お兄ちゃんがお母さんで、妹が甘えん坊なお話

ただのものかき

お兄ちゃんは、わたしだけのお嫁さんになるんだもん

「ん~♪ちゅうっ…」
「んっ!…んうっ…」

学校も終わり、アルバイトも終わり、家族みんなでの食事も、一日の疲れを癒し、汚れを洗い清める風呂も終わり、その身体を休める就寝の時間。
『SUZUHA』という、今まさに時の人までなっている花嫁モデルとしてのデビューをすることとなってしまった涼羽は、日に日に『SUZUHA』の注目度、そして人気がうなぎのぼりに上昇していくのを、他でもない学校の人間や、道を歩いている時に見かける人々の反応を見て、嫌と言うほどに実感してしまっている。

男である自分が、まさか花嫁衣裳にその身を包みこんで、女性としてのメイクもされて、後で自分で見た時に『わ…俺…こんな顔してたんだ…』と思ってしまうほどに幸せ一杯の笑顔を浮かべながら、ただただそのブライダルキャンペーンのイメージキャラクターとして撮影されることとなった写真。
それが、今ではこの日本全国で展開され、多くの人々の目を惹いているということに、言いようのない居心地の悪さを感じてしまっている。
しかも、自分で見ても最愛の人と結ばれ、これから共に人生を歩んでいくことにこの世の幸福が全て来ているかのような満面の笑顔を浮かべている、誰が見ても理想的な花嫁に、他でもない自分がなってしまっていることに、ただでさえダメージを受けっぱなしの精神が、より大きなダメージを受けることとなってしまっている。

幸い、性別そのものから偽ってのモデルとしての撮影だったため、『SUZUHA』=『高宮 涼羽』という図式に気づく人間は今のところ出てきておらず、『高宮 涼羽』としての自分の生活に何か変化があるかといえば、せいぜいその絶賛下降中の視力を矯正するために購入した眼鏡をかけるようになったことくらいか。

それでも、男である自分が女性モデルとしての注目を浴び、世間の目を欲しいままに惹いていることには、やはり男である自分のパーソナリティが崩されてしまうような、そんなダメージを受けることとなってしまっている状態ではある。
特に、老若男女問わず、『こんなお嫁さん欲しい!』や、『こんなお嫁さんになりたい!』などとストレートに言われているのを聞いてしまっては、なおさらのことである、と言えよう。

そして、そんな現状に対し、涼羽の妹である羽月は、日々この可愛いの化身である兄が、どこの馬の骨とも分からない誰かに、理想のお嫁さんとして一心に注目を浴びていること、男女問わず自分のお嫁さんにしたい、などと言われていること、さらには、男の欲望に満ち溢れた、下劣な視線に晒されていることなどを思うと、非常にやきもきさせられている状態である、と言える。
この最愛の兄の、誰が見ても理想的な花嫁に扮したその姿がこの世にお披露目をするようになってからは、そのやきもきがどんどん大きくなっていってしまっている。

なので、兄、涼羽がこの家に帰宅してからはもちろんのこと、こうして一緒に寝る時なども、ただひたすらに兄のことを『自分だけのお嫁さん』として扱うようにまで、なってしまっている。
ちなみに、もはや呼吸をするのと同じくらい、あまりにも自然に妹である羽月が、兄である自分の部屋に潜り込んで一緒に寝るという行為をすることに、諦めずに苦言を述べる涼羽なのだが、そんなことを素直に聞いてくれる妹ではあるはずもなく、結局はこうしてなし崩しに、もうすぐ高校生になる妹と、もうすぐ社会人、もしくは大学生になる自分が一緒に寝る、という状況にまで持っていかれてしまっている。

「ん…えへへ♪」
「んうっ……はあ…はあ…」

今この時も、まるでこれまでずっと会えなかった恋人同士が、その愛情を爆発させるかのような、羽月の激しい熱を帯びた口付けを数分にも渡って、涼羽のその艶のいい唇にされることとなってしまい、ようやくと言った感じで、まるで刑期を終えた囚人が元の世界に戻ることを許されるかのように解放される。

当然ながら、兄、涼羽はどこまでもお兄ちゃん大好きな妹、羽月によって布団の上に押し倒され、そんな妹の激しすぎるほどに激しい愛情を、その身にひたすらにぶつけられ続けることとなっている。

そして、そんな兄妹二人の唇から、まるで本当はずっとこうしてくっついていたいのに、という妹の名残惜しさをそのまま形に表したような、唾液のブリッジができてしまっている。

「えへへ…お兄ちゃんとのちゅー、もうすっごく気持ちよくて、すっごく心地よくて…だあい好き♪」
「はあ…はあ………は、羽月…もう、やめ…」
「や♪お兄ちゃんはわたしだけのお嫁さんだもん。いっつも家事とかしてくれて、いっつもわたしのこと大切にしてくれる大好きで大好きでたまらないお兄ちゃんには、こうやってい~~~~~っぱいわたしの愛でめちゃくちゃに可愛がってあげないといけないの♪」

妹に無理やりされた口付けのおかげで、もはや息も絶え絶えと言った状態の涼羽。
その顔は本来吸い込むべき酸素が不足していることと、妹である羽月に押し倒されて、無理やり唇まで奪われたことによる恥ずかしさから来るピンク色に染まっており、それはその表情からも伺える。
どこからどう見ても、欲望に身を任せた、餓えた獣に無理やり頂かれてしまった後の顔にしか見えないのが、本当に涼羽らしいところではあるのだが。

そんな顔で、せめてもの抵抗と言わんばかりに儚い抵抗の声をあげる涼羽がまた可愛すぎてたまらず、羽月はそんな兄の懇願も一刀両断で切り捨て、逆にもっともっと兄のことを、理想のお嫁さんとして可愛がってあげないと、という思いを、そのまま声にして兄である涼羽にぶつけてくる。

「だから…もっとお兄ちゃんのこと、い~~~~~っぱい愛してあげるから…ね♪んっ…」
「!!ん、んうっ!!……」

一度ではまるで足りないといわんばかりの、羽月の兄に対する愛情たっぷりの口付けが、またしても兄である涼羽の唇を奪うことに。
とろとろに意識を溶かされた状態で来られたため、抵抗どころか、身動き一つすら取れずに、もう妹にされるがままに、涼羽は自らの唇を奪われることとなってしまう。

そして、羽月の舌が、兄である涼羽の舌を探すように、涼羽の口腔内を所狭しと暴れまわり、その度に涼羽はその華奢で儚げな身体をびくんと震わせることと、なってしまう。
最愛の兄、涼羽の舌を自分の舌で捉えることができた羽月は、涼羽の舌に自分の舌を絡めては、執拗に普段自分が兄に抱きついているかのようにくっつけようとしてくる。

「(お兄ちゃん…お兄ちゃん…こ~~んなにも可愛くて、こ~~んなにも素敵なお嫁さんなんだから…だから、ぜえ~~~ったいに誰にもあげないもん)」

日々日々、兄に対する独占欲と愛情は天井知らずに増していく一方の羽月。
とにかく目立つことが嫌いで、人の目に触れないように生きてきた兄が、今や全国的に注目され、誰もが理想のお嫁さんとしてその名をあげてしまうだろうと、確信が持てるほどの時の人となってしまっている。
もちろん、それは別人としての話なのだが、それでも、いつ『SUZUHA』と言う存在が、この兄と同一人物だと結び付けられてもおかしくないと、羽月は思っている。

だからこそ、この可愛すぎるほどに可愛らしく、愛すべき存在である兄、涼羽のことを自分のそばに縛り付けておかないと、気が済まないと言えるほどになってしまっているのだ。

自分の下で、その口の中で自分の舌を絡めて交じり合うかのように動かすだけで、びくんびくんと身体を震わせて、いやいやをするかのように身を捩じらせて恥ずかしがってしまう兄がもうとにかく可愛くて愛おしくてたまらない妹、羽月。

そんな妹の、激しすぎるほどに激しい愛情をそのまま形に表したかのような口付けに、その意識をとろとろに溶かされながら、ただただなす術もなく、羽月の思うがままにされてしまう兄、涼羽がそこにいるのであった。



――――



「ん…ちゅう…」
「!!や、やっ…は、羽月……」

妹、羽月にとってはほんの一瞬と思えるほどに短い時間であり、兄、涼羽にとっては永遠と思えるほどに長い時間である口付けの時間が終わり、ようやく妹の愛情攻撃から解放されるかと思い、ほっとする涼羽だったのだが、それが大きな間違いであることを、羽月の次の行動で突きつけられてしまう。

もう肩で息をするのが精一杯と言わんばかりにくたっとしている涼羽の寝巻き用のジャージの前を開き、その中にあるインナーのタンクトップまで思いっきりめくり上げて、その胸のない女の子のような華奢でまろみを帯びた、柔らかでほっそりとした上半身を、羽月は露にしてしまう。

そして、乳飲み子が母にそうするかのように、兄である涼羽の胸にある、以前よりも明らかに大きさも敏感さも増しているそれを口に含むと、いつもしているようにそれを味わいながら吸い付いていく羽月。
その瞬間、涼羽の口から、その背筋をなぞられるかのような感覚に思わず甲高い声が上がってしまいそうになってしまうが、今の時間が深夜であるということもあり、どうにか、その声を飲み込むことに成功する。

「は、はづき…おねがい…も、もっと…やさしく…して…」

妹、羽月が執拗に自分の胸に吸い付いてくることで、そこから自分の身体を容赦なくふにゃふにゃにしていくのを感じてしまう涼羽。
まるで男である自分が、妹であり女の子である羽月に全てを味わわれているようで、それがあまりにも恥ずかしくて、怖くてたまらなく、すでにその大きくくりっとした瞳からは涙が滲んできている。
羽月のその愛情の大きさ、深さ、そして激しさを表しているかのようにきつく、激しい吸い付きに、その身体が大きく震えてしまい、そんな自分を見られてしまうことに、まるで自分の全てが溶かされてしまいそうなほどの羞恥を感じてしまう。
それが怖くて、恥ずかしくて、今出来る精一杯の儚い懇願を、妹に向けてしてしまう涼羽。

まるで男に組み伏せられた少女がそうしてしまうかのような兄のそんな懇願があまりにも可愛すぎて、羽月は涼羽の懇願などまるでなかったかのように、よりきつく兄の胸に吸い付いてしまう。
むしろ、兄のそんな姿をもっと見せて欲しいといわんばかりに。

優しくされるどころか、よりきつくなってしまっているその吸い付きに、涼羽の身体がますます激しく反応し、その顔もいやいやをするように右に左に動いてしまっている。
それでも、羽月のそんな行為も、母親を求める行為であり、自分に甘えてきてくれているものなのだと思うと、突き放すことなどできるはずもなく、羽月の小さな身体を優しく抱きしめ、その頭を優しくなでてしまうのだが。

こんなにも恥じらいに身を溶かされそうになりながらも、その要因となる行為を容赦なくその兄に向けているにも関わらず、こんな妹である自分のことをこんなにも優しく包み込んでくれる兄のことを、もっともっとと言わんばかりに求めてしまう羽月。
まるで自分の大好物を食べるときのように、ひたすらに兄のその胸に吸い付きながらも、羽月は上目使いで兄の恥ずかしがる顔をじっと見つめる。

涙目になりながら、その顔を見られたくなくて懸命にいやいやをするように、妹である自分の視線から逃れるかのように顔を逸らしている兄、涼羽がますます可愛く思えてしまう。
こんなにも優しくて、こんなにも可愛い姿を見せてくれるから、自分はどこまでも兄のことが大好きで大好きでたまらなくなってしまうんだと、羽月はそう思わずにはいられない。

「ん……お兄ちゃん、だあい好き…んう…」
「!ひっ!……も、もう分かったから…」
「らあめ…お兄ちゃん、わたしがどれだけお兄ちゃんのことが大好きで大好きでたまらないのか、ぜ~んぜん分かってないもん」
「そ、そんなこと…」
「だから、誰にもあげないもん。お兄ちゃんは、わたしだけのお嫁さんになるんだもん」
「だ、だから俺はお嫁さんには…!!ひゃっ!!…」
「えへへ…お兄ちゃんのおっぱい、美味しい…」

可愛すぎるほどに可愛い、もう何をどうしたって可愛い兄、涼羽。
もう兄の全てを、自分だけのものにしないと気がすまないまで来てしまっている羽月のその想い。
大好きで大好きで、愛おしくて愛おしくてたまらない。

力づくの荒事に対しては、その可愛らしい容姿やおっとりとした性格からは想像もつかないほどの力強さでいくらでも対抗できるはずの涼羽なのだが、今こうして、妹の羽月に対して行使されているような愛情攻撃に関しては、まるで抵抗らしい抵抗ができず、ただただ、その身を溶かされてしまいそうなほどの恥じらいに耐え続けることしかできない。

この妹からの突然のお願いで始まったこの行為も、よほど羽月が母という存在に餓えていたのか、始まってから一日たりとも欠かすことなく、今日この日まで続けられている。
しかも、日を積み重ねるごとに羽月のそんな心が満たされていくかと思えばそうではなく、逆にもっともっとと、より兄にこの行為を求めるようになってしまう。
これは、ただ羽月が母を求めているだけではなかったようで、それを以前から大好きだった兄、涼羽が叶えてくれたことで、その愛情のタガが外れてしまったことにも起因するようだ。

そして、いくら日を重ねても、いくらこの行為を重ねても、兄、涼羽は慣れるどころか、よりその恥じらいを色濃くしていく一方で、その恥じらいに頬を染める仕草がますます可愛らしく、可憐で儚くなっていっている節まであるため、それがより羽月の心を掴んで離さない。

実は、美鈴が初めて涼羽の家にお邪魔して、その夜に涼羽と羽月の兄妹二人だけのこの秘密を目撃して以来、その美鈴も涼羽に事あるごとにこの行為を求めている、という事実もある。
美鈴にとって、涼羽に包み込まれながら涼羽の胸に吸い付くという行為が、よほど自分の中で甘美で幸福感に満たされる行為となってしまっているようで、特に涼羽にお料理教室を開いてもらった日などは、羽月と一緒になって涼羽を押し倒すようにしてから、その上に覆いかぶさっては、涼羽の胸に吸い付いて思いっきり甘えてしまうのだ。

羽月一人だけでも恥ずかしくて恥ずかしくてたまらないのに、それを同級生の美鈴にまで一緒にされてしまうことに、涼羽はもう脳までとろけてしまいそうなほどに恥ずかしがって、それはもう大層に儚い抵抗をしてしまうのだが、結局そんな姿をいくら見せても余計に羽月と美鈴を煽ることにしかならないことに、肝心の本人が気づくことなく、もういくら涙目になっても許してもらえず、二人の気の済むまで甘えられてしまうこととなる。

しかも、涼羽のことに関しては羽月も美鈴もあくまで自分だけのものだと言い切ってしまうくらいに心奪われていることもあり、まるでいかに涼羽が自分だけのものであるかを競い合うかのようにしてしまうため、涼羽からすれば羽月一人だけでもどうしようもないほどなのに、そこに美鈴まで加わった日には、本当になす術もないまま、めちゃくちゃに可愛がられて、甘えられてしまうこととなる。

これで羽月と美鈴は、普段はいろいろな面で仲良しだというのだから、一番の被害者となっている涼羽からすれば、本当に世の中分からないものだ、とまで思っている。

「お兄ちゃんがいけないの…お兄ちゃんが、こんなにもわたしが大好きになるしかないものばっかり持ってるから」
「な…何言ってるの……羽月……」
「だから、お兄ちゃんが他の人に見られるの、怖いもん。お兄ちゃんが、他の人に獲られたりしそうで、ほんとに怖いもん」
「羽月………」
「お兄ちゃんは、わたしだけのお兄ちゃんだもん……お兄ちゃん、大好きだから、ぜえ~~~ったいに誰にもあげないもん」
「………もう……本当に羽月ったら………」

もう意識もとろとろになっていて、いつその意識を手放してもおかしくない状態の涼羽に、羽月は自分がどれほどに兄のことが大好きで大好きでたまらないのか、その兄が他の人に見られることで、どれほどに不安で不安でたまらないのかを、ぽつりぽつりとその言葉を声に乗せてくる。
そして、まるでその身体全て兄と一つになりたいと言わんばかりに、兄のその華奢で柔らかな胸に顔を埋めて、その不安な想いを払拭しようとするかのようにべったりと兄に抱きついてくる羽月。

羽月のこんなやきもちと焦燥感にしても、日に日に可愛らしくなっていき、しかもそんな姿を日に日に多くの人に見られていることもある涼羽であるがゆえに、日に日に大きくなっていってしまっているのは、あるのかも知れない。

だから、いつもこの行為の時にその想いと不安、そして焦燥感をぶつけてしまうかのように、兄に思いっきり甘えてしまう。
そうすることで見せてくれる兄の姿が本当に可愛くて、愛おしくて、余計にそうしてしまう。

そんな子供の癇癪のような想いをぶつけられて、甘えられて、本当に仕方ないな、という口調で一言声にしながらも、そんな妹を優しく包み込むように抱きしめて、優しく頭を撫ではじめる涼羽。
その顔には、たとえ何がどうなろうと、自分がこの可愛い妹を嫌うことなど、ありえないと言うかのような、そんな安心感をこの妹に感じさせる、まさに慈愛の女神のような笑顔が浮かんでいる。

「羽月は、本当に甘えんぼさんなんだから…」
「お兄ちゃん…」
「俺は、羽月のお兄ちゃんなんだから…羽月をほったらかしになんか、しないよ?」
「…でも…」
「…ふふ…羽月はこんなに可愛いんだから、俺もついつい甘えさせたくなっちゃうもん」
「!ほんと?」
「うん…だって、羽月は俺の大切な妹だもん。だから、こんな風に優しくしたくなっちゃうんだから」
「…えへへ」

まるで泣き出してしまった幼子を、その懐に包み込んであやすかのようにする母親のように、妹である羽月を優しく包み込んで、羽月が望む言葉を優しい口調で声に乗せていく涼羽。
どこまで行っても、自分がこの妹を嫌うことなど、ましてや関心なども何もない状態になることなどないんだろうな、という、半ば諦めのような心境になりながら。

そんな兄のことがどこまでもどこまでも大好きになっていく妹、羽月。
兄の自分に向けた言葉が嬉しくて、兄の胸の中で包み込まれるのが幸せでたまらず、この世で最も幸せだと思えるほどの幸福感を感じながら、羽月はその意識をようやく手放すので、あった。

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