女神の加護を持つ死神

つうばく

聖女と妖精族 7

 イリスの案内に従い、キラリ達は森の中をどんどんと進んで行った。
 道中、虫型の魔物に襲われたりしたがスキルで難なく倒していった。

 そんな訳で結構暇であった為か、珍しい花や薬草を見つけた時は、これ持って帰ったら売れるかなぁ? なんていう事をずっと考えていた。

 キラリとは違いアル達はずっとおしゃべりをしたいた。
 女子ってのは四六時中お話ししててもなんで飽きないんだろうな?
 なんて事をキラリは思うが、一向に答えは見つからない。

 これはもしかすると永遠の謎とまでなる気がする。そんな風にまで思うキラリであった。

 女子達はおしゃべりをしていたから、男子であるキラリは本当に暇であった。
 そして目的地に着いた時は、やっと着いたぁあ! なんて叫んだものだ。

 だが。

 着いたと言っても里にではなかった。

「……ここどこ?」
「里への入り口です」
「……?」

 キラリはどこが? という様な疑問を浮かべている表情をする。

 それもそうだろう。
 キラリ達の目の前には一本の大きな木が立っているだけなのだから。

「あっ、でもこれ、なんか魔力が込められてる?」
「そうです。これは里への転移を出来るゲートなんです」
「マジか。転移の設置って物にも出来たんだ」

『はい。可能です。キラリ様も地面に設置されていますよね。それと同じ原理です』
『マジっすか。地面と物って同じ扱いなのかよ』

 物体なら何にでも設置出来るとかそういう範囲まで行くのか?
 キラリはソラさんの言葉にそんな疑問を抱く。

『物体であれば、どんなものでも可能です。物質であっても可能ですが』
『本日3回目のマジか!?』

 キラリは驚きの反応を隠せない。
 自分が持っていた魔法が凄すぎる魔法で、しかもそれをここまでさらっと言われたのだから。

 驚きのあまりに頭がついっていっていないのか、……世界って広いなぁ〜、なんていう事を思い出すキラリ。

「キラリが壊れたのじゃ」
「だな。放っておこう」
「……すみません。私には治せそうもないです」
「もうこれは安楽死をするしか……」
「お前ら酷いなぁ!? というか最後酷すぎだろ!! なんで安楽死して俺死ぬの!?」

 キラリの本音の叫びには誰も反応しない。
 まるで聞こえてないかの様にスルーをした。

「じゃあ行きますよ」
「なんでそんなにスルーすんの!?」
「では、しゅっぱーつ!」
「まだ無視する!?」

 キラリの言葉を無視して、イリスは木に触れた。
 キラリがソラさんに尋ねると、

『あれは木が人の魔力を判断し、中に入る事を認められている方だけが入れる様です』

 と言う風に解説してもらえた。

 イリスは昔に来たことがあると言っていたので、その時にでも許可とかをもらっていたのだろう、とキラリは思う。
 数秒間イリスは木に魔力を流すと、手を離した。

 木が輝き、キラリ達の足元にはでっかい見慣れた模様をしている魔法陣が。

「これで行けるのか」
「はい。その様ですね」

 ソラがキラリの呟きを返した。
 そして、毎度お馴染みだが白く輝きその場からキラリ達は消えた。










 転移後キラリ達がいたのは、物凄い数の家や店がずらっと並べられた、王都の様な街中を思わせる場所であった。

 目の前には沢山の人がーーいや、妖精がいた。

 大きさはバラバラで、着ているものも全員違う。
 そんな妖精達がここにはいっぱいいた。

「イリス様ですよね」

 横からキラリ達に、イリスに向けて声が掛けられた。
 キラリ達が振り返るとそこには、メイド服を着たなんとも可愛らしい妖精がいた。

「私は精霊神にお仕えしている者で、ナスタニアと申します」

 キラリ達が話し始める前に、ナスタニアは答える。

「精霊神様がお呼びになられておりますので、お起こしに来てもらえますか? もちろんキラリ様、アル様、ヘーニル様、ソラ様もご一緒に」

『俺たちの事を知っている様だな』
『結界をぶっ壊したのじゃからな。知らせが言っていてもおかしくはないじゃろ』
『それもそうかもな』

 キラリ様は迷わずその侍女に着いて行くことにした。
 展開が早くて助かる、なんて事をキラリが思っている事を誰も思ってはいなかった。

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