【書籍化作品】無名の最強魔法師
従属神襲撃(4)
巨大な体躯を俺の方へ向けてくる赤龍――レッドドラゴンは、まっすぐに俺の方へ視線を向けてくると何かを呑み込む動作を見せた。
それと同時に、俺が発動していた【探索】の魔法から、リネラスと思わせる緑色の光点が消滅し――。
「…………」
そこでようやく俺は気が付く。
俺が立っていた近くに――リネラスに送った白いワンピースの切れ端が落ちていることに。
そういえば、今日は珍しくリネラスが青を基調とした冒険者ギルドの制服ではなくワンピースを着ていた。
つまり、これは……。
無意識に奥歯を強く噛みしめる。
すると「ギリッ」という音が――奥歯を通して脳裏に響きわたる。
目の前に存在しているレッドドラゴンが咆哮し巨大な声をダンジョン内にまき散らす。
そして深く息を吸い込むと、熱波を放ってくる。
それはさながら火炎放射器のようでありながらも、威力、射程、範囲と共に数十倍はあろうかというほどのドラゴンブレス。
俺は、【身体強化】の魔法を発動させたまま左手を振るう。
それだけで大気が斬り裂かれドラゴンブレスを吹き飛ばした。
「ガルルルル!?」
「…………」
言葉を紡ごうとするが上手く回らない。
その代わりに俺の中で無性に……よく分からない苛立ちが募っていく。
俺の仲間に……俺のリネラスに手を出したのは――。
ゆっくりと、視界が、思考が、真っ赤に染まっていく。
そして、フィンデイカ村からリネラスや、イノンにセレンやセイレスそしてユリカとの旅の記憶が思い描かれたあと――。
怒りとともに、何かが「プツン」と、切れた音が聞こえたと同時に――普段はごく少な目の魔力でしか発動していない力を魔力を解放する。
自分自身でも抑えきれない程の魔力が一瞬でダンジョン内の魔力を――大気を強制的に支配下に置く。
「グルアアアアアア!」
俺の魔力を脅威と感じとったようで、目の前のレッドドラゴンは、唸り声を上げながら大人の身長ほどもあろうかという太い右腕を振り下ろしてくる。
ゆっくりと振り下ろされるレッドドラゴンの巨椀を、左手一本で受け止めた。
受け止めた衝撃で、俺が立っている場所――ダンジョン内の床は放射状にヒビが入る。
「こんなものか?」
どこまでも燃え上がる魔力とは相反するように、心の中はどこまでも黒く淀んでいく。
「こんなものが――ワイバーンの上級種であるレッドドラゴンの力なのか?」
「ガアア!」
俺の言葉が通じたかは分からない。
ただ、目の前のレッドドラゴンは、咆哮し再度ドラゴンブレスを放つ姿勢を取り自らの腕ごとドラゴンブレスで焼き尽くそうと放ってきた。
一瞬で俺の体は、数千度のドラゴンブレスにより焼かれていくが、超人的な肉体と【肉体修復】の魔法により一瞬で再生されていく。
体が修復され怪我ひとつ追わずにいる俺に恐れを為したのか逃げようとするレッドドラゴンの腕を掴む。
必死に翼を羽ばたかせて逃げようとするが――。
「逃がす訳がないだろう?」
静かに、そして冷淡にレッドドラゴンに通じてないとしても俺は語りかける。
すでにレッドドラゴンは、完全に怯えており残った左手で俺を引き剥がそうとしてくるが、俺は掴んでいたレッドドラゴンの右腕を力任せに捻じり引き千切った。
辺りに――レッドドラゴンの血飛沫が飛び散り、血特有の鉄を含んだ匂いが立ち上り鼻孔を刺激してくる。
「ガアアアアア――」
引き千切ったレッドドラゴンの右腕の付け根からは、大量の血が流れて出ており痛みからなのかレッドドラゴンのは形振りかまわず俺に炎を吹きかけてくる。
「だまっていろ! 目障りだ……トカゲが!」
叫びながらドラゴンの腹部を蹴りつける。
本来であるなら……ありえないはずの事象が――。
全長30メートルを超える重さ数十トンもあろうかという巨大な質量をもつレッドドラゴンは、吹き飛びダンジョンの壁に激突すると何かの塊を吐き出していた。
ドラゴンの位置は、壁に縫い付けられたと言っても口の部分からダンジョン内の地面までの高さは10メール以上はある。
「……あ、あれは……」
ドラゴンの口から吐き出されたのは、真っ裸のリネラスであった。
それと同時に、俺が発動していた【探索】の魔法から、リネラスと思わせる緑色の光点が消滅し――。
「…………」
そこでようやく俺は気が付く。
俺が立っていた近くに――リネラスに送った白いワンピースの切れ端が落ちていることに。
そういえば、今日は珍しくリネラスが青を基調とした冒険者ギルドの制服ではなくワンピースを着ていた。
つまり、これは……。
無意識に奥歯を強く噛みしめる。
すると「ギリッ」という音が――奥歯を通して脳裏に響きわたる。
目の前に存在しているレッドドラゴンが咆哮し巨大な声をダンジョン内にまき散らす。
そして深く息を吸い込むと、熱波を放ってくる。
それはさながら火炎放射器のようでありながらも、威力、射程、範囲と共に数十倍はあろうかというほどのドラゴンブレス。
俺は、【身体強化】の魔法を発動させたまま左手を振るう。
それだけで大気が斬り裂かれドラゴンブレスを吹き飛ばした。
「ガルルルル!?」
「…………」
言葉を紡ごうとするが上手く回らない。
その代わりに俺の中で無性に……よく分からない苛立ちが募っていく。
俺の仲間に……俺のリネラスに手を出したのは――。
ゆっくりと、視界が、思考が、真っ赤に染まっていく。
そして、フィンデイカ村からリネラスや、イノンにセレンやセイレスそしてユリカとの旅の記憶が思い描かれたあと――。
怒りとともに、何かが「プツン」と、切れた音が聞こえたと同時に――普段はごく少な目の魔力でしか発動していない力を魔力を解放する。
自分自身でも抑えきれない程の魔力が一瞬でダンジョン内の魔力を――大気を強制的に支配下に置く。
「グルアアアアアア!」
俺の魔力を脅威と感じとったようで、目の前のレッドドラゴンは、唸り声を上げながら大人の身長ほどもあろうかという太い右腕を振り下ろしてくる。
ゆっくりと振り下ろされるレッドドラゴンの巨椀を、左手一本で受け止めた。
受け止めた衝撃で、俺が立っている場所――ダンジョン内の床は放射状にヒビが入る。
「こんなものか?」
どこまでも燃え上がる魔力とは相反するように、心の中はどこまでも黒く淀んでいく。
「こんなものが――ワイバーンの上級種であるレッドドラゴンの力なのか?」
「ガアア!」
俺の言葉が通じたかは分からない。
ただ、目の前のレッドドラゴンは、咆哮し再度ドラゴンブレスを放つ姿勢を取り自らの腕ごとドラゴンブレスで焼き尽くそうと放ってきた。
一瞬で俺の体は、数千度のドラゴンブレスにより焼かれていくが、超人的な肉体と【肉体修復】の魔法により一瞬で再生されていく。
体が修復され怪我ひとつ追わずにいる俺に恐れを為したのか逃げようとするレッドドラゴンの腕を掴む。
必死に翼を羽ばたかせて逃げようとするが――。
「逃がす訳がないだろう?」
静かに、そして冷淡にレッドドラゴンに通じてないとしても俺は語りかける。
すでにレッドドラゴンは、完全に怯えており残った左手で俺を引き剥がそうとしてくるが、俺は掴んでいたレッドドラゴンの右腕を力任せに捻じり引き千切った。
辺りに――レッドドラゴンの血飛沫が飛び散り、血特有の鉄を含んだ匂いが立ち上り鼻孔を刺激してくる。
「ガアアアアア――」
引き千切ったレッドドラゴンの右腕の付け根からは、大量の血が流れて出ており痛みからなのかレッドドラゴンのは形振りかまわず俺に炎を吹きかけてくる。
「だまっていろ! 目障りだ……トカゲが!」
叫びながらドラゴンの腹部を蹴りつける。
本来であるなら……ありえないはずの事象が――。
全長30メートルを超える重さ数十トンもあろうかという巨大な質量をもつレッドドラゴンは、吹き飛びダンジョンの壁に激突すると何かの塊を吐き出していた。
ドラゴンの位置は、壁に縫い付けられたと言っても口の部分からダンジョン内の地面までの高さは10メール以上はある。
「……あ、あれは……」
ドラゴンの口から吐き出されたのは、真っ裸のリネラスであった。
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