とある英雄達の最終兵器
第108話 ネタ詰めすぎてサブタイが決まらなかった回
「「「「「王様だーれだ!」」」」」
「あ、俺だ」
チッ――。
テュールが王様を名乗ると、そこかしこから小さく舌打ちが聞こえる。
(くっ、早速フラグを立ててしまってたか……。一発目とかやめてくれよ……)
ギラギラした目つきで王様やりたいオーラを出す者もいる中、テュールはどちらかと言えば王様などやらず参加者に甘んじていたかった派だ。
「あー……、えーっと、じゃあ2番が6番にぃー」
皆が息を呑み、場に緊張が走る。
「デコピンをする……」
はぁーーーー。
そして、大多数の口からはため息が漏れた。
「はぁー、テュール? お前デコピンて、デコピンてなんだよ。今日び、5歳児でももうちょっとワクワクドキドキする命令を下すね」
テップの言葉を皮切りにそこかしこから不満の声が上がる。
「うっ……、い、いいじゃねぇか! 一発目なんだから! ほれ、2番と6番誰だ!」
なんとなく気恥ずかしさを覚えたテュールはちゃっちゃとゲームを進行しようとやや早口で捲し立てる。
「……2番」
「はい、私が6番ですね」
レーベとベリトが手を上げる。それを見たテップは――。
「ちょ……ちょっとおもしろそうじゃねぇか……」
デコピンの組み合わせにちょっとワクワクドキドキしていた。
トコトコと皆の前を横切り、レーベがベリトの前に立つ。
「どうぞ、お手柔らかに」
執事は座ったまま前髪を自らの手で持ち上げ、笑顔でそう言う。
「……ん」
対するレーベは――魔法陣を重ね始める。
――は?
一同は唖然とするが、レーベの魔法は淀みなく描かれていき、そして発動する。
しゅぅん、しゅぅん、しゅぅん。
その右手には金色に輝くオーラが立ち昇っていた。
「おま、それ……、部分強化の最上級の魔法じゃねぇか……。ベリトを殺す気か?」
テュールが正気を問う。
――コクリ。
どうやら殺す気で放つらしい。
レーベがゆっくりと右手を持ち上げ、ベリトの額の前に構える。ベリトはこの状況でも尚涼しい顔で微笑んでいた。
ゴクリ。
皆が息を呑み、呼吸音すら聞こえないほどの静寂の中――。
「私のこの手が光って唸る……。お前を倒せと輝き叫ぶ……。ひっーさーつ……しゃーいにーんぐーふんがー」
ッピン。
――ズゥゥゥゥウウンッッッ!!
レーベの放ったデコピンはベリトの額を捉える。インパクトの瞬間、その衝撃はテントを、地面を激しく揺らした。だが――。
(な、なんだと……!?)
執事は、先程の場所から1ミリも動くことなく、変わらぬ微笑みを浮かべていた。
(お、恐るべし……、ベリト……)
「レーベ様、ありがとうございました。とても良いデコピンでしたよ。では、次に参りましょうか」
そして、皆がドン引きする中、平然とそう言ってのけるベリトであった。
「はは……。さ、さーて、気を取り直して次だー! ――王様だーれだ! はいはいはーーーーーい!!」
ッゲ。
誰しもがいつかは来ると思い、できるならば来ないで欲しいと思っていた者が早くも王の座へとつく。
「1番から9番までが王様にぃ~」
「おい、ちょっと待て、王様にとかありなのか!? ってか、1~9って全員じゃねぇか! それはダメだろ!」
テュールが慌てて待ったをかける。そして、その声に同調した理事達が王様審議委員会の臨時開催を決定する。
ヒソヒソヒソ――少女達は5人で固まり、相談を始めた。どうやら男性陣の意見など1ミリも取り入れる気はないようだ。
そして3分後――処分が下ることとなる。
「テップ降格」
「いやだぁぁぁぁあああ!!」
レーベの非情な処分に涙を浮かべ、必死に抵抗するテップ。
「ん。流石に冗談。王様を含めての命令はあり、けど人数は合計3人まで」
と、無難なところに落ち着くこととなる。
「ん、コホン。んじゃ、改めて! 5番と7番が王様にぃ~」
ゴクリ――。
ニヤリ。テップ王が不敵な笑みを浮かべ――。
「キスをするぅうう!! ひゃっほぉぉぉぅう!! もちろん唇だー!! 唇だぞぉーーー!!」
テンションマックスでそう命令を下すのであった。
皆が皆、顔を左右に振り、誰が被害者なのか探り合う。
「ふむ、私が5番だ」「あー、俺が7番だな、つーかキスとか正気かよ……」
レフィーとテュールが手を上げる。
「よっしゃーーーー!! 女子きたぁぁぁぁ!!」
テップのテンションは月まで昇りかねない程の爆上げであった。
「フ、ルールなら仕方ないな。さっさと済ますか……」
(え? マジ? レフィーさんテップにチューしちゃうんすか?)
テュールの胸中を複雑な気持ちが満たす。
「ほら、行くぞ」
そんなことを知る由もないレフィーは、呆然とするテュールを掴み、テップの前まで引きずっていく。
にまぁ。
テップは準備万端とばかりに正座し、目を爛々と輝かせ、頬が裂けるほどにニヤついていた。
「おい、テュール」
そこで、レフィーは何を思ったか、90度向き直り、テュールと向き合う。そして、その胸ぐらを掴み――。
「ん? ――むぐ、んんんんーーー!?」
強引に唇を合わせる。
周りは色めき立ち、どこか艶のある声を小さく上げながら嬉し恥ずかし観戦モードとなる。しかし、当然それに対し抗議の声を上げるものもいる。
「おーい、レフィーさん? おーい、おーい、違うよぉ? 王様ボクちんだよ? それ7番。5番が7番にキスじゃないよ? 5番、と! 7番、が! 王様、に! キス、だよ?」
テップの言葉で一旦離れる唇。レフィーは不敵に笑い、混乱するテュールの頭をガシッと鷲掴みにし――。
「ぷはっ……はぁはぁはぁ。何がどうなっ――ムグッ、むぅう!! むぅーーー!!」
テップの顔へと押し付けた。
「フ。これで5番と7番分のキスになるだろ?」
そう笑顔で言いながら頭を押さえ続けるレフィーは正に鬼畜であった。
「ブハッ!! おえぇぇぇええええ!!」
ゴシゴシゴシ。
ようやく開放されたテュールは盛大にえづき、自身の袖で唇を一心不乱に拭う。そして、キッとテップを睨み――。
「てめぇぇぇ!! 何俺の唇ペロペロしてんだゴラァァァア!!」
その胸ぐらを掴み、前後へと激しく揺する。
「い、いや、だ、だって、せ、せめて、レフィー、成分を、少しでも、と、あ、いや、やめて、頭、もげ、ちゃう」
トントン――。
怒り冷めきらないテュールの肩をレフィーが後ろから叩く。
「あんっ? むぐっ」
「ほら、口直しだ。機嫌を直せ」
振り返るとレフィーがそっとキスをしてきた。テュールは目をパチクリと瞬かせしばし呆然とする。
「うぇ、気持ちわりぃ、頭ぐわんぐわんするぜぇ……。はぁ、おい、テュール何ぼうっとしてんだ! ほら次行くぞ! あと、お前の唇けっこー柔らかいんだな! ハハハハ!」
キッ。
当然睨むテュールであった。
「はいはい、ごめんなさい、ごめんなさい。んじゃ次は――王様だーれだ!」
「はいなのだー! はいなのだー! リリスなのだー!」
ものすごい勢いで王様アピールをしてくる幼女がそこにはいた。
「あ、俺だ」
チッ――。
テュールが王様を名乗ると、そこかしこから小さく舌打ちが聞こえる。
(くっ、早速フラグを立ててしまってたか……。一発目とかやめてくれよ……)
ギラギラした目つきで王様やりたいオーラを出す者もいる中、テュールはどちらかと言えば王様などやらず参加者に甘んじていたかった派だ。
「あー……、えーっと、じゃあ2番が6番にぃー」
皆が息を呑み、場に緊張が走る。
「デコピンをする……」
はぁーーーー。
そして、大多数の口からはため息が漏れた。
「はぁー、テュール? お前デコピンて、デコピンてなんだよ。今日び、5歳児でももうちょっとワクワクドキドキする命令を下すね」
テップの言葉を皮切りにそこかしこから不満の声が上がる。
「うっ……、い、いいじゃねぇか! 一発目なんだから! ほれ、2番と6番誰だ!」
なんとなく気恥ずかしさを覚えたテュールはちゃっちゃとゲームを進行しようとやや早口で捲し立てる。
「……2番」
「はい、私が6番ですね」
レーベとベリトが手を上げる。それを見たテップは――。
「ちょ……ちょっとおもしろそうじゃねぇか……」
デコピンの組み合わせにちょっとワクワクドキドキしていた。
トコトコと皆の前を横切り、レーベがベリトの前に立つ。
「どうぞ、お手柔らかに」
執事は座ったまま前髪を自らの手で持ち上げ、笑顔でそう言う。
「……ん」
対するレーベは――魔法陣を重ね始める。
――は?
一同は唖然とするが、レーベの魔法は淀みなく描かれていき、そして発動する。
しゅぅん、しゅぅん、しゅぅん。
その右手には金色に輝くオーラが立ち昇っていた。
「おま、それ……、部分強化の最上級の魔法じゃねぇか……。ベリトを殺す気か?」
テュールが正気を問う。
――コクリ。
どうやら殺す気で放つらしい。
レーベがゆっくりと右手を持ち上げ、ベリトの額の前に構える。ベリトはこの状況でも尚涼しい顔で微笑んでいた。
ゴクリ。
皆が息を呑み、呼吸音すら聞こえないほどの静寂の中――。
「私のこの手が光って唸る……。お前を倒せと輝き叫ぶ……。ひっーさーつ……しゃーいにーんぐーふんがー」
ッピン。
――ズゥゥゥゥウウンッッッ!!
レーベの放ったデコピンはベリトの額を捉える。インパクトの瞬間、その衝撃はテントを、地面を激しく揺らした。だが――。
(な、なんだと……!?)
執事は、先程の場所から1ミリも動くことなく、変わらぬ微笑みを浮かべていた。
(お、恐るべし……、ベリト……)
「レーベ様、ありがとうございました。とても良いデコピンでしたよ。では、次に参りましょうか」
そして、皆がドン引きする中、平然とそう言ってのけるベリトであった。
「はは……。さ、さーて、気を取り直して次だー! ――王様だーれだ! はいはいはーーーーーい!!」
ッゲ。
誰しもがいつかは来ると思い、できるならば来ないで欲しいと思っていた者が早くも王の座へとつく。
「1番から9番までが王様にぃ~」
「おい、ちょっと待て、王様にとかありなのか!? ってか、1~9って全員じゃねぇか! それはダメだろ!」
テュールが慌てて待ったをかける。そして、その声に同調した理事達が王様審議委員会の臨時開催を決定する。
ヒソヒソヒソ――少女達は5人で固まり、相談を始めた。どうやら男性陣の意見など1ミリも取り入れる気はないようだ。
そして3分後――処分が下ることとなる。
「テップ降格」
「いやだぁぁぁぁあああ!!」
レーベの非情な処分に涙を浮かべ、必死に抵抗するテップ。
「ん。流石に冗談。王様を含めての命令はあり、けど人数は合計3人まで」
と、無難なところに落ち着くこととなる。
「ん、コホン。んじゃ、改めて! 5番と7番が王様にぃ~」
ゴクリ――。
ニヤリ。テップ王が不敵な笑みを浮かべ――。
「キスをするぅうう!! ひゃっほぉぉぉぅう!! もちろん唇だー!! 唇だぞぉーーー!!」
テンションマックスでそう命令を下すのであった。
皆が皆、顔を左右に振り、誰が被害者なのか探り合う。
「ふむ、私が5番だ」「あー、俺が7番だな、つーかキスとか正気かよ……」
レフィーとテュールが手を上げる。
「よっしゃーーーー!! 女子きたぁぁぁぁ!!」
テップのテンションは月まで昇りかねない程の爆上げであった。
「フ、ルールなら仕方ないな。さっさと済ますか……」
(え? マジ? レフィーさんテップにチューしちゃうんすか?)
テュールの胸中を複雑な気持ちが満たす。
「ほら、行くぞ」
そんなことを知る由もないレフィーは、呆然とするテュールを掴み、テップの前まで引きずっていく。
にまぁ。
テップは準備万端とばかりに正座し、目を爛々と輝かせ、頬が裂けるほどにニヤついていた。
「おい、テュール」
そこで、レフィーは何を思ったか、90度向き直り、テュールと向き合う。そして、その胸ぐらを掴み――。
「ん? ――むぐ、んんんんーーー!?」
強引に唇を合わせる。
周りは色めき立ち、どこか艶のある声を小さく上げながら嬉し恥ずかし観戦モードとなる。しかし、当然それに対し抗議の声を上げるものもいる。
「おーい、レフィーさん? おーい、おーい、違うよぉ? 王様ボクちんだよ? それ7番。5番が7番にキスじゃないよ? 5番、と! 7番、が! 王様、に! キス、だよ?」
テップの言葉で一旦離れる唇。レフィーは不敵に笑い、混乱するテュールの頭をガシッと鷲掴みにし――。
「ぷはっ……はぁはぁはぁ。何がどうなっ――ムグッ、むぅう!! むぅーーー!!」
テップの顔へと押し付けた。
「フ。これで5番と7番分のキスになるだろ?」
そう笑顔で言いながら頭を押さえ続けるレフィーは正に鬼畜であった。
「ブハッ!! おえぇぇぇええええ!!」
ゴシゴシゴシ。
ようやく開放されたテュールは盛大にえづき、自身の袖で唇を一心不乱に拭う。そして、キッとテップを睨み――。
「てめぇぇぇ!! 何俺の唇ペロペロしてんだゴラァァァア!!」
その胸ぐらを掴み、前後へと激しく揺する。
「い、いや、だ、だって、せ、せめて、レフィー、成分を、少しでも、と、あ、いや、やめて、頭、もげ、ちゃう」
トントン――。
怒り冷めきらないテュールの肩をレフィーが後ろから叩く。
「あんっ? むぐっ」
「ほら、口直しだ。機嫌を直せ」
振り返るとレフィーがそっとキスをしてきた。テュールは目をパチクリと瞬かせしばし呆然とする。
「うぇ、気持ちわりぃ、頭ぐわんぐわんするぜぇ……。はぁ、おい、テュール何ぼうっとしてんだ! ほら次行くぞ! あと、お前の唇けっこー柔らかいんだな! ハハハハ!」
キッ。
当然睨むテュールであった。
「はいはい、ごめんなさい、ごめんなさい。んじゃ次は――王様だーれだ!」
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コメント
世界るい
応援コメントありがとうございます!
来年もバリバリ頑張ります!(`・ω・´)ゞ
ノベルバユーザー142423
凄く、とても、むちゃくちゃ、面白いです
来年も頑張ってください(*´ω`*)
世界るい
年内最後の更新となります。
皆様本当にこの一年ありがとうございました。
来年も精一杯頑張るので強ししょをこれからもどうぞ宜しくお願いいたしますm(_ _)m