女神の加護を持つ死神

つうばく

いや、何もなかったからな!

「ふぁあ〜ぁ」

目は眠くて開けられていないが、一応覚醒した。
もとい、起きた。

まあまだ朝早いだろうし目を無理矢理開けなくて大丈夫だろう。

緊急で直ぐに目を開けないといけない、というほど特には何もないしな。
……いや、もしかすると緊急があるかもしれない。

俺は今、抱き枕にされているということについてだ。
目を開けなくてもそれが分かる。

身体全体に何かが当たっている感覚があるからだ。
もっと言えば、頭が一番感じる。

柔らかく、気持ちの良い何かが俺の頭を包み込んでいるのだ。
まあ大体これで何かは想像がつく。

ただ、これで違った場合も考えて、そいう時の想像もしておこう。



目を開いてみる。
もしかするとソラが持っているクッションを俺の頭に当てていたのかもしれない。

そいう場合は、ゆっくりと目を閉じる。
そして寝る。


よし。
これで後悔はしないだろう。

さあ、俺の目よ開け!
そして俺の頭を包み込んでいるものが何か教えたまえ!


俺の目の前には、何にも染まっていない白い肌で、良い感じで膨らんでいて、そして膨らみの先端部分が綺麗なピンク色に染まっている何かがあった。


そう……ソラのむ、胸に包まれていたのだぁああ!


いかんいかん。
ここは冷静にならなくては。

まずはどうするかだ。
まああったら触るよな。


「ぁあん……ぁん……」


少し小さく喘ぎ声をソラは出した。

(これ以上は止めとこうか)

流石にこれ以上は駄目だなと判断し寝ます。
ある程度したら、何故か裸のソラが起こしてくれるだろう。

あっ。俺は違うよ。
裸じゃないからね。

やることやってないから。
そもそもソラは俺とやりたいなど思っていないだろうしな。
だから、やっていないからな。

勘違いすんなよ!

(じゃあおやすみ)

そうして俺は二度寝を行ったのだった。













「……リさ…起き………さい」

「キラリ様、起きてください!」
「うわっ!? ああ、おはようソラ」
「おはようの時間じゃありませんよ。今は12時です」
「あっそうなの」

俺はもっと早く起きてたけどな。
二度寝をしたくなるという眠気には勝てない。
そもそも勝つ気が無いし。
そして俺は永遠に勝つことはないだろう。

「じゃあ皆様の元へいきましょうか」
「……いやちょっと待て」
「どうされましたか?」
「まずは服を着ようかソラ。何故に裸なのかは分からないけど、そんな姿を見られたくはないだろう」
「そうですね。私の裸を見ても良いのはキラリ様だけですから」

嬉しいけど、怖い。
その従者愛? っぽいものが重過ぎて怖いよ。

「あっそういえばキラリ様、最近は私の裸見ることに慣れてきましたよね」
「まあ毎日のように見てるからな」
「じゃあもうそろそろ過激な事を初めても……?」
「駄目だ。そもそもそんな気ないだろう」
「ありますが?」

目がガチだった。
……それでも俺は理性をなんとか保って丁寧に断るのだった。
理性がなければソッコーオッケーだけどな。






「では、着替えましたし皆様のところへいきましょうか」
「おう」
「皆様は今、船の甲板で釣りをされているそうなので」

釣りか。
面白そうだな。

まあ俺がやったら物凄くデカイのが釣れそう。
この船の調理師にもっていけば何か作ってくれそうだな。
それか、ソラにでも作ってもらおうかな。





ーーそんな事を考えている内にいつの間にか甲板に着いていました。

そして、皆様俺の方を向いて何故か睨んでいます。

どいうことなのか分からず、ソラに助けを求めようと後ろを振り向いた。
だがソラは後ろで頬に手を当てて、ふふふ、と笑っているだけ。

絶対絶命大ピンチ!

俺の命はここで終わるのか!?

「キラリよ」
「……な、なんだ?」
「どうしてここまで遅くなったのじゃ?」

言い難い。
どう説明すればいいものか。

「えっとな。寝てたんだよ」
「何処で? 誰とじゃ?」

そう言いながら、アルはソラを睨んだ。
えっ。聞いているのって俺にだよね。

何故にソラを睨む?

「ベットで……ソラとだ」
「ソラの服装は?」

うっ。これを言ってしまえば俺は死ぬ気がする。
絶対に言うわけにはいかない。

「もちろん、裸ですが?」
「……そうじゃったかソラ……じゃあ」
「…………じゃあ?」

アルが顔をさげ、上げた。
その顔は物凄くにこっとした笑顔だった。

だが俺はその姿に恐怖というものを感じた。
それも全身全霊で感じた。

「……死ぬのじゃあ!」
「うぎゃぁあ!?」






……俺はアルに追いかけ回されました。
それも最上級の魔法を放ちながら。

ここで死ぬんだな。
そう感じました。

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