい入ったカゴを持って、お婆ちゃんの家に向かっているのでした。
赤ずきん「あー眠い。子供に労働強要するとかマジ児童虐待だろマジで」
……ところが、赤ずきんは家を出てすぐに近場にあった丸太に腰掛け、お婆ちゃんのお見舞いの品であるリンゴをもりもりと食べてしまうのでした。お婆ちゃんの家はここから少し離れたきのこ山の麓にあり、お婆ちゃんはそこできのこを探して暮らしていました。
お婆ちゃんはよく孫の赤ずきんにきのこ料理を振る舞ってくれましたが、赤ずきんはきのこよりリンゴの方が好きでした。
赤ずきん「きのこシチューはもう飽きた、ママが作ったアップルパイが食べたい。でも、このお使いを無事済ませたら、ママが私にアップルパイを作ってくれるかもしれないわ」
そう考えると、赤ずきんは重い腰を上げて森の中を歩いて行きます。
しばらく赤ずきんが森を歩いて行くと、狩りをしている友達のオオカミと出会いました。
オオカミ「やあ、赤ずきんちゃんじゃないか。こんな時間に外に出るなんて珍しいね、いつも昼過ぎまで寝ているのに」
赤ずきん「お婆ちゃんが風邪を拗らせたそうだからお見舞いに行くところ。リンゴが詰まったカゴを持ってね」
オオカミ「おお、それは立派なことじゃないか! ……何だかリンゴの数がすごく少ないような気がするけど」
赤ずきん「大丈夫大丈夫、お婆ちゃん日頃からきのこしか目がないから。このリンゴは気を利かせてくれたママがお見舞いの品という建前で用意してくれた私のリンゴだよ」
赤ずきんは適当なことを言って、自分がリンゴを食べてしまったことを正当化しようとします。確かに赤ずきんはリンゴが大好きだったので、お婆ちゃんに贈るリンゴ達の中に赤ずきんの分のリンゴが入っていた可能性もあります。なので、あながち間違いを言ってる訳ではないのかもしれませんが……。
オオカミ「そ、そうかい。しかし子供が1人で森の中を遠出するなんて心配だね」
赤ずきん「心配? 我が家が先祖代々から継いでいる『餓狼拳法』の正統継承者であるこの私が、森の遠出ごときで何が心配だと言うの?」
オオカミ「なんか急に世界観変わったな!? そんな拳法継いでないでしょ赤ずきんちゃん!」
赤ずきん「冗談はさておき、ちょっと離れた山の麓に行くだけだから平気よ。居たとしてもせいぜいオオカミがうろついてるだけだと思うから」
オオカミ「……まあ、今更赤ずきんちゃんを狙うオオカミが居るとは思えないけど。でもここ最近この付近で不審者が目撃されてるって情報もあるし、やっぱり心配だ。ぼくが赤ずきんちゃんをお婆ちゃんの家まで送って行ってあげるよ」
赤ずきん「何だこのオオカミ、ロリコンかな?(うわぁ優しいー。オオカミさんありがとー!)」
と言うわけで、赤ずきんとオオカミは共になってお婆ちゃんの家へ向かうのでした。
赤ずきん「ところでオオカミさん。貴方森で狩りをしていたんじゃないの?」
オオカミ「うん。でもいまはそんなにお腹が空いてるわけじゃないからね」
赤ずきん「カゴで良ければあげるけど?」
オオカミ「そこはリンゴじゃないんだね!?」
赤ずきん「だってオオカミさん肉食だから。リンゴよりもカゴの方が好きかなーと思って」
オオカミ「カゴも食べないからね!?」
オオカミ「……それはそうと赤ずきんちゃん。森の生活はどうだい?」
赤ずきん「どうしたの藪から棒に」
オオカミ「いや、赤ずきんちゃんって今が遊び盛りでしょう? 同い年の居ない森の中でずっと暮らしていて、退屈はしていないかなーと思ったんだ」
赤ずきん「そうね……。昨日は小鳥さんたちと仲良くお話ししたわ」
オオカミ「お、そうなのかい」
赤ずきん「一昨日はテーブルの木目と話したわね」
オオカミ「……えっ?」
赤ずきん「その前は庭の石ころたちと、その前は川のせせらぎと、その前は夜中にさまよう魔女さんと仲良くお話ししたわ」
オオカミ「最後の人は話したら駄目だ!」
赤ずきん「だって暇なんだもの。森の大人たちは毎日仕事で忙しくてかまってくれないし」
オオカミ「あー、そうだよね。……うん。やっぱり赤ずきんちゃんは、仲良くお喋りが出来る友達が欲しいんだね」
赤ずきん「妹」
オオカミ「……はい?」
赤ずきん「妹が欲しい。友達はいらないから妹が欲しいの」
オオカミ「そ、そうかい」
赤ずきん「ママとパパに頼んでもなかなか作ってくれないの。何でかな?」
オオカミ「あー。まあ、ご両親にもそれぞれの都合があると言うか……」
赤ずきん「せっかく気を利かせて家にいない時間を増やしたのになぁ」
オオカミ「意味分かって言ってる赤ずきんちゃん!?」
……さて、赤ずきんとオオカミが一緒になって森の中を歩いて行くと。
2人の正面に、突然何者かが現れました!
??「ゲッヘッヘ。探したぜ〜赤ずきんちゃん!」
赤ずきん「あ、お前はっ!!」
突如赤ずきんたちの前に現れた人物。果たしてそれは、何者なのでしょうか!?
次回、第2話「赤ずきんちゃんの逃避劇」。ご期待ください。
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コメント
ノベルバユーザー338373
すごい私好みの話でした