絶対守護者の学園生活記
そうだ、孤児院に行こう
本日の学業も終わり、放課後になった。
俺はカレンに学園の外へと連れてかれた。前をズンズン歩くカレンについていくこと30分ほどであろうか、俺は一件のボロついた建物の前に立っていた。小さな庭もついており、小規模な保育園みたいだと思った。
「ここは私が四年間お世話になった孤児院よ」
「ここが……」
「とりあえず中に入るわよ」
中へと入り、廊下を進む。そして一つの扉の前にたどり着く。
「ここが広間よ。この先には院長と子供達がいるわ」
そう言って、カレンは扉を開いて入っていく。
「みんな、来たわよ!」
「あ! カレンお姉ちゃんだ!」
「カレンお姉ちゃーん!」
入った直後、カレンが子供達に囲まれる。大人気だな。
「ほっほっほ。よく来たな、カレンよ」
「院長、久しぶりね」
奥から院長と呼ばれた牧師姿の老人が出てきた。
「私がいなくなってから大変じゃない?」
「ほっほっほ。多少大変になっただけで今のところは大丈夫じゃわい」
「そう。これからも暇を見つけては遊びに来るわね」
「別に無理はせんでええからの? 貴重な青春を楽しんできてくれたらそれでええわい」
話を聞いた限りでは、カレンはここに住み込みで子供達の相手をしてきたのであろう。そして学園に入ることになってここを離れることになったと。
「それよりもカレンの隣にいる彼は誰じゃ?」
「紹介するわね。皆聞いて! この人はこれからも皆と遊んでくれるレオンよ!」
「ちょっ」
聞いてないぞそんな話!
「あら、嫌だったかしら?」
「いや、むしろ大歓迎だ」
「ほっほっほ。こやつ、目がキラキラしておるわい」
まさか異世界でも保育士の仕事が出来るとは。保育園ではないが。それでも子供達の世話や相手を出来るのは嬉しい。実はかなりテンションが上がっている。
そんなことを考えていると、俺の制服の袖をクイクイッと引かれる。子供達が俺を見上げていた。
「レオン?」
「レオン遊んでくれるの?」
「レオン! 鬼ごっこしよ!」
「お前ら……」
ふっふっふ。テンションがハイな俺の実力を見せる時が来たようだな。
「レオンじゃない! レオンお兄ちゃんって呼べー!」
「きゃー!」
「レオンが怒った! 逃げろー!」
両腕を高く上げ子供達を追いかける。子供達はキャッキャッと楽しそうに逃げ回る。
「ほっほっほ。早速、子供達も懐いたようじゃの」
「レオンは昔から子供にはよく好かれてたからね」
「子供には? てっきりカレンのこれかと思ってたのじゃが」
「これって……小指を立てないで! 別にそんなんじゃないわよ!」
「ほっほっほ。楽しくなりそうじゃわい」
「もう!」
しばらく鬼ごっこをし、簡単な魔法を使って人形劇のようなものをしたところで、子供達はお眠の時間になったようだ。晩御飯の時間になるまでは寝かせといてやろう。あと、なぜかカレンの顔が赤かった。何かあったのだろうか。
「お疲れ様、レオン」
「全然疲れてなんかないぞ、むしろ俺の方が楽しかったぐらいだ」
自然と寝ている子供達の方に目がいく。
ふっと、思わず笑みがこぼれてしまう。
「! ……変わらないわね、それも」
「何がだ?」
「別に、何でもないわよ」
おかしなカレンだな。
そして俺はしばらく子供達の寝顔を眺めていたが――
パリン!!
どこかから何かが割れる音が聞こえた。
「こっちじゃ!」
院長についていくと、そこには割れた窓と投げ入れられたであろう石があった。
「一体誰がこんなこと……」
「多分、コレーグ子爵家の者じゃ」
「コレーグ子爵家?」
子爵ってことは貴族か。俺から関わらなくても、貴族側が問題を運んでくるとは……
「実はカレンが出ていってすぐの頃に、コレーグ子爵家の使いが孤児院に訪れての。子供を、出来れば幼い女子を渡しては貰えないかと言ってきてな。理由を聞いてみたが答えてくれなくての。怪しかったんで断ったんじゃ。そしたら後悔するぞと言って帰っていきおっての。愚痴も吐いてたわい。なんで俺が毎回こんなことをっての」
恨んでの犯行か。しかも今まで何回も同じことをやってきたのか。
だが、俺が何かをするわけにはいかない。こういうのは然るべき機関に任せるべきだ。
「あと、こんなことも言ってたの」
おいおい愚痴多すぎだろ。同情はしないが。
「どれもこれも、四年前に手に入れたユウってチビが壊れかけてんのがいけないんだ、だったかのう」
………あ?
※※※
私はレオンを孤児院へと連れてきた。子供達の相手の手伝いをしてもらうためだ。案の定、レオンは引き受けてくれた。昔から子供の相手が好きだったからね。本人も子供だったのに。
途中で院長にからかわれてしまった。レオンが私の彼氏ではと言われたのだ。全力で否定した。別にあんなシスコンでいつもふざけてて、でも戦ってる姿はかっこよくて、何気に優しくて………。私はレオンのことをどう思っているのだろう。なぜかモヤモヤしたが、今は気にしないことにした。
その後、子供達が疲れて眠ってしまったが、レオンはその光景をとても優し気な表情で眺めている。
これは昔からあったことで、子供達が本当に好きなのであろう。彼自身は無意識だろうが、子供達を見る彼の雰囲気や表情はとても優しいものになる。普段のふざけた感じとのギャップが凄くて、思わずドキッとしたこともある。
しかし、ここで問題が起こった。
孤児院に石が投げ入れられたのだ。
院長の説明によるとコレーグ子爵家というのが関係しているらしい。
院長はコレーグ家の使いが言っていたことを、残さず話していたが、次の言葉を放った瞬間に、場の雰囲気が変わる。
「どれもこれも、四年前に手に入れたユウってチビが壊れかけてんのがいけないんだ、だったかのう」
かなり濃い殺気が周りを包み込んだ。押しつぶされてしまいそうなほどの圧力を持った殺気だ。
放っていたのはレオンだった。さっきまでは優しい表情だったが、今は無表情になり、目が据わっている。ただ、レオンから感じ取れるのは『怒り』だった。
レオン、一体どうしたの……?
俺はカレンに学園の外へと連れてかれた。前をズンズン歩くカレンについていくこと30分ほどであろうか、俺は一件のボロついた建物の前に立っていた。小さな庭もついており、小規模な保育園みたいだと思った。
「ここは私が四年間お世話になった孤児院よ」
「ここが……」
「とりあえず中に入るわよ」
中へと入り、廊下を進む。そして一つの扉の前にたどり着く。
「ここが広間よ。この先には院長と子供達がいるわ」
そう言って、カレンは扉を開いて入っていく。
「みんな、来たわよ!」
「あ! カレンお姉ちゃんだ!」
「カレンお姉ちゃーん!」
入った直後、カレンが子供達に囲まれる。大人気だな。
「ほっほっほ。よく来たな、カレンよ」
「院長、久しぶりね」
奥から院長と呼ばれた牧師姿の老人が出てきた。
「私がいなくなってから大変じゃない?」
「ほっほっほ。多少大変になっただけで今のところは大丈夫じゃわい」
「そう。これからも暇を見つけては遊びに来るわね」
「別に無理はせんでええからの? 貴重な青春を楽しんできてくれたらそれでええわい」
話を聞いた限りでは、カレンはここに住み込みで子供達の相手をしてきたのであろう。そして学園に入ることになってここを離れることになったと。
「それよりもカレンの隣にいる彼は誰じゃ?」
「紹介するわね。皆聞いて! この人はこれからも皆と遊んでくれるレオンよ!」
「ちょっ」
聞いてないぞそんな話!
「あら、嫌だったかしら?」
「いや、むしろ大歓迎だ」
「ほっほっほ。こやつ、目がキラキラしておるわい」
まさか異世界でも保育士の仕事が出来るとは。保育園ではないが。それでも子供達の世話や相手を出来るのは嬉しい。実はかなりテンションが上がっている。
そんなことを考えていると、俺の制服の袖をクイクイッと引かれる。子供達が俺を見上げていた。
「レオン?」
「レオン遊んでくれるの?」
「レオン! 鬼ごっこしよ!」
「お前ら……」
ふっふっふ。テンションがハイな俺の実力を見せる時が来たようだな。
「レオンじゃない! レオンお兄ちゃんって呼べー!」
「きゃー!」
「レオンが怒った! 逃げろー!」
両腕を高く上げ子供達を追いかける。子供達はキャッキャッと楽しそうに逃げ回る。
「ほっほっほ。早速、子供達も懐いたようじゃの」
「レオンは昔から子供にはよく好かれてたからね」
「子供には? てっきりカレンのこれかと思ってたのじゃが」
「これって……小指を立てないで! 別にそんなんじゃないわよ!」
「ほっほっほ。楽しくなりそうじゃわい」
「もう!」
しばらく鬼ごっこをし、簡単な魔法を使って人形劇のようなものをしたところで、子供達はお眠の時間になったようだ。晩御飯の時間になるまでは寝かせといてやろう。あと、なぜかカレンの顔が赤かった。何かあったのだろうか。
「お疲れ様、レオン」
「全然疲れてなんかないぞ、むしろ俺の方が楽しかったぐらいだ」
自然と寝ている子供達の方に目がいく。
ふっと、思わず笑みがこぼれてしまう。
「! ……変わらないわね、それも」
「何がだ?」
「別に、何でもないわよ」
おかしなカレンだな。
そして俺はしばらく子供達の寝顔を眺めていたが――
パリン!!
どこかから何かが割れる音が聞こえた。
「こっちじゃ!」
院長についていくと、そこには割れた窓と投げ入れられたであろう石があった。
「一体誰がこんなこと……」
「多分、コレーグ子爵家の者じゃ」
「コレーグ子爵家?」
子爵ってことは貴族か。俺から関わらなくても、貴族側が問題を運んでくるとは……
「実はカレンが出ていってすぐの頃に、コレーグ子爵家の使いが孤児院に訪れての。子供を、出来れば幼い女子を渡しては貰えないかと言ってきてな。理由を聞いてみたが答えてくれなくての。怪しかったんで断ったんじゃ。そしたら後悔するぞと言って帰っていきおっての。愚痴も吐いてたわい。なんで俺が毎回こんなことをっての」
恨んでの犯行か。しかも今まで何回も同じことをやってきたのか。
だが、俺が何かをするわけにはいかない。こういうのは然るべき機関に任せるべきだ。
「あと、こんなことも言ってたの」
おいおい愚痴多すぎだろ。同情はしないが。
「どれもこれも、四年前に手に入れたユウってチビが壊れかけてんのがいけないんだ、だったかのう」
………あ?
※※※
私はレオンを孤児院へと連れてきた。子供達の相手の手伝いをしてもらうためだ。案の定、レオンは引き受けてくれた。昔から子供の相手が好きだったからね。本人も子供だったのに。
途中で院長にからかわれてしまった。レオンが私の彼氏ではと言われたのだ。全力で否定した。別にあんなシスコンでいつもふざけてて、でも戦ってる姿はかっこよくて、何気に優しくて………。私はレオンのことをどう思っているのだろう。なぜかモヤモヤしたが、今は気にしないことにした。
その後、子供達が疲れて眠ってしまったが、レオンはその光景をとても優し気な表情で眺めている。
これは昔からあったことで、子供達が本当に好きなのであろう。彼自身は無意識だろうが、子供達を見る彼の雰囲気や表情はとても優しいものになる。普段のふざけた感じとのギャップが凄くて、思わずドキッとしたこともある。
しかし、ここで問題が起こった。
孤児院に石が投げ入れられたのだ。
院長の説明によるとコレーグ子爵家というのが関係しているらしい。
院長はコレーグ家の使いが言っていたことを、残さず話していたが、次の言葉を放った瞬間に、場の雰囲気が変わる。
「どれもこれも、四年前に手に入れたユウってチビが壊れかけてんのがいけないんだ、だったかのう」
かなり濃い殺気が周りを包み込んだ。押しつぶされてしまいそうなほどの圧力を持った殺気だ。
放っていたのはレオンだった。さっきまでは優しい表情だったが、今は無表情になり、目が据わっている。ただ、レオンから感じ取れるのは『怒り』だった。
レオン、一体どうしたの……?
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清水 裕斗
いやいや!今更感凄いのですが!?
ノベルバユーザー89126
カレンも子供たちの世話してたはずなのに名前聞いてもわからんとか