絶対守護者の学園生活記
生きる意味
ソフィ先輩が、自身の過去を語り終えた。
ソフィ先輩は人工エルフ、クローンであった。研究所で目覚め、不良品と判断され処分されそうになり逃走。逃げ込んだ部屋で自分と瓜二つの子供達の死体を発見してしまう。それは過去に処分された自分と同じクローン達で、同じ遺伝子から造られたソフィ先輩はその子供達に何か繋がるものを感じたのであろう。子供達を家族と捉えた。だからこそ、怒りを覚えた。
そして元凶である男からどうにか生き延び、強さを求め、悲劇の連鎖を断ち切ろうとしたと。
学内最強決定戦が終わってからの鍛錬時の鬼気迫る感じはこれが関係していたからか。
そしてソフィ先輩の足元に転がっている男は元凶だった奴か。
なるほど、大体分かった。だが
それは生きることを辞めるのとは関係ないだろ、ソフィ先輩。
「ソフィ先輩。俺ってアリスとカレンによく言われることがあるんですよ」
「な、なんだ急に」
「面倒臭い奴だって。今のソフィ先輩もかなり面倒臭いですよ」
「なに……?」
俺の突然の発言に、目を細め睨みつけてくる。正直めっちゃ怖い。でもこれだけは言わなければいけないんだ。
「やることは全て終わった。そして生きる意味も目的も無くなったから殺せって? 馬鹿じゃないですか?」
なぜ俺がソフィ先輩を殺さなければいけない。ソフィ先輩は俺にとってはもう大切な人なんだ。
「単純なことですよ。無いなら作ればいい。目的ならとっくにあるじゃないですか。アリスに勝つって」
ソフィ先輩が心の底から楽しめるもの。そんなものがあるのならそれを追いかけ続ればいい。アリスに勝つ。それだって立派な目的だ。
そして何よりも次の言葉が大事だ。なぜなら
「生きる意味は……俺じゃ駄目ですかね?」
分かるだろうか。これは告白である。俺なりに頑張った結果だ。それを聞いてソフィ先輩はポカーンとしているが。
「俺はソフィ先輩のことを、なんて凄い人なんだろうと思っていました。魔法に特化したエルフという種族にも関わらず、己を磨き上げ、アリスに迫ろうかというところまで辿り着いた。その並大抵では無理であろうところへ向かう努力をしていたソフィ先輩の姿に、俺はどうやら惹かれてしまったらしくてですね……」
らしくてですねってなんだよ。はっきりしろよ俺。
「だから、ソフィ先輩に死んでもらっては困るんです。好きになった人がいなくなるっていうのは凄く悲しいんです。それでもソフィ先輩は殺せって言うんですか? 俺を絶望の淵に立たせるつもりですか?」
なんだこれ。俺はストーカーかメンヘラか何かか? 流石にこれはないだろと自分でも思う。
恐る恐るソフィ先輩の反応を窺うと、目には涙が浮かんでいた。
俺が気持ち悪すぎて泣いてしまったのだろうか。罪悪感で押し潰されそうだ。
「……流石にそれはどうかと思うぞ」
「うぐっ」
容赦ない一撃が俺を襲う!
「でもそうか……私は生きててもいいんだな」
「そ、そうです……そうじゃないと、俺が困りますから」
ソフィ先輩は俺の言葉を聞いてしばらく考え込み
「なら、私の生きる意味になってくれるか? レオン」
「! それって」
「ああ、こんな私でも良ければな」
こんなというのはクローンだからとかそういうことだろうか。そんなの気にしないに決まってる。
「ええ! もちろんです!」
やばい、超嬉しい。その気持ちが態度に現れてしまっていたのか、ソフィ先輩にまるで子供を見守る母親のような微笑みをされたが、その綺麗な笑みはさらに俺の喜びを助長させるのであった。
※※※
レオン。
私の親友であるアリスの婚約者であり、英雄の息子という男。その立場に相応しい実力を持っている。
私は仮に誰かと添い遂げるなら私より強い者がいいと思っている。だからレオンなら良いだろう。だがそれも仮にだ。
造り物である私に誰かと添い遂げるというのは夢のまた夢。元々いてはいけない存在。
そんな私が誰かと深い関係になるのは許されない。
だからこそ、目的を果たしたら消えようと思っていた。
なのにどうであろう。
レオンは俺が悲しむから死なないでくれと言ってきた。誰が聞いたって何を言ってるんだこの男はと思うだろう。
でもその言葉には素直な思いが籠っていた。
私は生きていてもいいんだと。
前にアリスに惚気られた時に聞いた、レオンの不器用な優しさというのはこれなのだなと思った。
アリスが惚れたというのも分かる。
そんな男が私に生きる目的を、意味をくれた。
あぁ、この男ともっと一緒に歩んでいきたい。生きていきたい。
こんな私でも受け入れてくれる。私の返事を聞いて子供のようにはしゃぐ男。
アリス、お前が言っていた通り最高の男だな、こいつは。
ソフィ先輩は人工エルフ、クローンであった。研究所で目覚め、不良品と判断され処分されそうになり逃走。逃げ込んだ部屋で自分と瓜二つの子供達の死体を発見してしまう。それは過去に処分された自分と同じクローン達で、同じ遺伝子から造られたソフィ先輩はその子供達に何か繋がるものを感じたのであろう。子供達を家族と捉えた。だからこそ、怒りを覚えた。
そして元凶である男からどうにか生き延び、強さを求め、悲劇の連鎖を断ち切ろうとしたと。
学内最強決定戦が終わってからの鍛錬時の鬼気迫る感じはこれが関係していたからか。
そしてソフィ先輩の足元に転がっている男は元凶だった奴か。
なるほど、大体分かった。だが
それは生きることを辞めるのとは関係ないだろ、ソフィ先輩。
「ソフィ先輩。俺ってアリスとカレンによく言われることがあるんですよ」
「な、なんだ急に」
「面倒臭い奴だって。今のソフィ先輩もかなり面倒臭いですよ」
「なに……?」
俺の突然の発言に、目を細め睨みつけてくる。正直めっちゃ怖い。でもこれだけは言わなければいけないんだ。
「やることは全て終わった。そして生きる意味も目的も無くなったから殺せって? 馬鹿じゃないですか?」
なぜ俺がソフィ先輩を殺さなければいけない。ソフィ先輩は俺にとってはもう大切な人なんだ。
「単純なことですよ。無いなら作ればいい。目的ならとっくにあるじゃないですか。アリスに勝つって」
ソフィ先輩が心の底から楽しめるもの。そんなものがあるのならそれを追いかけ続ればいい。アリスに勝つ。それだって立派な目的だ。
そして何よりも次の言葉が大事だ。なぜなら
「生きる意味は……俺じゃ駄目ですかね?」
分かるだろうか。これは告白である。俺なりに頑張った結果だ。それを聞いてソフィ先輩はポカーンとしているが。
「俺はソフィ先輩のことを、なんて凄い人なんだろうと思っていました。魔法に特化したエルフという種族にも関わらず、己を磨き上げ、アリスに迫ろうかというところまで辿り着いた。その並大抵では無理であろうところへ向かう努力をしていたソフィ先輩の姿に、俺はどうやら惹かれてしまったらしくてですね……」
らしくてですねってなんだよ。はっきりしろよ俺。
「だから、ソフィ先輩に死んでもらっては困るんです。好きになった人がいなくなるっていうのは凄く悲しいんです。それでもソフィ先輩は殺せって言うんですか? 俺を絶望の淵に立たせるつもりですか?」
なんだこれ。俺はストーカーかメンヘラか何かか? 流石にこれはないだろと自分でも思う。
恐る恐るソフィ先輩の反応を窺うと、目には涙が浮かんでいた。
俺が気持ち悪すぎて泣いてしまったのだろうか。罪悪感で押し潰されそうだ。
「……流石にそれはどうかと思うぞ」
「うぐっ」
容赦ない一撃が俺を襲う!
「でもそうか……私は生きててもいいんだな」
「そ、そうです……そうじゃないと、俺が困りますから」
ソフィ先輩は俺の言葉を聞いてしばらく考え込み
「なら、私の生きる意味になってくれるか? レオン」
「! それって」
「ああ、こんな私でも良ければな」
こんなというのはクローンだからとかそういうことだろうか。そんなの気にしないに決まってる。
「ええ! もちろんです!」
やばい、超嬉しい。その気持ちが態度に現れてしまっていたのか、ソフィ先輩にまるで子供を見守る母親のような微笑みをされたが、その綺麗な笑みはさらに俺の喜びを助長させるのであった。
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レオン。
私の親友であるアリスの婚約者であり、英雄の息子という男。その立場に相応しい実力を持っている。
私は仮に誰かと添い遂げるなら私より強い者がいいと思っている。だからレオンなら良いだろう。だがそれも仮にだ。
造り物である私に誰かと添い遂げるというのは夢のまた夢。元々いてはいけない存在。
そんな私が誰かと深い関係になるのは許されない。
だからこそ、目的を果たしたら消えようと思っていた。
なのにどうであろう。
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