Creation World Online
第36話
俺たちが第1界層のモノリスに転移すると周囲には未だにプレイヤー達が残っていた。
残っているやつらは、街に引きこもっていたせいで2界層に行くのは心配だというやつや、未だ街に引きこもっているやつ、1界層に自分の拠点を持っているやつってとこか。
俺たちはそのままエーテル武具店を目指して歩き出す。
店内ではNPCのエーテルが壁に立てかけられた武器のホコリを落としていた。
「いらっしゃいま__あれ?シュウさんじゃないですか。何しに来たんですか?」
そう言ってこちらに歩み寄ってくるNPCのエーテルを無視して俺はカウンターに手をかけ、跳び越えようとする。
『進入不可』
目の前にそんな表示が現れ、俺の手がバチンと弾かれる。
ならば、と未踏を発動すると今度はすんなりと中に入ることが出来た。
カウンターの向こう側に立った瞬間視界にノイズが走る。
次第にノイズは広がり見渡せば一面真っ暗な空間に立っていた。
俺が一歩、足を前に出すとそこから白の道が出来上がる。
その道に沿って歩いて行くと何時ぞやの0と1が飛び回る空間に辿り着いた。
その空間でエアディスプレイを幾つも展開して何かしらの操作をしている男性がこちらに気がつくと手を振る。
「やあ、シュウ君じゃないか。どうした?」
「ああ、おっさん。久しぶりだな」
近寄るとおっさんは不思議そうな顔をする。
「おや?アンリ君は何故そんなにぐったりしてるのかね?まさか…シュウ君、私は奥に引っ込んでおこう。あまりはしゃぐんじゃないぞ?」
「おい待て!違う!」
何かを悟ったような表情で「若いっていいな」などと呟きながら立ち去ろうとしたおっさんを慌てて引き留める。
どうしてそうなった!
おっさんは「悪い悪い」と全く悪びれずに1人用のソファを出現させて座ると、対面に取り出したソファを設置し着席するように促す。
俺が座るとおっさんは真面目になる。
「で、何があった?」
「ああ、実はな__」
俺が起こったことをすべて話すとおっさんは「うーむ」と考え込んだかと思うと、エアディスプレイを操作して驚いたような表情を浮かべる。
「これは…」
「何かわかったのか?」
「ああ、これは面倒な事になったな。まず、アンリ君だが…これは状態異常ではない」
確かに、状態異常の項目は見当たらなかった。
エアディスプレイを見ながらおっさんは続ける。
「アンリ君は今、とあるイベントで起こるはずの病にかかっている。しかも、本来ならプレイヤーに一切被害がなくNPCにのみ蔓延するはずの病だ。アンリ君の身体を確認してみたところそのイベントと一致するコードが見つかった」
「つまり、どういうことだ?」
「治すためにはそのイベントで手に入る解毒薬が必要となる。それにしても、その青年はどこからこんなものを仕入れたのか…」
そう言えば最後にあいつが何か言ってたな…あの方にもらった、か…
背後にも誰かがいるようで俺はうんざりとした気持ちになる。
だが、今はそんなことよりも大事なことがある。
「で、おっさん。アンリは助かるのか?」
「まあ、一応助かるには助かるが…これまた厄介でな」
「なんだ?薬を取ってくればいいんだよな?」
「まあ、それなんだが…クエストが発生するのが3界層なんだよ。つまり、現状は打つ手がない」
「まあ、そうか。それならしばらく待ってもらうしかないな…」
かなり苦しいだろうが我慢してもらわなければならないだろう。
アンリの頭を撫でてやると、おっさんが言いにくそうにこう言った。
「非常に言いにくいのだが、この子の寿命は後1週間ってところだろう」
「なんだと!それは本当なのか?」
「ああ、本来ならこのコードはプレイヤーに被害がないはずだった。それを強引にプレイヤーにねじ込んでいるせいか、アバターが消えかけている。この1週間っていうのも目安ってだけでもっと早い可能性もある」
それが本当なら急いで2界層のボスを攻略しなければならない。
俺は挨拶もそこそこにアンリを担いで店内に戻る。
すると突然現れた俺に驚いたのか呆けた顔をしているナクとエーテルをスルーして宿屋へと向かう。
慌てたようにナクが俺の後ろをついてくる。
「どこに行ってたの?」
「知り合いのところだ。アンリを治す方法を聞いてきた」
そう短く答えると俺はフレンドコールであるプレイヤーと今から会う約束を取り付け、エーテル武具店から出て行くのであった。          
残っているやつらは、街に引きこもっていたせいで2界層に行くのは心配だというやつや、未だ街に引きこもっているやつ、1界層に自分の拠点を持っているやつってとこか。
俺たちはそのままエーテル武具店を目指して歩き出す。
店内ではNPCのエーテルが壁に立てかけられた武器のホコリを落としていた。
「いらっしゃいま__あれ?シュウさんじゃないですか。何しに来たんですか?」
そう言ってこちらに歩み寄ってくるNPCのエーテルを無視して俺はカウンターに手をかけ、跳び越えようとする。
『進入不可』
目の前にそんな表示が現れ、俺の手がバチンと弾かれる。
ならば、と未踏を発動すると今度はすんなりと中に入ることが出来た。
カウンターの向こう側に立った瞬間視界にノイズが走る。
次第にノイズは広がり見渡せば一面真っ暗な空間に立っていた。
俺が一歩、足を前に出すとそこから白の道が出来上がる。
その道に沿って歩いて行くと何時ぞやの0と1が飛び回る空間に辿り着いた。
その空間でエアディスプレイを幾つも展開して何かしらの操作をしている男性がこちらに気がつくと手を振る。
「やあ、シュウ君じゃないか。どうした?」
「ああ、おっさん。久しぶりだな」
近寄るとおっさんは不思議そうな顔をする。
「おや?アンリ君は何故そんなにぐったりしてるのかね?まさか…シュウ君、私は奥に引っ込んでおこう。あまりはしゃぐんじゃないぞ?」
「おい待て!違う!」
何かを悟ったような表情で「若いっていいな」などと呟きながら立ち去ろうとしたおっさんを慌てて引き留める。
どうしてそうなった!
おっさんは「悪い悪い」と全く悪びれずに1人用のソファを出現させて座ると、対面に取り出したソファを設置し着席するように促す。
俺が座るとおっさんは真面目になる。
「で、何があった?」
「ああ、実はな__」
俺が起こったことをすべて話すとおっさんは「うーむ」と考え込んだかと思うと、エアディスプレイを操作して驚いたような表情を浮かべる。
「これは…」
「何かわかったのか?」
「ああ、これは面倒な事になったな。まず、アンリ君だが…これは状態異常ではない」
確かに、状態異常の項目は見当たらなかった。
エアディスプレイを見ながらおっさんは続ける。
「アンリ君は今、とあるイベントで起こるはずの病にかかっている。しかも、本来ならプレイヤーに一切被害がなくNPCにのみ蔓延するはずの病だ。アンリ君の身体を確認してみたところそのイベントと一致するコードが見つかった」
「つまり、どういうことだ?」
「治すためにはそのイベントで手に入る解毒薬が必要となる。それにしても、その青年はどこからこんなものを仕入れたのか…」
そう言えば最後にあいつが何か言ってたな…あの方にもらった、か…
背後にも誰かがいるようで俺はうんざりとした気持ちになる。
だが、今はそんなことよりも大事なことがある。
「で、おっさん。アンリは助かるのか?」
「まあ、一応助かるには助かるが…これまた厄介でな」
「なんだ?薬を取ってくればいいんだよな?」
「まあ、それなんだが…クエストが発生するのが3界層なんだよ。つまり、現状は打つ手がない」
「まあ、そうか。それならしばらく待ってもらうしかないな…」
かなり苦しいだろうが我慢してもらわなければならないだろう。
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