無名の最強魔法師(WEB版)

なつめ猫

姉妹の思い出(21)

「大丈夫だ、問題ない!」

 困惑した表情で俺に語りかけてきたエルスに、はっきりと俺が答えると「……あ、う……うん……。えーと、も、もう何も言わないよ」と、肩を落としながら納得してくれたようで―ー。

「さて、それでは、エルスも納得してくれたことだし、話を進めるとするか? こら! アリアもリネラスも、いつまでも――」
「ユウマは黙っていて!」
「お兄ちゃんは、黙ってて!」
「――あ……は、はい……」

 あ、あれ?
 何故かアリアと、リネラスに怒られたぞ? どうしてだ?

「ほら! だから言わんこっちゃない」

 椅子に座った俺にエルスが溜息交じりに話しかけてきた。

「それにしても、どうして妹とリネラスが険悪になっているって分かったんだ?」
「それ、本当に言っているの?」
「ああ、そうだが――」
「はぁ……、これは、私から言う言葉じゃないんだけどね……いつか大変な事になるよ? とりあえず、エルフ? 彼女達のことから何とかしたらどうなの?」
「彼女達?」

 俺の問いかけに頷くとエルスが建物の外を指差す。
 エルスの指差した方向へ視線を向けると、大勢のエルフの姿が見えた。

「そうそう、どうせ妹さんとリネラスさんだっけ? 当分、言い争いは終わりそうにないし、途中で仲介に入ると大変だしね?」
「そ、そうなのか?」
「そうそう、異性を取り合うような喧嘩に入ると、大抵面倒なことになるからね」
「ふむ……」

 俺は頷いたあと椅子から立ち上がる。
 そして、「サマラ少しいいか?」と語りかけると何故か知らないが、サマラが頬を少し赤く染めながら、立ち上がる「いいけど……」と、俺に近寄ってくる。

「建物の外にいる連中も、お前と同じようにエルフの族長からの命で来ているのか?」
「――え?」

 サマラは、建物の外へ視線を向ける。

「ど、どうして……」
「――ん? お前も関知していないことなのか?」
「う、うん……」

 俺の問いかけに困惑した表情で答えてくるサマラからは嘘を言ってるような感じを受けない。

「とりあえず、まずは話を聞いたほうがいいんじゃない?」

 色々と考えているとエルスがテーブルに肘を載せてながら俺とサマラに話かけてきた。
 俺達は、目配せあうと、そのまま建物が出る。

「―ーあっ! ユウマさん! ……と、サマラ様……」

 俺とサマラの姿を見たアンネが話しかけてきた。

「アンネ? 何故か私がついでのような言い方を……」
「気のせいです!」
「サマラ、とりあえず時間がもったいない。アンネ、このエルフ達は、一体何なんだ?」

 集まっているエルフは、丁度30人ほど。

「族長から、エルフガーデンを守るためにユウマさんに鍛えてもらうようにと、言われてきました」
「なるほど……」

 たしか、以前にエリンフィートとエルフを鍛えるみたいな話をした記憶が……。

「――で、どのくらい鍛えるか聞いていないんだが……俺、基準でいいのか?」
「はい! ユウマさんの基準で鍛えてもらえれば! と族長が言っていました!」
「なるほど……」

 どのくらい強くすればいいんだ?
 俺とか10歳の時に、ワイバーンとか素手で倒していたからな……。
 とりあえず、その基準まで鍛えればいいか!

 丁度いいことに、俺が作ったダンジョンには、ワイバーンとかドラゴンとか出るからな。
 鍛えるには丁度いいだろうし、何かあった場合に備えて探索しておくのも悪くはないだろう。」


「とりあえず……」

 俺の妹とリネラスと他の女子共は後回しにするとして、こいつらから先に対応するとしよう。
 きちんと鍛えておけば、エルフガーデンに拠点を構えている俺の仲間達の安全性もあがるからな。

 それに……。

 酷い事を言うようだが、ある程度の牽制にも仕えるだろうし……。

「今から、どのくらい戦えるのが見せてもらいたいんだが……」
「ユウマさん。一応、エルフは森で狩りなども行っていますし魔法を扱う術にも長けていますので、それなりに戦えるつもりです」

 俺の問いかけにアンネが、エルフ達の代表として答えてくる。

「アンネ、ユウマさんの基準ですから! それなりじゃないと思いますよ!」

 アンネの言葉に何と説明していいか迷っていたところで、サマラがアンネを一喝している姿が、とても印象的であったが……あまり、ゴタゴタは好きではない。 

「とりあえず、着いて来てくれ」

 サマラとアンネが、 俺の言葉を聞くと素直に頷くと他のエルフ達を連れて着いてくる。
 建物の正面から入ると、言い合いをしている妹やリネラスに絡まれそうな気がしたこともあり、建物の外を一周する。

「ユウマさん、こ、これは――。ダンジョンの入り口ですか?」

 中庭、その中央に位置する花壇。
 そこには、地下ダンジョンへと通じる穴というか入り口が確かに存在している。
 その入り口を見たあと、アンネは険しい視線を俺に向けて問いかけてきた。




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