【書籍化作品】無名の最強魔法師
過ぎ去りし夏の思い出(中編)イノンside
私とお姉ちゃんは、東に流れる名も無い小さな川から、フィンデイカの村に5分ほど歩いて戻った。
フィンデイカの建物が見えてくると、宿の前でお母さんがウロウロして周囲を見渡している。
何かあったのかな?
「お姉ちゃん、お母さんの様子が少しおかしい気がするの」
「……」
お姉ちゃんは何も言わずに私の手を握ったまま歩き出した。
私は手を引かれたまま仕方なく歩き出す。
するとお母さんが私達に気がついたのか走ってくる。
「イノン! 貴女はどこに行っていたの!」
お母さんは私の前で立ち止まるとすぐに怒ってきた。
だって、私がいても邪魔にしかならないから……。
そんな気持ちが湧きあがってくる。
でも、言えない。
するとお母さんに頬を引っぱたかれた。
私は頬に手をあてながら、お母さんを見上げる。
するとお母さんは座ると私を抱きしめてきた。
「心配したんだからね、村の外は危険だからって何度も言ったでしょう? 少しはお姉ちゃんを見習いなさい」
「……ひっく、ひっく……ごめんなさい、お母さん……うあああああああん」
私はよく分からない衝動に胸を揺さぶられて泣いてしまっていた。
気がつけば私は、自分の部屋のベッドで寝ていた。
ベッドから降りると。
「眼が覚めたの?」
「お姉ちゃん……」
お姉ちゃんは椅子に座って難しそうな魔法書を読んでいた。
本を閉じるとお姉ちゃんは魔法書を閉じると木材で作られたテーブルの上に置いて、立ち上がると私の傍までくると手を握ってきた。
「今日のお姉ちゃん……なんか変」
「そう? 私は貴女のお姉ちゃんなんだから当たり前よ」
「うーん。うん!」
部屋の扉を開けると、お姉ちゃんが最初に廊下に出た後に私も続いて廊下に出る。
すると旅人の冒険者さん達の笑い声が聞こえてくる。
笑い声がした方を見ているとお母さんの声で「おかえりなさい」と言う声が聞こえてきた。
そしてすぐに、4人の冒険者たちの姿が廊下先に見える。
すると一人の男性の冒険者が私とお姉ちゃんに気がついたのか手招きしてきた。
「お姉ちゃん、お客さんが呼んでるよ!」
私はお姉ちゃんの手を握ったまま冒険者の男の人に近づく。
お姉ちゃんが後ろから「もう、イノンたら知らない男性に近づいたら駄目ってお母さんに言われてるでしょう!」と呟いてきている。
思ったより大きな声でお姉ちゃんが話した物だから声が廊下に響いてしまう。
「アルバード、貴方……小さい子が趣味だったの?」
「ち、違うよ! 俺はエメラ、一筋だよ!」
冒険者パーティの30台? 40代くらいの男性が20歳くらいの女性に何か言われている。
私とお姉ちゃんがアルバードさんの前で首を傾げていると。
「はじめまして! えーと、このバカがアルバードって言ってね。気弱で神経質で駄目なところが多いんだけど将来はギルドマスターになるんだ!って言ってる痛い人なのよ? それで私が、エメラ。後ろにいるのがブルームにアルカネイラよ。 えっと……貴女たちのお名前は?」
最近、一週間くらいお客さんとして泊っている冒険者パーティの女性の一人エメラさんが自己紹介を私達にしてきた。
冒険者さんは、粗暴な人もいるけど中にはエメラさんみたいに話しかけてくる人もいる。
「えっと……イノンと言います」
「そっちの子は、似ているから双子の姉妹なのかな?」
「はい! 私の自慢のお姉ちゃんです!」
そういうとお姉ちゃんは少しだけ顔を赤くして私の服の裾を引っ張ってくると。
「もう他の人に私を勝手に紹介しないの! ご利用頂きありがとうございます。こちらの宿を経営しております娘イノンとユリーシャと言います」
「え、ええ……よろしくね。ユリーシャちゃん」
「はい、それでは失礼致します」
お姉ちゃんはお客さんに自己紹介をすると私の手を握って歩きだそうと――。
「二人ともこれを!」
アルバードさんが慌てて袋から黒く四角い物を2個、私の左手に握らせてくる。
慌ててアルバードさんの顔を見ると手を振ってくれていた。
私も慌てて手を振り返す。
すると、エメラさんと言う女性にアルバードさんは頭を殴られていた。
廊下をしばらく歩いて、家族がいつも食事をする部屋に辿りつくと私とお姉ちゃんはソファーに座った。
「もう、イノンったらすぐに誰とでも話をするんだから! 何かあってからじゃ遅いんだからね!」
「はーい!」
私は半分くらい貰った黒く四角い物に、興味を惹かれていてお姉ちゃんのいつもの小言にてきとーに答えていた。
「ねえ! お姉ちゃん! この黒くて四角い物って何かな?」
「もう……イノンは本当に私の話を聞いているの?」
お姉ちゃんは、お母さんと同じで小言が多い。
でも、お姉ちゃんもアルバードさんに貰った黒くて四角い2個の物に興味があるみたいで1個、手に取ると空中に魔法陣を描いた後に……。
「毒じゃないみたいね」と、呟いていた。
人がくれたのに、お姉ちゃんはとってもひどいと思う。
私は、もらった黒くて四角い物を少しだけ舐めて見る。
「お姉ちゃん! これ甘いよ!」
「イノン! 貴女、また……もう、この子ったらどうしてこんなにもう……」
お姉ちゃんは溜息をつきながら、お姉ちゃんも四角い黒い物を口に含んで――。
「これは黒砂糖ね。南部……商業都市エメラスで栽培されてるって本で読んだ事あったけど……あの冒険者の人達は他国の冒険者達なのかな?」
お姉ちゃんが難しそうな顔をして一人呟いているけど、私は口に含んだ黒砂糖? を転がしてるだけで幸せ!
今日も一日、少しだけ嫌なことがあったけど、それ以上に楽しい事もいっぱいあった!
フィンデイカの建物が見えてくると、宿の前でお母さんがウロウロして周囲を見渡している。
何かあったのかな?
「お姉ちゃん、お母さんの様子が少しおかしい気がするの」
「……」
お姉ちゃんは何も言わずに私の手を握ったまま歩き出した。
私は手を引かれたまま仕方なく歩き出す。
するとお母さんが私達に気がついたのか走ってくる。
「イノン! 貴女はどこに行っていたの!」
お母さんは私の前で立ち止まるとすぐに怒ってきた。
だって、私がいても邪魔にしかならないから……。
そんな気持ちが湧きあがってくる。
でも、言えない。
するとお母さんに頬を引っぱたかれた。
私は頬に手をあてながら、お母さんを見上げる。
するとお母さんは座ると私を抱きしめてきた。
「心配したんだからね、村の外は危険だからって何度も言ったでしょう? 少しはお姉ちゃんを見習いなさい」
「……ひっく、ひっく……ごめんなさい、お母さん……うあああああああん」
私はよく分からない衝動に胸を揺さぶられて泣いてしまっていた。
気がつけば私は、自分の部屋のベッドで寝ていた。
ベッドから降りると。
「眼が覚めたの?」
「お姉ちゃん……」
お姉ちゃんは椅子に座って難しそうな魔法書を読んでいた。
本を閉じるとお姉ちゃんは魔法書を閉じると木材で作られたテーブルの上に置いて、立ち上がると私の傍までくると手を握ってきた。
「今日のお姉ちゃん……なんか変」
「そう? 私は貴女のお姉ちゃんなんだから当たり前よ」
「うーん。うん!」
部屋の扉を開けると、お姉ちゃんが最初に廊下に出た後に私も続いて廊下に出る。
すると旅人の冒険者さん達の笑い声が聞こえてくる。
笑い声がした方を見ているとお母さんの声で「おかえりなさい」と言う声が聞こえてきた。
そしてすぐに、4人の冒険者たちの姿が廊下先に見える。
すると一人の男性の冒険者が私とお姉ちゃんに気がついたのか手招きしてきた。
「お姉ちゃん、お客さんが呼んでるよ!」
私はお姉ちゃんの手を握ったまま冒険者の男の人に近づく。
お姉ちゃんが後ろから「もう、イノンたら知らない男性に近づいたら駄目ってお母さんに言われてるでしょう!」と呟いてきている。
思ったより大きな声でお姉ちゃんが話した物だから声が廊下に響いてしまう。
「アルバード、貴方……小さい子が趣味だったの?」
「ち、違うよ! 俺はエメラ、一筋だよ!」
冒険者パーティの30台? 40代くらいの男性が20歳くらいの女性に何か言われている。
私とお姉ちゃんがアルバードさんの前で首を傾げていると。
「はじめまして! えーと、このバカがアルバードって言ってね。気弱で神経質で駄目なところが多いんだけど将来はギルドマスターになるんだ!って言ってる痛い人なのよ? それで私が、エメラ。後ろにいるのがブルームにアルカネイラよ。 えっと……貴女たちのお名前は?」
最近、一週間くらいお客さんとして泊っている冒険者パーティの女性の一人エメラさんが自己紹介を私達にしてきた。
冒険者さんは、粗暴な人もいるけど中にはエメラさんみたいに話しかけてくる人もいる。
「えっと……イノンと言います」
「そっちの子は、似ているから双子の姉妹なのかな?」
「はい! 私の自慢のお姉ちゃんです!」
そういうとお姉ちゃんは少しだけ顔を赤くして私の服の裾を引っ張ってくると。
「もう他の人に私を勝手に紹介しないの! ご利用頂きありがとうございます。こちらの宿を経営しております娘イノンとユリーシャと言います」
「え、ええ……よろしくね。ユリーシャちゃん」
「はい、それでは失礼致します」
お姉ちゃんはお客さんに自己紹介をすると私の手を握って歩きだそうと――。
「二人ともこれを!」
アルバードさんが慌てて袋から黒く四角い物を2個、私の左手に握らせてくる。
慌ててアルバードさんの顔を見ると手を振ってくれていた。
私も慌てて手を振り返す。
すると、エメラさんと言う女性にアルバードさんは頭を殴られていた。
廊下をしばらく歩いて、家族がいつも食事をする部屋に辿りつくと私とお姉ちゃんはソファーに座った。
「もう、イノンったらすぐに誰とでも話をするんだから! 何かあってからじゃ遅いんだからね!」
「はーい!」
私は半分くらい貰った黒く四角い物に、興味を惹かれていてお姉ちゃんのいつもの小言にてきとーに答えていた。
「ねえ! お姉ちゃん! この黒くて四角い物って何かな?」
「もう……イノンは本当に私の話を聞いているの?」
お姉ちゃんは、お母さんと同じで小言が多い。
でも、お姉ちゃんもアルバードさんに貰った黒くて四角い2個の物に興味があるみたいで1個、手に取ると空中に魔法陣を描いた後に……。
「毒じゃないみたいね」と、呟いていた。
人がくれたのに、お姉ちゃんはとってもひどいと思う。
私は、もらった黒くて四角い物を少しだけ舐めて見る。
「お姉ちゃん! これ甘いよ!」
「イノン! 貴女、また……もう、この子ったらどうしてこんなにもう……」
お姉ちゃんは溜息をつきながら、お姉ちゃんも四角い黒い物を口に含んで――。
「これは黒砂糖ね。南部……商業都市エメラスで栽培されてるって本で読んだ事あったけど……あの冒険者の人達は他国の冒険者達なのかな?」
お姉ちゃんが難しそうな顔をして一人呟いているけど、私は口に含んだ黒砂糖? を転がしてるだけで幸せ!
今日も一日、少しだけ嫌なことがあったけど、それ以上に楽しい事もいっぱいあった!
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