無名の最強魔法師(WEB版)

なつめ猫

親類の絆(19)

 彼女の――エリンフィートの声色には、俺に否定を許さない確固たる意志が込められているかのようで――。
 エリンフィートは、地面に手で持っていた木の棒を使い絵を書いていく。
 その絵は、お世辞にも上手いとは言えない内容であった。

「お前、絵の才能がないな」
「黙っててください。鈍感な変質者!」
「お前、ひどくね? この世界に来てからの俺の扱いひどくね?」

 俺の抗議を余所に、エリンフィートは地面に絵を書き終わったあと、そこに文字を書いていく。
 その文字は、エルアル大陸の共用語。

「女物の服を着て喜んでいる変態には丁度いいです」
「いや、お前が着ろって言ったんだろうに……」
「言い訳はやめてもらえますか? 気持ち悪い」

 こいつ殴りたい、マジで殴りたい。
 とりあえず、この世界から出たら一発殴ってやろう。
 ぐーでいいよな? ぐーで!

「さて、出来ました」
「――ん?」

 彼女がさっきまで書いてた地面へ視線を落とすと、そこには変なじゃなくて、独特の絵と、読みにくい文字が羅列されていた。
 正直に言おう。
 何の絵か分からないし、字が汚くて読めない。
 ただ、ここでその事を指摘して優越感を含ませた表情を向けてきているエリンフィートのプライドに傷をつけてもしかない。

「お前の字さ、汚くて読めないんだが?」
「なんですってー!」
「ああ、つい思ったことが口に出ちまった」
「わざとですよね? わざと思ったことをそのまま言ってますよね?」

 エリンフィートが顔を真っ赤にしてなにやら怒っているが、本当にわざとじゃないんだよな。
 つい! 本当につい! 言ってしまっただけなのだ。
 まぁ全然、罪悪感の欠片も浮かんでこないけどな!
 ある意味、こいつの本質はリネラスに近いような気がしないでもないが、今は置いておくとしよう。

「――で、だ。……お前の字は汚すぎて読めない。きちんと説明してくれるか?」
「……ハァー……。分かりました。まずは、一つ目が重要なのですが通常では、人は深層心理の世界を構成する際に、これほど精巧な世界を編み出すことができないんです」
「ん? どういうことだ? 現に、今、ここに……目の前に世界が、存在しているぞ?」

 俺の言葉にエリンフィートは、顎に手を当て少し考え他跡に口を開き。

「へんし――ユウマさん」
「お前、俺のことを変質者って言おうとしたろ?」

 彼女は首を傾げながら「ユウマさんが何を言っているのか分かりませんが!」と言った後、言葉を続けてくる。

「ユウマさん、魔法というのは世界を構成する精神物質が大気に拡散された後に生じた精神エネルギーを利用し、消費することで発動しているというのはユウマさんなら理解してると思います。一応、魔法師ですからね」
「……」

 初めてきいた。
 精神物質ってなんだよ? そんなの知らないぞ?
 第一、大気に拡散されたって氷が気化するようなものなのか?
 でも、魔法師だと知っていて当たり前のようなことを言っているからな。
 ここで知らないとか言ったら、現在でも馬鹿にして接して来ているのに、さらに下に見られそうで癪に障る。

「まあな!」
「…………そ、そうですか。まぁ、魔法師のおさらいといきますか。そもそも、このエルアル大陸だけではなく、この世界アガルタは、精神感応物質で作られているんです。そして、放出された精神感応物質が一点に集まり許容値を超えたとき、強力な魔物などが現れたりします」

 エリンフィートの言葉に俺は頷く。
 初めて聞いたな、精神感応物質――俺の謎知識には精神感応金属っていう知識があるが、それはオレイカルコスって言う伝説の金属ということになっている。
 世界ってことは、この星がまるごと、精神感応物質で出来てると仮定すると、魔法が何故使えるのかも大体想像がつく。
 つまり、この世界の物理法則は、精神感応物資に依存するという非常識な内容にに沿って存在してると定義づけられる。
 ただ、それは非常に危ういような……。

「さて、ここで問題となるのが神という存在が、どのように生み出されるかですが……その辺りのことは私もよくは覚えていません」

 彼女の覚えていませんという言葉に少しだけ引っかかりを覚えるが、突っ込むことはせず説明を促す。

「さて、ここからが問題ですが人や生物には魔法を使う素養というのが元々、備わっているのですが、普通は簡単に魔法を使うことができません。何故なら魔法というのは世界の事象に干渉するものであり、精神エネルギーが世界を満たしてるとはいしても、それは、普段では状態では世界の改変に干渉するほど強いものではないからです」 


 

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