女神の加護を持つ死神

つうばく

初依頼達成の宴

「依頼完了です。初依頼お疲れ様でした」
「あっ、どうも」
「これは依頼の報酬となります。ギルドポイントの方はすでに配布されていると思いますので、後ほどご確認ください」
「……質問なんだけど、もう一回こういう下のランクの依頼を受ける事って可能なのか?」
「すみません。ギルドマスターからは今回が最後と伝えておけと頼まれていますので」
「あっ、そうっすか」
「はい、では。またのご利用お待ちしております」

 ギルドに戻って来た俺たちは、速攻でギルドに依頼完了の事を伝えにいった。
 受付嬢さんに一応で聞いて見たのだが、やっぱり無理なようだ。
 偶に下のランクの依頼をやりたいとか思うだろうし、良いって言ってもらえたら良いなぁーって言う様な軽い感じからだったので、そこまでのショックはない。

「と言いながら物凄く落ち込んでいる気がするのじゃが?」
「はっ……冗談やめろって……」
「そう言うんじゃったらその崩れ落ちた態勢を止めるのじゃ」

 そんな事を言いながら、床に手をついて崩れ落ちている俺をなんとか立たせようとするアル。

 ……実際結構ショックだったのだ。
 初っ端から最高ランクになりたいという思いもあった。
 しかし、その気持ちと同じくらい、下の依頼をこなしていってどんどんとランクを上げていく。
 という、成り上がり状態もしたかったのだ。

 最高ランクになったのであれば、せめても自主的に下の依頼からやっていこうと思ったのだが……。
 そう簡単にもいかないようだ。

「まぁ、良いじゃろ。最高ランクになったのじゃから、このランクじゃないと受けれない依頼でも受ければ良いのじゃ」
「そうなのですぅ〜! 気を取り戻してなの〜キラリお兄ちゃん!」
「おう! そうだな!」
「エルが言うとすんなり聞くんじゃな……」

 何を今更。
 愛する妹の頼みを聞くのが、兄の役目というものじゃないか!!

「皆様慣れて来られていますので、完全に無視されてますよ」
「ソラ。そう言うのは、あまり言わないでくれると有難いんだが……」
「あっ、そうですね。すみません、キラリ様」
「まぁ、分かってくれたなら良いんだけど」

 本当に分かっているのだろうか……という思いが若干胸にあるが、まあ良い。
 なんだかんだ、俺の言う事を守ってはくれるので……まぁ、本当に大事な事だけなんだけれども、心配はしなくて良いだろう。

 それよりも今はアレの準備に取り掛からないとな。

「かっこつけているところ悪いのだが、主人」
「悪いと思うなら喋りかけないでくれよ……で、何? ヘーニル」
「アレというのが紛らわし過ぎてよく分からなくてな。普通に初依頼クリアのぱーてぃーをするだけだろ。何故そんな言い方をするんだ?」
「いや、そんなのかっこいいからに決まってるだろ?」
「そこまで堂々と言われると、我としても何も言い返せないのだが」
「ふっ、褒めないでくれ」
「……突っ込まないからな!」

 そんな事を言って頬を膨らませながら、プンプンと言う感じでヘーニルは先に歩き始めてしまった。
 いやぁー、ヘーニルが今怒ってしまったのはこの前のが原因なんだろうか?

「そうなのだ。ご主人様は知らぬと思うが、あれでもプライドが高い奴じゃぞヘーニルは」
「……いや、お前に言われなくても知ってるよ」
「なに!? ……これは少しご主人様の見方を考えなければならないかもしれないのだ」
「お前は今まで俺をなんだと思ってたんだよ!?」
「……秘密なのだ」
「そんな風に言われると気になるわ!!」
「まぁ、後で慰めてやるのじゃぞご主人様。じゃあ儂も行くのだー!」

 わぁー! って言う感じの声をあげながら、ロタンも言ってしまった。
 ……まぁ、ロタンのいつ通りかもな。

 この前のヘーニルを物凄くからかった時から、俺が揶揄う様な言葉を言うと、直ぐに怒ってしまう。
 謝っても「分かったからもう良い主人」って言う風な対応されるし……。
 何かプレゼントでも今度するか。

「でしたら私も付いて行きますよ」
「まぁ、問題っていう問題もないから良いんだけれども」
「でしたら、私の分のプレゼントも買ってくださいね」
「狙いはそれだったのか……はぁー。分かったよ買ってやる」
「ありがとうございます。では、私はヘーニル様が好きそうな物を教えたりさせて頂きますね」
「おぉ! 無駄に心強い!」

 そんな会話をしながら、俺とソラも先を歩くアル達に付いて行った。

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