TSカリスマライフ! ―カリスマスキルを貰ったので、新しい私は好きに生きることにする。―
おうたを歌おう
「お姉ちゃん! 歌うの楽しいね!」
ある学校の帰り道。
今日は愛ちゃん、湖月ちゃんだけでなく、授業の終わり時間が同じだったメグちゃんと花ちゃん、そして桃ちゃんと一緒に帰っています。
皆で話をしていると、今日の授業に音楽があったらしいメグちゃんが話題を切り出しました。
「歌かぁ、私も好きだよ」
「ねぇね歌上手いもんね!」
「へぇそうなんですか千佳先輩。予想外です」
「予想外なの桃ちゃん!?」
「千佳ちゃんもやけど、愛ちゃんも上手いんやで~?」
「そ、そんなのことないよ!」
「千佳先輩と愛先輩の歌、聴いてみたいです」
「よっしゃ! やったら今から皆で歌って帰ろ!」
「おー!」
「おー!」
「近所迷惑になるからやめなさい、私の家の中なら大丈夫だと思うから」
湖月ちゃんに同意の声を上げるメグちゃんと花ちゃんに注意しながら考えます。
両隣はお爺さんお婆さんが暮らしている家がありますが、ちょっとくらい騒がしいのは微笑ましく見守ってくれているいい人たちです。
寧ろ私たちの声を聞いて態々お菓子を持ってきてくれたりするので、家で歌を歌っても大丈夫なはず。
「せやったら急いで帰るで~!」
「おー!」
私の提案により走り出した湖月ちゃん。
そして私の左手に繋いで手を離して、湖月ちゃんの後ろを走り出す花ちゃん。
「こらこら。こけたら危ないよ、花ちゃんが真似しちゃうじゃない」
「ご、ごめんて。ほら花ちゃん、うちと一緒に歩こ?」
「うん!」
手を繋いで歩く湖月ちゃんと花ちゃん。
ちょっとだけ妹が取られた気分です。
そう思っていると、寂しくなっていたはずの左手に少し冷たくて柔らかい感触が。
「ち、千佳先輩が、さ、寂しそうでしたから」
「も、桃ちゃん!」
「ちょっ!? だ、抱きつかないでください!」
「お姉ちゃんがやるなら私も!」
「恵まで!? はな、離れてくださいっ!」
「あはは、頑張って桃ちゃん」
「愛先輩! 見てないで助けてください!」
「お、なんやなんや楽しそうやんか! うちも混ぜてー!」
「花もーっ!」
「わっ! やめっ! って千佳先輩何処触って、ひゃんっ!」
いいえこれは事故なんです。
お尻を撫でたのは事故なんです。
スカート越しでも柔らかかったです。
ぐへへ。
「いたた……」
「大丈夫、お姉ちゃん?」
「ふんっ」
手痛い拳骨を桃ちゃんから戴き無事に、いや一名無事ではないけれど家へと帰ってきました。
たんこぶになってないかな?
「それで、何を歌うの?」
「花は今日音楽でやったやつがいい!」
「ほぉ~何をやったんや?」
「今日はね」
「どんぐりころころですね」
「ああ!! 私が言いたかったのにぃ!」
「す、すみません恵」
「まぁいいよ!」
「この変わり身の早さは、千佳ちゃんの妹って感じだね」
「せやな~」
「よしっ、どんぐりころころ……」
私が苦痛に呻いている中、花ちゃんの歌いだしから皆の合唱が始まりました。
歌い方には歌う人の性格が写し出されます。
花ちゃんは元気いっぱいに、メグちゃんは実は音痴なので音が外れまくってますが花ちゃんに負けないくらい溌剌に。
桃ちゃんと愛ちゃんは恥ずかしいのかあまり声が出ていませんが、音程はしっかりとしています。
そして湖月ちゃんは……。
「おっいけーにはまって!」
何故か音がスウィングしています。
ジャズか。
そこは八分音符だよ湖月ちゃん。
その歌い方だと付点付いてるよ湖月ちゃん。
ほら、皆も釣られてスウィングしちゃってるじゃん。
あ、ハモリ始めた。
意外と上手いけど、また皆が釣られそうになってるぞ。
湖月ちゃんの独創的な歌を分析し終えた私は、性能のいいこの身体を最大限に活用して暖かくも凛とした歌を披露します。
運動神経、頭脳、カリスマ性に優れた今世の身体では、歌も一つ抜けた才能があるのです!
メグちゃんの子守唄で鍛え上げたこの美声に、酔いしれな!
……まぁどんぐりころころだけど。
「どじょうが出てきてこんにちわ~」
気持ちよくなってきた私はサビ、息の続く限り伸ばしてビブラートを掛けます。
「ぼっちゃんいっしょに~~~~~~~」
ゆっくりと声の音量を下げてから、最後のフレーズを歌うために息を大きく吸い込む。
周りで歌っていた皆も私の美声に酔いしれ、歌うのを止めてこちらを見ています。
皆の期待に応えるために今、フィナーレを!
「遊びましょーっ!!」
私が吸った息は何処へやら、ガンガンに音を外したメグちゃんがフィナーレを飾りました。
ふんす、と歌い終えて嬉しそうなメグちゃんと、喜劇のようにこける私たち。
今度、お父さんに頼んでキーボードを買ってもらうことを心に誓います。
メグちゃん、私が音痴から変えてみせるからね!
音痴を自覚させることに数ヶ月の時間が溶けていくことになるのですが、それはまた別のお話。
ある学校の帰り道。
今日は愛ちゃん、湖月ちゃんだけでなく、授業の終わり時間が同じだったメグちゃんと花ちゃん、そして桃ちゃんと一緒に帰っています。
皆で話をしていると、今日の授業に音楽があったらしいメグちゃんが話題を切り出しました。
「歌かぁ、私も好きだよ」
「ねぇね歌上手いもんね!」
「へぇそうなんですか千佳先輩。予想外です」
「予想外なの桃ちゃん!?」
「千佳ちゃんもやけど、愛ちゃんも上手いんやで~?」
「そ、そんなのことないよ!」
「千佳先輩と愛先輩の歌、聴いてみたいです」
「よっしゃ! やったら今から皆で歌って帰ろ!」
「おー!」
「おー!」
「近所迷惑になるからやめなさい、私の家の中なら大丈夫だと思うから」
湖月ちゃんに同意の声を上げるメグちゃんと花ちゃんに注意しながら考えます。
両隣はお爺さんお婆さんが暮らしている家がありますが、ちょっとくらい騒がしいのは微笑ましく見守ってくれているいい人たちです。
寧ろ私たちの声を聞いて態々お菓子を持ってきてくれたりするので、家で歌を歌っても大丈夫なはず。
「せやったら急いで帰るで~!」
「おー!」
私の提案により走り出した湖月ちゃん。
そして私の左手に繋いで手を離して、湖月ちゃんの後ろを走り出す花ちゃん。
「こらこら。こけたら危ないよ、花ちゃんが真似しちゃうじゃない」
「ご、ごめんて。ほら花ちゃん、うちと一緒に歩こ?」
「うん!」
手を繋いで歩く湖月ちゃんと花ちゃん。
ちょっとだけ妹が取られた気分です。
そう思っていると、寂しくなっていたはずの左手に少し冷たくて柔らかい感触が。
「ち、千佳先輩が、さ、寂しそうでしたから」
「も、桃ちゃん!」
「ちょっ!? だ、抱きつかないでください!」
「お姉ちゃんがやるなら私も!」
「恵まで!? はな、離れてくださいっ!」
「あはは、頑張って桃ちゃん」
「愛先輩! 見てないで助けてください!」
「お、なんやなんや楽しそうやんか! うちも混ぜてー!」
「花もーっ!」
「わっ! やめっ! って千佳先輩何処触って、ひゃんっ!」
いいえこれは事故なんです。
お尻を撫でたのは事故なんです。
スカート越しでも柔らかかったです。
ぐへへ。
「いたた……」
「大丈夫、お姉ちゃん?」
「ふんっ」
手痛い拳骨を桃ちゃんから戴き無事に、いや一名無事ではないけれど家へと帰ってきました。
たんこぶになってないかな?
「それで、何を歌うの?」
「花は今日音楽でやったやつがいい!」
「ほぉ~何をやったんや?」
「今日はね」
「どんぐりころころですね」
「ああ!! 私が言いたかったのにぃ!」
「す、すみません恵」
「まぁいいよ!」
「この変わり身の早さは、千佳ちゃんの妹って感じだね」
「せやな~」
「よしっ、どんぐりころころ……」
私が苦痛に呻いている中、花ちゃんの歌いだしから皆の合唱が始まりました。
歌い方には歌う人の性格が写し出されます。
花ちゃんは元気いっぱいに、メグちゃんは実は音痴なので音が外れまくってますが花ちゃんに負けないくらい溌剌に。
桃ちゃんと愛ちゃんは恥ずかしいのかあまり声が出ていませんが、音程はしっかりとしています。
そして湖月ちゃんは……。
「おっいけーにはまって!」
何故か音がスウィングしています。
ジャズか。
そこは八分音符だよ湖月ちゃん。
その歌い方だと付点付いてるよ湖月ちゃん。
ほら、皆も釣られてスウィングしちゃってるじゃん。
あ、ハモリ始めた。
意外と上手いけど、また皆が釣られそうになってるぞ。
湖月ちゃんの独創的な歌を分析し終えた私は、性能のいいこの身体を最大限に活用して暖かくも凛とした歌を披露します。
運動神経、頭脳、カリスマ性に優れた今世の身体では、歌も一つ抜けた才能があるのです!
メグちゃんの子守唄で鍛え上げたこの美声に、酔いしれな!
……まぁどんぐりころころだけど。
「どじょうが出てきてこんにちわ~」
気持ちよくなってきた私はサビ、息の続く限り伸ばしてビブラートを掛けます。
「ぼっちゃんいっしょに~~~~~~~」
ゆっくりと声の音量を下げてから、最後のフレーズを歌うために息を大きく吸い込む。
周りで歌っていた皆も私の美声に酔いしれ、歌うのを止めてこちらを見ています。
皆の期待に応えるために今、フィナーレを!
「遊びましょーっ!!」
私が吸った息は何処へやら、ガンガンに音を外したメグちゃんがフィナーレを飾りました。
ふんす、と歌い終えて嬉しそうなメグちゃんと、喜劇のようにこける私たち。
今度、お父さんに頼んでキーボードを買ってもらうことを心に誓います。
メグちゃん、私が音痴から変えてみせるからね!
音痴を自覚させることに数ヶ月の時間が溶けていくことになるのですが、それはまた別のお話。
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