【書籍化作品】無名の最強魔法師
親類の絆(25)
「眠り姫?」と、リネラスは呟くと周囲を見渡し首を傾げたあと、「ユウマ、ここって……どこなの?」と語りかけてきた。
「ああ、ここはエリンフィートの話だと、お前の記憶を利用して俺が作り出した世界らしい」
「へー……。……えっ!? ええ!? ……そ、それって……それって、ユウマが私の記憶を見たりしたってこと?」
リネラスは、目を見開くと立て続けに驚いては俺に質問してくる。
その質問には、記憶という単語が含まれているが、たしかにリネラスの深層心理の記憶を流用した部分も見たような気がするし、見たか? と言えば見たかも知れない。
「まぁ、色々と見たな!」
「色々って……何を見たの?」
何を見たのって言われてもな。
俺はリネラスの隣に座っているリンスタットに視線を向ける。
彼女は、何が起きたか分からない表情を見せたあと、邪悪そうに口元を歪めて――。
「お母さんも見たわよ! あんなことや、こんなことや――」
「――!?」
リネラスは、頬を真っ赤に染めると「お母さんは黙ってて!」と、呟く。
すると、エリンフィートが消えた時のように、リンスタットもその場から消えてしまう。
「……お、お母さん!? ユ、ユウマ! これは? 私は? 一体――どうなって!?」
非常に驚いた様子で、リネラスは俺を見てくると問いかけてくる。
その表情は青くなっているが――。
「よく知らないが、お前が必要ないと思った奴は、この世界には居られないようだぞ?」
まぁ、エリンフィートは、どちらかと言えば自発的に出て行ったような気がしないでもないが。
そのへんは良くは分からないし、その内に弱みでも握ったら聞けばいいだろう。
「そうなの?」
「ああ、たぶん……」
断定的なことは言えないからな。
それよりも……今は、それよりも……。
「ユ、ユウマ? ど、どうしたの?」
「……ん? あ――」
気がつけば……。
そう、リネラスに言われて――。
無意識の内に彼女を――リネラスを抱きしめていることに気がついた。
自分が歩いて彼女の近くに寄っていったことも、座り彼女を抱きしめた動作すら自覚ないまま自然と、彼女の体を引き寄せて抱きしめていた。
「す、すまない……」
居た堪れなくなり、彼女から離れようとすると。
「待って!」
リネラスが短く言葉を、俺の耳元で囁いてくると、俺の首に両腕を回してくる。
すると、彼女は、近い距離から俺の瞳をまっすぐに見てくると。
「ねえ? ユウマ……」
「ど、どうした?」
また、何か小言でも言われるか?
ただ、その割には、リネラスは、何かを躊躇しているような気がするんだが……。
「私ね、ずっと夢を見ていたの。友達のサマラと一緒に遊んで、お父さんがエルフガーデンの外に出てても、お爺ちゃんがいて、お母さんがいて、将来は冒険者ギルドを大きくしてエルフガーデンを活気ある場所にしようって思って頃の夢……」
彼女は、囁くように俺の耳元で言葉を紡いでくる。
それは、俺の知っている現実と、そして知らない事実。
「そうか……」
事情を知らない俺には、彼女が何を話し、何を考えて、どんな答えを求めているのかなんて分からないし、分かると言ったら、それこそ傲慢の何者でもないだろう。
だから、俺は返事だけをして口を噤むことに決める。
それが一番いいと、何となくだが分かってしまうから。
「でもね、私はね、魔法が使えなくて、そのおかげでお爺ちゃんが死んで、お母さんに嫌われたの。それでね、エルフガーデンの皆から嫌われてね。逃げるようにフィンデイカの村にお父さんと一緒に移住したの」
「ああ、そうか……」
それも知っている。
彼女の深層心理から汲み取られ作られた記憶を見て分かっている。
「うん……。でもね、お母さんはエルフガーデンから出ることは出来なかったの。だって、私が生まれたおかげでね、その影響で、たくさんの私より年下の子ども達が魔法を見る事が出来なかったから……。その子達の面倒を見るために、お母さんはエルフガーデンに残ったから……」
「……」
「ああ、ここはエリンフィートの話だと、お前の記憶を利用して俺が作り出した世界らしい」
「へー……。……えっ!? ええ!? ……そ、それって……それって、ユウマが私の記憶を見たりしたってこと?」
リネラスは、目を見開くと立て続けに驚いては俺に質問してくる。
その質問には、記憶という単語が含まれているが、たしかにリネラスの深層心理の記憶を流用した部分も見たような気がするし、見たか? と言えば見たかも知れない。
「まぁ、色々と見たな!」
「色々って……何を見たの?」
何を見たのって言われてもな。
俺はリネラスの隣に座っているリンスタットに視線を向ける。
彼女は、何が起きたか分からない表情を見せたあと、邪悪そうに口元を歪めて――。
「お母さんも見たわよ! あんなことや、こんなことや――」
「――!?」
リネラスは、頬を真っ赤に染めると「お母さんは黙ってて!」と、呟く。
すると、エリンフィートが消えた時のように、リンスタットもその場から消えてしまう。
「……お、お母さん!? ユ、ユウマ! これは? 私は? 一体――どうなって!?」
非常に驚いた様子で、リネラスは俺を見てくると問いかけてくる。
その表情は青くなっているが――。
「よく知らないが、お前が必要ないと思った奴は、この世界には居られないようだぞ?」
まぁ、エリンフィートは、どちらかと言えば自発的に出て行ったような気がしないでもないが。
そのへんは良くは分からないし、その内に弱みでも握ったら聞けばいいだろう。
「そうなの?」
「ああ、たぶん……」
断定的なことは言えないからな。
それよりも……今は、それよりも……。
「ユ、ユウマ? ど、どうしたの?」
「……ん? あ――」
気がつけば……。
そう、リネラスに言われて――。
無意識の内に彼女を――リネラスを抱きしめていることに気がついた。
自分が歩いて彼女の近くに寄っていったことも、座り彼女を抱きしめた動作すら自覚ないまま自然と、彼女の体を引き寄せて抱きしめていた。
「す、すまない……」
居た堪れなくなり、彼女から離れようとすると。
「待って!」
リネラスが短く言葉を、俺の耳元で囁いてくると、俺の首に両腕を回してくる。
すると、彼女は、近い距離から俺の瞳をまっすぐに見てくると。
「ねえ? ユウマ……」
「ど、どうした?」
また、何か小言でも言われるか?
ただ、その割には、リネラスは、何かを躊躇しているような気がするんだが……。
「私ね、ずっと夢を見ていたの。友達のサマラと一緒に遊んで、お父さんがエルフガーデンの外に出てても、お爺ちゃんがいて、お母さんがいて、将来は冒険者ギルドを大きくしてエルフガーデンを活気ある場所にしようって思って頃の夢……」
彼女は、囁くように俺の耳元で言葉を紡いでくる。
それは、俺の知っている現実と、そして知らない事実。
「そうか……」
事情を知らない俺には、彼女が何を話し、何を考えて、どんな答えを求めているのかなんて分からないし、分かると言ったら、それこそ傲慢の何者でもないだろう。
だから、俺は返事だけをして口を噤むことに決める。
それが一番いいと、何となくだが分かってしまうから。
「でもね、私はね、魔法が使えなくて、そのおかげでお爺ちゃんが死んで、お母さんに嫌われたの。それでね、エルフガーデンの皆から嫌われてね。逃げるようにフィンデイカの村にお父さんと一緒に移住したの」
「ああ、そうか……」
それも知っている。
彼女の深層心理から汲み取られ作られた記憶を見て分かっている。
「うん……。でもね、お母さんはエルフガーデンから出ることは出来なかったの。だって、私が生まれたおかげでね、その影響で、たくさんの私より年下の子ども達が魔法を見る事が出来なかったから……。その子達の面倒を見るために、お母さんはエルフガーデンに残ったから……」
「……」
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