女神の加護を持つ死神

つうばく

説明回 後編

「さてさて、次は……」

 次は、そうだなぁーー

「なんで、ステータス値が消えたんだ?」

 これ、ある意味一番目立ってた。
 だって、前まで数字が書いてあった場所が、無くなって表示無しになってるし。

「それはじゃな、分からん」
「我もだな」

『なら、私が説明しましょう。ステータス値はレベル同様、データ上の表示です。キラリ様のステータス値が上がり過ぎ表示不可となり、表示無しとなった様です』

 わかりやすい。
 なんで、こんなに話し方が上手いんだ。

 ある意味のコミュ障、の俺にとっては尊敬するべき所だな。
 異世界に来たし、出来れば、一年以内には、コミュ障を解消したい。

 てか、病気が治らなかったらもう直ぐ死ぬんだっけ。
 完全に忘れてた。
 けど、忘れるぐらい、今日までが楽しかったと言えるだろう。
 これなら、大切な記憶となっている筈。

 まぁ、そんな事、俺が分かるわけじゃねーし。
 心配などしなくて良いだろう。

 さあ、質問♪ 質問♪

「最後になるんだけどさ〜、纏造クライシス第一段階って何?」

 一番目立ってたのは、ステータス値だろう。
 しかし、一番気になったのは、これだろう。

 纏造クライシスは、ヘーニルからの説明で意味が分かっている。
 しかし、何? 第一段階って。

 第一、って事は、第二とか第三もあるのかな?
 それならば早急にゲットした。

 まぁ、それが分かる為には、こいつらの説明を聞かないとな。

『これも、私がいった方が良いでしょう』

「そうじゃな。少なくとも私は知らないのじゃ」
「すみまないな。我もだ」
「いや、お前らが分かるとはある意味思って無かったから別に良いぞ」

 俺の黒い纏造クライシスの事を知らない時点で、これについては二人とも分かってないと始めから分かってた。
 なので、全く気にもしていない。

「なんじゃか、無性に腹が立って来るんじゃが」
「アルに同じくだ」

 この二人、主従関係が無くなったからって、めっちゃ仲良いな。
 もう、主人ではなく、アル、ってよんでるし。

 まぁ、主人が俺に変わったせいなんだけど。
 いや、せいと言う程俺の責任ではないか。
 だって、アルが勝手にやったんだし。

 それよりも、説明お願い、ソラ。

『はい。纏造クライシス第一段階というのは、天之尾羽張神様やヘーニル様の纏造の姿です。そして、キラリ様の予想通り、これには第二段階、第三段階とあります。どんな姿になるかまでは、分かりませんが、これは進化する毎に強力になる様です。進化方法は……すみません。不明です』

「いや、そこまで分かってるんだったら良いよ。ありがとな」

『はい。ありがとうございます』

「むぅ〜……なんか負けた気がするのじゃ」
「そうだな。物凄く悔しいのだ」

 いや、もう色々と負けてるだろ。
 多分、圧倒的にソラが一番賢いぞ。

「……そいうことじゃないんじゃが」
「絶対わざとやってるだろう。この主人あるじの鈍感!」

 何この二人、急に。
 なぁ、ソラ。

『失礼かも知れませんが、ヘーニル様の言う通りです』

「ーーグヘェッ! な、なんだと。ソラまで、そんな事を……」
「自業自得なのじゃ」
「そうだ。この鈍感主人ヤロがー!」

 こいつらぁー!
 言わせておけば……調子に乗りやがって。

 まぁ、そんな事、一ミリも思ってないんだけど。
 今、俺が思っている事と言えば、俺がかしこまった言い方じゃ無くても良いとヘーニルに言ったとしてでも、あんな言い方を俺に向かって言った事だな。

 ……流石に、あれは無いだろう。
 俺でも傷つくぞ。

「それは……そもそも、主人が悪いのだろうがー! なんで謝ならければいけない雰囲気を醸し出してるのだー! この鈍感め!」

 なんで、俺が怒られるのだろ、マジで。
 なんかしたか?

「うわー、マジでの方じゃったのか……」
「それも、それでないな」

 なんで俺がジト目で二人に見られなければならないんだよ、マジで。
 なんか俺が悪い事したんだったら言ってくれよ〜。

『……』

「……」
「……」
「反応して!? 三人とも、俺の心読めるでしょ!」

 悲しくなってくるよ、これ。
 せめて俺が何をしたのか……だけでも。

「今から、主人が何をしたか自覚するまでは、口を聞かないからな」
「なら、私も!」

『私も、キラリ様には悪いですが……』

 えっ〜〜〜!!
 それだけは反則だよ。

 俺、前までは一人好きだったけど、最近、複数の人でいる事の楽しさが分かってきたのに……。
 これから地獄という名の時間が始まるというのかぁー!

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