無名の最強魔法師(WEB版)

なつめ猫

海の迷宮リヴァルア攻略(1)

 エルスと別れた俺は、すぐに海の港町カレイドスコープの郊外にある移動式冒険者ギルド宿屋に向かう。
 宿屋の中に入ると入り口左のカウンターが変わっていた。
 宿屋の受付のカウンターではなく、冒険者ギルドのカウンターに変化しており窓口が2か所もある。
 そして、それぞれにセノンとリネラスが1組になって1つのカウンターの前に座っていて、その横のカウンターにはセイレスが座っていた。

「いらっしゃいませんー」
「……」

 セレンの噛んだ声が宿屋兼冒険者ギルドの建物の中に反響していく。
 俺はセレンの声を聞きながら溜息をつくと。

「リネラス、お前達は何をしているんだ?」
「決まっているじゃない! 新しくオープンするユゼウ王国カレイドスコープ本部の開業のためにギルド職員の仕事を教えているの!」
「カレイドスコープ本部?」

 俺は首を傾げる。
 たしか冒険者ギルドの本部は、商業国家エメラスにあったような……。

「もうね! 私は決めたの! いつまで経っても私の生活が向上しないのはフランチャイズだからいけないって! だから私は冒険者ギルドから独立して冒険者リネラス・コーポレーションを作ることにしたの!」
「お、おう……」

 もう先ほどまでのリネラスを案じてた気持ちはとっくの昔に遥か彼方に飛んでいってしまっていた。

「私がギルドマスターを超えるギルドマスターになれば! そう、私がギルドになれば!」

 一人で語っているリネラスを見ながらセレンを見ると首を振ってくる
 きっともうリネラスは遠くに行っちゃたんだろう。

「おい、ギルドちゃん。お前、ユリーシャ姫に狙われているみたいだぞ」
「わ、私が狙われて? って!? 誰がギルドちゃんなんですか!」
「お前しかいないだろうに……」

 俺はリネラスの言葉に冷静に突っ込みをいれつつも当たりを見渡す。

「リネラス、イノンは?」
「イノンさんでしたら町に買い物に行っていますよ?」
「なるほど……」

 宿屋の入り口が広くなったことで置かれたソファーに座る。

「リネラス、大問題が起きた。ユリーシャ率いる大軍がカレイドスコープに向かってきているらしい。相手さんはしばらくカレイドスコープに滞在するらしいから、リネラスとセレン、セイレンはしばらく宿屋に身を隠した方がいいだろう。特にリネラス、相手はお前を狙ってきているんだから絶対に外に出るなよ?」
「わかった……」

 買い物はイノンに任せるとして、アレフから情報が反乱軍に漏れれば、遠からず俺がS級ランク冒険者だと言う事がバレてしまうだろう。
 そうなると、俺もどこかに身を隠した方がいいんだろうが……。
 今後の戦いを考えるとやはり修行が必要だ。
 そうなると……。

「リネラス、前にお前が言っていた海の迷宮攻略をしてみようと思う」
「ユウマ一人で? 迷宮にはコアと呼ばれる物があってそれを壊さないと復活するんだよ? だからコアを壊すか封印するしかないの。コアを破壊するのは誰でもできるけど、かなりの強度があるんだよ? それに封印するならそれなりの魔法師が必要だし、宛てがあるの?」
「任せておけ。とてもいい案がある。少しだけ海が荒れるかも知れないが問題ない。」
「それ、絶対……問題ある奴だよね……」

 リネラスが小さな声で諦め口調で突っ込みを入れてきたが俺はしっかりをスル―した。



 翌朝。
 海の迷宮リヴァルアに向かうため、早朝から俺一人で海の港町カレイドスコープの港に来ていた。
 海を荒らしていた海神を俺が倒したことで船は出られるようになったようだが、積み荷がないというありさまで船は動いていない。
 でも、そのおかげで……。

「おお、兄ちゃん! 待ちくたびれたぜ!」

 30人近い水夫達が俺を事を港ですでに待っていた。
 俺は大型ガレー船を金貨6000枚でチャーターし船で海の迷宮リヴァルアに行く事にしたのだった。

 

 海の港町カレイドスコープから出立して3日が経過し、リネラスにだいたいのダンジョンの場所を地図に記載してもらった事もあり、ダンジョン入り口付近と思われる場所を船で移動していると。
 発動させていた【探索】の魔法に反応があった。
 無数のグレーの交点が次々と不自然なほど増えていくのがわかる。

「船長! ここから西に1キロの場所へ移動してくれ」
「あいよ!」

 俺の言葉に水夫達あ一斉にガレー船の帆を角度を調整し、船底の水夫達がオールを使い方向転換し西へと進路を取る。
 そして船主は海を切り開くように船足を加速させていく。
 しばらく船は進むと、【探索】の魔法に反応する無数の魔物の群れが確認できる。
 そしてやはり……入口は海の底なのだろう。

「船長! 俺が合図をしたらすぐに船を反転させて海域から離脱して待機しておいてくれ」
「分かったが、どうするつもりだ? この下にアンタが言ってたダンジョンがあるんだろう? 潜るのか?」

 俺は船長の言葉に頭を振る。
 潜るなんて、そんなのは無理だ。
 何せ、ここは海岸線から数キロメートルの距離。
 どう考えても大陸棚は存在していないし、素潜りなんかで潜れる場所ではない。

 だから……。
 俺は、考えていた魔法を発動させる。
 それは分子と原子運動エネルギーの停止。

  俺の頭の中で、原子運動が停止するプロセスを思い浮かべる。
 そして【氷結】の魔法を発動。
 発動した魔法により原子と分子は運動を停止し、強制的に絶対零度まで海水を冷やし瞬時に凍りつかせていく。  
 それらはあっという間に、直径500メートルはある氷の島を作り上げる。
 俺は、そのまま【氷結】の魔法を解除せず迷宮があると思われる遥か海底の底まで凍りつかせた。

 
 そして次に大気中の元素を組み換え水素分子を核融合させ制御しる式を頭の中で組み立てる。
 それこそが【太陽】の魔法。
  発動させた小型の太陽の焦点温度1500万度。
 それを迷宮入り口が存在する頭上に落とす。
  氷が瞬時に蒸発し辺りに霧が立ち込めが……巨大なクレーターとになった場所には迷宮の入り口がその姿を現した。

 俺は、もう一度【氷結】の魔法を発動させ周囲の温度を下げながら海水が溶けるのを防ぐように、再度凍りつかせる。

「それじゃ、船長! あとは頼みます!」
「わ……わかった」

 俺の言葉に船長は呆然としたまま答えてきた。
 船から跳躍し、氷の島となった場所へ降り立つとクレーターの下を降りていく。
 どうやら海面から、海の迷宮リヴァルア入り口までの距離は思ったより近い。

  

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