暗殺者である俺のステータスが勇者よりも明らかに強いのだが
第119話 〜祭り6〜
京介からの忠告通り、俺はアメリアから目を離さなかった。
もちろん完全に目を離さないのは無理だから、奥の手を使ったが。
京介の口からなぜグラムの名が出てきたのか、このコンテストにどういう風に関わっているのか、気になることは山積みだが、とりあえずは祭りを楽しもうと思う。
『エントリーナンバー291番!アメリア王女!!』
関西弁女子ともう一人のスタイルがいい女子の次にアメリアの名が呼ばれる。
会場内がざわりと揺れた。
どうやらアメリアの知名度は思ったより高いらしい。
姿を見せる前から期待感が高まっているのを感じる。
美しい新緑のドレスを纏ったアメリアが姿を現した途端、全員の視線がアメリアに釘付けになった。
純白の髪をたなびかせ、緋色の瞳はスポットライトの光を反射してキラキラと光っている。
エルフの特徴である尖った耳には控えめなアクセサリーがつけられていて、アメリアの魅力を際立たせていた。
ポカンと口を開けて間抜けな顔でアメリアを見上げる男が続出する中、俺もアメリアから視線が離せない。
「……綺麗だ」
そう呟いてしまったのは仕方がないと思う。
常日頃から他人とは一線を画する美貌を誇っているアメリアだが、こうしてドレスに身を包み、飾られた姿を見ると、いつもの姿でさえ霞んで見えるのだ。
そういえば、飛び入り参加の人のために衣装が貸し出されていると聞いたな。
ステージの上のアメリアと俺の視線が交差し、絡まる。
呆然と見つめる俺にアメリアは妖艶に微笑み、パチンとウィンクをした。
「「「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!?」」」
男たちの口から溢れ出る絶叫が大地を揺らす。
ステージの端まで歩き、くるりと向きを変えて去っていくアメリアの姿が見えなくなっても歓声はやまなかった。
「……ははっ……女が化けるってのは本当だったんだな」
額に手を当てて乾いた笑みを漏らす。
つい数時間前まで大食い選手のような食べっぷりを見せ、周囲を引かせていたあのアメリアに一本取られるとは。
ますます惚れ直した。
周囲を見回すと、女たちは興奮気味にアメリアの美しさを語り、男たちはそこにまだアメリアがいるかのようにぼんやりとステージ上を見つめていた。
今のところ怪しい気配はない。
『各会場のボルテージが最高潮になってまいりました!!続いてはエントリーナンバー292番!ラスティ!!』
余韻が冷めやらぬままステージを見上げると、フードを被ったままのラティスネイルが、自信あり気な笑みで堂々とステージの上を歩く。
アメリアとは違い、フードで見えない顔に期待しているのか、会場がシンと静まり返る。
いつフードを脱ぐのかと視線が集まり、期待感がどんどん高まっていった。
魔王の娘がどんな顔をしているのか気になり、俺も視線をステージ上に向ける。
ステージの中央でラティスネイルはゆっくりとフードに手をかけた。
誰かがゴクリと喉を鳴らしたのが聞こえるほど、静まり返っている。
パサリと、音を立ててフードが落ちた。
「……は」
「「おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」
アメジストのような髪に瞳、そして軍服のような服の上からでも分かる抜群のプロポーション。
下はスカートで、ムッチリとした素足が惜しげも無く晒されていた。
顔はアメリアにやや劣るものの、整った顔立ちをしているし、寸前まで隠していた効果か、フードの色が地味だったせいか、突然現れた緩く巻かれた紫色の髪は今までの参加者の中で一番綺麗に見える。
アメリアが完成された彫刻なら、ラティスネイルは人間らしいムッチリとした体つきをしていた。
どちらが男ウケがいいかと言われれば、もちろんラティスネイルの方だろう。
ということは、言い方は悪いが、顔がいいアメリアと体がいいラティスネイルとの一騎打ちのようなかんじになるのだろうか。
今のところ二人に匹敵するような女はいなかったし、おそらくこれからも現れないと思う。
つか、そんなホイホイ絶世の美女が現れたら周りの反応が大変だしな。
『……それでは、今年度の美男美女コンテストの集計に入らせていただきます!各会場に設置されておりますパネルに魔力を流しながら、投票したい方のエントリーナンバーを指でなぞるだけ!……』
どこからか聞こえてくる司会の声を耳に入れながら、近くにあったパネルを操作した。
もちろん、入れるのはアメリアだ。
投票完了の文字がパネルに表示されるのを見届けて、俺はアメリアたちの元に向かった。
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ノベルバユーザー131965
体がいい笑