TSカリスマライフ! ―カリスマスキルを貰ったので、新しい私は好きに生きることにする。―
夏の終わり、打ち上げ花火
ヨーヨー釣りを終えた私たちは、型抜きに嵌っている大人たちをどうにか屋台から引き剥がし、輪投げや射的などの屋台を回りました。
輪投げで手に入れた光る魔法のステッキを花ちゃんに渡し、メグちゃんには射的で取ったキャラメルをあげました。
ふっふっふ、どんな遊びも私にやらせればお茶の子さいさいよ!
「お父さん、そろそろ時間だよね?」
「ん? そうだな。そろそろ移動しようか」
「はーい。皆行くよー!」
皆で固まって動いたお陰で、一人も逸れることなく河川敷から脱出します。
そして祭りに向かう人々の流れに反して、商店街へと移動開始です!
「お~、商店街にも色々屋台出てんな~」
「商店街の人だけじゃないみたいだね、見知らない人もいるし」
「千佳ちゃんは商店街の人全員覚えてるの?」
沢山遊んだのに、まだ見ぬ屋台に目をキラキラと光らせる湖月ちゃんの手を持って、走り出したり止まらないようにしておきます。
その傍ら愛ちゃんが質問してきました。
「うん。色々お世話になってるし、いつも声を掛けられるからね」
「へー。すごいんだねー、千佳ちゃんはー」
「リンファ先輩も結構商店街の人に人気ですよ?」
「わー、嬉しいなー!」
リンファ先輩も街に馴染んできているので、私が商店街でリンファ先輩のお話を広げた甲斐があるってもんです。
リンファ先輩の母性を自慢する、プロパガンダですぞ!
「……で、何処に行ってるの?」
「莉里ちゃん、話聞いとこうね。昨日商店街の皆さんが集まるビルの屋上にお邪魔するって言ったよね」
「……聞いた気もする」
「姉さん、私は今朝も言いましたよ」
お祭り気分に浮かれている莉里ちゃんは耳がシースルーになっていたようで、大好きな桃ちゃんの言葉すらも聞こえていなかったみたい。
まぁ、屋台回っている間も今も滅茶苦茶楽しそうに笑っているからいいか。
言葉数もほんの気持ちばかり多いような気もしなくもないし。
「よし、それじゃあ目的地のビルへレッツゴーだ!」
「ゴー!」
「ごーごー!」
私のテンションに真っ先についてきてくれるのは、メグちゃんと花ちゃん。
まぁ、ゴーとは言っても現在進行形で向かっているし、逸れたら駄目だから歩いて行くんだけどね。
「いらっしゃい千佳ちゃんたち!」
「おーう、やっと来たかー!」
「飲んだくればっかりだけど、ゆっくりしていってね!」
商店街にある四階建てのビルの屋上へ着くと、そこには既に出来上がっている商店街の皆さんがいた。
まだ打ち上げ花火の時間まで少しあるので、子供達全員で挨拶周りをする。
飲みすぎな人には注意も忘れずに!
二メートルくらいある金網フェンスに囲まれた屋上の片隅に、めぐるさんを発見したのでそこで花火を見ることに。
「めぐるさんこんばんはー」
「おっ、千佳ちゃんじゃん。それに皆もこんばんはじゃん」
「あれぇ! 千佳ちゃんだー! わぁ、千佳ちゃん好きー!」
そう言ってめぐるさんの影から酒瓶を持ったまま私に抱きついてきたのは、我らが担任柚梨ちゃんです。
あれ、なんか私が知ってる柚梨ちゃんと違う……。
「ゆ、柚梨ちゃん!?」
「あー、ごめんじゃん。もう柚梨出来上がっちゃってるから、適当に相手しといてじゃん」
「丸投げじゃん!?」
思わずめぐるさんの言葉が移りながらも、私の身体を、こらっ!! 胸を揉むな!!
「えへへぇ、千佳ちゃんがいっぱいいるぅ!」
「酔いすぎだよ柚梨ちゃん! ちょっ、誰か水貰ってきて!」
「わ、私が行ってくるよ!」
愛ちゃんに水を持ってきてもらい、柚梨ちゃんに飲ませていると。
「くー、くー。むにゃむにゃ、ちかちゃー……」
「まさか柚梨ちゃんがこんなに酔ってる所を見るとは……」
「まさかのギャップやな」
「ギャップ萌えでもあるけど、私の身体から離れないのと寝息がお酒臭いからマイナスだけどね」
皆で私に固く抱きついた柚梨ちゃんを離そうとしていると、夜空から赤と黄色が織り交ざった光に照らされます。
直ぐに皆で河川敷の空を見上げると、夜空に浮かぶ花と共に遅れてやってきた轟音が鼓膜を揺らしていく。
「今年も綺麗だね」
「せやな」
柚梨ちゃんのことなんてなんのその、私たちは何色にも描かれていく打ち上げ花火に魅入ってしまいます。
細い音と共に空へと浮かび上がり、花びらを開くように広がっていく火を見て、ただ息を漏らすだけ。
「……素晴らしい」
「姉さん、専門家みたいですね」
「お姉ちゃん、すごいね!」
「すごいすごーい!」
「やっぱ夏はこれやなぁ」
「今年も皆で見れてよかったね」
「初めて見たけどー、すごいよー!」
だけどその花火も短い時間だけ。
月明かりと街明かりだけの夜空に戻って、何となく寂しい気持ちになってしまいます。
「凄かったね、皆」
「このビルの屋上はやっぱりベストじゃん」
「すー……むにゃむにゃ……」
「柚梨ちゃんは見れんかったな」
「まぁ寝る方が悪いじゃん。また来年にリベンジしてもらうじゃん」
「うん。来年も皆で見ようね」
皆が私の言葉に呼応する中、屋上の中央にいるおじさんたち、に混ざっているお父さんたちが盛り上がりを見せます。
どうやら腕相撲で力比べを行うみたい。
「腕相撲だって! 見に行こうか!」
「そうだね、お姉ちゃん!」
「行こうねぇね!」
「よっしゃうちも混ざるで~!」
「いや、湖月ちゃんは止めておいた方が」
「……私こそナンバーワン」
「姉さん、このメンバーの中でも一番弱いですよ」
「楽しそー、行こう行こうー」
花火が終わっても、まだ祭りは終わっていません。
最後の最後まで皆で騒いで、楽しく終わろう。
「よし、それじゃあ私が優勝しちゃうぞー!」
「お姉ちゃん頑張って!」
こうして私たちの夏休みは今年も、沢山の思い出と共に終わりを迎えるのでした。
輪投げで手に入れた光る魔法のステッキを花ちゃんに渡し、メグちゃんには射的で取ったキャラメルをあげました。
ふっふっふ、どんな遊びも私にやらせればお茶の子さいさいよ!
「お父さん、そろそろ時間だよね?」
「ん? そうだな。そろそろ移動しようか」
「はーい。皆行くよー!」
皆で固まって動いたお陰で、一人も逸れることなく河川敷から脱出します。
そして祭りに向かう人々の流れに反して、商店街へと移動開始です!
「お~、商店街にも色々屋台出てんな~」
「商店街の人だけじゃないみたいだね、見知らない人もいるし」
「千佳ちゃんは商店街の人全員覚えてるの?」
沢山遊んだのに、まだ見ぬ屋台に目をキラキラと光らせる湖月ちゃんの手を持って、走り出したり止まらないようにしておきます。
その傍ら愛ちゃんが質問してきました。
「うん。色々お世話になってるし、いつも声を掛けられるからね」
「へー。すごいんだねー、千佳ちゃんはー」
「リンファ先輩も結構商店街の人に人気ですよ?」
「わー、嬉しいなー!」
リンファ先輩も街に馴染んできているので、私が商店街でリンファ先輩のお話を広げた甲斐があるってもんです。
リンファ先輩の母性を自慢する、プロパガンダですぞ!
「……で、何処に行ってるの?」
「莉里ちゃん、話聞いとこうね。昨日商店街の皆さんが集まるビルの屋上にお邪魔するって言ったよね」
「……聞いた気もする」
「姉さん、私は今朝も言いましたよ」
お祭り気分に浮かれている莉里ちゃんは耳がシースルーになっていたようで、大好きな桃ちゃんの言葉すらも聞こえていなかったみたい。
まぁ、屋台回っている間も今も滅茶苦茶楽しそうに笑っているからいいか。
言葉数もほんの気持ちばかり多いような気もしなくもないし。
「よし、それじゃあ目的地のビルへレッツゴーだ!」
「ゴー!」
「ごーごー!」
私のテンションに真っ先についてきてくれるのは、メグちゃんと花ちゃん。
まぁ、ゴーとは言っても現在進行形で向かっているし、逸れたら駄目だから歩いて行くんだけどね。
「いらっしゃい千佳ちゃんたち!」
「おーう、やっと来たかー!」
「飲んだくればっかりだけど、ゆっくりしていってね!」
商店街にある四階建てのビルの屋上へ着くと、そこには既に出来上がっている商店街の皆さんがいた。
まだ打ち上げ花火の時間まで少しあるので、子供達全員で挨拶周りをする。
飲みすぎな人には注意も忘れずに!
二メートルくらいある金網フェンスに囲まれた屋上の片隅に、めぐるさんを発見したのでそこで花火を見ることに。
「めぐるさんこんばんはー」
「おっ、千佳ちゃんじゃん。それに皆もこんばんはじゃん」
「あれぇ! 千佳ちゃんだー! わぁ、千佳ちゃん好きー!」
そう言ってめぐるさんの影から酒瓶を持ったまま私に抱きついてきたのは、我らが担任柚梨ちゃんです。
あれ、なんか私が知ってる柚梨ちゃんと違う……。
「ゆ、柚梨ちゃん!?」
「あー、ごめんじゃん。もう柚梨出来上がっちゃってるから、適当に相手しといてじゃん」
「丸投げじゃん!?」
思わずめぐるさんの言葉が移りながらも、私の身体を、こらっ!! 胸を揉むな!!
「えへへぇ、千佳ちゃんがいっぱいいるぅ!」
「酔いすぎだよ柚梨ちゃん! ちょっ、誰か水貰ってきて!」
「わ、私が行ってくるよ!」
愛ちゃんに水を持ってきてもらい、柚梨ちゃんに飲ませていると。
「くー、くー。むにゃむにゃ、ちかちゃー……」
「まさか柚梨ちゃんがこんなに酔ってる所を見るとは……」
「まさかのギャップやな」
「ギャップ萌えでもあるけど、私の身体から離れないのと寝息がお酒臭いからマイナスだけどね」
皆で私に固く抱きついた柚梨ちゃんを離そうとしていると、夜空から赤と黄色が織り交ざった光に照らされます。
直ぐに皆で河川敷の空を見上げると、夜空に浮かぶ花と共に遅れてやってきた轟音が鼓膜を揺らしていく。
「今年も綺麗だね」
「せやな」
柚梨ちゃんのことなんてなんのその、私たちは何色にも描かれていく打ち上げ花火に魅入ってしまいます。
細い音と共に空へと浮かび上がり、花びらを開くように広がっていく火を見て、ただ息を漏らすだけ。
「……素晴らしい」
「姉さん、専門家みたいですね」
「お姉ちゃん、すごいね!」
「すごいすごーい!」
「やっぱ夏はこれやなぁ」
「今年も皆で見れてよかったね」
「初めて見たけどー、すごいよー!」
だけどその花火も短い時間だけ。
月明かりと街明かりだけの夜空に戻って、何となく寂しい気持ちになってしまいます。
「凄かったね、皆」
「このビルの屋上はやっぱりベストじゃん」
「すー……むにゃむにゃ……」
「柚梨ちゃんは見れんかったな」
「まぁ寝る方が悪いじゃん。また来年にリベンジしてもらうじゃん」
「うん。来年も皆で見ようね」
皆が私の言葉に呼応する中、屋上の中央にいるおじさんたち、に混ざっているお父さんたちが盛り上がりを見せます。
どうやら腕相撲で力比べを行うみたい。
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「行こうねぇね!」
「よっしゃうちも混ざるで~!」
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