公爵令嬢は結婚したくない!
出張手当はつきますか?(11)
「これは予想よりも、貿易都市エルノに到着する時間は遅くなる気がします」
「――えっ!?」
私は、乾いたアクアリードさんの神官服を着込みながら振り向く。
タイツを履いていたこともありバランスを崩しかけたけど、何とか持ち直して「どういうこと?」と話しかける。
現在、馬車は街道沿いをゆっくりと北上している。
昨日よりは、遅い気がしたけど、そこまで気にはしていなかった。
私の問いかけに、私のドレスを来たメリッサさんが「はい、簡単に説明させてもらうと今引いている山賊がいるからです」と話しかけてきた。
帆馬車、後方から後ろを見ると腕と後ろでに縛られた山賊たちの姿が見える。
「つまり、彼らの歩みに合わせているから遅いということですか?」
「はい、率直に言いますとそうなります」
「なるほど……」
今現在、衛星都市ミトンで蔓延している不可解な病の特定と解決策を得るために衛星都市エルノに向かっていて、いま! この時! 病に苦しんでいる人が存在している。
正直、往復で2週間近くかかる。
そして、衛星都市エルノの総督府を治めているカベル・ド・ルグニカ海爵との取引の時間を含めると時間を、これ以上掛ける余裕なんてない。
それに……。
子供達も病気に掛かっている。
「仕方ないです」
「ご理解いただけて――」
「山賊さん達には我慢していただきましょう」
「――え?」
そう、子供達と山賊。
どちらが大事かと言えば、そんなのは決まっている。
私は、子供達のほうがずっと大事。
だったら……。
誰かを食い物にして生活をしてきた人間には我慢してもらうしかない。
「アクアリードさん」
私は、移動している帆馬車の中を歩いていき、従者席に座っている女性に話しかける。
「どうかしましたか?」
「山賊さん達を引いているため、いま帆馬車の移動速度が遅くなっているとメリッサさんに伺いました」
「はい。それでは、このままの速度で進みます」
私はアクアリードさんの言葉に対して否定的な意味合いを込めて頭を振りながら「いいえ」と答える。
「ユウティーシア様?」
「申し訳ありませんが、私達には衛星都市ミトンを守る役目があります。そして彼らは山賊です。ですから、彼らには少し頑張ってもらいます」
「頑張ってもらう?」
アクアリードさんは、不思議そうな表情で私の言葉を繰り返してくる。
私が彼女の言葉に頷きつつ。
「はい、彼らには帆馬車の移動速度に合わせて移動してもらいます」
「ユウティーシア様、人は縄に縛られている状態では帆馬車に合わせて走るのは無理ですし、たとえ走れたとしても馬と違って長時間走ることは出来ません」
「そうですね、ですから彼らには地面を転がってもらいます」
「――ッ!? ユウティーシア様、そ、それは……」
ようやく理解したのか、アクアリードさんの表情が変わる。
「そんな事をすれば、人は死んでしまいます」
たしかに、バイクや車の後ろに縄で人を縛って轢き回した場合、舗装されている道路でも傷では済まない。
まして、ここは、まったく舗装されていない道であり小石なども転がっている。
下手をすれば、下手をしなくても死に掛けると思う。
それでも、私は町の人のほうが大事。
それに殺そうとは思っていない。
ちょっと痛みを我慢してもらうだけ。
「大丈夫です。即死しない限り定期的に回復魔法をかけますので死にはしません」
「……」
彼女は大きく息を吐くと私を見上げてきた。
「分かりました。――ですが、本当にいいのですね?」
アクアリードさんの言葉に私は頷く。
それから、しばらくして帆馬車は移動速度を速めていく。
もちろん、帆馬車の後ろに繋がれていた山賊の人たちは撥ねてきた小石や、道端の石に体を当てて体が傷ついていく。
私は、そのたびに彼らの傷を回復の魔法で癒していく。
そう、ただ機械的に――。
衛星都市エルノの町並みが見えてきたのは、それから4日後であった。
「――えっ!?」
私は、乾いたアクアリードさんの神官服を着込みながら振り向く。
タイツを履いていたこともありバランスを崩しかけたけど、何とか持ち直して「どういうこと?」と話しかける。
現在、馬車は街道沿いをゆっくりと北上している。
昨日よりは、遅い気がしたけど、そこまで気にはしていなかった。
私の問いかけに、私のドレスを来たメリッサさんが「はい、簡単に説明させてもらうと今引いている山賊がいるからです」と話しかけてきた。
帆馬車、後方から後ろを見ると腕と後ろでに縛られた山賊たちの姿が見える。
「つまり、彼らの歩みに合わせているから遅いということですか?」
「はい、率直に言いますとそうなります」
「なるほど……」
今現在、衛星都市ミトンで蔓延している不可解な病の特定と解決策を得るために衛星都市エルノに向かっていて、いま! この時! 病に苦しんでいる人が存在している。
正直、往復で2週間近くかかる。
そして、衛星都市エルノの総督府を治めているカベル・ド・ルグニカ海爵との取引の時間を含めると時間を、これ以上掛ける余裕なんてない。
それに……。
子供達も病気に掛かっている。
「仕方ないです」
「ご理解いただけて――」
「山賊さん達には我慢していただきましょう」
「――え?」
そう、子供達と山賊。
どちらが大事かと言えば、そんなのは決まっている。
私は、子供達のほうがずっと大事。
だったら……。
誰かを食い物にして生活をしてきた人間には我慢してもらうしかない。
「アクアリードさん」
私は、移動している帆馬車の中を歩いていき、従者席に座っている女性に話しかける。
「どうかしましたか?」
「山賊さん達を引いているため、いま帆馬車の移動速度が遅くなっているとメリッサさんに伺いました」
「はい。それでは、このままの速度で進みます」
私はアクアリードさんの言葉に対して否定的な意味合いを込めて頭を振りながら「いいえ」と答える。
「ユウティーシア様?」
「申し訳ありませんが、私達には衛星都市ミトンを守る役目があります。そして彼らは山賊です。ですから、彼らには少し頑張ってもらいます」
「頑張ってもらう?」
アクアリードさんは、不思議そうな表情で私の言葉を繰り返してくる。
私が彼女の言葉に頷きつつ。
「はい、彼らには帆馬車の移動速度に合わせて移動してもらいます」
「ユウティーシア様、人は縄に縛られている状態では帆馬車に合わせて走るのは無理ですし、たとえ走れたとしても馬と違って長時間走ることは出来ません」
「そうですね、ですから彼らには地面を転がってもらいます」
「――ッ!? ユウティーシア様、そ、それは……」
ようやく理解したのか、アクアリードさんの表情が変わる。
「そんな事をすれば、人は死んでしまいます」
たしかに、バイクや車の後ろに縄で人を縛って轢き回した場合、舗装されている道路でも傷では済まない。
まして、ここは、まったく舗装されていない道であり小石なども転がっている。
下手をすれば、下手をしなくても死に掛けると思う。
それでも、私は町の人のほうが大事。
それに殺そうとは思っていない。
ちょっと痛みを我慢してもらうだけ。
「大丈夫です。即死しない限り定期的に回復魔法をかけますので死にはしません」
「……」
彼女は大きく息を吐くと私を見上げてきた。
「分かりました。――ですが、本当にいいのですね?」
アクアリードさんの言葉に私は頷く。
それから、しばらくして帆馬車は移動速度を速めていく。
もちろん、帆馬車の後ろに繋がれていた山賊の人たちは撥ねてきた小石や、道端の石に体を当てて体が傷ついていく。
私は、そのたびに彼らの傷を回復の魔法で癒していく。
そう、ただ機械的に――。
衛星都市エルノの町並みが見えてきたのは、それから4日後であった。
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