【書籍化作品】無名の最強魔法師
姉妹の思い出(2)
「それで、これからどうしますか?」
ユリカの言葉に、俺はこれからのことを思案する。
正直、俺が破壊したかどうかは知らないが、ダンジョンが引き起こした爆発によりエルフガーデンは壊滅的な被害を被った。
まぁ、俺が破壊したとエリンフィートは言っているが、確たる証拠が無い以上、全て俺が悪いというのはさすがに言いすぎだろう。
それでも――。
「そうだな……。とりあえず、これからのことも考えてエルフガーデンの集落の再建くらいは力を貸した方が良いかもしれないな」
恩を売っておけば、エリンフィートはともかく、何かあったときにエルフ達の助力を受けやすくなるからな。
そう考えると、悪い案ではないな。
「え? エルフの集落再建に力を貸すんですか? リネラスさんを罵倒してた人たちですよ? 本当に力を?」
「ま、まぁな――。ほら、俺達も一応は世話になっているし、知らない仲でもないだろう?」
「そうですけど……」
ユリカは、釈然としない表情をしているが、逆にセイレスは純粋なエルフと言うこともあり俺が再建に力を貸すと言ったあたりから、表情が明るくなって――。
「まぁ、あれだ。エルフ達の生活を安定させておけば、リンスタットや面倒を見ている子ども達だって、支援を受けられるからな――」
「支援? 面倒を見ている?」
「いや――。……あれだ。女性だけだと、こんな山奥の子ども達の食料調達さえままならないだろ? エルフガーデンに済むエルフ達の集落から支援を受けてないとおかしいと思うのが妥当だと思うわけだ」
「……ユウマさん、何か隠し事をしていませんか?」
ユリカは、ジッと俺の目を見てくると深く溜息をつく。
「はぁー……。まぁ、言いたくないことでしたら構いませんけど……。それに、何か言いたくない事情があるからこそ、今、誤魔化されたんですよね?」
「うっ!?」
さすがは鑑定士――。
まるで俺の心の内側を見透かすように言葉をかけてくる。
「ユウマさんは、とても態度と表情から何を考えているのか読みやすいので、知られたくない人の前では気をつけてくださいね」
「あ、ああ……わかった。気をつけることにする」
彼女の言葉からは確信めいたものを感じる。
しかし……俺って、そんなに分かりやすい表情とかしてるのか――?
自分では、よく分からないな。
とりあえず、リネラスを含めたエルフ達の前では、なるべく気をつけるとしよう。
「――さて……」
俺は椅子から立ち上がって、背伸びをしながら言葉を紡ぐ。
これ以上、ユリカに何か突っ込まれても困る。
それにイノンのことについては、何れ分かることだが、今は言わないほうがいいだろう。
「明日は、ユリーシャとエルンペイアの軍勢の様子を確認してくる。何とか押しとどめておいてくれればいいんだが……」
「え? 明日に行かれるんですか? エルフガーデン集落の復興はどうされるんですか?」
「すぐには取り掛かれないな。まずは、エルフガーデンに侵攻してきている国軍と反乱軍の現在の状況を確認しておかないとな……」
答えた言葉に「そうなんですか?」と言うユリカの問いかけに頷きながらも、今の現状はアライ村に侵攻してきたウラヌス十字軍と敵対した頃に状況が近いことに気がつく。
そう考えると、いまの状況はかなり歩が悪い。
何せ、俺が守るものはリネラスを筆頭とした非戦民。
そして、戦いに加わってくれるかどうかすら曖昧なエルフ達に土地神。
問題は、リンスタットやサマラたちを見捨てて逃げるという選択肢は……リネラスがいるから無理なんだよな。
そうすると戦うことになるんだが……。
ここから、エルフガーデンのエルフ村集落までの距離はあるし、守る範囲が広すぎる。
全部を、壁で囲んだら魔力が尽きて戦うどころでは無くなってしまう。
「やれやれ――どうしたものかな……」
前回は、他国の領土に侵攻してきた部隊を撤退させるだけだったが、さすがに同じ国の人間には通じないだろうし、さらに言えば協力的な騎士団もいないとなれば……。
手加減は厳しくなるな――。
そこまで考えて俺は小さく溜息をついた。
ユリカの言葉に、俺はこれからのことを思案する。
正直、俺が破壊したかどうかは知らないが、ダンジョンが引き起こした爆発によりエルフガーデンは壊滅的な被害を被った。
まぁ、俺が破壊したとエリンフィートは言っているが、確たる証拠が無い以上、全て俺が悪いというのはさすがに言いすぎだろう。
それでも――。
「そうだな……。とりあえず、これからのことも考えてエルフガーデンの集落の再建くらいは力を貸した方が良いかもしれないな」
恩を売っておけば、エリンフィートはともかく、何かあったときにエルフ達の助力を受けやすくなるからな。
そう考えると、悪い案ではないな。
「え? エルフの集落再建に力を貸すんですか? リネラスさんを罵倒してた人たちですよ? 本当に力を?」
「ま、まぁな――。ほら、俺達も一応は世話になっているし、知らない仲でもないだろう?」
「そうですけど……」
ユリカは、釈然としない表情をしているが、逆にセイレスは純粋なエルフと言うこともあり俺が再建に力を貸すと言ったあたりから、表情が明るくなって――。
「まぁ、あれだ。エルフ達の生活を安定させておけば、リンスタットや面倒を見ている子ども達だって、支援を受けられるからな――」
「支援? 面倒を見ている?」
「いや――。……あれだ。女性だけだと、こんな山奥の子ども達の食料調達さえままならないだろ? エルフガーデンに済むエルフ達の集落から支援を受けてないとおかしいと思うのが妥当だと思うわけだ」
「……ユウマさん、何か隠し事をしていませんか?」
ユリカは、ジッと俺の目を見てくると深く溜息をつく。
「はぁー……。まぁ、言いたくないことでしたら構いませんけど……。それに、何か言いたくない事情があるからこそ、今、誤魔化されたんですよね?」
「うっ!?」
さすがは鑑定士――。
まるで俺の心の内側を見透かすように言葉をかけてくる。
「ユウマさんは、とても態度と表情から何を考えているのか読みやすいので、知られたくない人の前では気をつけてくださいね」
「あ、ああ……わかった。気をつけることにする」
彼女の言葉からは確信めいたものを感じる。
しかし……俺って、そんなに分かりやすい表情とかしてるのか――?
自分では、よく分からないな。
とりあえず、リネラスを含めたエルフ達の前では、なるべく気をつけるとしよう。
「――さて……」
俺は椅子から立ち上がって、背伸びをしながら言葉を紡ぐ。
これ以上、ユリカに何か突っ込まれても困る。
それにイノンのことについては、何れ分かることだが、今は言わないほうがいいだろう。
「明日は、ユリーシャとエルンペイアの軍勢の様子を確認してくる。何とか押しとどめておいてくれればいいんだが……」
「え? 明日に行かれるんですか? エルフガーデン集落の復興はどうされるんですか?」
「すぐには取り掛かれないな。まずは、エルフガーデンに侵攻してきている国軍と反乱軍の現在の状況を確認しておかないとな……」
答えた言葉に「そうなんですか?」と言うユリカの問いかけに頷きながらも、今の現状はアライ村に侵攻してきたウラヌス十字軍と敵対した頃に状況が近いことに気がつく。
そう考えると、いまの状況はかなり歩が悪い。
何せ、俺が守るものはリネラスを筆頭とした非戦民。
そして、戦いに加わってくれるかどうかすら曖昧なエルフ達に土地神。
問題は、リンスタットやサマラたちを見捨てて逃げるという選択肢は……リネラスがいるから無理なんだよな。
そうすると戦うことになるんだが……。
ここから、エルフガーデンのエルフ村集落までの距離はあるし、守る範囲が広すぎる。
全部を、壁で囲んだら魔力が尽きて戦うどころでは無くなってしまう。
「やれやれ――どうしたものかな……」
前回は、他国の領土に侵攻してきた部隊を撤退させるだけだったが、さすがに同じ国の人間には通じないだろうし、さらに言えば協力的な騎士団もいないとなれば……。
手加減は厳しくなるな――。
そこまで考えて俺は小さく溜息をついた。
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