公爵令嬢は結婚したくない!

なつめ猫

男女平等パンチ!

「ふざけないでいただけますか? ユウティーシア様は、先ほど決闘を望んでいるのですか? と聞いたときに「そうですね」と答えたではありませんか!」
 ええ! そんな話をしていたんですか?
 適当に相槌を打っていたので気が付かなかったですね!
 ここは、誠意ある対応をするしかありませんか。

 そんな事を考えていると、今日1日の勉学時間の始まりの鐘の音色が鳴った。
 私は荷物を纏めると、タフネス先生が教室内に入ってきた。
 そして、1時間ほどで算数の授業が終わり私は溜息をつく。
 前世の知識があるために、小学生が勉強するような内容の授業など退屈で仕方がない。
 私は荷物をまとめて、購買部で購入した鞄に詰めていく。

 すると、机をバン! と叩く音がして顔を上げるとそこには憤怒の顔をしたアンネローゼが仁王立ちしていた。

「ユウティーシア様に決闘を申し込みますわ!」
 アンネローゼが、男性同士の決闘なら手袋を投げてくるところをハンカチを私に投げつけてきた。
 そのハンカチを私は椅子に座っていた事もあり避ける事が出来なかった。
 そして体に当たるハンカチ。

「決闘だー!」と叫んでいるお祭り騒ぎの男子達。
そして、私を見降ろしてくるアンネローゼと取り巻きの3人。

「これで決闘は成立ですわね! 決闘は4人まででしたら何人でも連れてきて結構ですわよ? ユウティーシア様? いつでも掛ってくるといいですわ!」
 ふむ。
 少しイラついてきた。
 あまりにも一方的に敵愾心を持たれて何度もいちゃもんをつけられると、10歳の戯言と言えど看過できないもとになる、
 私は立ちあがるとアンネローゼのローファーの足先を思いっきりローファーで踏みつける。
 アンネローゼは痛みと突然の私の行動に理解が及んでいないようで、次に何が起きるかわかっていないようだ。
 とりあえずお前は寝ていなさい!
 私の握り締めた拳がアンネローゼの顔面中心に突き刺さる。
 そして、足を踏みつけられて身動きが取れないアンネローゼはモロに私の拳を受けてそのまま床の上に崩れ落ちた。

 残りの3人はようやくアンネローゼが攻撃を受けたと理解したのか。すぐに魔法を使おうとしてきているけど、こいつらはバカなのか? こんな近距離で初級攻撃魔法の詠唱を私が許すわけがないだろうに。
 私は、3人のうち一人の鳩尾に前蹴りを食らわせ、続けざまに上段回し蹴りを詠唱を始めていた女に食らわせる。
 蹴りがモロに顔に当たったのか女生徒は、そのまま床の上に倒れた。

 そして最後の女生徒のレバーを打ち抜いて呼吸困難を引き起こして勝敗はついた。
 その様子に先ほどまで「決闘騒ぎで」盛り上がっていた教室は静かになってしまっていた。
 私は、彼らを見渡すと微笑んで

「皆様、見ていただいたとおり4対1でした。あと相手は、教室で魔法を使ってこようとしました。正当防衛ですのでよろしくお願い致しますわ」
 私はそれだけ言うと鞄を持って教室から出た。
 教室から出て、廊下を歩きながら建物を出ると誰かが私を追ってきた。
 後ろを振り返るとそこには、私のよく知ってる人がいた。

「悪いが君に話があるんだが?」
 と私の婚約者であるクラウス様は、瞳の色を怒りで染め上げながら話しをしてきた。

「私、これから病院にいかなくてはいけませんの」
 その場から去ろうとしたところで、後ろから肩を掴まれて近くの壁に体を押し付けられた。
 いわゆる壁ドンというやつ。
 私は溜息をつきながらクラウス様を見上げる。

私達、10歳は初等部と言う事もあり午前中授業。
クラウス様は、中等部という事もあり午後も授業があるはずなんだけど、どうしてここに?

「君がアンネローゼ達に暴力を振るったと言うのは聞いた。どうしてそういう事をしたのか聞きたいと思ったんだ」
 何を言っているんでしょうか? この王子アホは……。
 あまりにも下らなすぎて付き合いきれない。
 それでも言うべき事は言う必要はあるでしょう。

「アンネローゼは、わたくしに無理矢理に決闘を申し込んできました。ですからクラウス様には関係のない事ですの。それと婚約者がいる身で他の女に熱をあげてるのは次期国王として如何なものかと思いますわ。失礼いたします」
 私は言うだけの事を言って、クラウス様と壁の間から移動して歩き出す。

 これは……かなりマズイかもしれません。
 上に立つ人間が、この体たらくだとこの国の将来はやばいですね。
 どうかしないと、皺寄せが国民に向かってしまいます。

 一度、ウラヌス卿と話をする必要がありますね。




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