TSカリスマライフ! ―カリスマスキルを貰ったので、新しい私は好きに生きることにする。―
千佳ちゃんと、ペトラさんの教育。
――とあるメイドをしているお嬢様曰く。
「ぺぺぺ、ペトラの事ですの? そ、そうですわね、わたくしも幼い頃からペトラに教わってきましたが、とってもきびィッ!? やややや、優しい方ですわぁぁ!!」
と言って走り去ってしまいました。
――とある人妻なお嬢様曰く。
「ペトラの事なのだわ? そうねぇ、同い年の癖に私が中学生の頃からこの屋敷でメイドをしていたのだわ。でも私は結婚していてペトラはまだ独しぃッ!? な、なんでも無いのだわ!」
と言って早歩きで去ろうとし、壁にぶつかって悶絶していました。
――とある男勝りなお嬢様曰く。
「あぁ、ペトラの事か。俺とシャロルは幼い頃この屋敷で一年程住んだ事があるんだけどよ、その時に教育係をしていたのがペトラなんだ。え? なんであんなに怯えてたって? そりゃだってペトラはッ!? す、すまん用事を思い出した。じゃあまたな、千佳!」
と言って二階の窓から飛び出して行きました。
ビックリして窓から見下ろしましたが、何事も無かったように外へと駆け出していました。
――とある怖いのが苦手なお嬢様曰く。
「ペトラ怖いペトラ怖いペトラこわいペトラこわい……」
そう言いながら膝を抱えて蹲ってしまいました。
大丈夫かな、とこれまでペトラさんについて聞き込んでいた私も慌てて近寄ります。
「だ、大丈夫? シャロル」
「こわいこわいこわいこわいのねん」
「だ、誰かー!? シャロルが!」
「お呼びしましたか?」
「こわいこわいこわ、のねんぃッ!?」
至る所にメイドさんが居るので大声を上げれば誰かが来てくれます。
そして現れたのは、例のペトラさんでした。
「あらシャロルお嬢様。ひぃッ、とは随分なご挨拶ですね?」
「ぺ、ペトラ、こわいのねん……」
「怖いとは失礼ですね?」
「ひぃっ、なのねん!?」
こんな時でも語尾を忘れない、シャロルちゃん凄いよ……!
「シャロルお嬢様にはまた教育が必要みたいですね。どうですか千佳様も?」
「いや、そんな一緒にトイレ行く? みたいなノリで聞かれても」
ペトラさんは身長が高い時点で迫力があるのに、皆を怯えさせる謎の笑顔で迫ってきます。
い、一体どんな教育なんだ……?
「ち、千佳は逃げるのねん! ここは私に任せて!」
「シャロルちゃんが死亡フラグを!?」
「さぁ千佳様、行きましょう」
「ペトラさんがメイドとは思えない程グイグイくる!?」
そうしてシャロルの抵抗空しく、私もペトラさんの教育に巻き込まれる事になりました。
やって来たのはお屋敷の三階にある学習室と書かれたお部屋。
「それでは、始めさせていただきますね!」
そしてこれまで以上に良い笑顔をしたペトラさん。
教室のようになっている部屋で教壇の方を向いて私とキャロルは座っています。
……キャロル、震えが尋常じゃないけど大丈夫?
「では今日は淑女としてのマナーをお教えしますね。……千佳様、いえ千佳お嬢様」
「はい?」
何も始まっていないのに何故か名前を呼ばれました。
「名前を呼ばれたら返事して起立なさい。今回は初めてですから許しますが、次からは罰を受けてもらいますよ」
「はいッ!?」
「では気を取り直して、千佳お嬢様」
「は、はい!」
急に厳しくなったペトラさんに、思わず私は本能で起立します。
「よろしい。では千佳お嬢様にお聞きします。何故貴女は淑女としてマナーを守らねばならないのですか?」
「え?」
「質問は二度言いません。早くお答えを」
「え、えーっと、女性としての基本だから?」
「不正解です。罰を受けていただきます」
「理不尽っ!?」
ペトラさんはメイド服のポケットから猫じゃらしのような物とデジタル一眼レフカメラを取り出しました。
猫じゃらしはまだ分かるけど、その大きなカメラがポケットから出てくるのはおかしくない!?
カメラが入るサイズじゃないよね!?
「それでは参ります」
「え、ちょ、何を、ひっ」
ペトラさんは猫じゃらしを私の鼻に持っていき、ユサユサと揺らしました。
ムズムズとした感触に耐え切れず、私は盛大に。
「くっしゅんっ!!」
「はい、戴きました」
私のくしゃみに合わせて聞こえたシャッター音の後、ガッツポーズをしながら再び教壇に戻っていくペトラさんに私は呆然としました。
ど、どういう事?
「……千佳たんも、ペトラの餌食になっちゃったのねん。辱めに遭うのねん! もうやなのねん!」
「ちょ、シャロルちゃん、どういう事なの?」
「ペトラは……ペトラは!」
私が罰らしきものを受けている間は俯いていたシャロルちゃんがバッと顔を上げ、私に向かってこう言い放ちました。
「罰と称して変顔を写真に収めてくるのねん!!」
え。
「えぇ……」
なんかもっと怖いものかと思ってたけど、そうでもない?
と思っていた私に、シャロルちゃんは絶望した表情で告げます。
「そしてその写真は屋敷の廊下に張り出されるのねん!」
「それは嫌だ!?」
前言撤回っ! やっぱり怖い罰だった!
そんなのされちゃお嫁に行けなくなるよ!
……いや行かないけど。
教壇で目尻を下げ、カメラの画面をウットリと眺めるペトラさん。
私は背中に冷たい汗が流れていくのが分かります。
「ふふっ、ふふふ、千佳お嬢様のお顔……うふ」
「ペトラさんやめて!」
「申し訳ございません。もう屋敷のサーバーにアップロードしました」
「屋敷中に回っちゃう!?」
その日から私は、親戚中に思い出し笑いをされるようになりました。
皆笑わないように我慢してるけど、全然我慢出来てないよ……。
私の事を笑わないのは被害者の四人だけ。
天使のメグちゃんでさえ、私の前でお腹を抱えて笑っていたもの。
ぜ、絶対ファンクラブには流れないようにお願いしないと!
カリスマ溢れる私のイメージが崩れちゃうよ!
「あぁ千佳お嬢様……いいお顔です。快感……」
こうしてその日から私は、ペトラさんに怯える生活を送る事になるのでした。
同じ被害を受けた四人の仲間と共に。
「ぺぺぺ、ペトラの事ですの? そ、そうですわね、わたくしも幼い頃からペトラに教わってきましたが、とってもきびィッ!? やややや、優しい方ですわぁぁ!!」
と言って走り去ってしまいました。
――とある人妻なお嬢様曰く。
「ペトラの事なのだわ? そうねぇ、同い年の癖に私が中学生の頃からこの屋敷でメイドをしていたのだわ。でも私は結婚していてペトラはまだ独しぃッ!? な、なんでも無いのだわ!」
と言って早歩きで去ろうとし、壁にぶつかって悶絶していました。
――とある男勝りなお嬢様曰く。
「あぁ、ペトラの事か。俺とシャロルは幼い頃この屋敷で一年程住んだ事があるんだけどよ、その時に教育係をしていたのがペトラなんだ。え? なんであんなに怯えてたって? そりゃだってペトラはッ!? す、すまん用事を思い出した。じゃあまたな、千佳!」
と言って二階の窓から飛び出して行きました。
ビックリして窓から見下ろしましたが、何事も無かったように外へと駆け出していました。
――とある怖いのが苦手なお嬢様曰く。
「ペトラ怖いペトラ怖いペトラこわいペトラこわい……」
そう言いながら膝を抱えて蹲ってしまいました。
大丈夫かな、とこれまでペトラさんについて聞き込んでいた私も慌てて近寄ります。
「だ、大丈夫? シャロル」
「こわいこわいこわいこわいのねん」
「だ、誰かー!? シャロルが!」
「お呼びしましたか?」
「こわいこわいこわ、のねんぃッ!?」
至る所にメイドさんが居るので大声を上げれば誰かが来てくれます。
そして現れたのは、例のペトラさんでした。
「あらシャロルお嬢様。ひぃッ、とは随分なご挨拶ですね?」
「ぺ、ペトラ、こわいのねん……」
「怖いとは失礼ですね?」
「ひぃっ、なのねん!?」
こんな時でも語尾を忘れない、シャロルちゃん凄いよ……!
「シャロルお嬢様にはまた教育が必要みたいですね。どうですか千佳様も?」
「いや、そんな一緒にトイレ行く? みたいなノリで聞かれても」
ペトラさんは身長が高い時点で迫力があるのに、皆を怯えさせる謎の笑顔で迫ってきます。
い、一体どんな教育なんだ……?
「ち、千佳は逃げるのねん! ここは私に任せて!」
「シャロルちゃんが死亡フラグを!?」
「さぁ千佳様、行きましょう」
「ペトラさんがメイドとは思えない程グイグイくる!?」
そうしてシャロルの抵抗空しく、私もペトラさんの教育に巻き込まれる事になりました。
やって来たのはお屋敷の三階にある学習室と書かれたお部屋。
「それでは、始めさせていただきますね!」
そしてこれまで以上に良い笑顔をしたペトラさん。
教室のようになっている部屋で教壇の方を向いて私とキャロルは座っています。
……キャロル、震えが尋常じゃないけど大丈夫?
「では今日は淑女としてのマナーをお教えしますね。……千佳様、いえ千佳お嬢様」
「はい?」
何も始まっていないのに何故か名前を呼ばれました。
「名前を呼ばれたら返事して起立なさい。今回は初めてですから許しますが、次からは罰を受けてもらいますよ」
「はいッ!?」
「では気を取り直して、千佳お嬢様」
「は、はい!」
急に厳しくなったペトラさんに、思わず私は本能で起立します。
「よろしい。では千佳お嬢様にお聞きします。何故貴女は淑女としてマナーを守らねばならないのですか?」
「え?」
「質問は二度言いません。早くお答えを」
「え、えーっと、女性としての基本だから?」
「不正解です。罰を受けていただきます」
「理不尽っ!?」
ペトラさんはメイド服のポケットから猫じゃらしのような物とデジタル一眼レフカメラを取り出しました。
猫じゃらしはまだ分かるけど、その大きなカメラがポケットから出てくるのはおかしくない!?
カメラが入るサイズじゃないよね!?
「それでは参ります」
「え、ちょ、何を、ひっ」
ペトラさんは猫じゃらしを私の鼻に持っていき、ユサユサと揺らしました。
ムズムズとした感触に耐え切れず、私は盛大に。
「くっしゅんっ!!」
「はい、戴きました」
私のくしゃみに合わせて聞こえたシャッター音の後、ガッツポーズをしながら再び教壇に戻っていくペトラさんに私は呆然としました。
ど、どういう事?
「……千佳たんも、ペトラの餌食になっちゃったのねん。辱めに遭うのねん! もうやなのねん!」
「ちょ、シャロルちゃん、どういう事なの?」
「ペトラは……ペトラは!」
私が罰らしきものを受けている間は俯いていたシャロルちゃんがバッと顔を上げ、私に向かってこう言い放ちました。
「罰と称して変顔を写真に収めてくるのねん!!」
え。
「えぇ……」
なんかもっと怖いものかと思ってたけど、そうでもない?
と思っていた私に、シャロルちゃんは絶望した表情で告げます。
「そしてその写真は屋敷の廊下に張り出されるのねん!」
「それは嫌だ!?」
前言撤回っ! やっぱり怖い罰だった!
そんなのされちゃお嫁に行けなくなるよ!
……いや行かないけど。
教壇で目尻を下げ、カメラの画面をウットリと眺めるペトラさん。
私は背中に冷たい汗が流れていくのが分かります。
「ふふっ、ふふふ、千佳お嬢様のお顔……うふ」
「ペトラさんやめて!」
「申し訳ございません。もう屋敷のサーバーにアップロードしました」
「屋敷中に回っちゃう!?」
その日から私は、親戚中に思い出し笑いをされるようになりました。
皆笑わないように我慢してるけど、全然我慢出来てないよ……。
私の事を笑わないのは被害者の四人だけ。
天使のメグちゃんでさえ、私の前でお腹を抱えて笑っていたもの。
ぜ、絶対ファンクラブには流れないようにお願いしないと!
カリスマ溢れる私のイメージが崩れちゃうよ!
「あぁ千佳お嬢様……いいお顔です。快感……」
こうしてその日から私は、ペトラさんに怯える生活を送る事になるのでした。
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