【書籍化作品】無名の最強魔法師
メモリーズ・ファミリー
【海の港町カレイドスコープ】から、【エルフガーデン】までの距離は帆馬車で一か月近くの旅になる。
旅に必要な物資と言えば、水と食料だ。
水は魔法で出すことが出来るが、はっきり言って俺が魔法で作れる水は純水と言う事も飲み水には適していない。
ミネラル分をまったく含んでいないからな。
まぁ問題は、ミネラル分を含んだ水をどうやって生成すればいいかだが残念ながら、その知識が俺には不足している。
つまり、飲み水に適した水が作れないのだ。
まぁ、井戸を掘ればいいだろ! という話に帰結してしまうと俺もそれが良いと思って井戸を魔法で作って飲み水を確保したりしている。
まぁ毎回水が出てくるのかと言えばそうでもなく温泉をぶち当てて温泉が湧きあがったりして来る事もあるから愛嬌と言う事でもあるが、そう言う事もあり水の確保は特に問題なく順調に進んでいる。
問題は食料。
食料のたんぱく質や必要なナトリウムとカリウムと言った多種多様な栄養源の構成は、俺の知識の中に無い事もあり作れない。
何が言いたいかと言うと、食料がない! と言う言葉に集約される事になる。
「ユウマさん……お腹が空きました……でも、もう海産物は食べたくないです……」
イノンが帆馬車の中でグタッと横になったまま力弱く俺に語りかけてくる。
そう、俺達は急いで【海の港町カレイドスコープ】から離れたこともあり食料を積んできていなかったのだ。
なんたる不覚。
まぁ、俺としては四次元イルカリュックの中に入れておいた海産物だけで【エルフガーデン】まで持つかなと思っていたのだが、俺以外の5人の女性達が体調不良を言いだしたのだ。
「お兄ちゃん……もう海産物はいいです……」
「ユウマ。近くに町とか無いの?」
「もう駄目です」
セレンもリネラスもユリカも、もう限界みたいだ。
そしてセイレスに至っては、仰向けになりながら黒板を俺に見せつけるようにして寝ている。
黒板には「お腹いっぱい野菜が食べたいです!」と書かれている。
俺は5人の様子を見て、このままでは違う意味で絶対絶命だと感じた。
「それにしても野菜か……体調不良の原因は野菜を取らない事にありそうだな……問題はまったく山がない、そして見渡す限り草原……これでは野菜が期待できないからな。どうしたものか……」
俺は帆馬車を走らせながら周囲を【探索】の魔法を発動させながら確認していくがまったく反応がない。
そして気がつく。
アライ村では、冬まっただ中だと言う事に。
――と、言う事は食料の供給源である小動物も冬眠などで取れない可能性もあるし、俺の【探索】の魔法に引っかからないと言う事が大移動をした可能性もある。
するといよいよ事態は切羽詰まった物になってきたと思って間違いはないな。
「何かあればいいんだが……」
俺はアライ村の村長宅から失敬してきた地図を広げてみるが近くに町があるという表示は一切ない。
もともと地図というのは、古来より戦略上、重要な物であり村の村長が持つ地図では隣国の細かい情報まで乗ってる方がおかしい。
それにアライ村から持ってきた地図は、アライ村が所属するアルネ王国内の情報すらあやふやに書かれており、書かれているのは周辺の3つの村と、イルースカ侯爵家が治める首都イルティアくらいなものだ。
つまり、どれだけ地図を見ても隣国の町が書かれていると言う事は無いわけで。
俺は地図をたたんで懐に仕舞うと――。
「ユウマさん、近くに【メモリーズ・ファミリー】と呼ばれる花が咲いています」
――と、ユリカが俺に話しかけてきた。
俺は帆馬車の中へ視線を向けるとユリカは視線を帆馬車が向かう北西からやや西よりの西北西のに向けている。
「その【メモリーズ・ファミリー】と言う花は、何の花なんだ?」
「はい、話に聞いたかぎりでは記憶と言う花らしいんです。でも詳しい話は、思い出せなくて……でも、たしか【メモリーズ・ファミリー】は村や町跡に咲くと聞いた事があります。もしかしたら……」
なるほど……つまり……。
「その花が咲いてる町か村なら野生化したといっても野菜がある可能性があると……そう言う事か?」
「はい……たぶん……」
ユリカは自信なさげに頷いてきたが、今はそれは朗報とも言える。
「なら、【メモリーズ・ファミリー】がある方角へ向かってみるか」
俺は、帆馬車の進む先を西北西へと変えた。
旅に必要な物資と言えば、水と食料だ。
水は魔法で出すことが出来るが、はっきり言って俺が魔法で作れる水は純水と言う事も飲み水には適していない。
ミネラル分をまったく含んでいないからな。
まぁ問題は、ミネラル分を含んだ水をどうやって生成すればいいかだが残念ながら、その知識が俺には不足している。
つまり、飲み水に適した水が作れないのだ。
まぁ、井戸を掘ればいいだろ! という話に帰結してしまうと俺もそれが良いと思って井戸を魔法で作って飲み水を確保したりしている。
まぁ毎回水が出てくるのかと言えばそうでもなく温泉をぶち当てて温泉が湧きあがったりして来る事もあるから愛嬌と言う事でもあるが、そう言う事もあり水の確保は特に問題なく順調に進んでいる。
問題は食料。
食料のたんぱく質や必要なナトリウムとカリウムと言った多種多様な栄養源の構成は、俺の知識の中に無い事もあり作れない。
何が言いたいかと言うと、食料がない! と言う言葉に集約される事になる。
「ユウマさん……お腹が空きました……でも、もう海産物は食べたくないです……」
イノンが帆馬車の中でグタッと横になったまま力弱く俺に語りかけてくる。
そう、俺達は急いで【海の港町カレイドスコープ】から離れたこともあり食料を積んできていなかったのだ。
なんたる不覚。
まぁ、俺としては四次元イルカリュックの中に入れておいた海産物だけで【エルフガーデン】まで持つかなと思っていたのだが、俺以外の5人の女性達が体調不良を言いだしたのだ。
「お兄ちゃん……もう海産物はいいです……」
「ユウマ。近くに町とか無いの?」
「もう駄目です」
セレンもリネラスもユリカも、もう限界みたいだ。
そしてセイレスに至っては、仰向けになりながら黒板を俺に見せつけるようにして寝ている。
黒板には「お腹いっぱい野菜が食べたいです!」と書かれている。
俺は5人の様子を見て、このままでは違う意味で絶対絶命だと感じた。
「それにしても野菜か……体調不良の原因は野菜を取らない事にありそうだな……問題はまったく山がない、そして見渡す限り草原……これでは野菜が期待できないからな。どうしたものか……」
俺は帆馬車を走らせながら周囲を【探索】の魔法を発動させながら確認していくがまったく反応がない。
そして気がつく。
アライ村では、冬まっただ中だと言う事に。
――と、言う事は食料の供給源である小動物も冬眠などで取れない可能性もあるし、俺の【探索】の魔法に引っかからないと言う事が大移動をした可能性もある。
するといよいよ事態は切羽詰まった物になってきたと思って間違いはないな。
「何かあればいいんだが……」
俺はアライ村の村長宅から失敬してきた地図を広げてみるが近くに町があるという表示は一切ない。
もともと地図というのは、古来より戦略上、重要な物であり村の村長が持つ地図では隣国の細かい情報まで乗ってる方がおかしい。
それにアライ村から持ってきた地図は、アライ村が所属するアルネ王国内の情報すらあやふやに書かれており、書かれているのは周辺の3つの村と、イルースカ侯爵家が治める首都イルティアくらいなものだ。
つまり、どれだけ地図を見ても隣国の町が書かれていると言う事は無いわけで。
俺は地図をたたんで懐に仕舞うと――。
「ユウマさん、近くに【メモリーズ・ファミリー】と呼ばれる花が咲いています」
――と、ユリカが俺に話しかけてきた。
俺は帆馬車の中へ視線を向けるとユリカは視線を帆馬車が向かう北西からやや西よりの西北西のに向けている。
「その【メモリーズ・ファミリー】と言う花は、何の花なんだ?」
「はい、話に聞いたかぎりでは記憶と言う花らしいんです。でも詳しい話は、思い出せなくて……でも、たしか【メモリーズ・ファミリー】は村や町跡に咲くと聞いた事があります。もしかしたら……」
なるほど……つまり……。
「その花が咲いてる町か村なら野生化したといっても野菜がある可能性があると……そう言う事か?」
「はい……たぶん……」
ユリカは自信なさげに頷いてきたが、今はそれは朗報とも言える。
「なら、【メモリーズ・ファミリー】がある方角へ向かってみるか」
俺は、帆馬車の進む先を西北西へと変えた。
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